• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

調布市のKAZのブログ一覧

2006年04月14日 イイね!

[車体系] スバル・ボクサーサウンドの開発(文献3)

[車体系] スバル・ボクサーサウンドの開発(文献3)富士重工業(株)の水平対向エンジンについて、「音のデザイン」 に関する文献(※)を見つけたので紹介することにします。
  (※) → 自動車技術 Vol.60、No.4、2006

今回は、(その3) : [車体系] についてです。
 ◎(その1) : [吸気系] は → こちら
 ◎(その2) : [排気系] は → こちら

文献では、吸気系・排気系に続き、エンジンブロックでの低騒音化技術 (※) が紹介されていたが、ここでは割愛して車体での低騒音化手法について紹介します。
 (※) ; MMC鋳込みジャーナル ; アルミを溶浸させた鉄系焼結材を
      ブロックに鋳込むことによって、メインジャーナルクリアランス
      の変化を抑え、クランク系の打音を低減する手法。

ボクサーサウンドを演出するためには、それを聞かせるための 「環境つくり」 も課題として挙げられた。具体的には、ロードノイズの改善である。現行レガシィでは、フロアの振動解析を高周波領域まで精度良く行うことのできる MSE法 なる CAE解析 を取り入れたという。

◎球面化されたパネル形状をフロアに適切に配置することによって、
  パネルの面剛性を向上させた。これにより、路面から入力してくる
  振動などに対して、音になりにくい特性を与えることに成功した。
◎その結果、従来、フロアに投入していた制振材の低減できただけ
  でなく、ロードノイズの大幅な低減も実現できた。

私は文献の文章を読んだ当初、「フロアを単に球面化しただけなら、逆にスピーカー構造と化してしまうので、不利にならないのか?」 と疑問に思ったのだが、次のページ (図13) に読み進んで納得した。球面化したのはパネルのユニット単位だったのだ。つまり、適材適所的に球面構造を取り入れることによって、フロア全体として高剛性化 (固有振動数を上昇) させたのですね。

フロアの球面化によって制振材も低減できた・・・とあるので、従来のフロア構造 (多分、平板的な構造の繰り返し) を踏襲したまま制振材を追加するという手法は、もはや改善できる余地からもコストからも、選択肢になかったのかもしれないですね。BP・BL型レガシィがデビューした当初、従来型よりも拡幅したり安全装備を増したのに車体が軽量化されている・・・と各紙で紹介されたが、その背景には、このような地道な努力 (フロアの球面化) も寄与していたのだろうな。

その他、ボディ系では 「従来の制振・遮音型の防音構造」 から 「軽量な遮音・吸音型の防音構造」 へと発想を転換して取り組んだ、とある。このへんになると少々分かりにくいが、具体的な部品名で言うと、インパネやルーフなどが相当するという。

 ◎トーボード   ・・・ 表皮レス吸遮音インシュレーターの採用
 ◎吸音ルーフ  ・・・ 内装部品に防音機能を付加させた構造
 ◎吸音インパネ ・・・         同    上

文献では、「同級他車比トップレベルの軽量防音重量でありながら、高周波音を大幅に低減させることができた」 とあるので、開発当初から相反する2つの要求性能 ( 「軽量化」 と 「高周波音の低減」 ) を見定めたボディ設計・開発・評価が行われてきたのだろう。個人レベルで行うことのできる、いわゆる 「デッドニング」 についても、結局は車重が重くなってしまう方向であるから、純正状態から 「軽量化を見据えた低騒音ボディ造り」 の動きは、歓迎したいものである。

惜しむらくは、タイヤについて言及されていないことだ。通常、メーカー装着タイヤ (ラインタイヤ) は、その車種やグレードごとのキャラクターに合わせてタイヤメーカーと共同で開発・評価されるはずだ。つまり、自動車メーカーも直接タイヤの開発に関わっていると考えられるから、そこに何か新しい技術があれば、文献で紹介されていても不思議はないと思うのだ。ところが実際には文献で何も触れられていないから、タイヤのパターンノイズの抑制手法については、やはりタイヤメーカー主導で行われのだろうと想像する。

富士重工業側は (要求性能をハッキリ提示し、試作品の評価もバッチリするけれども) タイヤそのものの開発には、積極的に口出ししていなかった ( 「餅は餅屋」 で任せた) のかもしれない。まぁ、ヘタにタイヤの開発に首を突っ込んで工数を取られるよりも、自車のフロア制振構造など 「クルマ造りの本筋」 を極めていく方が、自動車メーカーとしてずっと良いのでしょうね。共同開発だとノウハウの管理にも苦慮するだろうし。

いつになるか分からないが、もしもリフトアップされている BP・BL レガシィを下から覗き見る機会があったなら、フロア周りをよく観察してみよう。もしかするとアンダーカバー類で覆われていてフロア自体が露出していないかもしれないが、チャンスがあれば、分かるところから 「技術の進歩」 に触れたり眺めたりしていこうと思う。

     +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +

・・・と思っていたら、その文献 (自動車技術 Vol.60、No.4、2006) の別のページに、「住友ゴムの 吸音スポンジタイヤ の開発」 に関する技術資料が載っていた。というワケで、次回のブログは 「低騒音タイヤ」 の紹介である。
Posted at 2006/04/17 18:48:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 【スバル関係】 | クルマ

プロフィール

「CBR250Fourが高スロットル開度にて#4が失火気味。要求電圧が高くなるときに3気筒になってしまう模様。低中回転速度でth開度が低いときは失火は発生しない。原因の切り分けのため、#1と#4の点火プラグを入れ替えて様子見します。」
何シテル?   06/13 18:56
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2006/4 >>

       1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30      

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

[自作] タイヤ空洞共鳴音の低減・ハンコックV12evo2を静音タイヤにする 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/10/02 20:28:55
 
[近況報告・その1] 長女の初レガシィの巻  
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2015/11/09 22:23:24
 
「”個体差” について考える」 の巻 
カテゴリ:なぐり書き
2010/08/13 19:26:31
 

愛車一覧

スバル レヴォーグ VNHCレヴォーグ STI Sport# (スバル レヴォーグ)
・注文日: 2023年01月26日 ・納車日: 2023年07月16日 <↓以下、雪道走 ...
ホンダ CBR250 FOUR (フォア) CBR250Four SE (ホンダ CBR250 FOUR (フォア))
学生の頃に新車で購入して以来、ずっとワンオーナーで乗り続けているバイク、CBR250FG ...
スバル エクシーガ エクシーガtS (年改区分:Eタイプ) (スバル エクシーガ)
YA5A型エクシーガGT(年改区分:Aタイプのターボ車)からの乗り換えです。2012年8 ...
ホンダ モンキーR モンキーR改(2種登録) (ホンダ モンキーR)
レッドバロンで中古のモンキーRを購入後、エンジン全バラシ。 ◎武川88ccボアアッ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation