• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

調布市のKAZのブログ一覧

2006年04月12日 イイね!

[吸気系] スバル・ボクサーサウンドの開発(文献1)

[吸気系] スバル・ボクサーサウンドの開発(文献1)富士重工業(株)の水平対向エンジンについて、
「音のデザイン」 に関する文献(※)を見つけたので紹介する。
  (※) → 自動車技術 Vol.60、No.4、2006

先日、「自動車技術」 なる雑誌に目を通す機会があった。表紙には 「特集 : 音への取り組み」 とある。パラパラとページをめくってみると、「騒音を低減させた舗装(道路)の話」 や、「吸音スポンジを採用したタイヤの開発に関する話」 などが載っていた。なるほど、クルマやクルマを取り巻く環境について、「音」 をテーマにした特集号のようだ。

ふと見ると、その中に混ざって、富士重工業の 「ニュースバルボクサーサウンドの開発」 と題された文献も載っているではないか。ザッと見てみると、どうやら水平対向エンジンのサウンドデザインに関する技術発表のようだ。ページ数にして7ページ。これは読まないワケにいかない。

以下、素人の私なりに その文献の要点をピックアップ(要約)してみる。文献では、音のコンセプト造りから実際の車体設計まで、開発に関する話題が多岐に渡っているが、ここでは まず始めに [吸気系] について紹介してみる。

<スバル・ボクサーサウンドの開発(吸気系)>

◎開発目標
  前後席それぞれで音場の開発目的が異なるが、それを一つの車室内
  で実現させる。具体的には、加速情報を得ながら圧迫感の無い領域と
  して、中周波数帯域を選択。
  ・前席   運転する楽しさを享受する前席では、加速時の音質に
         着目し、クルマとの一体感創成を目指した。
  ・後席   運ばれる安心感を享受する後席では、静粛性に着目し、
         快適さの提供を目指した。

◎具体的アプローチ(NA車)
  吸気チャンバーを 「構造固有値」 と 「共鳴放射音」 のスピーカーとして利用。
  ・材質   安価なポリプロピレンをベースに、タルク材を加えた。
  ・固有値  目標を、4気筒は 300~400[Hz] を、6気筒は 400~500[Hz] に設定。
  ・結果   リブや肉厚を理想化することで目標固有値を達成。さらにチャンバの
         上面と下面で発生する固有値に 100[Hz] 程度の差を与えることで、
         加速時のリニアリティも醸成。
         (共和感・スポーティ感・クリア感・軽快感 で目標達成。)

文献を見ると、まず前席と後席で開発目標が異なる点が明言されている。確かに運転手にとっては必要な情報(エンジンサウンド)も、同乗者にとっては不要なことが多いと思う。そしてNA系では、エアクリーナーBOX (吸気チャンバー) が いわゆるスピーカー (共鳴などにより、通常は騒音を悪化させてしまう原因物) になってしまう特性を 逆手にとって利用していることが、私にとっては新しい知見に触れることができたように感じられた (→ 上の画像で、図6の部分)。

それにしても、
 ・4000[rpm] 以下では、圧力脈動による放射音を最適設計
 ・4000[rpm] 以上では、圧力脈動と共鳴放射音を最適設計
 ・400/600/800[Hz] の帯域レベル差を 10[dB] 以内に設計

など、具体的な目標数値を掲げて、それを達成するべく吸気系の材質や肉厚やリブの本数や形状などを造り込んでいるそうです。確かに目標が定まっていないと、開発も定まりませんね。私は音に関してはまるっきり素人ですが、もしもオーディオマニアなど音に精通している人や、音響設計業務に携わった経験をお持ちの方々が この文献を見たなら、なるほどと思う部分もあるのかもしれません。

いずれにしろ、音に影響を与える部品ごとに開発目標を設定し、それを最適な手法で実現させるべく開発が進められているのですね。「純正仕様」 が決まるまでは、多大な費用と工数がかかっているであろうことが伺われます。

# その割には、クルマがユーザーの手に渡ったとたん、ユーザーは
# 何の気なしに エアクリーナーを社外品に代えたり毒キノコ(通称)に
# 置換したり、あるいは ブローオフバルブを装着してわざと音を強調したり
# など、メーカーの意図とは別方向にクルマを仕立てる傾向がありますよね。
# それはそれで、そういうもの (そのクルマの運命) なのでしょうねぇ・・・。


(その2) : [排気系] に続く
Posted at 2006/04/14 19:03:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | 【スバル関係】 | クルマ

プロフィール

「CBR250Fourが高スロットル開度にて#4が失火気味。要求電圧が高くなるときに3気筒になってしまう模様。低中回転速度でth開度が低いときは失火は発生しない。原因の切り分けのため、#1と#4の点火プラグを入れ替えて様子見します。」
何シテル?   06/13 18:56
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2006/4 >>

       1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30      

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

[自作] タイヤ空洞共鳴音の低減・ハンコックV12evo2を静音タイヤにする 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/10/02 20:28:55
 
[近況報告・その1] 長女の初レガシィの巻  
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2015/11/09 22:23:24
 
「”個体差” について考える」 の巻 
カテゴリ:なぐり書き
2010/08/13 19:26:31
 

愛車一覧

スバル レヴォーグ VNHCレヴォーグ STI Sport# (スバル レヴォーグ)
・注文日: 2023年01月26日 ・納車日: 2023年07月16日 <↓以下、雪道走 ...
ホンダ CBR250 FOUR (フォア) CBR250Four SE (ホンダ CBR250 FOUR (フォア))
学生の頃に新車で購入して以来、ずっとワンオーナーで乗り続けているバイク、CBR250FG ...
スバル エクシーガ エクシーガtS (年改区分:Eタイプ) (スバル エクシーガ)
YA5A型エクシーガGT(年改区分:Aタイプのターボ車)からの乗り換えです。2012年8 ...
ホンダ モンキーR モンキーR改(2種登録) (ホンダ モンキーR)
レッドバロンで中古のモンキーRを購入後、エンジン全バラシ。 ◎武川88ccボアアッ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation