中学生の頃から、新井素子さんの著作に親しんでいた。
私はNHK FMの『二人の部屋』というドラマ番組で出会ったのがきっかけだったのではないかと思う。『・・・・・絶句』『二分割幽霊奇譚』『グリーンレクイエム』を聴いて引き込まれた。
(『通りすがりのレイディ』イメージアルバム収録時のものらしい)
高校生の時にデビューした新井さんは、まだ非常に若い作家さんで、SFファンやSF作家などSF界隈の人たちからとても愛されていたようだ。私はそちらとの絡みがあまりないので状況は詳しくは知らない。
私よりやや上の年齢の世代が親しんだSF作家だと思われる。彼女は1960年生まれで、同年代のSFファンというかSFマニアというかのファンが多かったようだ。
SFファンからは『素子姫』などと呼ばれてアイドル的扱いをされていたようだが、美人とか可愛いというわけではなく、SF作家らしく個性的な方だった。とは言え、自分にとっては作家より作品なので、SFファンの扱いには違和感がある。
自分には、どちらかというと集英社コバルトシリーズでの『星へ行く船』『ブラックキャット』などの少女達に人気となった作品シリーズが書かれていたころのイメージが強い。
コバルトは少女小説レーベルで、私よりやや上から同年代あたりの当時の少女がこぞって読んでいたようだ。SF作家である彼女にとってコバルトは必ずしも望む媒体ではなかったようだが、おかげで広いファン層を獲得するきっかけとなった。
(ちなみに、少女小説を牽引したレーベルであり、今のライトノベルの先駆けともなったコバルトは紙媒体が終了し、電子版に移行したとか。ライトノベル隆盛を極める今日だが、あくまで少女小説であるために方向が違ってしまったようだ。時代の変化の中で消えてしまわぬとよいのだが)
やがて『あなたにここにいて欲しい』などのサイコホラー系の作品が多くなり、自分は非常に興味深く読んでいた。
新井素子のプロフィールや作品については、『新井素子研究会』を参照するといいだろう。
新井素子研究会
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私が彼女を知ったときはまだ大学生だったようで、自分よりは年上だが、とても若い作家というイメージが強かった。そんな彼女も今年59才。もうすぐ還暦だ。
遅筆で作品が少ない彼女だが、それでも今も作品を生み出し続けている。もっとも自分は最近の作品をあまり読んでいないのだが。
この写真は今年の新井さんだ。
ふっくらとされ、やはり相応に歳を召された。
実は今日たまたま彼女の小説の新装版を紹介するツイートを目にしたのでこのエントリーを書いてみたのだ。
ここ数年でまた彼女の姿を見る機会が増えたように思う。ブラックキャットシリーズの最終巻を、刊行から数年後に買ってみたら未だ初版という状態を見ていたので、『・・・・・絶句』『星へ行く船』の新装版が出たあたりでは売れ行きを心配したが、その後も順調に新装版が出ている。彼女のファンだった世代が組織の重要なポジションを占めるようになったり、青春を懐かしむ年代になってきたことも関係あるのだろう。
自分にとっても途中長いブランクがあるので、まさにここにあげた若いイメージからいきなり今のイメージに飛んでしまうので、かなりの驚き、感傷がある。
自分の子供時代における人格形成に影響を与えている作家でもあり、もうそんなにたったのかと、長い時間の流れを否が応でも感じずにいられない。
まだ若手のような気持ちでいた自分も、職場を変わってみればすっかりベテランとして扱われるようになっている。
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Posted at
2019/07/27 23:55:34