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Yuh_Fazioliのブログ一覧

2019年08月08日 イイね!

二酸化炭素麻酔

 昨日人とはなしをしていて、酸欠と二酸化炭素麻酔のことが話題に上った。

 その人曰く、酸欠は苦しいが、二酸化炭素は安楽死に使うので苦しまないという。

 酸欠は直ちに意識を失い、二酸化炭素中毒は苦しいと聞いていたので、「あれ?」と。

 調べてみると、小動物の二酸化炭素による安楽死は、95-100%の高濃度で行うらしい。
 高濃度二酸化炭素では麻酔効果があり、意識を失い、呼吸も止まる。同時に酸欠で死亡するという。

 窒素100%にすると、窒素では昏睡が起こらず、酸欠により意識が消失するまでに二酸化炭素より時間がかかるために安楽死には用いられないのだとか。
安楽死法

 安楽死の状況は密室などで徐々に二酸化炭素の濃度が上がり、酸素が欠乏する状況とは異なるのだ。
 大気中の二酸化炭素濃度は僅か0.04%程度だ。

濃度が 3〜4 % を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7 % を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失う。 この状態が継続すると麻酔作用による呼吸中枢の抑制のため呼吸が停止し、死に至る(二酸化炭素中毒)
Wikipedeia


 当然、低濃度では苦しむことになる。同時に酸素濃度が少なくても様々な症状が出て苦しむ。大気中には約21%の酸素濃度があるが徐々に濃度が下がれば意識を失うまで症状を感じる。

酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ
酸素濃度 8%: 昏睡
酸素濃度 6%: けいれん、呼吸停止
wikipedia


 肺胞内は約15%程度の濃度で、吸気の濃度がこれを下回ると、体内から酸素を奪われることになる。

 タンク内や洞窟内などでは酸素がほとんど存在しないことがあり、そうした中に入ったために急激に意識を失いそのまま死亡する事故は多い。

 一方、自然界で高濃度二酸化炭素状況は火山ガスによるもので、あとは二酸化炭素式消火装置やドライアイスによる事故があるらしい。
https://www.cool-susan.com/2015/10/31/%E4%BA%8C%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%82%AD%E7%B4%A0%E4%B8%AD%E6%AF%92/

 二酸化炭素中毒は密室内で起こりやすく、車を内気循環にしているだけでも二酸化炭素濃度は短時間で上昇するらしい。運転中眠気をおぼえやすいのはこのためとか。

 **

 ダイビングのページを見ると、私の知っている理解が書かれていた。

【酸素欠乏(アンキシア)】

 ちょっと、おさらいをしておきましょう。呼吸をしている、呼吸をしたいという欲求は、二酸化炭素の作用です。

 さて、今スキンダイビングで潜ったとします。青く美しい世界へ吸いこまれるように、肉体は躍動し、心は海中の景観に感嘆していることでしょう。自然を楽しんでいるにもかかわらず、つまらないことを言うようですが、この素敵な活動は、体内で、酸素が消費され二酸化炭素になる過程のエネルギーの放出によるものです。しかし、いつまでも息をこらえて留まっているわけにはいきません。苦しくなって水面へと戻ります。

 苦しくなって、つまり息がしたいという欲求は、エネルギー放出によってできる二酸化炭素が、呼吸中枢を刺激しているためなのです。酸素が少なくなったことでも呼吸中枢は刺激されますが、二酸化炭素の方がはるかに速く鋭く作用します。

 水面に出たら、次のスキンダイビングのために、からだに溜まった二酸化炭素を出すために、水面休憩を充分とってから次のダイビングに移って下さい。

 でも、「もうちょっと、長く潜っていられないか」、と思うでしょう。何々できないか、こういう想いは人間の常であり、この前進意欲が、不可能といわれたことも可能にし、終わりなく続いています。

 息を止める時間は、練習や訓練によって伸ばすことができるようになります。その理由は、二酸化炭素に対する呼吸中枢の反応を鈍くさせることができるからです。からだは、過剰二酸化炭素への順応(注2)が可能なのです。

 ここで問題になるのは、二酸化炭素への順応ができても、息がしたいと思ったときに肺内に酸素が残っているか、ということなのです。すなわち、血液に酸素が取り込まれるだけの力(肺胞気酸素分圧と血中酸素分圧の差すなわち圧差)があるか、なのです。肺内の酸素分圧が小さいと(空気中の酸素濃度にして10~6%)、アッという間に気を失います。これをブラックアウトといいます。よく地下の工事をする人が、入ったとたん、死亡したということを耳にしますが、原因の多くは、もともとが酸素の少ないところへ入っての酸素欠乏です。スキンダイビングの場合は、空気はどこからも補給されず息をこらえているので、肺内の酸素が消費されるための酸素欠乏です。

 残念ですが、私たちは、自動車の燃料メーターのようなものは持っていませんから、スキンダイビング中の自分の体内の酸素や二酸化炭素の分圧がどのくらいあるかは知る方法はありません。ですから、ブラックアウトにならないためには、どのようなことに注意しなければならないか、知っておく必要があります。結論からいいますと、

1.我慢に我慢をかさねた無理な息こらえは、しないこと。

2.潜る前に過度なハイパーベンチレーションを、しないこと。

http://www.sugipro.co.jp/kouza/contents/sansoketubo.html
 同様なことは医学系のMSDマニュアルにも書いてある。

二酸化炭素の毒性
スキューバダイビングでも、労作中などに十分に呼吸を増やせないと二酸化炭素の毒性が現れることがあります。また、水深の深い所では圧縮空気は濃くなり、呼吸装置を介した呼吸に努力が必要となるため、二酸化炭素の蓄積が起こることもあります。空気を節約しようとして故意に呼吸数を減らしても(スキップ呼吸)、血液中に二酸化炭素が蓄積する可能性があります。閉鎖式または半閉鎖式のリブリーザーの故障も、二酸化炭素の毒性が現れる原因となりえます。

血流中の二酸化炭素の蓄積は、呼吸を促す体からのシグナルです。呼吸装置を使用せず息を止めて潜水する(素もぐり)ダイバーは、潜水前にたくさん呼吸をして(意図的な過換気)大量の二酸化炭素を吐き出しますが、血液の酸素はほとんど増加しません。

この方法により二酸化炭素レベルを低く抑えて、息を止めて水中で長く泳ぐことができます。しかしこの方法(dangerous underwater breath-holding[水中での危険な息こらえ]と呼ばれます)はダイバーにとって危険でもあり、水面に戻って呼吸する必要があることを示すシグナルが送られる二酸化炭素レベルに達する前に、ダイバーが酸素を消費し尽くして意識を失う(breath-hold blackout[息こらえによる失神]または hypoxic blackout[低酸素による失神]と呼ばれます)危険を伴います。もりで魚を突く競技の参加者など、息を止めての潜水中や水中で泳いでいるときに予期せず溺水することがありますが、それはこの一連の事象が原因と考えられます。

二酸化炭素の毒性による症状には以下のものがあります。

頭痛

呼吸困難

吐き気

嘔吐

紅潮

二酸化炭素レベルが高いとブラックアウト(失神)を起こし、酸素毒性によるけいれんを起こす可能性が増し、窒素酔いの症状を悪化させることになります。ダイビング後に頭痛が起きることの多いダイバーや、空気の減りが遅いことを自慢するようなダイバーは、二酸化炭素の蓄積が起きている可能性があります。

二酸化炭素は通常、浮上に伴い徐々に減少します。ダイビング中に症状が出現したら、ゆっくりと水面に戻るようにします。ダイビングの後に決まって頭痛が生じる場合には、潜水技術を見直す必要があるでしょう。
MSDマニュアル

・ 二酸化炭素の不足による苦しさが生じるが、訓練によって軽減する。
・ 酸欠による意識喪失がもっとも危険。

 酸素呼吸する生物は血中二酸化炭素濃度を呼吸状況の主なマーカーにしているようだ。
 私は子供時代水泳をやっていたが、息を止められる時間は訓練によって延ばすことができた。それは意識を失いかねない危険な状況でもある。

 結局のところ、100%近い二酸化炭素環境では短時間に麻酔効果で意識を失い、呼吸そのものも止まる。同時に酸欠となり、死亡に至る。
 しかし、徐々に二酸化炭素濃度が上がる状況では麻酔効果が現れるまで呼吸を渇望する状況になる。パニックにもなる。その作用により充分酸素があっても二酸化炭素が高濃度であれば死に至る(犬の場合、1分で死亡したとか)。
 酸欠では頭痛などが現れるがあまり呼吸渇望する状況にはならないらしい。そしてそのまま意識を失う…ブラックアウトしてしまう。



 二酸化炭素が30%以上では即意識を喪失するという。安楽死では早期の意識喪失と呼吸停止効果があるため窒素100%より二酸化炭素100%のほうがよいが、徐々に酸素が失われ二酸化炭素が増える状況では酸欠による意識喪失の方が先に来るようだ。それまでの苦痛は二酸化炭素が効いている。
 二酸化炭素は苦しまないというのは状況次第で、我々が呼吸しにくいときに感ずる苦しみは主に二酸化炭素をきっかけとした脳の反応による。


 
Posted at 2019/08/08 15:13:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2019年05月04日 イイね!

ミツバチがロイヤルゼリーを介してRNAを伝達

ミツバチの伝達性RNA経路はミツバチの「ワクチン」の潜在的な経路を提供する
グルドン研究所

最終変更 2019年5月2日05:06 PM


https://www.gurdon.cam.ac.uk/news/maori-transmissible-rna-honeybees


 ロイヤルゼリーはミツバチが女王になる幼虫に与えるものとして知られているが、そうしたロイヤルゼリーやワーカーゼリーを介して遺伝物質RNAが個体から個体へと伝達されている経路が明らかにされたようだ。

 著者らはこのRNAは巣箱の個体全体に行き渡るので、ミツバチに対するワクチンの開発に役立つと考えている。

 親子ではない個体間におけるDNAの水平伝搬は知られているが、RNAの個体間移動は興味深い。RNAはまだまだ手つかずの分野だが、今後様々な事実が明らかになってくるのだろうと楽しみだ。



 


 
Posted at 2019/05/04 16:14:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2019年04月06日 イイね!

メモ:神経伝達物質と麻薬等

神経伝達物質

ドーパミン(ドパミン) A10神経から分泌される神経伝達物質。快の感情、多幸感をもたらし、脳の報酬系を担う物質。

エンドルフィン 神経伝達物質。報酬系に多く分布。鎮痛、多幸感をもたらす。脳内麻薬とも呼ばれる。モルヒネ様物質。内因性オピオイド。GABAニューロンを抑制し、A10神経のドーパミン放出を促進させる。

内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド) 抑制性神経伝達物質(グルタミン酸、GABAなど)放出の抑制する。鎮痛、多幸感をもたらす。

セロトニン 脳(2%)や腸(90%)などに分布する。脳関門を通過できない。生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などの生理機能、気分障害・統合失調症・薬物依存などの病態に関与、ドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きがある。

ノルアドレナリン 交感神経系から分泌され、闘争・逃避反応を生じさせる。ストレスホルモンの一つ。覚醒、注意、記憶に関わり、減少は意欲の低下、興味の消失に繋がる。


関連物質

モルヒネ ケシから得られる物質。鎮痛、陶酔作用を持つ。

オピオイド モルヒネに含まれるアルカロイド(窒素を含む天然由来の有機化合物)など。鎮痛、陶酔作用がある。


カンナビノイド アサ(大麻草)に含まれる化学物質などの総称。時間や空間感覚の変調をもたらし、鎮痛、多幸感をもたらす。脳内で分泌される内因性カンナビノイドがある。水素、炭素、酸素からなり、窒素を含まず、アルカロイドではない。

マリファナ(大麻) 大麻草の花冠、葉を乾燥、樹脂化、液化したもの。カンナビノイドを多く含む。


コカイン コカの木に含まれるアルカノイド。強い多幸感を生む。電位依存性ナトリウムイオンチャネルの興奮を抑え、局所麻酔薬としても用いられる。

覚醒剤 アンフェタミン類の精神刺激薬(コカインも含む)。覚醒作用や快の感情をもたらす。ドーパミン放出を促進、再取り込みを阻害する。大日本製薬(現大日本住友製薬)のメタンフェタミン製剤ヒロポンが有名。

LSD 幻覚剤の1種。当初は麦角アルカノイドから誘導された。インドール核を有し、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンと似た構造を持つ。このため、セロトニン受容体と結合する。セロトニンの作用を阻害することで幻覚を生じると考えられている。


 覚醒剤、大麻、モルヒネ、LSDは作用が異なる別物。
 
 A10神経からのドーパミン放出(遊離)を増やすことで多幸感が生まれる点で覚醒剤、大麻、モルヒネは似る。
 ペルーへツアー客がいくと、コカ茶を飲みたがる。コカ茶はコカの葉を使った南米で日常的に飲まれる飲み物で、弱い覚醒作用がある。
 以前のコカコーラにはコカインが含まれていた。

 精神刺激薬として非常に広く普及しているものはカフェインである。コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ココア、コーラや栄養ドリンクなどの飲料、チョコレートに含まれる。麦茶には含まれない。茶のタンニンがカフェインと結びつくためカフェインの吸収は少ない。カフェイン依存が起こることがある。生物に対する毒性はあるが、ヒトに対する毒性は選択的に低い。カフェインには覚醒作用および強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果、脳細動脈収縮作用、利尿作用などがある。バッハのコーヒーカンタータBWV211はカフェイン依存の娘の曲。

 セロトニンはうつ病と関連が深く、不足によってうつ症状が生じる。抗うつ剤にはシナプスにおけるセロトニンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙のセロトニン量を増やし、セロトニン分泌がふえた様な状態を創り出すものがある(SSRI)。光に当たることで合成されるため、日照が不足する高緯度地方の冬季にはうつが起こりやすい。女性は男性よりセロトニン合成量が少ないため、うつ症状が起こりやすい。
 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のサインバルタは最近慢性腰痛へ適応が広がった。慢性疼痛で疼痛抑制系の神経の異常によって疼痛を感じやすくなる症状を抑える。



 
 


Posted at 2019/04/06 16:13:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2018年02月25日 イイね!

メラトニンは光を浴びないと作られない!(追記あり)


 脳内で作られ、体内リズムと眠りに関わるメラトニン。

 メラトニンは、第3の目とも言われる松果体(目と基本構造が同じで、これと対になる構造が一部のトカゲなどでは頭頂眼になっている)で作られる。

メラトニンが脈拍・体温・血圧などを低下させることで睡眠の準備が出来たと体が認識し、睡眠に向かわせる作用がある。また朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ体内時計の機能、生体リズムが調整される。
Wikipedia メラトニン


 青い光はメラトニン合成を抑制し、赤い光は抑制しない。
 一部の照明では入眠を促すために赤い光に変えることが可能になっている(うちの寝室の照明がそう)。


 問題は、そのメラトニンの合成経路である。

☆メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成される。

 トリプトファンはアミノ酸なので、食物からとり入れるが、セロトニンを経ている。

 セロトニンは昼間光に当たっているときに作られるので、陽の光を浴びない生活や、光が弱く日の短い冬期には作られにくいことになる。特に女性は合成量が少ない。

 セロトニンの不足は精神の不安定、鬱を引き起こす(季節性うつ病)。

 季節性うつ傾向のある人は、冬は意識的に光を浴びるようにしないと、うつを発症しやすくなるだけでなく、メラトニンが減少して睡眠にも影響を与えることになるだろう。

追記:
 季節性うつ病では、メラトニンの分泌が不規則的になりやすいらしい。
 メラトニンの分泌が2時間半も遅れるというデータがあるそうだ。
追記おわり


 夜もなるべく光を浴びておいた方がセロトニンが作られやすい。

 セロトニンが作られなければメラトニンも作られにくくなるので、優先すべきはセロトニン合成環境を確保することだろう。要するに、冬場はなるべく太陽の光を浴び、夜間も強い光を浴びる時間を長く取ることだ。

追記:
 昼は光を浴び、不足しがちな人は夜も照明で補って、入眠時は照明を落とし、メリハリを作ることが概日リズムを乱れさせないことになるのだろう。
追記おわり
Posted at 2018/02/25 23:37:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2016年05月28日 イイね!

【メモ】始祖鳥と鳥のメモ


 生物進化の歴史を扱う上で、過去のことはかなり推論によってしまう問題がある。

 生物誕生のプロセスなど全く分からないし、化石に残っていない生物のことも全く分からない。

 化石が残っていても分からないことはいくらでもある。

 1990年代から、中国の遼寧省で様々な恐竜化石が見つかり、度肝を抜かれるような新発見が相次いだ。羽毛恐竜の存在が明らかになり、恐竜のイメージが大きく変化すると同時に、鳥が恐竜の生き残りと位置づけられるようになった。

 東京書籍の4単位の生物の教科書では、コラム扱いで、羽毛恐竜と鳥について扱っている。あまり深い記述はないが、ジュラ紀の共通祖先から羽毛をもつティラノサウルスの系統と風切羽をもつ始祖鳥、4脚に翼を持つミクロラプトルの系統、孔子鳥の系統、現生鳥類の系統に分かれた簡単な系統図が示されている。
 ジュラ紀や白亜紀には多系統で様々な翼を持つものが存在し、これまでのように始祖鳥を鳥類に含める積極的理由はなくなったとしている。

 **

 始祖鳥は長く鳥の祖先として扱われてきたが、羽毛恐竜が多数見つかったことでその地位は揺らいできた。2005年の論文(Science 310, 1483-1486, 2005)で足の特徴が恐竜と同じであることがわかり、鳥類ではなく恐竜類にいれることが提唱され、比較的受け入れられてきた。上記の教科書も時期的にその影響を強く受けている可能性がある。

 2013年には始祖鳥より早い時期のより恐竜に近い鳥類化石とするものが発見されている。

 始祖鳥はやはり鳥類であるという議論が再燃したりもしているらしい。

 このあたりは、じつは鳥類の定義の問題であり、始祖鳥の位置づけは曖昧さがある。

 このあたりの事情はWikipediaにも書かれている。

系統学的には通常、鳥類は現生鳥類と始祖鳥 (Archaeopteryx) の最も近い共通祖先 (MRCA) の子孫のすべてであると定義されている[19]。始祖鳥(1億5,000万年ごろのジュラ紀後期[10])は、この定義のもとで最も古い既知の鳥である。一方、ジャック・ゴーティエやフィロコード (PhyloCode) システムの支持者たちは、鳥綱を現生鳥類だけを含むクラウン生物群として定義している。これは、化石のみで知られるほとんどのグループを鳥綱(鳥類)から除外し、代わって、鳥類およびそれらを 鳥群 (Avialae、「鳥の仲間」[20])に位置づけることがなされている[21]。これはひとつには、伝統的に獣脚類恐竜と考えられている動物との関連における、始祖鳥の位置づけについての不確かさを回避するためである。

Wikipedia 鳥類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E9%A1%9E


 鳥類は恐竜である獣脚類の生き残りであり、その点ではハ虫類の一派と言える。しかし、鳥類を別に定義しているので、現状、鳥類をハ虫類とするのも困難がある。

 始祖鳥は現生鳥類の直接の祖先ではないし、白亜紀に現れた現生鳥類は同じく白亜紀にいた孔子鳥とも系統が異なる。ジュラ紀から白亜紀にかけて、さまざま翼を持つ種や系統が現れ、そのいずれかが現生鳥類につながったと考えられる。
 始祖鳥も含め、ジュラ紀の初期の翼を持った種は後脚にも翼を持っていたらしいことが分かってきている。そのうち前肢のみを翼として発達させたグループが孔子鳥のグループや現生鳥類のグループになっていったらしい。四肢に翼を持つ白亜紀のものとしてはミクロラプトル・グイがよく知られる。もちろんこうした系統は中生代の大絶滅を乗り切っていない。

ミクロラプトル・グイ
http://www.dd-lib.net/sort/kobetsu.cgi?sn=1233574963_537590628

 化石でしか存在しない、現生鳥類とは別系統の翼を持つ仲間を現生鳥類とは区別するのがもっとも分かりやすいが、それに近い分類として、鳥類を古鳥類と真鳥類とに分けることも行われているようだ。



 上はWikipediaのテンプレートとして登録されているもの。Avesとは鳥綱(いわゆる鳥類のこと)。Avesの定義では鳥類に始祖鳥を含むことになっている。この伝統的な分類ではかならず始祖鳥が含まれるのであって、始祖鳥が鳥類か獣脚類かという議論そのものが存在しないことになる。

 始祖鳥はどうも羽ばたいて飛ぶほどの風切り羽の強度をもっていなかったようだし、風切り羽の重なり方も羽ばたきには向かない構造。関節が翼を充分に上げられない構造の上、羽ばたきに十分な筋肉をもっておらず、羽ばたきによる飛行は樹分できなかったらしい。ただし化石のCTスキャニングで大きな脳を持つことがわかり、飛ぶための処理はできたとも言われている。

 始祖鳥が鳥と言えるかどうか議論があるし、伝統的な鳥類の定義で始祖鳥を入れてしまっていることが、始祖鳥に近い様々な羽毛恐竜たちが獣脚類なのか鳥類なのかについて大いに混乱することになる。4つの翼を持つミクロラプトル・グイは獣脚類であるが、おそらく空を滑空ないし羽ばたき飛行することが出来、始祖鳥よりあとに出てきているのだ。

 一方、鳥群(Avialae)という分類も提唱されている。これは恐竜の中の分類で、デイノニクス(Deinonychus)より鳥類に近い獣脚類との定義が一部では受け入れられているようだ。


 上もWikipedia 鳥群からの転載。

 この定義では翼を持つ化石鳥類たちは恐竜の中に置かれ、鳥類(Aves)は、現生鳥類とその子孫すべての共通の祖先とするという定義になった。
 この定義では始祖鳥(Archaeopteryx)は鳥群であるが、鳥類から外れることになった。 

 更に、始祖鳥はAvialaeからも外れるという研究が2011年に出ている。ここではデイノニコサウルス類に分類されている。

 **

 しかしながら、鳥類は明らかにハ虫類の一派であると考えられているので、ハ虫類の中に入れてしまう提案も当然出ている。



http://natural-history.main.jp/Algae_Column/Etcetra/Bird/Bird.html
から引用

 この分類が定着するか否かは分からないが、分岐学の立場に立てば妥当だとしか言いようがない。

 現生鳥類の系統を鳥類としてしまうか、ハ虫類の中に組み込むかいずれかに収斂していくものと思われる。

 すくなくとも始祖鳥を鳥類の定義にいれているようでは、混乱するばかりであろう。
Posted at 2016/05/28 19:33:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記

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