BPレガシィの補機ベルト(Vリブドベルト)から、キュルキュルというスリップ異音が発生するようになってから、DIYで完治させるまでの作業記録です。
ただ単に異音対策するだけでは面白くない。そこで、自分なりの考察を踏まえた 「実験君」 をしてみました。今回からのブログは、その過程を簡単に紹介するシリーズです。
■兆候を見逃さない
少し前のブログでも書いたのですが、先月9月、器械体操競技の社会人向け全日本選手権大会に出場するため(>私が)、東京都~福井県 の往復 約1100kmをレガシィで遠征しました。BPレガシィは、走行距離自体は5万km弱と少ないですが、今年で経年10年目。遠征の前にもメンテナンスを行っていましたが、自宅に戻ってからも、簡単ですが調子を見ています。その過程で、時々エンジンルームからの 「キュルキュル」 という異音を認知 しました。状況をまとめると、次の通りです。
エンジン始動後、車両停止状態にて
(1)ステアリングを直進状態から操舵(特にフル転舵)するとき
(2)アイドリング回転速度[rpm] からアクセルチョイ踏みするとき
異音が出やすい。
補足すると、この時点では、自宅の駐車場からクルマを出そうとするとき、あるいは入れようとするような限られたシーンでのみ、聞こえます(走行中は窓を開けていても聞き取れません)。
<↓BPレガシィの補機ベルトは2本がけ。車両右側(=画像左側)がオルタ&パワステ、反対側がエアコン>
前述の状況から推定すると、パワステ側にかかっているVリブドベルトのスリップ異音 と考えてほぼ間違いないだろう、と判断(∵ステアリングの転舵→パワステ負荷が変動→ベルトの劣化でスティックスリップ)。作業工数的には、エアコン側のVリブドベルトも同時交換した方が良い(∵ベルトは2本がけなので、手前にあるパワステ側ベルトを先に取り外さないと、奥にあるエアコン側ベルトが取り外しできない構造のため)。
そこで 「転ばぬ先の杖」 として、まずはディーラーに行って補機ベルト2本を注文することにしました。
■常時在庫で即納、の巻
10月上旬、「お客様感謝デイ」 の開催に合わせてディーラーを訪問しました。子供たちがくじ引きをして、3つあるうちの 「C賞」 をいただいたあと、私は補機ベルト2本を取り寄せ注文するため、サービスフロントへ向かいました。
<↓「A賞」~「C賞」 のうち、C賞をいただきました。マイナーチェンジのXVとフォレスターのカタログも入手>
BPレガシィ(4代目)は現行モデルに対して2世代前のモデルであるため、当初、私は 「補機ベルトを取り寄せ注文して、パーツセンターから届いたら連絡いただき、後日引き取りに来店する」 つもりでいました。ところが話を聞くと、「店舗内の倉庫に在庫があり、今、お渡しできます」 というではありませんか。価格は次の通り。結局、その場で代金を支払って 「持ち帰り」 することにしました。
<
BP5D型レガシィ・GT spec B 用の補機ベルト情報(@2015年10月時点)>
◎オルタネータ&パワステ用 : 部番809218460、価格1,680円+税=1,814円
◎エアコン用 : 部番809214550、価格2,010円+税=2,171円
-------------------
合計 3,985円(税込み)
<↓まさか在庫があるとは思わなんだ・・・。でもその場で持ち帰りできて、ラッキーでした>
ちなみに、レガシィの10ポイント無料点検の結果は 「異常なし」。エアコンフィルタの汚れと、リヤブレーキパッドの残量が少なくなってきていること以外の指摘はありませんでした。いずれにせよ、新品のVリブドベルト2本が手に入ったので、これでイザというときにすぐに交換できる準備は整いました。
<↓ディーラで10ポイント点検にて補機ベルトも診ていただきましたが、こちらは特に指摘無しでした>
■ベルトの異音対策の巻
さて、新品のベルトは2本とも入手済み。ディーラでの点検でも補機ベルトの指摘が無かったため、異音がすぐに悪化するか否か、しばらくの間、様子見することにします。その代わり、ネットで 「ベルト交換」 以外の異音対策があるかどうか、調べてみました。
キーワードとして 「ベルト」 「異音」 など複数を組み合わせて検索すると、補機ベルトメーカーが申請した特許のページにたどり着きました。読み進んでいくと、なかなか興味深い記述を見つけました。簡単に言うと、「ベルト表面にある種のパウダーを塗ることによって、スリップ異音を防ぐ効果が得られる。」 そんな内容です。
<摩擦伝動ベルト及びその製造方法>
◎出典 :
http://www.google.com/patents/WO2013088718A1?cl=ja
◎引用(改行位置以外は原文ママ) :
>
摩擦係数低減粉体17を形成する材料としては、例えば、フッ素樹脂、
> 層状珪酸塩、
タルク、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。
> (~中略~)
> 摩擦係数低減粉体17は、単一種で構成されていてもよく、
> また、複数種が混合されて構成されていてもよい。
<ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法及び摩擦伝動ベルト>
◎出典 :
三ツ星ベルトの特許文献
◎引用(改行位置以外は原文ママ) :
> 【特許文献1】実公平7-31006号公報
> (~中略~)
>
タルクなどのパウダーをリブ部表面に塗付する方法や、
> シリコン油を付着させ、
リブ部表面の摩擦係数を低下させる
> ことが提案されている(例えば特許文献1参照)。
ここで 「タルク」 という単語に注目です。
<タルク>
◎出典 :
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BB%91%E7%9F%B3
◎引用(改行位置以外はwikiペディアのまま) :
> 滑石(かっせき、talc、タルク)は、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる
> 鉱物で、粘土鉱物の一種である。組成式は Mg3Si4O10(OH)2 である。
> 蛇紋石(Mg3Si2O5(OH)4)が熱水変質、あるいは苦灰石(CaMg(CO3)2)が
> 接触変成してできる。
> 滑石(かっせき)は、輝石、角閃石、カンラン石といったマグネシウムのケイ酸塩
> を主成分とする鉱物から成る岩石が熱水変成して生じる変成岩であり、前述の
> 鉱物を主成分とし、他の鉱物と混ざった状態で産出することが多い。
「タルク」 自体は、粉末状のものがヤフオク!で量り売りされています。しかしこの 「タルク」、実はいわゆる 「ベビーパウダー」 の主成分です。赤ちゃんのあせも対策などに用いられる粉末です。製品名では 「シッカロール」 などと呼ばれます。
ところで、マグネシウム系の粉末として 「炭酸マグネシウム」 なるものがあります。通称:「タンマ」。これは、器械体操や重量挙げの選手が 「滑り止め」 を目的として手に付ける粉です。私自身も、演技会場ではもちろん、普段の練習でも使っているものです。
<↓器械体操の通称 「タンマ」。炭酸マグネシウムのことで、鉄棒や吊り輪のプロテクターにも塗布する>
前述の特許文献(出願者はベルトメーカー)などによると、要するに 「ベルト鳴き」 は 「ベルト表面の摩擦係数を低下させる」 ことが対策として有効 で、「タルクなどのパウダーを表面に塗布する手法がある」 ことが読み取れるのです。
■「実験君」 の方針決定の巻
そこで私は、「実験君」 をやってみることにしました。
ベルト鳴きを解消するための手段として、4段階に分けて次の方法を試してみようと企画しました。
(1)タルク のパウダーを入手して、レガシィの ベルト表面に塗布 するのは有効か。
(2)タルクではないが、「炭酸マグネシウム(器械体操人にとっては、通称タンマ)」 を
ベルト表面に塗布 して、摩擦係数の低減による消音効果が得られるかどうか。
(3)「タルク」 も 「タンマ」 もベルト鳴き対策として効果が低い場合、
ベルトの張力アップ で改善するか否か(固定テンショナを手動で張力アップ)。
(4)最後の手段として、すでに入手済みの 新品ベルトへの交換。
<↓経年10年目を迎えたBPレガシィの 「ベルト鳴き」 対策として、各種の 「実験君」 を検討してみました>
なお、市販のスプレー剤として、例えば WAKO'S の バイダスドライ(pdf)(フッ素樹脂系乾性潤滑剤) があるのですが、定価で1本4000円。ディーラーで新品の補機ベルト2本を買うよりも高価 ですので、今回は 「実験君」 の 対象外 としました。
「その2」 へ続く。
(タルクを塗布→効果はあるのか?といった内容を予定。)
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2015-10-21(Wed.) : 更新
[BPレガシィ] ベルト異音をDIYで解消する(その2・タルクパウダーの選定と準備) をアップロードしました。
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Posted at
2015/10/20 01:13:37