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2005年06月24日

エンジン音が聞こえなくなる?遮音対策進む

エンジン音が聞こえなくなる?遮音対策進む 自動車の遮音材(吸音材)の話。
(参考:自動車の臭い(香り)の話は → こちら。)

クルマの 静粛性 は立派な基本性能の一つだ。若いうちは、やれ馬力が○○[PS] (※1)だとか 筑波サーキットアタックが○[min]○[sec] (※2)だとかといった 動力性能 や、あるいはホイールとかリヤスポイラーとかエアロパーツなどといった デザイン性能 を、クルマを購入する際の重要な決め手としていることが多いと思う。もちろん、そういった性能は今も昔も(恐らくは将来も)クルマ選びの重要な要素であり続けると思うし、自分自身もこれから先、年齢を重ねていったとしても、クルマ選びの際には無視できない要素であると思う。

  (※1)そういったことを気にする人々は、実用域でのエンジントルク [Nm] ではなく、
      なぜか最大出力 PSmax にばかり目を向ける。不思議だ・・・。
  (※2)そういったことを気にする人々は、発進加速タイムや中間加速タイムではなく
      なぜか 自分が走りそうもない サーキットのタイムに一喜一憂する。不思議だ・・・。

だが運転手がロボットではなく人間である以上、「クルマを運転する」という行為自体は、たとえそれが 楽しく 感じられるものであっても、肉体的な 疲労を伴う動作 であることは間違いない。そういった意味では、「運転手のみならず、同乗者にとっても ”疲れない” クルマ」 が求められることは、時代の必然的な流れと言えるだろう。実際、自動車メーカーにとっても「静粛性の確保」は重要な開発テーマで、それに本格的に挑んだのが、徹底した 「源流主義(※3)」 を貫いた 初代セルシオ だったと思う。セルシオの静粛性は当時世界一と評され、その後の他社(特に高級車を扱う海外メーカー)の開発姿勢に影響を与えたと言われている。
  (※3)技術的課題を間接的(二次的)にではなく直接的(一次的)に克服することによって、
       問題としている原因を根本から排除し、高次元の品質を確保する思想である。

静粛性を向上させるための手法はいろいろあるが、遮音材(吸音材)の活用が一般的だ。私のBG5Bレガシィでも、バルクヘッド(トーボード)やフロアコンソール周りに遮音材(吸音材)が多用されて、それ以前のモデルに較べると、エンジンやミッションの発するメカニカルノイズの室内侵入が低減されている(もっとも、私はそれに加えてさらにDIYで遮音材を追加しているが)。

ところで遮音材(吸音材)にもいろいろな材質が存在する。例えば、使用済みの布繊維を圧縮したもの、ゴムシートを貼り合わせたもの、塩化ビニル樹脂を利用したものなどである。オーディオに詳しい人が、いわゆるデッドニングをする際には「適材適所」で施工していると思うが、この「適材適所」という考えは重要で、音の発生源や周辺環境に応じた遮音対策を施さないと遮音効率が悪くなってしまう。だがたとえ「適材適所」であっても、車輌全体で考えると重量増は免れないわけで、遮音性能を維持しながらも軽量な材質が求められることになる。

2005年6月20日付けの日経産業新聞によると、日本特殊塗料(株)が開発した防音材「リエタ・ウルトラライト」は従来比1/2~1/3の重量を誇るという。その主な特徴は次の通り。
  ・材質は、加熱によって柔らかくなる熱可塑性フェルトを採用
  ・それを二層構造化することで空気層が音の伝播を抑制する
  ・フェルト繊維の大きさや長さを均一化する混合成型技術を新開発
  ・摂氏5℃の金型を用いる「コールドモールド」を採用(従来は加熱型ヒートモールド)
  ・各工程で不可避的に出る端材も100%再利用

その結果、繊維の優れた遮音性能を引き出すことに成功。トヨタ自動車(株)のウィンダム、日産自動車(株)のフーガを始め、現在ではティーダ、マツダのベリーサなどにも純正採用されているという。このことから、いわゆる高級サルーンばかりでなく、もともと車重の小さなコンパクトカーにおいても遮音性と軽量化が同時に求められているトレンドが分かる。ちなみに日本特殊塗料(株)の月産能力(自動車分)は24万台分。協力関連会社を含めると36万台分(投資額15億円)になるという。また同社の自動車部門の売上高227億円(2004年度実績)のうち、8割がこうした防音材関係だと報道されている。

繰り返しになるが、自動車の「静粛性」は立派な基本性能のひとつだ。今日のこうした静粛性を支えているのは、2005年6月22日のブログ( レオナルド・ダ・ヴィンチが発明したベアリング )にも書いた通り、「技術者」 としてのたゆまぬ努力によるものだと思う。我々一般ユーザーは、その恩恵を受けて、充実した車室空間でひとときを過ごすことができる。

だが、車室内があまりにも静かになりすぎて、外界から完全に遮蔽されてしまったとするなら、それはかえって危険であるとも思う。たとえばエンジン音がまったく聞こえなくなってしまっては、車速感覚も鈍ることになるだろう。2005年6月15日のブログ( 「BMWジャパン テクノロジー・フォーラム2005」 参加報告 )でもチラッと紹介したが(→ 心理音響工学に基づくサウンドデザイン )、今後は単なる遮音性能ではなく、残すべき音はむしろ積極的に残し、遮音すべき音は徹底的に遮音する ような 「音のデザイン」 が重要になっていくと思っている。
ブログ一覧 | 【クルマ関係(スバル以外)】 | クルマ
Posted at 2005/06/25 13:31:01

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この記事へのコメント

2005年6月25日 13:40
BDからB4に変えてから、一番の違いは遮音性でした。
日本人はドアの閉める音に対して、車の評価をしたりもするので
それは必要かと思いますが、車体の剛性感を遮音性でごまかされているような気もするのです。

もっと自分の車を走りこまなくては(汗

コメントへの返答
2005年6月25日 23:13
AUDI の超高級車では、フェンダー内部に植毛タイプのカバーが付いていて、「こんな植毛カバーだと雨の日は濡れてしまうだろう!」と思っていたら、「いや、雨の日こそ、タイヤの水ハネ音をこの植毛で吸収するのだ!」と聞いて、文化の違いに驚いたことがあります。日本車は、音の「チューニング」という点では、まだまだ発展途上のような気がします。

「走り込み」の件は・・・私も何とか(ミニサーキット走行を)復活させなくっちゃ。
2005年6月25日 13:48
生き物には五感があって・・・
見る、聴く、触る、匂う、味わうっていうのがあると思うんですが、
現代って五感を惑わすものがたくさんあって・・・
本当に自分の五感で判断出来るものが少なくなってきていると思うんですよね。
いいのかな、自分で判断出来ないっていいのかな、といつも危機感を感じてます。

車の遮音性能も・・・
行き過ぎるとどうなのかな。と思います。
私自身、耳がいいらしく、他の人に聞こえない音もよく拾うのですが、聞こえたことで回避出来た危険もありますし・・・

確か、今回のレガシィの開発の話を聞いたときにも、この遮音について、「必要な音は残す」ということをテーマにおいてやった、と聞いています(もしかしてリップサービス的な話だったのかもしれませんが)。私はそれを聞いて安心した覚えがあります・・・聞かなきゃいけない音があるってわかっててくれてやってくれているなら安心だなと。
コメントへの返答
2005年6月25日 23:42
五感に限らず、普段使わない(or 使う必要の無い)人間の機能は、だんだん退化してしまいますよね。ですから自分を取り巻く環境を変えて、たまには感性を研ぎ澄ませるような時間(自然界の散策とか)を持つことも、現代人には必要でしょうねぇ。

>遮音性能も行き過ぎると

実はセルシオもその点を(モータージャーナリストに)批判されたことがあります。それがキッカケかどうかは不明ですが、残す音と消す音の研究(とどのつまりがサウンドチューニング、人間工学的な音響工学)も一気に進んだようです。

>レガシィの開発の話
>「必要な音は残す」

本当ならありがたいですね。その一方、我々ユーザー側としても、自分で「必要な音を聞き分ける」能力を身につけておきたいものです。例えば「クルマが発する音」についても、本当にそれが致命的な「異音」なのか?あるいは気にしなくてもよい「作動音」なのか?その判断が必要になる場面が多々ありますが、判断ができるようになるためには、普段の何でもない状態での「クルマの発する音」をベース(比較対象)として把握しておく必要があるワケで。

私はエアコンを付けずに窓を開けることが多いので、そういった意味では、自車の走行音とか他車が発する音などがよく耳に飛び込んできます。
2005年6月25日 18:41
遮音と言うのは難しいですね。極端な話、車の状態が正常で
あれば、車から発生する音は全て遮断した方が一般受けは
いいと思います(故障時には音が鳴るor聞こえるようにする)。

それでいて、車外の音は適度に聞こえないと事故などの原因に
なりますから、難しい所です。

人によって音量の感じ方に差が有ると思いますが、普段から
幹線道路沿い等で騒音になれている人のほうが遮音に対する
要求度は小さいように思います。
コメントへの返答
2005年6月26日 0:02
>車外の音は適度に聞こえ
>ないと事故などの原因に

まったくその通りですよね。あまり遮音性能が高すぎると、実は救急車や消防車のサイレンが聞こえなくなってしまうという懸念もあると思うのです。まぁ、緊急自動車の接近に気がつかない人は、往々にして「(元から)前後の交通の流れを読んでいない人」・・・であることも多いのでしょうけどね(苦笑)。

私はかつて、オーディオメーカーが設備として持っているような「無響室」に入る機会を得たことがあったのですが(壁に[=]とか[||]とかいう形状の吸音材が交互に並んでいました)、そこでは自分の声すらもまったく反響しないので、とても不思議な(≒違和感のある)空間でした。やはり人間は、耳を通じて得た情報から次の自分の行動を判断することがあるようで、クルマにおいても、疲れない程度に暗騒音(バックグラウンドノイズ)を下げたうえで、「必要な音」は(多少の加工があっても)残すべきだと思っています。

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