エクシーガのエンジン右バンクからのオイル漏れに対し、DIYで事実確認と原因推定を行った上で、ディーラーさんにロッカーカバーガスケットの交換を依頼し、作業完了後に車両を引き取りしました。
が、エンジンルームからオイルの焦げたような臭いが残っていたため、ジャッキアップして排気系の確認が必要…というところまでが、前回のあらすじです。
<オイル漏れ 関連ブログ>
◎その1 →
症状認知と初動編
◎その2 →
(ディーラーへの)報告書の作成編
◎その3 →
修理完了と残課題編
■再び現状確認
ブログでは、ディーラーさんへの入庫前に「排気系にエンジンオイルが垂れ落ちてしまっていたこと」、「ガスケット交換の際には遮熱カバーの清掃も合わせて依頼したこと」は既報であり(その2)、またディーラーさんでも「可能な限りの清掃を実施していただいた」ことも既報です(その3)。
しかし車両の引き取り後、市街地を15~20分ほど走った程度でも「オイルの焦げたような臭い」が消えないことから、「可能な限りで実施いただいた遮熱カバーの清掃状況」が一体どんな具合なのか、直接確かめる必要が出てきました。
排気系(車両の下廻り)を観察するためには、ジャッキアップが必要です。
<↓安全に配慮しながら、右前輪をサクッとジャッキアップ>
<↓「エキマニ~ターボチャージャ」間を連結している立ち上げパイプが見えてきました>
ディーラーさんに入庫する前に、DIYでオイルの付着を確認していた「ターボ立ち上げパイプ(通称)」の状況を確認します。
<↓確かに「ブラシで表面を清掃して、オイル付着痕を除去した痕跡」が見受けられました>
上の画像に示す通り、立ち上げパイプ(の遮熱カバー部分)にはブラシ掛けの痕跡があり、熱で変色したオイル付着痕も「可能な限り」除去いただいているようです。納品請求書のコメントに記載されていた通りの状況であることが確認できました。
■さらに注意深く観察
それではなぜ、まだ「オイルの焦げたような臭い」がするのでしょうか。現物確認を進めていきます。エキマニ(鋳物)本体の遮熱カバーの隙間から、ターボ立ち上げパイプ(通称)のフランジ周辺を覗き見てビックリ!
<↓EPF遮熱カバーの隙間からフランジ面を覗き見してみたところ、何と、油滴があるのを発見>
ロッカーカバーガスケットを新品に交換済みであるにも関わらず、油滴があるとは…。新たに漏れたのではなく、以前に漏れていた残存油分がパイプと遮熱カバーの間から滲み出てきたのか?
とにかくEPF(エキマニ本体)の遮熱カバーを取り外して徹底清掃だ! すぐに遮熱カバーの取り外しにかかります。
■リーク経路の推定
EPF遮熱カバー(ロア)は4箇所のM8ボルト(12mmソケット使用)を緩めることで外せます。外せますが、EPFに挿しているO2センサを取り外さないと完全には取り外すことはできません。ただし今回はEPFの遮熱カバー(ロア)は緩めるだけで清掃作業は可能なので、O2センサは外しません。
<↓左:M8固定ボルトを緩めていく 右:O2センサを取らないと遮熱カバーは完全には外せない構造>
<↓右バンクのEPF(エキマニ)の遮熱カバー(ロア)を緩めたところ>
これで「EPF~立ち上げパイプ」間のフランジ部分を詳細に観察することができます。
<↓EPFと立ち上げパイプの様子。A部はフランジ、B部はRHシリンダヘッドの下部後端付近>
ここで、先ほど油滴を発見したフランジ部:A部を詳細に見てみます。
<↓締結ボルトの座面近傍や、パイプ本体と巻き付け遮熱カバーの隙間に油分が残っている模様>
ではこの油分がどこから来たのか?を考察すると…。その直上にB部(RHシリンダヘッドの下部後端)が位置しているので、ここもよく観察してみます。
<↓B部をさらに寄って撮影。黄色で囲んだ部分に油分の付着痕があることが分かります>
<↓さらに近接。付着痕は、交換前の劣化ガスケットからヘッド下部後端に滲み垂れたオイル痕と推定>
恐らくこのオイル付着痕が、リーク経路(ロッカーカバーから最終的に排気系フランジに伝わる道筋)だと思われます。油分が立ち上げパイプと巻き付け遮熱カバーとの隙間に入り込んでしまっていたとすれば、そこをピンポイントで洗浄しなければ、油分の根絶は難しいのかもしれません。
(※ディーラーさんでは、作業完了後にお客様のクルマでわざわざ試運転まではしないでしょうから、残り香の発見も難しかったのでしょう。)
■排気系の徹底清掃
排気系の現状確認が取れましたので、今度は「DIYで可能な限りの」清掃を試みます。まずはEPF(鋳物のエキマニ)の遮熱カバー・ロア内側の清掃から。
<↓EPF遮熱カバー内側の清掃は、KTCの真鍮ブラシを使って、ご覧の通りキレイにできました>
次はフランジを含むターボ立ち上げパイプの清掃に移ります。フランジを清掃するには、締結ボルトが邪魔になるため、これを取り外してしまいます。
<↓フランジ周辺の清掃の障害となる締結ボルトは、思い切って外してしまいます>
取り外したボルト&ナットは油分を拭き取り、こちらもブラシ掛けしてみます。すると思った以上にキレイになりました(ねじ部分を含めて)。
<↓ブラシ掛けにより、頭部・着座面・ねじ部分とも全般的にキレイにすることができました>
次は本命の立ち上げパイプと巻き付け遮熱カバーの清掃です(巻き付け遮熱カバーはパイプ本体に溶接されて一体化されているため、分離不可)。ここは真鍮ブラシだけでなく、番手#180のペーパーやすりを使うことにします。
<↓番手が粗め(#180)のやすりを用いて、遮熱カバー表面を手で磨いでいくことにします>
<↓Before(DIY清掃前の状態)>
<↓After(DIY清掃後の状態)>
別の角度から撮影したショットを載せます。
<↓Before(DIY清掃前の状態)>
<↓After(DIY清掃後の状態)>
ここまでやっても、まだ不十分だと考えました。理由は「ディーラーでの修理が終わっているのに、まだ油滴があった」ことから、「隙間から染み出てくる(かもしれない)油分も除去」する必要があると考えたためです。具体的には以下の措置を加えました。
<↓「パイプと遮熱カバー」間の、フランジ側の隙間にもペーパーやすりを挿入して磨いでいく>
<↓隙間にあった「油分を含んだ細かなサビ粉」もろとも除去>
経年劣化により、排気系の表面には微細な(粉状のクラスター的な)サビが付着しており、これが含油状態になっているとすれば運転のたびごとに少しずつ染み出る可能性もあると考え、除去することにした次第です。
最後に排気系部品の全体にパーツクリーナーを吹きかけて脱脂。取り外した部品たちは、締結ボルト&ナットに焼き付き防止剤を塗って再組み(復元)し、一連の作業は終了となります。
<↓排気系のボルト&ナットは、入熱による固着を防ぐため、再組時には焼き付き防止剤を塗布します>
■参考
ところで、ディーラーさんに交換いただいた古い(=経年劣化した)ロッカーカバーガスケットについては、廃棄されずにエクシーガの助手席足元に取り置きされていました。
フツーはディーラーさん側で処分するのでしょうけど、ユーザーが私であることから(?)、わざわざ気を利かせて現物を取り置きしてくれていたのでしょう。そのおかげで、劣化度合いを手に持って実感することができました。
<↓交換した古いガスケット。手で触れるとかなり硬化していることが分かる>
約10年・10万kmの走行履歴が加わったRHロッカーカバーガスケットは、弾力は失われ、手で触ると思いのほか硬化していました。恐らく取り外す際には部分的に切れてしまったのでしょう、破断部が2箇所ほどありました(上の画像参照)。
経年車は、部品が出る(メーカー在庫がある)うちに樹脂・ゴム部品はリフレッシュ交換した方が無難ですね…本当にしみじみ、そう感じました。
■一難去って…
さて、排気系をDIYで思いっきり清掃したあと、試運転を兼ねて買い物に出かけました。往復で8km程度、運転時間にして約30~40分ほど。帰宅してボンネットフードとフェンダーの隙間から臭いを嗅いだところ、確かに焦げ臭いようなオイル臭は改善されていました。
念のためボンネットを開けて、LEDライトで各部を観察…したところ、またもや驚かされることが…。
<↓RHシリンダヘッド天面の後端、カム角センサがある付近を点検したところ…>
<↓思わず「何じゃこりゃ~」…って。いや、カム角センサのO-リングからの滲みでしょうけど>
前回のブログ:その3(修理完了と残課題編)にて、私は次のように書いていました。
> 今後の緊急度の高い残課題、および緊急度は低いけれど
> 経緯観察が必要なものとしては、次に集約されると思っています。
>
> 高(1)ジャッキアップしてのターボパイプ遮熱カバーの状態確認
> → もしも付着(変色)油分が残っていれば、その除去
> 低(2)カム角センサの台座付近からの滲み発生有無
> → 要すればO-リングの交換(見合うサイズの確認から)
> 低(3)ターボダクトのバンドクランプ周辺の状況
> → ブローバイガスミストの滲み発生はないか、緩みはないか
項目(1)は今回、徹底実施して効果ありを確認。…してからほとんど時間を経ず、項目(2)の確認ができてしまうとは…(悲)。いや、ここは前向きに「大事に至る前に、あらかじめ予想した通りのリスクを刈り取ることができた」と考えることにしよう、うん。
まだ続く。…のか?(苦笑)
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2022-06-02(Thu.) : 更新
[エクシーガtS] エンジン右バンクからのオイル漏れ・その5_最終話(最後もDIY編) をアップロードしました。
Posted at 2022/02/24 01:09:27 | |
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