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Yuh_Fazioliのブログ一覧

2024年10月15日 イイね!

ツーバイフォーは腐りやすいのか?


 日本ではツーバイフォー住宅が傷みやすい。日本は湿気が多いという話に対して、米国経験のある某氏が、
「米国がいつも乾燥しているなんて嘘だ。NYなんか云々…」
「米国も湿気が多いのだから条件は変わらない」
みたいなことを言い始めた。
 
 いや、だったら、西海岸の車がサビが極めて少ないので中古車として評価が高いとか、西海岸側のピアノは乾燥しすぎて響板が割れやすいので、中古では要注意とかはどうすんのよ?
 北米大陸の真ん中は雨量が少ないから草原だし。北米の多くは乾燥気味の土地だ。
 広大な北米大陸の一部の印象だけを代表みたいに言わないで欲しい。それに比べて日本は高温多雨多湿な地域だ。何しろ日本のどこでも森林が成立する。これは雨量が多いことを示している。

 実際、実家の隣のツーバイフォーの家は、かなり早くにバルコニーが朽ちてしまった。古いツーバイフォー住宅は傷みやすいとは業界でも言われている。
 しかし、24時間換気をするようになってからはツーバイフォーもかなり改善したらしい。
 北米では100年程度は保つツーバイフォーは、日本でも機械的に通気管理さえしてやればやはり腐りにくいらしい。
 そうした処理がなかった在来工法の日本の住宅はかなり寿命が短い。布基礎で土から湿気が上がってくるのが普通だった。しかし今は高耐久性と高断熱を目指した結果通気にかなり気を使うようになってきているし、基礎もベタ基礎になって湿気のコントロールがしやすくなっている。

***

 さて、それでは気候の違いを検証。
 広い米国は各地で気候が違うことは常識。
 自分は一応自然科学の徒なので、印象論ではなくデータでものを言うことにする。


 まず、某氏が湿度が高いと力説していた東海岸側のNYと、比較のための東京のデータだ。
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 NYは、湿度が大きく変化することなく、60%前後で安定している。

 中学理科で習ったように、相対湿度は空気が含むことができる最大の水分に対する、その空気に含まれている水分の割合で表す。
 湿度が安定しているということは、温度が高い時期には水分量が増え、温度が低い時期には水分量が減っているのではあるが、大西洋から空気が供給される時期と大陸内部から空気が供給される時期があり変化が大きそうなNYで、こんなに湿度が安定しているとは思わなかった。

 NYは天気の変化、年間を通じての気温の変化は大きいが、思いの外湿度が低く、木材にとっては腐りにくい環境と言えそうだ。

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 比較して東京は温度変化が大きいだけではなく、湿度の変化も激しい。何より日本付近に独特な『梅雨』という珍しい季節が存在する。梅雨前線に被われて曇りがちで雨量が多く、湿度がかなり高くなる。データを見ても6月平均で80%にもなっている。その後も10月までの5ヶ月もの間、気温は高めで湿度が高い季節が続く。
 一方冬は非常に乾燥する。

 日本に欧米からピアノを輸入すると、乾燥が進んでいる木材が湿気で反り、修正が大変なのだ。なじむまでに時間がかかり、調整期間が長くなる。多くの場合、欧米と日本では木材にとっての環境が違うのは明らかだ。

 また、多くの場合、日本の環境は木材を腐らす木材腐朽菌によってはきわめて好都合な環境だ。木材腐朽菌については後述。

***

 今度は湿度が低いと例に挙がりやすい西海岸のサクラメントのデータがあったので見てみる。

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 表のままで申し訳ない。
 サクラメントは、夏場は気温が高いが湿度は低い。
 冬場は降水量がやや増え、気温が下がる分湿度は上がる。

 これを見て、ホラ見ろ、湿度が高い時期があるじゃないか、日本と同じだろ!などと早合点してはいけない。
 サクラメントの冬は寒いので生物の活動は低調なのだ。当然木材を腐らせる木材腐朽菌も活動しにくい条件なのだ。木材腐朽菌については更に後を参照。

 西海岸から東に進むとロッキー山脈があり、その東には砂漠が広がる。山脈を越える空気のフェーン現象の為だ。アジアなら中国西域の砂漠が相当する。
 更に内陸になると北米の草原が広がる。一般に大陸の内陸部は海から遠いため、乾燥しやすく大きな草原が広がりやすい。アジアならモンゴルなどのステップ(温帯草原)がそれに当たる。

***

 次は北欧のスウェーデン。北欧ではツーバイフォー住宅がよく普及している。

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 これも表のままで申し訳ない。
 湿度のデータも無しだけど、そもそも年間を通じて降水量が少ない。夏はそれなりに温度が上がるが雨量が少ない=湿度低い。冬は温度が低く、雨量(降雪量)もそれほど多い訳ではない。
 木材にとっては都合のいい環境だ。
 しかし、ホント雨すくな。

***

 こんなデータがあった。空気中の水分量(絶対湿度)のデータだ。

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 これを見ると、上海、神戸は空気の含水率が高い。
 比較して、他の都市はそこまで大きな変化とはなっておらず、変化が少ない都市が多い。
 北米東海岸側のアトランタやワシントンは比較的絶対湿度が高く、西海岸側のサンフランシスコが低い。
 パリ、ロンドン、バンクーバーはそもそも絶対湿度の変化が少ない。

 しかし、思いの外日本の絶対湿度が低く見えるな。これについては後述。

 上海と東京を比較してみよう。

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 先ほど見たように、東京は特有の長い梅雨と太平洋高気圧の影響があるので、夏場の湿度が極めて高い。
 一方、上海は鹿児島あたりの北緯で、気温が高く、日本に似た気候。

 上海も気温変化や降水量変化は似ている。さすがは同じ東アジアである。

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 しかし、意外にも上海は年間では湿度が70%台。夏は気温が高い割りに日本ほどは雨が降らないので湿度が上がりにくい。
 東京が極端に乾燥するのは、冬に大陸からの季節風が日本列島の山脈を越えるときに起きるフェーン現象のためだ。

***

 さて、先ほどの含水量のグラフだが、上海より降水量が多い東京の方が絶対湿度は高いと思われるので、あれ、と思ったが、よく見れば日本の都市は神戸だ。
 神戸は東京とは気候が違う。小学校でやった、瀬戸内式気候だ。だから、冬は温暖、夏は温暖少雨で過ごしやすい。

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 温暖で変化が少ない神戸を東京など太平洋沿岸地域と同一視して見てしまうとおかしなことになってしまうのだ。
 データを正しく読むことは大事。思いこみや印象でものを語ってはいけないのだ。
 これはこのあとに引用するブログの記述に見られる読み間違いの要素になっている。

***

 その含水量のグラフの引用元なのだが、すごいことが書いてある。画像で引用する。



 え、日本の建築にはすぐ腐るように何か仕掛けられているの? などと思った方は、陰謀論に騙されやすい才能の持ち主なので気を付けるように。

 ブログのグラフと主張だけ見ると、日本の相対湿度が世界的には実は低く、もっと湿度が高い国々は多いのに木造住宅は高耐久性があるから日本の建築には何か問題があると思わされてしまうかもしれない。

 しかし、懸命な方はすでにお気付きであろう。

 一つは日本の都市として上がっているのは温暖少雨な神戸であり日本でも特に湿度が低い都市であること。神戸は東京と違い、梅雨から夏季にかけても湿度が80%に届かず冬季の乾燥もあまりない。

 もう一つは木材を腐らせるのは木材腐朽菌のはたらきが無視されていることだ。
 木材腐朽菌などは高温多湿を好み、よく活動する。
 冬場の低温高湿度とか、夏場の低温高湿度の地域では活動は当然低調になる。
 一方、日本の梅雨から夏季のような高温高湿度環境は木材腐朽菌が極めて良く活動する条件なのである。

木材腐朽菌の繁殖条件は、適度の水分、温度、酸素、栄養分であり、湿度85%以上、木材含水率が20%以上、温度は20 - 30℃、高温多湿の環境を好み、酸素を必要とし、栄養分は木材に含まれるリグニン、セルロース、ヘミセルロースである。
Wikipedia 木材腐朽菌

 神戸の湿度が日本の中では比較的低いのに、これと他国と比較して、神戸の場合を日本に一般化するのは当然いけない。一般に日本列島太平洋側の絶対湿度はそれより高いのであるから。
 更に木材が腐る本当の理由(木材腐朽菌の活動)を考えず、湿度の高低だけでものを言ってはアウトだ。

 木材の含水量は空気中の水分量や相対質量と比例するわけではないらしいが、環境に水分が多いほど水分を含みやすく、水に浸かればてきめんである。
 高温+多雨多湿は木材腐朽菌が活動しやすい環境なので木材が腐るのである。
 多雨高湿環境が不利なのは当然である。むしろ腐らなかったらえらいことだ。白色腐朽菌がまだ存在せず木が腐りにくかった石炭紀以前に逆戻りである。

 なお、高校生物基礎の植生の遷移の項でなるべく話しているのが、環境による土壌の厚さの違いの話である。
 熱帯多雨林では落葉層や土壌が薄い。これは、植物が死んで腐っても、早急に他の植物に利用されていくため、土壌である時間が短いのだ。それ故、熱帯林を伐採すると薄い土壌が容易に雨で失われて砂漠化しやすい。
 寒冷な地域に行くと、落葉層が厚くなる。これは植物が死んでも細菌や菌類のはたらきが寒さのために不活発で腐りにくいからである。
 生物は環境と密接であり、当然、生物の活動も環境に影響与えている。
 条件の違いがその地域独特の生態系を形作るのである。

***

 話を戻そう。
 日本の在来工法の家が長持ちしないのは、古くからの技術では日本の環境で木材を長持ちさせることが難しかったからだろう。
 お金をかけた木造建築では防腐処理に始まり、こまめなメンテナンスで長く持たせている。もちろん痛んだ部材はその都度交換である。定期的に大改修を行う訳だ。

 一方、お金をかけられない安普請の木材建築は、最初から定期的に立て替えることを前提にしてきたのだろう。幸い日本は木材資源が豊富だった。

 都市部に多く立てられた小さな木造住宅は、腐りやすいだけではなく、地震にも火事にも弱く、大いに問題があった。特に戦後に多く建てられた木造住宅は、個人所有であり、規模が小さく、古い住宅設備しか持っておらず、また核家族にあわせたものになっているために、家族構成が変わったり住宅内設備の更新をしたりするときに建て替えられやすかったようだ。また、耐震性を考慮しての建て替えも行われている。このため、比較的短い経済寿命となってしまっていたらしい。
 建築基準法で徐々に耐震性、耐火性などの向上が義務づけられた。今日では省エネルギーや延焼防止の観点で空気の出入りが抑え込まれ、換気が必須の住宅も増えている。今日のツーバイフォー住宅では24時間換気システムが付けられているので、湿度の問題からかなり解放されている。それ故、以前より腐りにくくなったそうだ。今日の木造住宅は100年保たせることも可能だという。

 木材住宅が、環境に依らず長寿命だということはあり得ない。
 高温多雨多湿の環境は木材にとっては厳しく、それを新たな技術を加えることで抑え込もうとしているのが現状なのだろう。現代の木造住宅はかなり進化している。その結果寿命は延びているようだ。

 気候の比較もせず印象だけで米国も湿度が高いから日本と同じだ、とか、データを恣意的に取りあげて(或いは本質を理解せずに)湿度は木材の腐りやすさに影響しないとか言うのはいかに馬鹿げた話かということだ。

 いずれも、せまい視野に基づく思いこみによるものであり、サイエンスの徒は絶対に犯してはならない愚である。


 


追記:
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 北緯35度の都市同士の雨温図の比較。東京はいかにも降水量が多い。
 高校生物基礎でも取り扱うが、日本は非常に降水量の多い国である。

Posted at 2024/10/15 19:01:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | サイエンス | 日記
2022年04月02日 イイね!

光は未来を知っている

 少し前に量子論に触れた。

 いわゆる二重スリット実験について。
 光源とスクリーンの間に二重のスリットを置くと、光は波の性質を持つのでスクリーン上には二重スリットによって干渉縞が現れる。
 しかし光は光子という粒なので、粒を一つ一つ撃って光子同士を干渉しないようにすれば二重スリットの先には2本の棒が現れるはずである。ところがこの場合でも干渉縞が現れてしまう。
 そこで、スリットのどちらを光子が通っているのか観測するとあら不思議。観測したときには光は粒として振る舞い、スクリーン上には干渉縞ではなく二本の棒が現れるのである。

 あたかも光は自分が観測されているかどうかを知って振る舞いを変えているかのようである。

 光子をはじめとする量子は観測される前には雲のような確率の重ね合わせ状態にあり、観測したとたんに1点に収束すると考えられている(コペンハーゲン解釈)。

 観測すると言うことが影響を与えているのであるが、対象に影響を与えない観測は困難なので二重スリットに入る前の観測が光に影響を与えて粒として振る舞うようになっているのではないかと考えられていた。ところがどうもそうではないらしい。

 観測が与える影響というのが問題であるのであるが、いくつかの実験によって光は二重スリットを通ったときには何も観測せずとも、結果によって干渉しているかしていないかを分かるように観測の仕方を変えてもやはり観測した場合としない場合で光は振る舞いを変えることが分かっている。
 つまり、二重スリットを通った時点では何の影響も与えていないのに、観測が二重スリットを光が通るときの挙動に影響を与えているというのである。まるで、観測が過去に影響を与えているかのように見える。極めて不思議である。



 ところが実は光が未来によって挙動を変えること自体は昔からよく知られている。
 レンズの表面には薄膜コーティングが施されていて、光の干渉現象によって反射を防ぐ処理が行われている。
 コーティングを増やすほど光にとっては邪魔なものが増えるはずなので暗くなりそうなものであるが、ところがどっこい、薄膜コーティングを施すことでレンズの透過率が高くなり、明るくなるのである。

キヤノンサイエンスラボ
レンズコーティング
https://global.canon/ja/technology/s_labo/light/003/03.html

 上のリンクに簡単な解説があるが、これは、薄膜によって膜表面とガラス表面の二つの反射光同士が干渉して反射がおさえられるのでありが、干渉が起こる条件ではなんと光が反射しなくなって透過するようになるという奇妙な現象が起きるのである。
 光は反射した先で干渉が起き、光が進めなくなると分かっているので表面で反射すること自体をやめてしまうのだ。

 屈折による全反射もこれと似ていて、入射角を大きくして屈折光がもう屈折出来ない条件では全て反射に転じてしまう。

 光は未来によって挙動をあらかじめ変えるのである。

 理研と日立の実験も、結局未来によって光があらかじめ挙動を変えるという光の奇妙な性質が二重スリット実験の観測問題を左右していることになる。

 観測行為の物理的影響が直接に光の挙動に影響を与えているということではなく、時系列を無視して観測は影響を与えるのである。

 とは言うものの、薄膜干渉が示すように、未来が現在の光の挙動に影響を与えているという事実は、未来の物理的影響を過去の光が受け取っていると言うことであるので、未来の観測が過去に影響を与えるというのも同じことなのかも知れない。


 私たちのスケールでの常識からするとあり得ないのではあるが、それは私たちが限られた知見の中でそういう世界しか知らないのであって、実は薄膜干渉のように光の挙動が未来によって変わっているという事実を私たちは光学現象として受け止めているように、時間は一定に進み、未来は過去の積み重ねなのではなく、この世界の過去と未来は相互干渉する一体なものなのだということでしかないのだろう。私たちのスケールではその影響がほとんど見えないだけなのかも知れない。







Posted at 2022/04/02 18:40:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | サイエンス | 日記
2021年05月16日 イイね!

RNAワクチン配列が遺伝する可能性について

LINE-1というレトロトランスポゾンはDNA→RNA転写でDNA鎖を出て、別の箇所にRNA→DNA逆転写で入り込むそうな(レトロトランスポゾンだからね)。
そうやってDNA鎖の中で増殖していき、遺伝子を破壊してがん化を引き起こすなどの問題を起こす。
このLINE-1が精子でたまたまワクチンmRNA配列をとり込んで逆転写し、遺伝する「可能性」を指摘する論文がある。
組み込まれたワクチン遺伝子が作り出すタンパク質は生まれた子供には自己と認識されるため、同じタンパク質をつくるウイルスも自己と認識され、抗体が全く作られないことになる。感染後大量のウイルスを撒き散らすスーパースプレッダーになる可能性がある。


可能性だけならあらゆるRNAが逆転写されうる訳だけど、とりあえずRNAワクチンのリスクとして記憶しておく。



http://www.qlifepro.com/news/20190903/line1.html


https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23/34

Posted at 2021/05/16 07:47:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | サイエンス | 日記
2020年10月18日 イイね!

丸山ワクチン?

丸山が国立療養所多磨全生園に通ってハンセン病患者の診療を続けていた1956年秋、患者が体内にライ菌または結核菌を保持している間はがんの発生を抑えている[要出典]という事実を発見した[6][出典無効]。ライ菌と結核菌とは同じ好酸性の桿菌であることから、結核菌抽出物質の丸山ワクチンががん細胞の増殖を抑制できると考えた[7]。

Wikipedia 丸山ワクチン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3


 ツイッターでたまたま丸山ワクチンという語を見かけ、ちょっとWikipediaをみたらこんな記述が。

 はたして細菌感染を起こしている間、ガン細胞の増殖を抑えるなどと言うことがありうるのだろうか。

 花粉症と寄生虫の関係は興味深くて、花粉症と関係の深いIgE抗体は元来対寄生虫免疫として進化した仕組みで、現代の清潔環境で暴走し、無害な花粉(+ディーゼル煤煙?)に反応しているからと言う話がある。寄生虫が居ると花粉症が出なくなると言う話が藤田紘一郎氏による「笑うカイチュウ」によって有名になっている
 しかしその後の研究ではどうも関係ないらしいどころか、寄生虫によってアレルギーの度合いが増すことすらあると言うので全くアテにならない。

 ガン細胞は遺伝的要因と環境的要因で常に体内で発生し、NK細胞やキラーT細胞のはたらきで刈り取られている。その攻撃を何かの理由で逃れ増殖したものがガンの発症として認識されるものだと言える。たとえばキラーT細胞などはアポトーシスを起こさせて細胞を内部から破壊させているが、アポトーシスの仕組みが壊れていれば増殖し続けることになる。

 細菌に対する抗体がたまたまガン細胞の何かと交叉抗体となって攻撃されているとか、偶然免疫チェックポイント分子に結合してガン細胞に対する免疫抑制を外しているとか(まあないだろうな)、なにかあるのだろうか。

 そもそもガンの発症が抑制されているのは事実なのかどうか。

 このあたりの話は、結核ワクチンであるBCGが免疫賦活をしている話にもつながり、一部の国で新型コロナの抑制に効いている可能性が言われる部分ともつながる(アジア/オセアニアで最悪とは言え日本の野放し対応でも今のところ欧米ほどの死屍累々の大感染に至っていないのだから、BCGがその原因であるかどうかは個人的にはやや疑わしく思っているが、その原因は極めて興味深い)。

 今考えられているストーリーは、丸山ワクチンが含む糖鎖が樹状細胞の活性化をもたらし、それがキラーT細胞の活性化をもたらしている可能性らしい。事実として丸山ワクチンが細胞間の伝達物質であるインターフェロンの増加をもたらしているらしいが。

結核菌と癌との関係 - ドクターズゲート
https://www.drsgate.com/company/c00043/nakagawa-12.php?

 BCG菌は多様な糖鎖を持ち、これがCD-1という受容体と結合することで免疫賦活を引き起こしているらしい。

BCGワクチンで癌や感染症, アレルギーを防ぐ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/35/6/35_6_458/_pdf

 Wikipediaの記述によれば、丸山ワクチンとふぉういつ成分が白血球減少症の治療薬として認可されているが、抗がん剤として承認は受けられていない。しかし、二重盲検での臨床結果は統計学的には有意と認められていないが、それは同時に行われている他の要因に引きずられている為で、下に引用したように、臨床的には意味のある結果が得られたと臨床試験を行った側は考えているらしい。
論文「Phase III placebo-controlled double-blind randomized trial of radiotherapy for stage IIB–IVA cervical cancer with or without immunomodulator Z-100: a JGOG study」(2014)のendpointで、The estimated total sample size was 240 to detect an 18% increase in the 5-year survival rateとの結果を得ている

 
 よくは分からないが、免疫賦活という効果は、ライ菌や結核菌に限らず起こりうるもののように思われる。
 攻撃抑制を行う免疫チェックポイントの阻害のような、直接的にガン細胞の攻撃を支援する仕組みではないが、キラーT細胞が関わるCOVID-19のようなウイルス対策としても興味が持てる。



 
Posted at 2020/10/18 11:03:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | サイエンス | 日記
2019年11月05日 イイね!

脳のためによく寝ましょう


睡眠中に脳波が有害な老廃物を洗い流していることが明らかに

睡眠時の脳波が脳細胞に損傷を与える可能性がある有害な老廃物を洗い流すのに役立っていることが判明。この睡眠中の脳の清掃に障害を起こすことがアルツハイマー病のようなものの原因や症状である可能性も考えられている。

この研究に関する詳細は学術雑誌「Science」に11月1日付けで掲載されている。
https://vaience.com/medical-science/20191105-brain-wave-wash/


 個人的な経験では、寝不足が続くと明らかに脳の働きが悪くなるが、その後睡眠を取っても、物を思い出しにくくなったり、頭の動きが悪くなったと感じる。

 睡眠が脳細胞の損傷を防ぐ役割を負っているのであれば、脳の機能維持のためにも睡眠を充分取ることは極めて重要だ。

 ブラック勤めで、学生時代からは考えられないほど劣化を感じる友人がいるが、睡眠不足から脳がダメージを負っているのかもしれない。

 

 
Posted at 2019/11/05 10:51:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | サイエンス | 日記

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「@こるり 日本の薬品供給体制、結構ヤバイです。薬価引き下げすぎ、ジェネリック推奨しすぎで、ちょっと需要が増えるとまともに供給できなくなってきています。」
何シテル?   01/10 18:44
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