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2005年12月01日 イイね!

[実話] エンジン始動せず←燃焼室にひまわりの種

[実話] エンジン始動せず←燃焼室にひまわりの種作り話のような本当の話。
(自動車工学・2005年12月号 からの記事要約)

今日から12月。気温もグッと冷え込んでくる季節となった。この季節になると、駐車場で愛車のボンネットの上に乗る猫に悩まされる人もいるかと思う。

特に、ボンネットに穴のあるモデル・・・インタークーラー冷却用の導風ダクトがあるターボモデル・・・にお乗りの方々は、ちょうどその穴からエンジン内の暖気が伝わってくることもあり、ボンネットに足跡やツメ跡を付けながら ぬくぬくと丸くなっている猫を見つけるにつけ、立腹する人も多いのではないかと思う。

ところが世の中、想像もつかないような出来事 は起こるものである。ボンネットに猫の足跡やキズを付けられた程度では、実は被害はまだ小さい方だ。エンジンルームに鳥の巣が見つかった程度でも、それほど驚くべきことでもない。今回紹介するのは、何と、小動物が エンジンの燃焼室内(シリンダー内)に巣を作ってしまった事例 である。

以下、自動車工学・2005年12月号 の 「整備日誌アラカルト」 という人気コーナーに掲載された整備作業ドキュメントの要約である。ただ、その特異性をお伝えするため、一気に紹介せずに順を追って紹介する。

     ◎車両   : トヨタ・ハイラックス(S-LN106)
     ◎エンジン : 3L型ディーゼル(走行距離 11万km)
     ◎症状   : 駐車場にクルマを止め、3週間ほど留守にしておいたら、
               エンジンが始動できなくなっていた。

皆さんは、上記症状から、どんな原因 を真っ先に考えるだろうか。たいていの人は 「バッテリ上がり」 を疑うことだろう。あるいは燃料がカラになっていないかどうかについても確認した方が良い、とする人もいるかもしれない。ただ、ディーゼルエンジンなのでガソリンエンジンのようなスパークプラグ(グロープラグではない)は無いから、もしもスパークプラグも点検項目に挙げた人がいたなら、ちょっとだけ診断が間違っているかもしれない。以下、記事の要約を続ける。

     ◎現場で試したこと
     ・クランキングしようとしても、まったくその気配無し。「カツッ」 といってロックしているようだ。
     ・下り坂の押しがけでも始動不能。4WD にして試しても、タイヤが 「キーッ」 とロックするだけ。

どうやらバッテリ上がりではなかったようである。現場で試した結果から、エンジンがロックしているかのような印象を受ける。担当したメカニックは、仕方なく車両を牽引して工場に運び込んだ。ちなみにこのクルマのオーナー宅は、坂道を 3kmほど登った山間部にあり、庭や車庫には農作業で得た収穫物などが干してあったという。・・・(★)

     ◎工場での作業(その1)
     ・クランクプーリーは左右に180度ほどしか回らない。
      ただし、その動いている180度の間は、まったく問題なさそう。
     ・ヘッドカバーを外してカムシャフトを点検したが、問題なし。
     ・タイミングベルトも問題なし。

メカニックは、タイミングベルトのズレによるバルブの突き上げ を疑ったが、結果としてクランクまわりも動弁系も問題なかったようだ。一体原因は何なのだろうか。次なる確認項目として、「オイルパンを外してクランクシャフトとコンロッドを見る」 か、「シリンダヘッドを外して内部を見る」 か。果たして皆さんなら、どちらを選ぶだろうか。・・・このメカニックは後者を選んだ。

     ◎工場での作業(その2)
     ・ヘッドボルトを外し、シリンダ内部を見た。
     ・すると、メカニックは 思わず鳥肌が立った

シリンダヘッドの中を見たメカニックが、思わず 「鳥肌が立った」 というのはどういうことか?一体、何を見たのか?ギトギトに固まったオイルか?はたまた壊れた部品の破片か?・・・さらに記事の要約を続けていこう。

     ◎原因は 「ひまわりの種」
     ・何と、2番気筒に ギッシリと 「ひまわりの種」 が入っていた! ← 左上の画像参照。
      (つまり、小動物のイタズラであった。)
     ・だが、どうやって運んだのか?謎が残る。

読者の皆さんなら、この摩訶不思議な出来事を、どうやって説明できるでしょうか?仮に小動物のイタズラ (本・・・いや、人間じゃないので本動物・・・にとっては、決してイタズラではないのだろうけど) だとして、一体どうやって燃焼室内に ひまわりの種 を運び込めるのか? その謎解きは、次のストーリーとなる。

     ◎「シリンダー内に たくさんの ひまわりの種」 の謎解き
     ・ディーゼルエンジンであるから、スロットルはともかく、吸気側にはエアクリーナーがある。
     ・エアクリーナーを点検したが、まったく異常なし。
     ・そこで考えられるのは、マフラーから小動物が入り込んだ説。
     ・駐車場は、前述(★)の環境下にある。実際にも、クルマの後ろには ひまわりの種 が置いてあった。
     ・小動物が一粒ずつ ひまわりの種 をくわえてリヤマフラーから入り込み、排気管をさかのぼる。
     ・そして唯一、排気バルブが開いていた2番気筒を巣穴と決め、せっせと種を運んで貯めていた。
     ・小動物にとっては、ちょうど巣穴の近くにエサが固まっていたことになる。

いやはや、何ともスゴイ話である。リヤマフラーからセンターパイプ(通称)を経由して、エキマニをさかのぼって、さらに燃焼室に入り込む。まず、マフラー自体が拡張式だとすると内部は 迷路構造 のハズだから、ここで第一の難関となるハズだ。ところが小動物は容易にその迷路を突破したことになる。次にエキマニも各気筒ごとに ブランチ構造 となっているから、何度かのトライの後、たまたま空いている排気バルブを探し当てたことになる。

太陽の光が届かない暗闇の中で、ススだらけになりながらも、毎回毎回、前回歩んだ道のりを正確にトレース して、リヤマフラーから2番気筒のシリンダへと ひまわりの種 を運んでいたとは!小動物、恐るべし!! そしてその結末が、冒頭にも書いた 「3週間ほど留守にしておいたら、エンジンが始動できなくなっていた。」 という顛末なのである。

     ◎対策
     ・樹脂などで覆われていない金網を、マフラーエンドに取り付ける。

このような金網は、「マフラーカッター」 としては一見変わったものになるが、こうしておかないと、今後もエンジン内のシリンダを ねぐら にされる恐れがあるという。このメカニックは、「田舎ならではの、信じがたい本当の話だった」 と述べている。いやはや、まったくその通りだと思った。「エンジン始動できず」 の 原因は、「小動物が2番気筒に運び込んだ ひまわりの種により、クランクがロックしてしまったため」 であったとは!

そして私見だが、この話から学べることは多々ある。トラブルシューティングの際には、もちろんありとあらゆる原因の可能性を探ることが必要になるが、そこでは 「常識」 や 「先入観」 は禁物だ。どんなに些細な情報でも、それをヒントとして、そこから 「もっとも可能性の高い解決へのストーリー」 を導き出すことが大切だと言える。私もそのような高い次元での判断ができるようになりたいものである。

プロフィール

「CBR250Fourが高スロットル開度にて#4が失火気味。要求電圧が高くなるときに3気筒になってしまう模様。低中回転速度でth開度が低いときは失火は発生しない。原因の切り分けのため、#1と#4の点火プラグを入れ替えて様子見します。」
何シテル?   06/13 18:56
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

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