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2005年07月03日

驚異のポートチューニング(ダイヤモンド流動研磨術)

驚異のポートチューニング(ダイヤモンド流動研磨術) エンジンの吸気ポートを 「ダイヤモンドを含む流動性
のある砥粒」 で機械研磨する技術がある、という話。

クルマやバイクのエンジンを自分で組んだことのあるプライベートチューナーなら、インテークマニホールド(吸気ポート)の内部が意外に ザラザラ していることに気がつくと思う。インマニは、一部例外もあるが(※後述)アルミ鋳物でできていることが多く、したがってポートの内壁は 鋳肌そのままの状態 であることがほとんどだ。そこでターボエンジンでもNAエンジンでも、この鋳肌のザラザラやバリなどを削り取るという研磨作業=いわゆる 「ポートチューニング(の一種)」 が盛んに行われることになる。

もちろん研磨作業だけがポートチューニングではないが、私の記憶によれば、自動車メーカーで吸気ポートに研磨加工が入った例としては、BMWの一部機種などがあったと思う。街のプライベートチューナーの場合は、電動リューターの先端に回転ブラシ(砥石)やサンドペーパーをセットして、ポートの内壁を薄くサラって(削り取って)いくことが多いだろう。しかし往々にしてリューターではその先端がポートの奥まで届かず、結局手加工でポートをシコシコ磨くことになってしまい、指紋が削れていくような苦労 を重ねることになると思う。その割には、「やっぱりもっと奥まで手が届いたらなぁ」と、もどかしい思いをすることも多いような気がする。

ところが世の中には、そんなプライベートチューナーの想像を遙かにしのぐようなポート研磨の機械が存在するのだ。毎年1回、東京ビッグサイトで開催されるイベントに 「機械要素技術展」 というのがある( サイトも公開されている )。2005年度は6月22日(水)~24日(金)の会期で開催 された、とあり、そこから 出展製品情報のページ (あいうえお順)へと読み進んでいくと、(株) エクスツルードホーンなる会社に「砥粒流動加工プロセス」なる出展があることに気がついた。

「砥粒流動加工」って何だ?・・・そこで 同社のサイト へと飛ぶと、工具の届かない箇所の バリ取りや面研磨も可能 とある。具体的には、「半固体状のメディアと呼ばれる加工具を、機械のピストン運動で加工部品に送り込み、バリ取りや金型面研磨等を行う技術(原文のまま)」と記されている。

「半固体状のメディア」って何だ?・・・さらにページを読み進んでいくと、(私には)非常に面白い解説が出てきた。何と、トコロテン のような 「流動する砥粒」 がうねうねと穴から出てきているではないか。つまり、ダイヤモンドなどの砥粒を含む「メディア」を研磨したい対象物の中で流動させることによって、その 内壁を研磨 するという技術だったのだ! → こちら(GIFアニメ)

そこで同社のパンフレットを入手してみると、エンジンの ポート研磨 に適用した例が載っていた。左上の画像の上半分は、その例である(画像の下半分は、内部で交差する異径穴のバリを取り除いた例)。「メディア」なる砥粒による研磨では、2次バリの恐れ無くバリを排出できるという。これならば、ポートの入口から出口まで均一に研磨加工=吸気ポートチューニングが可能になる。

だが素人なりにふと考えてみた。「砥粒流動」なるものがあまり一般的であるようには思えない(>失礼)理由の一つとして、専用の治具(アタッチメント)が必要になることが挙げられるのではなかろうか。また、特定のレースやモータースポーツ向けの一品対応的なエンジンでは適用可能かもしれないが、コストや生産効率(サイクルタイム)が重視される大量生産ユニットには、あまり適していないのかもしれない。

事実、身近な例として富士重工業(株)の車種を取ってみると、過去には スバル・サンバー の4気筒エンジンや レガシィ のエンジンのインマニに、樹脂インマニ が採用されたことがある。樹脂インマニは、もちろんアルミインマニに較べて大幅な 軽量化 が可能で 成型自由度 も高いのだが、樹脂であるがゆえにその ポート内壁をなめらか に仕上げることができるというメリットを持つ(これも広義のポートチューニングだ)。もちろん、たとえ樹脂化されていても、万が一の際の 衝突要件 も満たしているのだろう。

インマニが金属であるアルミから樹脂製に変わったことで驚いた人も多いと思うが、上記で紹介したように「ダイヤモンドを含む専用の砥粒流動」によるポートチューニングもあれば、樹脂化による(広義の)ポートチューンも存在することになる。アプローチやその総合的な手段達成方法は全く異なるが、より良い製品造りに向けた日本の工業技術に、素人ながら 奥の深さ を感じた次第である。世の中には、自分の知らないこと がまだまだたくさんあるが、視野を広げてそのような技術に触れていきたいと思っている。
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Posted at 2005/07/04 04:17:46

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この記事へのコメント

2005年7月4日 18:51
これはサンドブラストみたいな手法だと思ったらトコロテンです
かぁ(笑)しかし、ポート部の鏡面化って、チューニング期待度に対してどのていどの寄与率なのか・・・このところが? です
ね。バリなどは論外ですが、表面ザラザラは、空力的な効果もあ
るような気がします。鏡面だと、表面に層流層ができるんじゃな
いかなあ?ザラザラだと、層流の生成が抑制される。
もっとも日常域と、高回転での亜音速域では話は別なのかもしれ
ませんね。このへんはよくわかりませんです。
コメントへの返答
2005年7月4日 19:22
こんにちは。

私見ですが、ポート研磨の性能向上に対する寄与率は、実はあまり望めないと思っています。やらないよりはやった方が良い・・・という感じでしょうか。ただし、ポート研磨にも「最適な仕上げの程度」があるようで、たとえばシリンダ内への直接噴射(ダイレクトインジェクション)エンジン以外では、噴射燃料がポート壁面に付着(滴下)するぶんを考慮すると、あまり鏡面的な仕上げは避けた方が良いとする人も多いようです。ご指摘の層流も(定性的には)考えられるかもしれませんね・・・その値がいかほどになるかは不明ですが・・・。

個人的には、ポート研磨よりもポート形状そのものの改善(R部のストレート化、適度な絞り、バルブガイドの出っ張りの縮小化など)の方が改善効果が大きいと考えています。ポートに一定の風量を流すとき、その風量発生器の抵抗(空気抵抗)値を読むことで分かるかな?と思っています(>私見です)。
2005年7月4日 19:52
なるほど!
鋳造の頃は、このような問題があったんですね!
それなら、金型次第で滑らかに仕上げられる
樹脂インマニは納得です。

GFは成形品表面が毛羽立つんですけど、金型温度を上げたり、
一部の添加剤を混練することで表面を滑らかにできると聞いたこともあります。
複雑な形状にも対応できますから、これからは樹脂かが益々進むでしょうね!
コメントへの返答
2005年7月4日 21:31
こんにちは。
hayataさんのブログ(http://carlife.carview.co.jp/User.asp?UserDiaryID=318406)にトラックバックさせていただきました。

さて樹脂インマニの内壁面ですが、金型表面に塗る(であろうと私が想像している)離型剤によっても、表面のなめらかさは多少コントロールできるのでは?と思っています。もしも実際には離型剤が塗られない場合は、おっしゃるように添加剤や金型温度、あるいは冷却(ブロー)時間を変化させることで品質管理しているように想像しています。・・・まぁ、素人なりの考えなのですけどね。

なお一部の軽自動車など低コストが求められる機種では、樹脂でも鋳物でもない、板金製のインマニもあるようです。
2005年7月5日 16:28
訂正です(--;
「層流層」→「境界層」でした。
まったく反対の言葉でした。
コメントへの返答
2005年7月5日 21:05
了解です。
私もその文字を見て(読んで)おきながら、意味的には後者で考えていました。こちらもスミマセン。(^^;)
2005年7月6日 23:24
また、コアなものを持ってきましたね。仕事上、これにも多少縁があったりします。管内流れのレイノルズ数が高くなるに連れて境界層が薄くなっていき、表面のでこぼこの高さが、境界層の厚みより薄くなるあたりから抵抗が増え始める?のを抑制するのに使っていたような、、、、
ただ、レシプロエンジンのような非定常な流れだと、剥離の限界にも影響が確かあったはずで、やり過ぎると流れが剥離→かえって圧損が大きくなる。なんてこともあったような、、、、

コメントへの返答
2005年7月7日 5:57
コメントありがとうございます。
何事も「やり過ぎ」は逆効果ですよね。

定性的には、内壁面の性状が境界層や剥離現象などに及ぼす影響は様々に検討されているのでしょうけど、もっと視野を大きく(引いて)考えると、結局は「クルマの使い方では”非定常流”」・・・ということになってしまいますよね。

「原因~現象」までのメカニズム解明は、研究テーマとしては確かに面白いでしょうけど、さてそれが現実にはどのようなメリット(寄与率)でユーザーに還元される技術になるのか・・・と考えると、なかなか難しいですね。でもまぁ、そういったことの積み重ねが明日の技術(のネタ)になるはずですから、研究されている方々には敬意を払いたいです。

プロフィール

「[整備] #モンキーR [モンキーR改] 路上復帰への道46_排気系サビ取り状況確認(タンククリーナー浸漬1日後)の巻 https://minkara.carview.co.jp/userid/132018/car/28696/8278765/note.aspx
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調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

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