昨日人とはなしをしていて、酸欠と二酸化炭素麻酔のことが話題に上った。
その人曰く、酸欠は苦しいが、二酸化炭素は安楽死に使うので苦しまないという。
酸欠は直ちに意識を失い、二酸化炭素中毒は苦しいと聞いていたので、「あれ?」と。
調べてみると、小動物の二酸化炭素による安楽死は、95-100%の高濃度で行うらしい。
高濃度二酸化炭素では麻酔効果があり、意識を失い、呼吸も止まる。同時に酸欠で死亡するという。
窒素100%にすると、窒素では昏睡が起こらず、酸欠により意識が消失するまでに二酸化炭素より時間がかかるために安楽死には用いられないのだとか。
安楽死法
安楽死の状況は密室などで徐々に二酸化炭素の濃度が上がり、酸素が欠乏する状況とは異なるのだ。
大気中の二酸化炭素濃度は僅か0.04%程度だ。
濃度が 3〜4 % を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7 % を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失う。 この状態が継続すると麻酔作用による呼吸中枢の抑制のため呼吸が停止し、死に至る(二酸化炭素中毒)
Wikipedeia
当然、低濃度では苦しむことになる。同時に酸素濃度が少なくても様々な症状が出て苦しむ。大気中には約21%の酸素濃度があるが徐々に濃度が下がれば意識を失うまで症状を感じる。
酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ
酸素濃度 8%: 昏睡
酸素濃度 6%: けいれん、呼吸停止
wikipedia
肺胞内は約15%程度の濃度で、吸気の濃度がこれを下回ると、体内から酸素を奪われることになる。
タンク内や洞窟内などでは酸素がほとんど存在しないことがあり、そうした中に入ったために急激に意識を失いそのまま死亡する事故は多い。
一方、自然界で高濃度二酸化炭素状況は火山ガスによるもので、あとは二酸化炭素式消火装置やドライアイスによる事故があるらしい。
https://www.cool-susan.com/2015/10/31/%E4%BA%8C%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%82%AD%E7%B4%A0%E4%B8%AD%E6%AF%92/
二酸化炭素中毒は密室内で起こりやすく、車を内気循環にしているだけでも二酸化炭素濃度は短時間で上昇するらしい。運転中眠気をおぼえやすいのはこのためとか。
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ダイビングのページを見ると、私の知っている理解が書かれていた。
【酸素欠乏(アンキシア)】
ちょっと、おさらいをしておきましょう。呼吸をしている、呼吸をしたいという欲求は、二酸化炭素の作用です。
さて、今スキンダイビングで潜ったとします。青く美しい世界へ吸いこまれるように、肉体は躍動し、心は海中の景観に感嘆していることでしょう。自然を楽しんでいるにもかかわらず、つまらないことを言うようですが、この素敵な活動は、体内で、酸素が消費され二酸化炭素になる過程のエネルギーの放出によるものです。しかし、いつまでも息をこらえて留まっているわけにはいきません。苦しくなって水面へと戻ります。
苦しくなって、つまり息がしたいという欲求は、エネルギー放出によってできる二酸化炭素が、呼吸中枢を刺激しているためなのです。酸素が少なくなったことでも呼吸中枢は刺激されますが、二酸化炭素の方がはるかに速く鋭く作用します。
水面に出たら、次のスキンダイビングのために、からだに溜まった二酸化炭素を出すために、水面休憩を充分とってから次のダイビングに移って下さい。
でも、「もうちょっと、長く潜っていられないか」、と思うでしょう。何々できないか、こういう想いは人間の常であり、この前進意欲が、不可能といわれたことも可能にし、終わりなく続いています。
息を止める時間は、練習や訓練によって伸ばすことができるようになります。その理由は、二酸化炭素に対する呼吸中枢の反応を鈍くさせることができるからです。からだは、過剰二酸化炭素への順応(注2)が可能なのです。
ここで問題になるのは、二酸化炭素への順応ができても、息がしたいと思ったときに肺内に酸素が残っているか、ということなのです。すなわち、血液に酸素が取り込まれるだけの力(肺胞気酸素分圧と血中酸素分圧の差すなわち圧差)があるか、なのです。肺内の酸素分圧が小さいと(空気中の酸素濃度にして10~6%)、アッという間に気を失います。これをブラックアウトといいます。よく地下の工事をする人が、入ったとたん、死亡したということを耳にしますが、原因の多くは、もともとが酸素の少ないところへ入っての酸素欠乏です。スキンダイビングの場合は、空気はどこからも補給されず息をこらえているので、肺内の酸素が消費されるための酸素欠乏です。
残念ですが、私たちは、自動車の燃料メーターのようなものは持っていませんから、スキンダイビング中の自分の体内の酸素や二酸化炭素の分圧がどのくらいあるかは知る方法はありません。ですから、ブラックアウトにならないためには、どのようなことに注意しなければならないか、知っておく必要があります。結論からいいますと、
1.我慢に我慢をかさねた無理な息こらえは、しないこと。
2.潜る前に過度なハイパーベンチレーションを、しないこと。
http://www.sugipro.co.jp/kouza/contents/sansoketubo.html 同様なことは医学系のMSDマニュアルにも書いてある。
二酸化炭素の毒性
スキューバダイビングでも、労作中などに十分に呼吸を増やせないと二酸化炭素の毒性が現れることがあります。また、水深の深い所では圧縮空気は濃くなり、呼吸装置を介した呼吸に努力が必要となるため、二酸化炭素の蓄積が起こることもあります。空気を節約しようとして故意に呼吸数を減らしても(スキップ呼吸)、血液中に二酸化炭素が蓄積する可能性があります。閉鎖式または半閉鎖式のリブリーザーの故障も、二酸化炭素の毒性が現れる原因となりえます。
血流中の二酸化炭素の蓄積は、呼吸を促す体からのシグナルです。呼吸装置を使用せず息を止めて潜水する(素もぐり)ダイバーは、潜水前にたくさん呼吸をして(意図的な過換気)大量の二酸化炭素を吐き出しますが、血液の酸素はほとんど増加しません。
この方法により二酸化炭素レベルを低く抑えて、息を止めて水中で長く泳ぐことができます。しかしこの方法(dangerous underwater breath-holding[水中での危険な息こらえ]と呼ばれます)はダイバーにとって危険でもあり、水面に戻って呼吸する必要があることを示すシグナルが送られる二酸化炭素レベルに達する前に、ダイバーが酸素を消費し尽くして意識を失う(breath-hold blackout[息こらえによる失神]または hypoxic blackout[低酸素による失神]と呼ばれます)危険を伴います。もりで魚を突く競技の参加者など、息を止めての潜水中や水中で泳いでいるときに予期せず溺水することがありますが、それはこの一連の事象が原因と考えられます。
二酸化炭素の毒性による症状には以下のものがあります。
頭痛
呼吸困難
吐き気
嘔吐
紅潮
二酸化炭素レベルが高いとブラックアウト(失神)を起こし、酸素毒性によるけいれんを起こす可能性が増し、窒素酔いの症状を悪化させることになります。ダイビング後に頭痛が起きることの多いダイバーや、空気の減りが遅いことを自慢するようなダイバーは、二酸化炭素の蓄積が起きている可能性があります。
二酸化炭素は通常、浮上に伴い徐々に減少します。ダイビング中に症状が出現したら、ゆっくりと水面に戻るようにします。ダイビングの後に決まって頭痛が生じる場合には、潜水技術を見直す必要があるでしょう。
MSDマニュアル
・ 二酸化炭素の不足による苦しさが生じるが、訓練によって軽減する。
・ 酸欠による意識喪失がもっとも危険。
酸素呼吸する生物は血中二酸化炭素濃度を呼吸状況の主なマーカーにしているようだ。
私は子供時代水泳をやっていたが、息を止められる時間は訓練によって延ばすことができた。それは意識を失いかねない危険な状況でもある。
結局のところ、100%近い二酸化炭素環境では短時間に麻酔効果で意識を失い、呼吸そのものも止まる。同時に酸欠となり、死亡に至る。
しかし、徐々に二酸化炭素濃度が上がる状況では麻酔効果が現れるまで呼吸を渇望する状況になる。パニックにもなる。その作用により充分酸素があっても二酸化炭素が高濃度であれば死に至る(犬の場合、1分で死亡したとか)。
酸欠では頭痛などが現れるがあまり呼吸渇望する状況にはならないらしい。そしてそのまま意識を失う…ブラックアウトしてしまう。
二酸化炭素が30%以上では即意識を喪失するという。安楽死では早期の意識喪失と呼吸停止効果があるため窒素100%より二酸化炭素100%のほうがよいが、徐々に酸素が失われ二酸化炭素が増える状況では酸欠による意識喪失の方が先に来るようだ。それまでの苦痛は二酸化炭素が効いている。
二酸化炭素は苦しまないというのは状況次第で、我々が呼吸しにくいときに感ずる苦しみは主に二酸化炭素をきっかけとした脳の反応による。
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Posted at
2019/08/08 15:13:24