昨日午前中に病院へ行き、退院の手続き、在宅酸素療法のことその他の説明を受けて、家に戻ってきた。
家では在宅酸素療法のための酸素濃縮機器の使用法や外出時に使うボンベの取り扱い、外出用ボンベ補充の手続きなどの説明に業者が来て、機材を置いて帰っていった。
実家は廊下をはさんで左に父の寝室、右に居間、奥に入ってトイレや洗面所、風呂場がある。
父や母は何故か寝室や居間に機械を置きたがったが、動きの中心部分におくことが最も適切なので、事前に廊下に置くべきだと言っておいた。業者の人に状況を伝えたらやはり廊下が一番良いとのことで収まった。
父は居間と寝室に2台置けないかと言うことを言い始めたのだが、理由は、ながい酸素供給チューブを引きずってあることが嫌だから、と言うことらしい。移動するごとに付け替えたいようだ。また、10mのチューブを選んでくれたのだが、病院では3mノチューブで事足りていたので5mのチューブにできないかとも言い出す。
しかし2台は無理だし付け替えの方が手間だ。余ったチューブは巻いておくこともできるので、実際に動いてみて、1台+10mのチューブで納得したようだ。
だが、今ひとつチューブの引き回しのイメージができていないらしく、天井から吊るとか床に固定するとか色々言うのだが、固定してしまえばそこに動きを固定されてしまうのだ。このあたりは実際に使いながら慣れて、最適な方法を見つけていくしかない。
幸い、最近では2L/分の酸素供給でSpO2 94%ぐらいになる。つけないで動き回っていても支障がないことも多い。
但し、医師の処方は安静時・睡眠時2.0L/分、労作時3.0L/分。
以前にここに書いたように勝手に酸素濃度を高くすると呼吸がうまく出来なくなるので、その注意を医師や業者から受けている。
慢性的な肺のガス交換能力の低下に慣れている体はCO2濃度の上昇に反応しにくくなり、O2濃度の低下に反応して呼吸や脈拍の調整をするようになってしまう。ここで酸素濃度を上げてしまうと肺呼吸は十分できていると脳が判断して呼吸回数や心臓の拍動を下げてしまう。すると、二酸化炭素の排出が十分できなくなってしまうのだ。CO2ナルコーシスという。
父は94%でも苦しさを感じると言っているのだが、この苦しさの原因が二酸化炭素をうまく排出できていないためであるのであれば2.0L/分の酸素供給で酸素を充分に取り込めているために低酸素刺激が充分に起きていない可能性もある。
吸気中の酸素分圧を高めることで相対的に二酸化炭素分圧を低くしているので、酸素が取り込めている肺胞では二酸化炭素の排出もできているはずであるので、能力の低下で血中炭酸濃度が高めになることで体が過度に反応している可能性もある。
なお、少し動くと脈拍は容易に上がり、常に高めであるのでガス交換を行うための反応は起きている。血中炭酸濃度を調べてみないとはっきりとしたことは分からない。
医師は呼吸ができなくなることへの不安が影響していると見ているようだし、自分の父親への印象でも不安が関係しているような気がしている。
以前に書いた関連事項
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酸素療法に関するメモ 2020年12月07日
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二酸化炭素麻酔 2019年08月08日
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窒息で死ぬのは苦しそうだ 2013年02月03日
なお、睡眠時は血圧、呼吸、脈拍が低下し、覚醒直前あたりが最低になる。当然SpO2(血中酸素飽和度)も最低になる。
自分でもスマートウォッチで24時間モニターをしたことがあるが、その低下ぶりは驚くほどだ。
睡眠時は体の酸素消費が少ない状態ではあるが、COPDが進めばガス交換能力が極端に落ちてくるので酸素供給なしでは脳へのダメージの可能性も出てくる。
安静時及び睡眠時2.0L/分は多めであるらしいが、特に睡眠時の方は睡眠時SpO2低下を想定して多めの処方になっているのかもしれない。多少のことであれば酸素供給なしでも活動できているとは言え、少なくともCOPDで酸素療法の処方を受けている人が、ガス交換が低下する睡眠時に酸素供給をしないというのは考えがたい。
・酸素供給装置に関して
今回の機器はフクダ電子のものだが、これには呼吸に同調して酸素を供給する機能はない。ボンベには同調装置をつけて無駄な酸素放出を避けてボンベを長持ちさせるのだが、酸素供給装置は大気中から酸素を濃縮して供給するので、酸素は供給しっぱなしになっている。
事前想定の同調装置付きの供給装置であれば火との距離が多少近くなっても事故は起こりにくいと考えられたが、今回の装置はそうではないので火気からは充分に距離を置くかチューブを外して近付くしかない。実際の運用では「うっかり」があり得るので、火気そのものを遠ざける必要がある。
母親はとにかくあらゆるものを取りあげ制限したがる人なので、暖房がなくても寒くても我慢しろとか、夜間のトイレは尿瓶などと現実的ではないことを言い出す。そう言う極端なことばかり言うので父と口論になりやすい。
まだガスFF暖房機が設置できていないので、居間はエアコンだけでは寒い。灯油ファンヒーターは、灯油を隠して使わせまいとするのだが、それでは生活が成り立たないので灯油を入れてつけておいた。
父をおいて母と必要なものの買い出しに行くときに、母はファンヒーターを消そうとするのだが、そうすると寒くなれば父はつけてしまうだろう。その際に事故が起こる可能性が高くなる。FFファンヒーターがない状態では、灯油ファンヒーターをつけっぱなしにしておくのが次善の策だ。極端に近づきさえしなければ、ファンヒーター自体の安全装置もあるのでつけておいてもリスクが極めて高くなる訳ではない。
最善手が取れないのならリスクの低い次善の手を取るのが適切な解決手段であろう。最善手が取れないなら制限をするというのは、もっと悪い事態を生みかねない。
Posted at 2020/12/29 06:33:09 | |
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