エクシーガの駐車スペースの床面にオイル汚れあり。原因は、劣化した純正オイルフィルタのO-リングからオイルがこぼれたためと判明。
同時に、別事象であったがオイルパンにオプション装着していたワンタッチ切り替えバルブ付きドレンプラグ(ミニオイルチェンジャー)にも油滴を確認した、というところまでが、これまでのあらすじです。
<EJ20型エンジンからのオイル漏れ>
◎前編(症状の確認) は →
こちら
◎後編(究明&対処) は →
こちら
■履歴の巻
前回のブログ(後編) の文中の 「ディーラーへの連絡票(作業依頼)」 にも載せてありますが、これまでエクシーガは、距離(あるいは季節)に応じてオイル交換はしているものの、オイルフィルター自体は交換していませんでした。
理由は、これまでの個人的な経験則により、「オイルフィルタが詰まるほどの(=通路抵抗が増すほどの)コンタミが溜まることはない」、「オイル交換のたびごとにフィルタも毎回交換することは、省資源(エコ)に反する」・・・との考えによるものです。
したがって、エクシーガは今回のディーラー入庫時点で 「オイルフィルタの交換履歴はない」=「新車納車時から純正で、ラインオフ状態のまま」 となっています。
仮にユーザーがDIYでオイルフィルタを交換したならば、フィルタの締め付け不足によりオイルがにじんでしまう場合もあり得るでしょう。しかし今回はライン組み状態のままです(→ そのため、念のため保証が利くかどうかを事前打診した、という経緯にもなっています)。
事実は
・オイルフィルタは純正品でライン組み(交換履歴なし)
・オイルは状況に応じて交換(直前のオイルは5W-30)
・納車から数年間は、フィルタからのオイル漏れは無し
・この冬に入り、突然に漏れ症状が出現(点検で発見)
■推定の巻
現車確認した際、オイルフィルタ(EJ20型ターボでは、フィルタは垂直方向の上向き姿勢でエンジンに装着)の一部分にリークが発生していたのではなく、筐体全体がWET状態であったことから、O-リングの全体(=ほぼ全周)から漏れていたと考えられます。
O-リングは、装填時に微小圧縮される(つぶされる)ことでシール機能を発揮しますので、
・緩く締めると → ヘタりにくいが、圧縮力不足により初期に漏れやすい
・きつく締めると → ヘタリやすく、あとになってから劣化により漏れやすい
したがって、今回のオイル漏れのストーリーは、
「フィルタが比較的、きつく締め込まれて(装填時のO-リングの圧縮率が高くなって)おり、その分、O-リングがヘタリやすい状態であった」 → 「(高圧縮率状況下で)熱履歴の繰り返しによりゴムの劣化が促進し、硬化した」 → 「シールラインの有効面圧が低下して」 → 「油温変動、油圧印加のサイクルに追従しきれずに、ある程度の時間が経過してから漏れ出した」
と考えています。
<↓当然ながら、オイルフィルタは締め付けが弱くても強すぎてもダメ(組付時はオイルの塗布も必要)>
※ちなみに、今まで乗ってきた 「BC5A型レガシィ・セダンRSターボ(レッドマイカ)」、「BG5B型レガシィ・ワゴンGT-B(ロイヤルブルーM)」、「GDA-C型インプレッサWRX(WRブルー)」、「BP5D型レガシィ・ワゴンGT spec B(ダークグレーM)」、「YA5A型エクシーガGT(紫)」 とも、オイルフィルターの交換インターバルは2車検毎かそれ以上でしたが、すべて漏れなしでした。
今後の反省としては、
「オイルフィルター本体は何ともなくても、O-リングがヘタることがある」
と認識し、適度に交換していこうと思います。
■ワンタッチドレンプラグのオイルにじみについて
さて、ここから先は、スバル純正オプションの 「ワンタッチON-OFF切り替えバルブ付きドレンプラグ」、本名・麓技研の 「ミニオイルチェンジャー」 からのオイルにじみについて考えてみます。
<↓今回の点検のタイミングで、ボールジョイント部分からのにじみを発見したわけですが・・・>
まず、「オイルパン~ドレンプラグ」 の間からは、オイルにじみの発生はありません。この部分には、ミニチェンジャー付属のパッキンは使わずに、スバル純正のガスケット:「11126AA000」 を適用していますが問題ありません。
<↓付属のガスケットは膨潤しそうだったため、当時の判断で純正ガスケットに交換済みでOK>
次に、ミニチェンジャーの内部構造と材質について 「おさらい」 してみます。現品確認の結果から、オイルにじみは、ボールジョイント部分から発生していることでほぼ間違いないでしょう。
<↓当時のカタログより。ボールジョイントのシールは、下の右画像で 「4.Seat」 が担っている>
構成部品の各材質については、麓技研の仕様ページ で確認すると、「本体:真鍮(鍛造)」、「レバー:SUS材」、「ボール:真鍮Crめっき」、「シート:テフロン」、となっています。これは、私のモデル(旧型)も現行モデルも変わらないでしょう。
■新旧モデルの比較
今回のことがあって、久々に 麓技研のWEBサイト を訪れたのですが、ミニオイルチェンジャーは乗用車用のほか、中・大型トラック用・建設機械・発電機用など、バリエーションが大きく広がっていました。同時に、設計変更による仕様改善も何度か施されているようです。
<↓「バンジョー~ユニオン」 のごとく、装着時に首振り可能に>
<↓ON-OFFコックに、誤操作(誤作動)防止のレバークリップが付属するモデルもある>
<↓私のモデルはストレート排出型ですが、現行モデルは排出経路がL字型になっている>
ここで、私が使っているモデルと現行モデル(New SXシリーズ)とを較べてみましょう。実は、両者の間にもう一世代、(WEBサイト上では)旧型と呼ばれているOld F100シリーズが存在していますので、私のモデルは二世代分の旧型、ということになります。
<↓左端:現行モデル、中央:旧モデル、左端:私がレガシィとエクシーガで使っているモデル>
<↓私のモデル(二世代前)と旧型(Old F100シリーズ)との主な仕様差の例>
ボールジョイントのシールを担うテフロンシートを保持する 「2.Cup」 と呼ばれる部品(エンドキャップに相当)が、内六角から外六角に、それに伴って工具の係り代の確保を兼ねて圧肉化されていることが分かります。
次に、現行モデルのカット画像が載っていたため、確認します。すると、テフロンのシール部材が二重化されているような・・・?!
<↓現行モデルのカット画像(麓技研のWEBサイトより)>
テフロンシート(画像で(B)の部分)は変わらないが、(A)の部分が追加されている?? 特に記述は見られませんが、シール限界に対する耐力の向上が図られているように見えます。
■オイルにじみの推定原因
ここで再度、私のモデル(レガシィとエクシーガに適用の旧々仕様)の内部構造を見て見ます。
<↓前述の画像の再掲(左側がオイルパン側、右側がドレン側です)>
「3.ボールジョイント」 に対して、左側(オイルパン側)にも右側(ドレン側)にも 「4.テフロンシート」 が配置されていますが、このテフロンシートは 「1.Body」 の中で、外側の 「2.Cup」 から締められているだけの構造です。
つまり、「ボールとテフロンシート」 は、カップが所定の位置まで組み付けられることにより 「初期の緊迫力が与えられる」 だけであって、温度変化や経年劣化により変化するかもしれない両者(ボールとシート)のスキマに追従するだけの、新たな加圧力が与えられるわけではない。・・・と考えられます。
ここで、ボールはCrめっきこそされていますが母材は真鍮で、ボディもカップも真鍮ですから、これらの構成部品の熱膨張率は同一。したがって、温度上昇/温度下降によるクリアランスの拡大/縮小はないものとしてほぼ無視できるでしょう。
ON-OFFのコックは通常、OFFのまま(オイル交換時のみ、ONの位置に動かす)ですから、作動回数は極小のため、「摺動による摩滅」 もほぼ無いものと考えられます。・・・とすると、コックがOFFの位置のままで 「動かない」 ことによって、長期間に渡って 「(コックOFFの位置にて)テフロンシートが ボール開口部または自身の切り欠き端部で 徐々にクセ付け」 されて微小に変形してしまい、運転時の振動 も加わって ピンリーク→微小リーク→ボール部分からのにじみ に至った、と推定しています。
したがって、今後の対処療法としては、次の3案を検討します。
(1)ときどき(例:1~2ヶ月に2~3回ほどの頻度で)、オイルをドレンさせない程度に
ON-OFFのコックの位置を少し動かすことで、ボールとテフロンシートの
相対位置関係を可変させてなじませて、同じ位置でのヘタリを防止する。
(もちろん、数回摺動させたあとはコックをOFFの位置に戻す。)
(2)ワンタッチドレンプラグの 「ボディとカップ」 の間に 「合いマーク」 を入れておき、
エンジンや車体からの振動で 両者の相対位置関係にズレが生じていないか
どうかを容易に目視確認できるようにしておく(緩んでいた場合は増し締めする)。
(3)走行距離、または適度な経過日数に応じたインターバルで、
ワンタッチドレンプラグにオイルにじみが無いかどうか、目視確認する。
<↓上記の案(2)の説明図。もしも「カップ」が緩んでいたなら、テフロンシートのシールも不十分に>
いずれにしても、普段から(たとえ動かさなくても)クルマの状態を把握しておき、適度のタイミングで点検をしておけば、大事に至る前の兆候段階で異変を察知できると思います。そして仮に異変を察知できた場合であっても、常識や既成概念にとらわれないトラブルシュートを心がけたいものです。
以上、私見を含めての長文になってしまいましたが、何らかの参考になれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted at 2018/01/01 21:56:57 | |
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