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2005年09月15日

ランエボ・ワゴンを総括する

ランエボ・ワゴンを総括する 今回のブログは「三菱ランエボ・ワゴンの試乗記と雑感」の総集編です。
   ◎(その1/接客編)は → こちら
   ◎(その2/走行性)は → こちら
   ◎(その3/積載性)は → こちら
   ◎(その4/見積編)は → こちら

【結論】
ズバリ、「エボとしての走りの性能には納得できるが、
ワゴンとしての機能には不満が残る
」。この一言に尽きる。

以下、その結論に至るまでの過程について、順を追って説明する。

          + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

まず最初に、今回の試乗を通して確認できたことをまとめてみよう。すでにお伝えしている通り、グレードはGT(6MT)で、感想はあくまで私的なものである。なお、ここに触れられていないこと(例:ブレーキフィールなど)は可もなく不可もなく、別段特記することはなかったと捉(とら)えていただきたい。

【静的評価】
<良い点>
◎インパネフードが低く抑えられており、前方視界が良い(デザインが古いという声もあるが)
◎リヤのシートベルトが長いため、ISO-FIX 未対応 のチャイルドシート
  やベビーシートでも、容易に固定が可能(他車種の中にはシートベルトが
  短く、ベビーシートをうまく固定できない(長さが足りない)モデルもある)。
<要改善点>
◎シフトの中立がやや甘め。ストロークはもう少し短い方が節度感が出る。
◎ゲート入りしたあとの1速位置がやや遠い。

【動的評価】
<良い点>
◎フル乗車でも、2000rpm以上であればどのギヤからでも即座に加速開始する
  フレキシビリティをもっている(いわゆるトルクバンドが広い)。
◎乗り心地は良い。市街地でもサスペンションの硬さは感じなかった。
<要改善点>
◎3400~3500rpm以下の加速は(アクセルの反応に対する食い付きは早いが)
  際だったものではない。これは、6MTで1500kg という車重に起因しているかも。
  ちなみに、BP型レガシィワゴン・tuned by STI (ブレンボ付き)はMT車で1450kg、
  AT車で1480kgだ(ランエボ・ワゴンのAT車は1540kg)。
     ・レガシィ tuned by STI 諸元 → こちら。 ・ランエボワゴン諸元 → こちら
◎4000rpm以上の領域での加速には、実用上不満はない。
◎リヤシートの人からは、排気音がうるさいとの声があった。
  (運転席の私は気にならなかったが。)

【積載性評価】
<良い点>
◎未使用時はトノカバーを床下に収納できる。
◎フロアボードが3分割になっており、積載状況に応じて開閉できる。
<要改善点>
◎コンビニフックなどの工夫がない(オプションでは、ユーティリティフックの設定がある)。
◎小物収納スペースが限られている(場所がウォッシャータンクなどに占められている)。
◎切り立ったテールゲートのデザインの割には、リヤウィンドウ付近の天井高さは
  それほど高く感じられなかった。

【その他】
<良い点>
◎この手のクルマにしては、オプションパーツが豊富。特に良いな、と思ったのは
  「重量調整式シフトノブ」。何と、内蔵するウェイトの量を任意に調整することで、
  ノブ重量を 92g~170g の範囲で可変できるのだ。操作性とシフトフィールの両立
  に役立つアイテムになるだろう。

【私見】
「セダンと同等の 走り」 に重点を置く人に向いている。つまり、普段は荷物を積んで走ることは無いが、イザとなったら、かさばる荷物も積むことができる ポテンシャル心の余裕 として持っておきたい客層にジャストフィットする。積載性を重視する(実際に普段から荷物を積んで走るような)客層には、走りの部分での不満は出ないだろうが、ワゴンとしての使い勝手には多少の不満が出るかもしれない。エボとして見ると不満は少なく、ワゴンとして見ると煮詰めの甘さが出る ということだ。ワゴンのヘビー(ベビーではない)ユーザーには向かないかも。

「荷物も積めるランエボ(ワゴンボディを身にまとったランエボ)」ととらえるか、「エボ的な走りもできるワゴン(セダン同様の走りが期待できるワゴン)」ととらえるかによって、評価は真っ二つに分かれると思う。前者ととらえた者は(動力性能に大きな不満が出ないだろうから)納得のいくクルマだと評価し、後者ととらえた者は(ワゴンの使い勝手に小さな不満が残るだろうから)購入を躊躇するかもしれない。その意味では、ランエボ・ワゴンは「エボありき」のワゴンであった(ワゴンとしての仕様を改善する余地はまだ残っている)。

【雑感】
ランエボ・ワゴンの開発を担当した三菱自動車・岩田プロジェクトマネージャーは、日経産業新聞の取材に対して次のように述べている(情報ソース:2005年9月8日付け同紙より)。

<ランエボ・ワゴン誕生までの背景>
  ・「ランエボでワゴン」の構想は、実は2001年に一度あった。
  ・しかし、当時は時期尚早との判断でお蔵入りしてしまった。
  ・ところがリコール問題で苦況に陥った2004年5月ころ、
   「限られた資源の中で造れる新車はないか」の議論が出た。
  ・そこでエボワゴンの再提案に対し、「絶対に赤字を出さない」
   という条件付きでゴーサインが出た。

<赤字を出さないためのクルマ造り>
  ・「ランサーからランサーワゴン」を開発した時に較べ、開発費を3割に抑制
  ・ランエボやランサーワゴンとの 部品共用化率を95%以上 とした。

<開発にあたって>
  ・「ランエボの走りの部分については妥協しなかった。」
  ・「ワゴン車ではなく、ランエボのワゴン型ということを強調したい。」

ここまで読んだ読者はハッと気がついたことだろう。再建途上にある三菱は、イチから丸々の新型車を起こすだけの企業体力が無かったのだ。リコール問題は、開発部門にもそれほど深刻な陰を落としていたのだ。とは言え、企業が 競争社会で生き残る ためには新型車の開発が必要だ。となると、「限られた資源の中で造れる新車はないか」という議論 になるのは 至極当然 の至りだ。そう、 短期間でコストをかけずに造れるもの・・・ランエボ・ワゴンの 正体 は、まさしくこれだったのだ!だが、経営陣のこうした判断は会社を存続させるためには正しいと私は思っている。私が「良くやった!三菱」と応援する所以(ゆえん)である。

三菱が「持てる力の全てを注ぎ」ながら、しかし、「時間やコストの制約に縛られて」苦悩の上に生み出されたクルマ。コストの制約さえ無かったら、三菱自身ももっと ワゴンとしての品質 を造り込みたかったに違いない。その点で「ランエボ・ワゴン」は 悲運なクルマ だ。私が冒頭の 【結論】 で述べた、「エボとしての走りの性能には納得できるが、ワゴンとしての機能には不満が残る」 とは、そういう意味なのだ。そしてその結論は、上記で紹介したプロジェクトマネージャーの発言:「ランエボの走りの部分については妥協しなかった。ワゴン車ではなく、ランエボのワゴン型ということを強調したい。」という言葉によって、密かに裏打ちされている。

このランエボ・ワゴンは、国内では12月末までの2500台限定販売とされている。その理由は、三菱自動車・益子社長によると「プレミアム感を出したいから」だそうだ。その割には、9月7日の記者会見で社長は「英国などの欧州やアジア諸国への輸出を検討している」とも述べた。国内で限定販売としておきながら、輸出で台数を稼ぐとは、いかがなものか。「台数が少なければプレミアム」とする考えは、私に言わせれば旧態依然の思考回路だ。ユーザーはそのような市場操作に安易に乗ってはいけない。

だが、誤解してもらっては困る。ランエボ・ワゴンそのものは良いクルマだ。ワゴンのヘビーユーザーではない限り、その機能に不満を抱くことは少ないだろう。そして多くの人々は、そのオールマイティな性能に舌を巻くことだろう。ランエボ・ワゴンは、多様性を内に秘めた、紛れもない「ランサー・エボリューション」の進化形であることに変わりはないのだ。

以上、ランエボ・ワゴンの総括でした。私の一連のブログが、何らかの形で皆さんの参考になれば幸いです。

          + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

【あとがき】
私は試乗記のいちばん最初に、
  > なにぶん 素人 の試乗記と雑感ですので、「そうした物の見方をする
  > 人もいるのだ、という軽い気持ちで読み流していただければ幸いです。
と述べたが、連続4回(今回の総括編を含めると5回)に渡る試乗記を読んで下さった方々の中には、「調布市のKAZって何者?」と疑問に思われた方々もいらっしゃるかもしれない。

だが、私は私であって私以外の何者でもない。人よりちょっとだけ苦労した人生を送っているかもしれないが、単なるクルマ好きの一青年である。クリスマスには愛車を前にして、こんな衣装こんなポーズ を決めながら記念撮影を断行するような者だ。あるいは ゲゲゲの鬼太郎ネタ を書くこともある。「調布市のKAZ」の中に、一体、何人の「調布市のKAZ」が潜んでいるのかは、実は誰にも不明である。

ということで、今後もヨロシクです>ALL。
ブログ一覧 | 【ランエボ・ワゴン試乗記】 | クルマ
Posted at 2005/09/15 21:58:36

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この記事へのコメント

2005年9月15日 22:17
ランエボワゴンシリーズ5話お疲れ様です。全て目を通しました。

>単なるクルマ好きの一青年である。
どうしてもココだけは突っ込みたかった(バク
コメントへの返答
2005年9月16日 7:03
お読みいただき、ありがとうございます。

>突っ込みたかった
ギクッ!だって、プライマリーサイトではいつでも「フレンド募集中(ハァハァ)」と表示されていますから~!残念!
ε=ε=ε=ε=ε=┏( ・_・)┛
2005年9月15日 23:06
ご苦労さまです。ワゴンのヘビーユーザーからの視点がとても有り難かったです。

>「調布市のKAZって何者?」と疑問に思われた方々

そういう方のためにはフォトギャラリーに「ヒデキ」がよろしいかと思われます。
コメントへの返答
2005年9月16日 7:19
コメントありがとうございます。

>フォトギャラリーに「ヒデキ」
ギクッ!

はいはいはいはい、負けました。
_| ̄|○

TBS-TVに出演した時の撮影シーンをageてみました(フォトギャラは勘弁して下さい)。
→ http://www.asahi-net.or.jp/~mi5k-amkt/tmp_change_to_HIDEKI_01.JPG
→ http://www.asahi-net.or.jp/~mi5k-amkt/tmp_change_to_HIDEKI_02.JPG

ε=ε=ε=ε=ε=┏( ・_・)┛
2005年9月16日 0:45
僕自身は前者に合致するんだと思います。まだ現物見て無いですけど。
でもその反面、ワゴンとしてのステータスという面で(人間、見栄も大事なんで)、やっぱレガシィになってしまいました(笑)

とはいえ、あの装備であの価格はバーゲンプライスですよね。
STIは6速じゃないし、レカロもついていないし。。。
コメントへの返答
2005年9月16日 7:27
コメントありがとうございます。

ワゴンとしては細部の煮詰めの甘さは残りますが、エボとしての走りの魅力は十分感じられました。レガシィよりも重い、というのは少々意外でしたが、あの「てんこ盛り」装備であの価格は私も十分にバーゲンプライスだと思います。

レガシィは・・・STI もエンジンチューンが施されていたらもっと評判も上がったのでしょうけど、総合力では満足度は上でしょうね。今度納車されたら拝見させて下さい。
2005年9月16日 13:42
長編、面白かったです。プロと違う視点で、よりユーザー向きのインプレのような気がしました。僕はBG9ですが、改めていろんな車に試乗するたびに、自分の車に「お前燃費は悪いけど、まだまだ全然いけるじゃないか!」と満足しております。買い換えるお金がないので自分を騙しているだけかもしれませんが(w
コメントへの返答
2005年9月16日 19:00
こんにちは、感想ありがとうございます。一般的に長文のブログは敬遠されがちなのですが、そう言っていただけると大変励みになります。

新しいクルマに試乗することは、単にそのクルマを知ったり最新の仕上がりレベルを体験する(=クルマを見る目を肥やす)ことができるだけでなく、自分の現有車の良い点を見直すキッカケにもなると思います。BG9も「なかなか味のある」クルマだと思いますので、末永く可愛がっていけたら良いですね。
2005年9月23日 5:51
こんばんは、はじめまして。

いろいろ読ませていただきました。
たまに覗かせていただきますが、
長文の整理に感服してます。

ワタシは買い換えはまだ先になると思いますが、
たぶん、ワゴンとしては、
うちには狭そうな印象ですね。

ご意見は、参考にさせていただきます。
いつもながら、長文の解説、
ご苦労様でした。

で、買い替えされるのでしょうか?
コメントへの返答
2005年9月23日 6:37
こんにちは、コメントありがとうございます。
machhanさんのページは(出先のモバイルPCで)何度か拝見させていただいたことがありますよ。

ん~、私の文章が長文になってしまうのは、きっと短文で書く才能が無いからです(汗)。まぁ、誤解を避けようとすると長くなってしまう、というのもありますが・・・。

エボワゴンは魅力的なクルマですが、私の用途にジャストフィットというわけにはいかなかったので購入は控えます。プジョー407SWの試乗はまだこれからなのですが、当分はBGレガシィ続投になりそうな気配ですね。では今後もよろしくお願いします。
2007年1月22日 0:55
ランエボⅦGTA乗りのknightと申します。はじめまして。

たまたまランエボワゴンと見かけて読ませていただきましたが、納得の5話でした。

私も、試乗はよくしております
窓枠の事や、視界に関しては車によってぜんぜん違うのはよく感じます。
一般的な日本人より高めの身長なため、いろいろと気になることが多いです。

いろいろ参考になることばかりです。
ワゴンの試乗はした事はないのですが、次、その時期が来たときに同じような見方で見てみたいと思います。
コメントへの返答
2007年1月22日 21:08
初めまして。
ブログをご覧いただいただけでなく、コメントまでいただき、ありがとうございます。

試乗したからといってすべてが分かるものでもありませんが、実際に運転して初めて分かることは案外多いですよね(他車に乗ることで、自車の良い点悪い点に気づくこともあります)。

私の場合、試乗の際は「落ち着いて」「なるべく実際の使い方に近づけて」運転するようにしています。自分なりの評価基準(←ちょっと大げさですが)があれば、あとから違うクルマに試乗しても比較できますから。

あとは、不満点があれば「目をつぶることができる程度か」「純正オプションやアフターパーツで解消できるものか」「自分ではどうにも解決できないものか」を考えます。
いずれにしても、機会があればいろいろなクルマに試乗してみたいですね。

プロフィール

「[整備] #CBR250FOURフォア [CBR250Four] 失火発生で3気筒(←4気筒)になる(その4・プラグ清掃でデポジ ... https://minkara.carview.co.jp/userid/132018/car/28623/8320686/note.aspx
何シテル?   08/04 00:01
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

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