29日に介入と思われる激しい値動きをした頃から、ネット上では
「介入してもすぐ160円に戻る。無駄だ」
「焼け石に5兆円の血税」
等の、極めて否定的な大合唱が起こっていた。
以前の介入でも結局介入水準を超えて円安が継続し、しかもマスコミでひたすら「金利差による円売り」と刷り込まれて、日米金利差がある限り円安は止まらないという前提に立っていた。
しかし、既に指摘したとおり(アナリストの吉田恒氏が指摘したものの請け売りだが)、金利差は以前より縮小しており、投機ポジションは過去最大規模であるので、あきらかな投機の売りによるものだ。
であるから、投機筋の日銀の足下を見た円売りを止めるためには、いくつかの要因が必要になる。
・日銀の利上げ
・ドルの利下げ
・日本政府の徹底した対応 →完膚なきまでの介入。
・日銀の利上げ
日銀の利上げは望めない。政府の利払いが増し国債の増発が必要になる。また、日銀は当座預金の付利と国債の時価下落で債務超過になり、中央銀行としての信用を毀損する。何が何でも利上げを渋ることになる。0.1%の利上げなど、アメリカが0.25%や0.5%の連続利上げしてきたことに比べればないも同じだ。
・ドルの利下げ
年初から米国の雇用は強く、経済は順調とみられ、利下げ懸念が和らぎ、むしろ利上げの可能性まで出ていた。円売りが加速した要因はここにもある。
ところが、政府の雇用統計と他の雇用統計との乖離、雇用統計が毎回前回分を下方修正すること、バイデンの政策で大量の移民を入れていてそれが雇用統計を支えていること、調査の仕方に問題があり、副業している人が増えているが、それがダブルカウントされていることなど、政府の雇用統計に疑いの目が向けられてきたことがある。
更に、時給は増えても労働時間が減っており、インフレと金利上昇に給与が追いついておらず苦しんでいること、ローン延滞の増加と金融機関の破綻が始まっていることなどがあった。
そこにISM製造業景況指数などの指標の悪化があった。これは5/2のNY市場におけるドル安の原因になった。
さらに5/3の米雇用統計とISM非製造業景況指数の悪化があり、ドルは遠のいていた利下げが近付きつつある。
・日本政府の徹底した対応 →完膚なきまでの介入。
これはもう理想的と言えるぐらい徹底して買い意欲を削ぐ介入ができていた。
そして米指標悪化・FRBハト派発言後にやった2回目の押し下げ介入がかなり効いている。
指標悪化を事前に日本当局が知っていたかどうかは分からないが、介入と米指標悪化が相まって、介入は見事な効果をあげた。
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ただし、本来なら152円で介入をし、152円天井を守らねばならなかった。
それを超えてしまっているので、抵抗線だった152円がサポートになって横ばいか上に向かう可能性がある。
今後の指標や米国の状況次第で152円のサポートを割れ、上昇トレンドラインの148円を割れば下落トレンドに入る可能性があるだろう。
米発のクラッシュの可能性が高まっているので、猛烈な円高が起こる可能性がある。莫大な日銀緩和マネーは日本経済ではなく米国をはじめとする海外投資に使われている。安い円を借りて外貨を買うキャリートレードがかなり行われているとみられている。これがリスク回避で逆流すれば恐ろしいほどの円高が起こる可能性もある。
ただし、日本の基本環境が変わらない限り、円売り日本売り基調は変わらない。リスクを取れる環境が戻ればキャリートレードが再開し円安に向かう。日本人の購買力は更に落ち、国民は苦しみ続ける。ハイパー円安、ハイパーインフレの入り口に立っていることは変わらないと考えている。
追記:
ネットで介入は税金投入だと思い込んで批判している人が大勢いるのだが、原資は介入のための外為特会である。
円高時に円売りドル買い介入した際のドル資金があり、それを今回売ったので、莫大な利益が出ている。
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金融 | 日記
Posted at
2024/05/04 12:01:41