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調布市のKAZのブログ一覧

2006年01月22日 イイね!

[自動車ボディ搬送ロボット] 生産ラインを支える脇役

[自動車ボディ搬送ロボット] 生産ラインを支える脇役自動車の生産ラインを支える自動機の話。

富士重工業(株)では、年に何度かの工場イベント(※)の際、
生産ラインの一部を一般見学者に開放している。

(※): 一例
・2005年5月8日付けブログ
  → スバル大感謝祭と正義のヒーロー
・2005年5月30日付けブログ
  → 富士重工業(株)・大泉工場祭での私的感想

まぁ開放と言っても好き勝手に見られるワケではないが、工場イベントでは社員の運転するオープンカー (工場内移動用の ドミンゴ改 または 電気自動車) に乗ってラインを見ることができる。もちろん、事前に申し込めばスバルビジターセンター経由で正式なライン見学も可能だ。

ところで自動車の生産技術が進歩するとき、それを支えているのは一連の生産ロボット群だと思う。ホワイトボディに寸分の狂いも無くスポット溶接をする多関節ロボット (一部メーカーでは 「千手観音」 なる愛称も付いているという) や、ムラの無い塗装を実現させる多軸アームロボットなどはもちろん、多車種混流生産に対応するフレキシブルラインなども、影の功労者に違いない。

さて、そんな産業ロボットに関するニュースが紙面記事となって伝えられたことがある。以下、少々古いが2005年9月1日付けの日経産業新聞の記事の要約である。

◎不二越の産業用ロボット 「SC700」 シリーズは、自動車ボディの搬送ロボット
  として自動車メーカーに採用され、ラインを支えている。
◎通常、ロボットには、モーターの回転速度を落とし、代わりに出力を増幅させる
  ための減速機が複数個、使われている。同社のロボットは、モーターの減速機
  の制御方法を工夫することにより、過搬重量を 700[kg] まで高めたという。
◎自動車ボディのような重量物を持ち上げる際、減速機には大きな負荷がかかる。
  同社はそれぞれの減速機にかかる負荷を分析し、それが分散するように動きを
  制御させることで、過搬重量のアップに成功した。

つまり複雑な動きをするロボット(多関節・多軸・多アーム)になるほど、減速機が多く使われることになるが、従来はその減速機ごとの負荷を分散するよう制御しきれていなかった、ということですね。例えば荷物を持ち上げて運ぶ動作を考えた場合、刻一刻と変わっていく荷物の位置や姿勢に応じて、各アーム(つまりは減速機)にかかる負担も変化していくはずだが、不二越のロボットは、その荷物の動きに合わせてリアルタイムで負荷を均一化させる制御ロジックを実現できた、というワケだ。

過搬重量 700[kg] ですか。700[kg] ってどれくらいの重量だろう?
私のレガシィで言うと、純正タイヤ(215/45ZR17)&ホイールの1組の重量が約18.0[kg] であったから、1台分(4組セット)で約72[kg]。とすると、700[kg] ではクルマ10台分弱のタイヤホイールセットを一度に運べることになる。クルマの乗車員の重量は、法規上一人あたり 55[kg] で計算されるから、700[kg] では 12.7人分 に相当。元・相撲取りの 小錦(現・KONISHIKI)さん の体重は 275[kg] だったと伝えられている から、元・小錦関では 約2.5人分に相当。軽自動車・スズキアルト(タイプE・5ドア2WD・5MT)では、ラインオフ後の車輌重量 (もちろんエンジン・ミッション・シート・内装などすべて込み) が ちょうど 700[kg] となっている から、何とボディどころか丸ごとアルトが1台分。・・・あぁ、過搬重量 700[kg] ってやっぱりスゴイことなんだ(>もっと早く気づけよ、ってツッコミは無しで)。

ロボット自体の 自重 がどれくらいあるのか、記事にはまったく記されていないが、きっと軽量化も進められているのだろうな。これらのロボットによってクルマのホワイトボディが比較的容易に搬送できるようになると、省力化や生産性(サイクルタイム)の向上にも寄与するかもしれない。ちなみに同社のロボットは、愛知万博 (トヨタ自動車パビリオン) にて楽器演奏ロボットにも使われていたという。縁の下の力持ち は、文字通り、力持ち であった・・・と結んで、今回のブログを終わることにする。
2006年01月21日 イイね!

[自動MT] ホンダのAMT(半自動マニュアル変速機)

[自動MT] ホンダのAMT(半自動マニュアル変速機)ホンダの AMT(半自動マニュアル変速機) と
それにまつわる四方山(よもやま)話。

世の中、自動化が進んでいる。例えば家電製品では洗濯機の自動化は著しく、汚れの種類や程度に応じて、あらかじめ細かくプログラムされた制御に基づいて一連の作業が進行する。・・・と、今回はこのような書き出しでブログを始めてみたが、洗濯機はクルマのATにも似ているような気がしてきた(ホントか?)。

例えば洗濯機の自動コース選択はクルマのATの走行モード自動選択 (低温、高温、ノーマル、パワー、登坂、降坂など、ATが自動で判断する) に似ているし、また既存の洗濯コースに飽き足らない場合は 水量やすすぎ回数、脱水時間などを 「お好みモード」 などで決定できるが、これもATで言うところのスポーツシフト (あるいはティプトロニックやマニュアルモードなど) でドライバーが自由にギヤ段を洗濯・・・じゃなかった、選択できるのに似ている。

もちろん洗濯機の制御とATの制御は似ても似つかぬものだろうが、開発者が 「良かれ」 と思ってあらかじめインプットしてある自動モードと、ある程度の範囲内で操作主に委ねられるマニュアルモードの両方を備えている点が似ていると感じた。

さて、のっけから 話が脱線 してしまったが、今回はホンダが AMT(半自動マニュアル変速機) を開発したという新聞記事の紹介だ。以下、2006年1月16日付け 日刊自動車新聞の記事の要約である。

◎ホンダは自社開発した AMT を、近く欧州向けの乗用車に搭載し発売する。
◎マニュアル操作を好む欧州での商品力向上と、09年以降の企業平均燃費
  規制に反映させる。MT をベースにクラッチレス化したもので、AT はもちろん
  CVT をもしのぐ燃費性能を目標に開発したというもの。
◎ホンダは AMT を 「究極のトランスミッション(福井社長)」 と位置づけ、
  MT・AT・CVT に続く第四のトランスミッションとして自社開発・生産していく。

オリジナルの新聞記事だとコラム (記事に割かれる紙面スペースの段単位) が多用されているが、要約すると上記のようにたった6行になってしまうな・・・。それに 「~CVT をもしのぐ燃費性能を 目標に 開発した」 という表現も少々苦しいような気がする。と言うのも、開発者としては目標値は高く掲げて当然だし、一体どれほどの燃費効果を 実際に 達成できたのか?が問題となるからだ。目標値じゃなくって 達成値 という具体的な数字が記事には併記されて いない のだ。だから内容が薄っぺらに感じられてしまう。

日刊自動車新聞側も、限られた断片情報 から記事を膨(ふく)らませて書かざるを得なかったのだろうか。・・・という私見はここでは置いておいて。

MT の自動化の動きは、古くからある存在テーマだと思う。富士重工業でもその昔、軽自動車に 「♪らくらくレックス・オ~トクラッチっ!」 なるCMソングを引っさげて登場した省力化MTモデルがあったハズだ。この文章を書く3行前まですっかりその存在を忘れていたが、確かシフトノブに手を乗せると、それがトリガー(入力スイッチの意)になってドライバーの代わりにクラッチミートの準備が自動実行されるシステムだったように思う。・・・って、これじゃ少々抽象的で分かりにくいが、要するにクラッチペダルの無いMTだったと記憶している。ちなみに スバルのサイト で調べてみたところ、1980年(昭和55年)発売、となっていた。

実用化された他の自動MTでは、いすゞの NAVI-5 が有名だろう。自動車雑誌では、変速レスポンスが遅いようなことが書かれていた記憶があるが、残念ながら私自身は運転したことはない。NAVI-5 が出た頃は私はまだ運転免許を持っていなかったと思うのダ。なおアスカ(乗用車)では NAVI-5 だが、ギヤがさらに多段変速 (6速とか7速とか) になるトラックやバスでは NAVI-6 とか NAVI-7 などと呼ばれていたのかどうかは定かではない。

私が実際に試乗したことのある AMT は、アルファロメオだ。今から数年前のことだが、アップシフト側の変速応答性はなかなかのものであった。ダウンシフト側についても変速ショックが程よく抑えられていた。が、シフトショック低減を優先させたためであろう、ダウン側の応答性は誉められたものではなかった(ワンテンポどころかツーテンポ?遅れて変速が始まる感じ)。応答性と変速ショックの両立は難しいのだろうな。オーバーレブも抑えなければならないし。クラッチの耐久性にも関わるので、なおさらか。

私見だが、「日本では変速ショックが嫌われる」 が 「欧州ではダイレクト感が好まれる」 と思うので、今回新聞記事で紹介されたホンダの AMT も、仕向地によって制御のチューニングを変えてくる可能性もあると思う。果たして変速応答性と変速ショックと耐久信頼性がいずれも成立する領域 (要するに制御の適合範囲;味付けのチューニングポイント) は広いのか浅いのか。AMT にも電子制御による メーカーチューン がどんどん入ってくることになるだろう。たとえそうなっても、運転手が 「クルマを駆る喜び(シフト操作を自由に行う楽しさ)」 は薄れないで欲しいと思う。

最後に蛇足だが・・・エンジンに関しては、アフターパーツメーカー各社から いわゆるチューニングECU が発売され、プライベーターでもROM解析する人々は結構多い。ところがトランスミッション(AT)になると、変速制御のデータを書き換えた チューニングTCU(※) を発売するアフターパーツメーカーが皆無だったり、変速タイミングや油圧制御を解析するプライベーターが(たぶん)皆無であるのは、制御の複雑さと適合範囲の狭さのなせるワザだろうか。
(※)ATの制御ユニット。トランスミッション・コントロール・ユニット。

個人的には、メーカーが設定した AT の変速特性に潜在的な不満を持つユーザーはきっと少なくないだろうから、アフターパーツメーカーも チューニングTCU を発売すれば 「商売」 になる だろうにな・・・と話を また脱線させたところで、今回のブログを終わりにする。
2006年01月19日 イイね!

[密輸] 盗難日本車、フィリピンで押収され報道公開

[密輸] 盗難日本車、フィリピンで押収され報道公開日本で盗難されたクルマが
フィリピンで報道公開された、という話。

近年、海外での日本車の評判が良いらしい。コンパクトな割には居住性に優れ、燃費も良く、そして何より故障しない。日本車はハイブリッドカー分野でトップを走っていることからイメージもよく、それは一般の中古日本車であっても変わらないという。

例えば、日本では走行距離が10万kmを超えたクルマは、一部例外を除くと商品価値がほとんど無くなってしまうが、フィリピンではそんな中古セダンであっても約40万円(20万ペソ)ほどの市場価値が付くという。ちなみに20万ペソは、現地の一般会社員の年収のおおよそ2/3程度に相当するようだ。

さてそんなフィリピンでは、中古車の密輸が はびこっているという。以下、2006年1月16日付けの 日刊自動車新聞からの要約である。

<フィリピン関税局、盗難密輸中古日本車を報道陣に公開>
◎フィリピン関税局は、マツダRX-8 や トヨタMR-S など、すべて盗難車と
  見られる日本製スポーツタイプ高級車8台を 中古車輸入禁止法違反の
  疑いで報道陣に公開した。
◎フィリピンでは、国内自動車産業振興の立場から (バスなど一部を除き)
  中古車の輸入を禁止しているが、これらのクルマは 「中古農業機械」 の
  名目で密輸されたもので、時価総額は1300万ペソ(約2600万円)。
◎これらの中には、「千葉県」 のナンバープレートが付いたままの車輌もあった。

同紙によると、フィリピンで新車を購入しようとすると、一般的に年収の2倍以上の金額が必要となり、割高感が強い。したがって中古車の人気が非常に高いという。特に日本車は転売しやすく純正部品も入手しやすいそうで、トヨタ車・ホンダ車の引き合いが強いらしい。

それにしても、輸入の名目・・・RX-8 や MR-S が 「農業機械」 ・・・ですか。

日本の郊外では、ホンダのアクティ(軽トラック)にクローラ(※1)を付けたものや、アタッチメントを介してバケット(※2)を装着したものだったら見たことがあるが、RX-8 や MR-S は一体どんな農作業に貢献できるのだろう? RX-8 は 人馬一体感 を重視したセッティングになっているから、馬の代わり として使うのだろうか。MR-S では シーケンシャルシフト を駆使すれば、多段or無段変速を誇る ヰセキ・サナエヤンマー・赤いトラクター 以上の効率良い田植え作業 が期待できるのだろうか。
(※1):キャタピラのような駆動装置。無限軌道。
(※2):ブルトーザーの先端に付いているような集土装置。あるいは除雪装置。

トボケるのはこれくらいにして、日本での盗難車を密輸入するルートが確立していると思われるところが、何とも 根深い ものがある。いや、今まで 「中古農耕機械」 ですり抜けてしまうほどフィリピン関税局の検査は ザルだった ということか。記事を紹介している日刊自動車新聞にも、「フィリピンで密輸中古車の押収は珍しくない が、公開されるのは珍しい。(原文のまま)」 とある。中古車の密輸と押収が珍しくない・・・って、一体どんなお国柄なんだ! これでは、欧州から BMW を丸ごと分解して部品単位で密輸入したあと、国内で元のクルマの姿に復元して中古車として売り飛ばす中国(CHINA)窃盗団(※3)の方が、よっぽど 手口が高級 に見えてくる。いや、どちらも罪としては同様に裁かれるべきものだけど。
(※3) : 2005年12月12日付けブログ ([自動車盗難] ランクル・ハリアー・RAV4・セルシオ他) のコメント欄 参照。

だが、今までフィリピンでは密輸中古車の押収は決して珍しくないのに、今回あえて 「珍しく」 報道陣に公開したのは、一体何の意図があってのことなのか? 記事を前向きにとらえると、捜査当局の 「今後は厳しく取り締まるゾ!」 という決意表明なのかもしれない。いや、そうあってほしい。

・・・だが現実には、そう簡単に事態が好転するとはとうてい思えないから、とどのつまりは、ユーザー一人一人が、盗難対策に積極的に取り組んで 自己防衛するしかない だろうな、という結論に達したところで、今回のブログを終わることにする。
2006年01月16日 イイね!

ペーパークラフト(DENSO編)

ペーパークラフト(DENSO編)ペーパークラフトの話・その6。

これまでブログでは、クルマに関係するペーパークラフト(や、それにまつわる話)を紹介してきた。今回紹介するのは、DENSOのペーパークラフトである。


<参考:ペーパークラフトを題材にした過去のブログ>
◎その1 「インプレッサ編」 は   → こちら (2005年5月20日付け)
◎その2 「レガシィ編」 は      → こちら (2005年5月21日付け)
◎その3 「プリウス編」 は      → こちら (2005年5月22日付け)
◎その4 「パピンとチロル編」 は  → こちら (2005年5月23日付け)
◎その5 「フォレスター編」 は   → こちら (2005年6月2日付け)

実はこのペーパークラフト、去年(2005年)の東京モーターショウで児童向けに配布されていたものだ。今となっては紹介するのにずいぶんと時期を逸した感もあるが、せっかくなので、過去のブログ5編(上記参照)と合わせてペーパークラフトシリーズとして紹介することにする。

モーターショウでは、DENSOブース前のおねぇさん(コンパニオン)が、A4サイズを三つ折りにした状態の企業紹介パンフレットを配っていた。表面には 「Harmonization with the world クルマがずっと愛されるために」 とある。そしてその厚紙パンフレットを開くと、下方1/3のスペースがペーパークラフトとなっているのだ。ただ、これはペーパークラフトと呼ぶには少々大げさかもしれない。と言うのも、パーツはたかだか2部品構成だし、「切って」「折って」「貼って」 しまえば、それで終わりとなってしまうからだ(画像参照)。

だが、「クルマがずっと愛されるために」 というフレーズを読むと、将来に渡っての・・・つまり、次代を担う子どもたちへの企業メッセージとも受け取れる気がする。実際にも、パンフレットの中には何だかよく分からないキャラクター(>失礼!)が登場し、「DENSO製品がクルマの中でどんな活躍をしているか、ボクが教えてあげるね。(原文のまま)」 と分かりやすく述べている。こうした配慮からも、このペーパークラフトは主に児童(幼児)をターゲットとしたものであると考えるべきだろう。だから 「切って」「折って」「貼って」 の2部品構成でも良いのだ。組み立てること自体・・・というよりも、組み立てた後の遊び方に、児童(幼児)たちは自分なりの工夫を加えることだろう。

ところでこのペーパークラフトは、「ビー玉」 と合体させてゴロゴロ転がして遊ぶものらしい(画像参照)。ここで少々のツッコミを入れさせていただくと、DENSOが環境性能や低燃費を追求する企業なら、擬態語は 「ゴロゴロ転がして遊ぼう!」 というのではなく、せめて 「コロコロ転がして遊ぼう!」 くらいの表現に留(とど)めておいて欲しかったな。「ゴロゴロ」 というと、何だか寿命が来て交換しないとマズイような ハブベアリングの異音 とか、予圧が高すぎて起動トルクが大きなミッションシャフト用のベアリング(燃費に不利)などを思い浮かべてしまうよ。濁音よりも清音の方がイメージが良くないか?いや、単なる私見なんだけどさ・・・。

で、DENSOブース前のおねぇさん(コンパニオン)が児童一人一人に このペーパークラフト付きパンフレットを配るとき、当然のことながら、配ったパンフレットと同じ数だけ 「ビー玉」 もセット配布していたのだが、このビー玉が結構重いのダ。外見ではカッコ良い衣装を身にまとい、ポケットの中ではビー玉をジャラジャラ言わせながら その重さに耐え、しかし、そんな苦労を微塵(みじん)も感じさせずに笑顔を振りまいてビー玉を配る姿に、私は職業意識の高さを見た。

配る相手は児童だから、配布時には相手の目線に合わせてしゃがむんですよ。そして相手が受け取ったらまた立ち上がって次の児童の所へ行ってしゃがむ。そしてペーパークラフトとビー玉を手渡して次の児童のもとへ。ポケットには、もはやバラスト(ウェイト)と言っても過言ではないビー玉を満載し、毎回毎回スクワットしていることになるワケですよ。会期を終えたそのおねぇちゃん(コンパニオン)は、きっと筋肉痛に悩まされたか、あるいは筋トレを兼ねた?達成感に包まれたに違いない。・・・と結んで、今回のブログを終わりにする。
2006年01月15日 イイね!

[無線ICタグで子供の位置を運転手に警告] は安全?

[無線ICタグで子供の位置を運転手に警告] は安全?子供を交通事故から守るシステムについて考える、という話。

近年、交通事故で死亡する人の数は減ってきているようだが、事故そのものの発生数は、まだまだ多いと言わざるを得ない。特に幼い子供の交通事故防止策は、重要な課題のひとつとなっているように思われる。

そんな子供の交通事故防止策の新たな試みとして、無線ICタグを利用した位置情報表示システムの実験が開始されている。「子ども存在情報ドライバー通知システム」 というもので、日産自動車がNTTデータなど4社と共同で有効性を検証しているものだ。

以下、まずはその概要を2005年12月16日付けの日刊自動車新聞から要約してみる。

「子ども存在情報ドライバー通知システム」
◎子供に無線ICタグを持たせ、その存在をクルマの運転手に音声で知らせ、安全運転
  の注意を促すシステム。将来的にはカーナビのシステム開発にも役立てる予定。

◎見通しの悪い住宅街など、交差点での出会い頭の事故を低減させるのが目的。
  参加企業は、ICタグによる位置情報サービス技術を手がけるトレンディ、ケーブル
  TVのイッツ・コミュニケーションズ、警備会社の東急セキュリティ (とNTTデータ)。

◎すでに2005年12月から横浜市(青葉区)で有用性の実験を開始し、エリア内に住む
  児童200人と運転者100人に無線ICタグを配布。ICタグ情報は地域内の20ヶ所の
  受信アンテナからネット経由でサーバに送信。クルマに備えられた受信端末では、
  児童が接近すると 「子どもがいます、注意してください」 などと音声が流れる。

記事を読むと、「いまどこサービス」 などのクルマ版のような感じだ(システムは全然異なるが、使用目的としては、の意)。あるいは衝突しない 「車・車間通信」 の 児童対車版 のようなものか。GPS機能内蔵の携帯電話を子どもに持たせる場合、親は自分の携帯端末を介して子供がどの場所にいるのかを確かめることができるが、その対象は当然のことながら限られたものになっている。ところがこの 「子ども存在情報ドライバー通知システム」 なるものは、自分の子供に限らず、他人の子供 (つまり不特定多数) であっても自車に接近 (あるいは自車が子供に接近) しつつあるときには、音声で警告を発するシステムである点が異なる。現在はボイスワーニングのみにとどめているようであるが、技術的にはナビ画面に位置表示させることも難しくはないだろう。

実は正直に言うと、私はこの記事を読んで、「すばらしい」 とか 「画期的だ」 などと思うより前に、「かえって悪用される恐れはないのか?」 とか 「過ぎたるは及ばざるが如し」 とか 「本末転倒?」 などという言葉が思い浮かんでしまった。

「悪用」 については、例えばクルマが悪人に 盗難されたとき のことだ。今日では、まことに心が痛むことだがクルマを使った児童誘拐殺人事件が勃発している。年末年始の事件も記憶に新しい。悪意を持った者(誘拐犯)がこのシステムを搭載したクルマを悪用した場合、容易に 「子供が近づいているゾ」 という情報を手にしてしまうことになる。新しいシステムなりサービスなりを開発する場合、最初からマイナス面を恐れて開発すべきではないと思うが、何が起こるか分からない世の中だ。万が一の事態に備えた バックアップシステム(広義のキルスイッチ) も考慮しておくことは重要だと考える。果たして日産自動車やNTTデータは、そういった恐れまでを想定してシステムの開発を行っているのかどうか、私には疑問に思えたのだ。

「過ぎたるは~」 については、このようなシステムを開発することで、人間側の負荷やミスを軽減させる効果が得られることに意義を見出せると思うが、機械に頼る前に、先にやらなければならないこと (充実させなければならないこと) があるのではないか?という疑問がぬぐえないのだ。例えば 「子供への(事故に対する)教育」 はどうか?あるいは、ドライバーに対する安全教育だっていい。こうした 「人間への対策」 がまず第一に重要なのではないか? それとも、すでにもう安全教育をやりつくして、これ以上の改善効果が見込めないレベルまで政策・思索を尽くしてしまったのか? あるいは人的要素以外にも、たとえば見通しの悪い交差点は見通しが良くなるように区画整理することだって不可能ではないハズだ(多少時間がかかるだろうけど、無線ICタグシステムを実用化させるよりは早く実施可能かもしれない)。

物事には、すべて 「メリット」 と 「デメリット」 があると私は思っている。事故低減への取り組みは大きく評価されても良い。いや、評価されるべきだろう。だが、デバイスに頼りすぎると人間は退化する。単純にメリットのみに浮かれることなく、最悪の事態まで思慮し尽くした開発を望みたい (報道からはそうした姿勢が伝わってこない) というのが、記事を読んでの素直な感想である。

プロフィール

「CBR250Four(1986年式)のエンジンからのオイル漏れは、昨日のうちに原因箇所であるシリンダーヘッドカバーのカバーボルト部のパッキン(ホンダ名称:マウンティングラバー)交換作業を終了。本日2時間ほど試運転したが、漏れは解消して問題なし。詳細は後日、整備手帳にて。」
何シテル?   11/08 21:51
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

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