下にもぐって観察し、スマホとファイバースコープを使って撮影してみた。
どうも見た感じでは2つのパーツをあとから定位置に入れるのは容易では無さそう。
パーツを出し入れするすき間がそもそもほとんどない。分割状態ならまだしも一体状態ではまず無理だ。
カバーを取り外すにしても、エンジン側カバーの取り付けボルトの上にパワステラックがあるので、少なくともパワステを外す必要がありそうにみえる。
エンジン側カバーのエンジンへの取り付けボルトが残っている。
そのボルトの写真。

特に左は破断面が荒れていて、力を加えて引きちぎったように見える。振動による疲労ならひび割れるはずだ。右側は映りが悪く分かりにくい。
SVXは他車種とエンジン側カバーがミッション側カバーとボルトで結合されている点で異なるようだ。
そのことに気付かず、無理矢理引っ張れば割れることはあるかも知れない。
(カバーがついていた部分は非常に綺麗であることにも注目)

ミッション側カバーはミッションを後に引っ張ればミッションから外れる構造であるが、エンジン側から引っ張るとフライホイール(ATなのでトルコンが正しい)に引っかかるのでエンジン側カバーの取り付けボルト付近から破壊されることになる。
・車輌に残っていた樹脂パーツの一部の破断面が引きちぎられたように荒れていること。
・2つのカバーが一体になっている車載状態では容易に脱落する形状やサイズではないこと。
・軟性樹脂パーツが振動で破損したとは考えにくいこと。
・他の水平対向エンジンではエンジン側・ミッション側のカバーを結合していないこと。
以上を踏まえ、
・脱着時にカバー同士の結合ボルトをつけたままエンジンとの結合ボルトを外さずエンジンを取り外したためにミッション側がトルコンに引っかかってエンジン側カバーがボルト結合部を残して引きちぎられた。当然ミッション側カバーもダメージを負った。
というのが今のところの考えられるシナリオだ。
あるいは、オイルまみれの樹脂パーツをあえて生かさず、最初から破壊するつもりだったかも知れない。
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もしエンジン側カバーが経年劣化でボルトを残して割れたのだとしても、下にはクロスメンバー、前にはオイルパン、後には取り付け金具があるため前後に動く余地はほとんどない。フライホイールに当たって粉砕されるシナリオは立てにくい。
らまっちさんが教えてくれたように、
取り付けの困難さから取り付けを最初からはしょるつもりであえて部品を取らず、知らん顔を決め込もうということであったかも知れない。
取り付け忘れのチェックに引っかかることがなかったのは、メカニックが意図的につけなかったからだとすれば当然と言える。
問題はフロントマンや責任者が知っているかどうかだ。
担当したかどうか分からないメカは、元々付いていない車もあるし、ボルトの所に樹脂パーツの破片があるから脱落したのではないかと言っていたが、どんな部品であったのかと尋ねるとはわからないという言い方だった。
水平対向エンジンでは必ずお目にかかっているはずのパーツだからおよその形状を言うことが出来ないのはおかしいし、私が知る限り調べた全てのスバルの水平対向エンジンにこのカバーは存在する。
ついていないケースは他でエンジン脱着をやって取り付けを省略されたケースに限られるだろう。
SVXの場合、2つのパーツが結合されていて大きいから、取り付け部から割れて脱落という説明がつかない。形を答えなかったのは取り付けなかった当事者であるからかも知れない。
実際問題整備書の手順でカバーを脱着するのは容易には思われない。おそらくカバー自体を取り外すのではなくカバー同士の結合ボルトを外すと言うことなのだろう。
整備書では何故かミッション脱着時にカバーへの言及がない。
ミッション側カバーは少なくとも取り付け金具が共締めされているエンジン・ミッション結合ナットを外さないとカバーを取り付けできない。後から入れることは可能なのだろう。
エンジン側カバーは周囲が狭く脱着や取り付けボルトを回すのは車載状態ではかなり困難そうだ(そもそもカバーのへこみの中にボルトが入るので横からスパナで回せない)。エンジン単体でなら容易に取り付けられる。
しかし両者の結合ボルトはトルコンの直上に位置するので、なんとか回せるのだろう。
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困った事実が一つ。
オイル漏れの修理を依頼したはずが、オイルがかなり漏れている。

エンジンリア側あたりからミッションにかけて濡れており、オイルパンも多少濡れている。
リアクランクケース、ドライビングプレートとの間の壁が、左バンク側にのみオイルニジミが見える。
あとはオイルパンだが、ここは上からの漏れなのかここからの漏れなのか分かりにくい。ただし前側にはニジミが見られない。
前から風圧で飛ぶのだろうが、クロスメンバーやパワステラックの油量が多い。
ヘッド付近も漏れはない。
とりあえず候補としてはリアクランク回りとオイルパン。
色からするとエンジンオイルのように見える。ATFならもっと赤いだろう。
ついでに、冷却水系統のエンジンブロックにあるドレンボルトから水がじとじとと漏れている。
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トルコンに真新しい傷があった。
エンジン脱着時にどこかにぶつけた傷であろうか。
あるいはカバー同士の結合ボルトをつけたまま強引に引っ張った際にボルトがひっかいてついた傷とか?
追記:
これまで業者に依頼した仕事の中で、ミスなり意図的なりな問題が発覚したとき、業者側は無理矢理シナリオを仕立ててごり押ししてくるという経験が複数ある。
とにかくミスを認めない。プロの目から見ておかしいことは認めればいいのに、とにかく言いつくろって誤魔化そうとする。とうぜん関係は険悪になる。
以前の千葉スバル本社に塗装を依頼したときに、ひどいガタガタの塗面を、よりによって屋根やトランクリッドという塗面がもっとも目立つ面にやってくれたことがあった。同時に塗装した他の部分は普通の塗面であったにも関わらず。
そもそもが『鏡面仕上げ』という依頼であったのだが。
これをディーラー側は「こういうものだ、納得してくれ」とごり押しした。
このときはとにかくひどかった。そもそも料金の計算をミスっており、塗装が複数箇所になるとダブる行程は差し引かれ単純積算より安くなると説明されていたのだが、実際に依頼したときのフロントマンは「そんな割引はない」と言い張り単純積算で料金を出した。
部品を持ちこみこちらに交換して塗装をと依頼していたが下請け工場には何も伝えず梱包を開けた気配すらなかった。しかしフロントマンは開けて状態が悪かったから使わなかったはずだと言い張り、一緒に開封して一切手をつけていないことを認めさせた。
塗装のやり直しについて下請け工場はトランクリッドだけはやり直し非常によい状態に仕上げたが、屋根は拒否したという。
そこでいろいろな業者に依頼したが全て断られたとのことだ。当たり前だ。他の業者のクレーム案件を受ける業者はまずない。
結局ディーラーでやることにしたが力を加えて磨きすぎて塗面をぼこぼこにしてしまった。
これも「屋根はこう言うものだ」などと言ってなかなか認めなかったが、たまたまSVXが入庫していたので差は明らかだった。
最終的にデントリペアで補修。
この間1年以上。保険代と税金分請求したいぐらいだ。
放置された結果バッテリーは駄目になったし、ガソリンはカラにされた(ガソリンは弁償させた)。デントリペアではがされてしまった屋根のガラスコーティングは弁償されなかった。
とにかくフロントマンがデタラメで決してミスを認めずひどかったが、責任者である工場長も何とか言いくるめようとしてきて腹立たしかった。しかし決して怒りを見せることなく冷静に順を追って問題を明確にし、補修を約束させた。
今回の若いフロントマンはこれまで対応のいい人であるが、今回は何とか言いくるめるように言われている気配を感じる。裏まで分かっている私に対して無茶を言えないことを分かっているだけに苦しそうだった。