これは「ネタ」かと思ったらそうじゃなかった。
放射性ヨウ素対策として安定ヨード剤を飲むことを紹介した後、「副作用があるから薦めない」と言い、次に「手作りの味噌がいい」と自分の娘の店を紹介……。
広瀬隆/広河隆一「福島原発現地報告と『原発震災』の真実」
1:44:20頃からが問題の発言とスライド。
相変わらずソースが不明な話を持ち出し、「広島の原爆の時、ある非常に優れた先生が自分のクラスで云々」と、ヨード剤よりいいと、味噌を薦めはじめる。手作り味噌がいい、酵母菌が入っているのがいい、正当な酵母菌が入ってなければいけないとかナントカというが、理由はわからないとか……。
で、スライドを見せて、
「この下はどうでもいいんですが……これ娘の店なんです」
娘の話をさんざんし、
「こんな電話番号だしちゃいけない」等々と否定することでさらに強調するとは。
広瀬隆のトンデモっぷりはこのブログでも取り上げてきたが、こんなことまでやっていたとはびっくり。
酵母菌がいいならパンでもドブロクでもOKか? エビオスでもOKか?
酵母菌といっても単細胞のカビの総称だから、どれのことやらサッパリ。
酵母菌が安定ヨウ素剤に代わってヨウ素の取り込みを抑えるのなら、日常的に食べていればヨウ素が取り込まれず甲状腺ホルモン分泌障害が起こる。日常的に味噌を取っている日本人は甲状腺ホルモン不足で代謝障害がおこるな。
追記
ビールとビール酵母については放射線防護に役立つという論文は出ている。ビールについてはそういえばこのブログでも3月に取り上げている。
放射線防護にビールが効くという論文 2011年03月24日
ビールやパンの発酵に使われている酵母が持つ抗酸化ミネラルが有効に働いているらしい。
放医研のプレスリリースは以下。
ミネラル含有熱処理酵母に放射線防護効果を確認、被ばく後投与でも。放医研・体質研究会の研究チームがマウス実験で実証 放射線被ばく障害の治療剤に展開
http://www.nirs.go.jp/news/press/2005/03_24.shtml
放医研のプレスリリースにあるように、外部からX線を当てた場合に発生する活性酸素から遺伝子を守る効果があると言うことだ。予防的に、あるいは継続的に酵母含有食品を取ることは効果を上げる可能性があるが、内部被曝を避けること、放射性ヨウ素の取り込みを避けることが第一である。
勿論、ヨウ素の取り込みを防ぐ効果はなく、安定ヨウ素剤に変わるものではない。
特定のお店の手作り味噌が効果があるわけでは勿論ない。
追記終わり
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サイエンスの素養がある人は、多くがその発言を相手にもしていない広瀬隆。
脱原発の京大原子炉研の小出氏の針小棒大で恣意的なやり方は疑問だらけだが、まだマシ。広瀬氏は問題外。
科学者の立場から脱原発を訴えた故
高木任三郎氏の様な、科学に基づき発言する方がいないとあまりにバランスが悪い。
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武田邦彦氏も、正しい部分もあるので全面否定はしないが、相変わらず科学的なフリをした「お父さん談義」を続けている。最近では「
生物多様性のウソ」と言う本を出して、よく知りもしない生物分野のことについて「想像」を飛ばしまくっている(とりあえず
amazonの書評参照)。
科学的な言葉を並べてでたらめばかりを吹聴していた苫米地英人は最悪の部類だ。あれは脳機能学者を自称しているが実態はインチキセミナーを開催する新興宗教人。
以下はデタラメばかりで恥をさらしているガジェット通信の投稿
放射線と放射性物質の概念を混同して国民の不安をメディアは煽らないで欲しい
「茨城・福島の牛乳 ほうれん草は無害だ」ヨウ素131の半減期は既に過ぎている
こんなものでも非常に多くの賛辞が寄せられていた現実。
今のような多くの人が不安を感じ頼れるものを探しているときには
「はっきりとものを言う」
「敵を設定して攻撃する」
「わかりやすい」
「陰謀論を掲げて、騙されてはいけない、本当のことを教えると主張する」
ものに支持が集まりやすい。
しかし、今進行している事態に「わかりやすい」ことなどはないだろう。
こんな時だからこそ「わかりやすい」ものほど警戒した方がいい。
以前もこの国の人々は小泉某というもののわかりやすさにのせられて、痛い目を見たばかりだ。
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トンデモ | 日記
Posted at
2011/06/25 13:51:23