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2015年05月24日

[エクシーガtS] その4・定量比較の巻(純正改・強化ピッチングストッパーの自作)

[エクシーガtS] その4・定量比較の巻(純正改・強化ピッチングストッパーの自作) スバル車(小型系、NA&ターボとも)に標準装備されている純正のピッチングストッパーをそのまま活用する形で、DIYで強化タイプに仕様変更しました。

今回はピッチングストッパーのゴム硬度(弾性係数)について、原始的な手法ではありますが、強化前後での定量化手法(改善度合いの可視化)について紹介します。


<関連パーツレビュー>
◎スバル(純正)改 自作・強化ピッチングストッパー → こちら
<関連ブログ>
◎「その1」 → 計画立案の巻(純正改・強化ピッチングストッパーの自作)
◎「その2」 → 材料調達の巻(純正改・強化ピッチングストッパーの自作)
◎「その3」 → 作業工程の巻(純正改・強化ピッチングストッパーの自作)

(※「その3」 からの続き)

■定量化のための流用品について
DIYで純正ピッチングストッパーの強化を図ったのですが、「経験的な感覚」 ではなく なるべく 「定量的な指標」 により、クルマに復元する前にDIY施工前後での効果を単体状態で比較したい。しかし、わずか税込み108円で実現可能な強化策に対し、改善効果の比較用器具にコストは掛けられません。

そこで、極めて原始的ではありますが、家庭にあるような手持ちの素材を流用して 「DIY施工前後でのゴム硬度(弾性係数)」 を簡易比較するための手法も考えました。以下は、その流用素材です。

<↓「DIY施工前後でのピッチングストッパーのゴム硬度(弾性係数)」 を簡易比較するための流用素材>


要するに、ブッシュの 「支点~力点」 間に定荷重を付加(負荷)させたときの変位量を計る → その値が、どれだけ低減しているかを確認できれば、ゴム硬度アップ=強化の具合を定量化できる、と考えました。そのためにも、ピッチングストッパーの中央に貫通させるM8ボルトの外径(φ)相当の丸棒が必要でした。昆虫採集用の虫取り網の柄が、ちょうどそのサイズだったのでした。

<↓昆虫採集のネットの握り柄(シャフト)の外径が、ちょうどピッチングストッパー固定穴の内径に一致>
  

<↓エンドキャップを外して昆虫採集ネットのシャフトをピッチングストッパーに入れ、キャップを閉める>
  

あとはピッチングストッパー本体を、万力などで動かないように固定する土台を探せばOKです。実際には個人の自宅庭先DIYですので万力などあるハズもなく、それに代わるものを探します。

■定量化のアイディアを具現化
以下、言葉で説明するよりも、まずは順を追って画像で紹介します。そのあと、近似式などを用いてピッチングストッパーの強化率を数値する手法の解説をします。

<↓自宅の外構の柱に、ピッチングストッパーを垂直に立てた状態で、動かないように強く固定します>
  

<↓垂直に固定されたピッチングストッパーのブッシュ中央に、昆虫採集ネットのシャフトを入れる>


<↓まずは第一段階完了。この時点でも、昆虫採集ネットのシャフトの自重により若干垂れている>


<↓次に、挿入したシャフトにピッチングストッパーのブッシュ端面から距離を測って目盛りを入れる>


<↓第二段階。計量の絶対基準となるよう、別のシャフトをグラウンドと水平状態を保って固定する>


<↓これが、家庭用の素材を転用して作ったピッチングストッパー用の 「荷重~変位」 定量化器具>


■「荷重~変位」 特性の定量化
まず最初に、昆虫採集ネットのシャフトを挿入することによって、シャフトの自重がピッチングストッパーのブッシュに加わるため、シャフトそのものが水平線に対して垂れ下がります。ブッシュの位置を支点(距離L=0cm)として、L=10cm点、L=20cm点、L=30cm点でのシャフトの垂れ下がり量をそれぞれ計測しておきます。

ここからも画像のダイジェストになりますが、続けますので、ご覧下さい。

<↓上のシャフトを絶対水平基準として、各位置ごとに下方の変位計測用シャフトまでの距離を計測>
  

<(結果1).昆虫採集ネットのシャフト(竿)のみの場合の、ブッシュ変位量>
※カラー無し=DIY強化前
・L=10cm点 → 自重変位量=11mm
・L=20cm点 →    〃   =22mm
・L=30cm点 →    〃   =34mm

<↓次に重りを用意(今回は3kgのダンベルを使用)し、ヒモでシャフトに吊すことができるようにする>


<↓シャフトの定位置(L=10cm点、20cm点、30cm点)で重りを垂らし、下がったバランス位置を計測>


<↓左から順に、L=10cm点、20cm点、30cm点でのシャフト垂れ下がり量(@3kgの重り)を計測>
  

<(結果2).3kgの重りを付加した場合の、ブッシュ変位量>
※カラー無し=DIY強化前
・L=10cm点 → 重り付加後の変位量=39mm
・L=20cm点 →      〃       =90mm
・L=30cm点 →      〃       =124mm
(それぞれ3回計測した平均値)

これで、ピッチングストッパーのDIY強化前(純正ツルシの状態、リジッドカラー代わりのスペーサーを挿入する前)のゴム特性データを得ることができました。次は、いよいよ税込み108円スペーサーをピッチングストッパーのブッシュに挿入し、弾性係数の変化度合いを見定める段階に進みます。

■「強化度合い」の定量化
ピッチングストッパーにスペーサーを挿入します。ゴムブッシュに対してそこそこタイトであるため、挿入助剤を塗ってから打ち込みします(挿入助剤が無い状態で素手で入れるには、少々厳しい程度の緊度です)。

<↓4×6mm程度の楕円状の小孔(4箇所)に、φD=7.8mm のニッケルメッキスペーサーを挿入する>
  

<↓カラー打ち込み後に反対側から見た様子。ブッシュ幅は最大突起部で約36mm、スペーサーは30mm>


4つのニッケルメッキスペーサーは、ピッチングストッパーの幅に対して左右均等となるように挿入します。次に、まずは 「重りを吊り下げない」 状態で、昆虫採集ネットのシャフト(竿)の自重による水平基準線からの垂れ下がり量を計測します。

<(結果3).昆虫採集ネットのシャフト(竿)のみの場合の、ブッシュ変位量>
※カラーあり=DIY強化後
・L=10cm点 → 自重変位量=8mm
・L=20cm点 →    〃   =18mm
・L=30cm点 →    〃   =27mm

次に、DIY強化前と同様、3kgの重りを L=10cm、20cm、30cm の各定点に吊して、シャフトの水平基準線からの垂れ下がり量を計測します。カラー挿入によって強化、すなわちピッチングストッパーのゴムブッシュの弾性係数が実質的に引き上げられているならば、垂れ下がり量もそれに応じた少ない値になるはずです。

<↓おお!目に見える形で、明らかに強化後の方がシャフト変位量が少なくなっていることが分かります>


<↓左から順に、L=10cm点、20cm点、30cm点でのシャフト垂れ下がり量(@3kgの重り)を計測>
  

<(結果4).3kgの重りを付加した場合の、ブッシュ変位量>
※カラーあり=DIY強化後
・L=10cm点 → 重り付加後の変位量=28mm
・L=20cm点 →      〃       =63mm
・L=30cm点 →      〃       =95mm
(それぞれ3回計測した平均値)

これで、ピッチングストッパー強化前後でのゴムブッシュの特性変化度合いが(原始的な手法ではありますが)定量化できましたので、考察に続きます。

■「強化」 前後での定量比較
これまでの 「実験君」 で得られたデータ(上記の結果(1)~(4))から、最終的にピッチングストッパーの 「強化度合い」 について、定量化を図ってみます。

<↓まずは全体結果まとめ>


上のグラフは、横軸をブッシュ支点からの距離、縦軸を力点の変位量としてグラフ化したものです。「赤線が強化前」、「緑線が強化後」 を表し、それぞれの1次近似線の相関係数はR^2=0.987、R^2=0.995 ですから、その特性をかなり高い精度で近似できていると考えて良いでしょう(※実線が計測データ、破線が近似線です)。

ここで、それぞれの 「近似線の傾きの比」 が、「ブッシュの強化前後の変化度合い」 を表すことになりますので、以下の仮結果が得られます。

◎ピッチングストッパーの強化度合い = 3.136 ÷ 4.221 ≒ 74.3%
  すなわち、DIY強化によってブッシュ変位量はΔ25.7%の低下率


ここで 「仮結果」 と書きましたが、それには理由があります。
大局的には上記でも間違いではないと思うのですが、上記の値は、純粋に 「重りを載せたことによる変位の比」 だけではなく、「昆虫採集ネットのシャフト(竿)」 の重さまで含んだ値での比になっています。

高校の物理などでは、理想仮定・・・例えば 「支点から力点まで、テコの腕の長さは 質量が無いものと仮定 し・・・云々」 などとありますよね? 今回も、その概念を取り入れて再考察してみます。要するに、今回、純粋に 「重さ3kgを付加したときの変位量」 のみを比較すれば良いのです。

<↓ピッチングストッパー強化前(スペーサー挿入前)のブッシュの 「荷重~変位」 を抽出>


<↓ピッチングストッパーDIY強化後(スペーサー挿入後)のブッシュの 「荷重~変位」 を抽出>


以上より、最終的に得られるグラフは次の通りと考えます。
(強化前後で、それぞれ「重り3kg」だけの変位量を改めてグラフ化したものです。)

<↓(補正後)ピッチングストッパーのDIY強化前後での、ゴムブッシュの弾性特性の変化度合い>


上記の通り、補正後においても それぞれの1次近似線の相関係数はR^2=0.973、R^2=0.994 ですから、依然としてその特性はかなり高い精度での近似が保たれていると考えて良いでしょう(※実線が計測データ、破線が近似線です)。ここでも、それぞれの 「近似線の傾きの比」 が、「ブッシュの強化前後の変化度合い」 を表すことになりますので、以下の結論が得られます。

◎ピッチングストッパーの強化度合い = 2.243 ÷ 3.100 ≒ 72.4%
  すなわちDIY強化により、ブッシュ変位はΔ27.6%の低下効果がある


■結論
エクシーガに標準装備の純正ピッチングストッパーに、φ6×30mmサイズのニッケルメッキスペーサーを挿入することによって、税込み108円の出費と引き替えに約27.6%のブッシュ変位量の低減効果(ゴムブッシュの弾性率の実質的な強化)が得られると推定する。


これで終わるか・・・あるいは 「その5・最終話(番外編)」 に続けるか?
(考え中。)
 ↓
 ↓
 ↓
2015-05-27(Wed.) : 更新
最終話・備考&雑感(純正改・強化ピッチングストッパーの自作) をアップロードしました。

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この記事へのコメント

2015年5月25日 0:25
こんばんは。
どうやら効果があったようですね!
流石ですね!!

自宅前での検証お疲れ様です。

虫取り網のアミ部分に何か入れて比較するのかと早とちりしました(^^;
コメントへの返答
2015年5月25日 0:48
こんばんは。コメントありがとうございます。

いわゆる「強化パーツ」の変化を”体感する/しない”については、その人の感覚に負うところが大きいですが、今回考案した強化策は108円という安価で済む分、「感覚」になる前の「単品」での変化度合いを明確にしておきたい、と思いました。

たまたま自宅に採取ネットがあって良かったです。あぁ、結果的には網の部分に何か入れても良かったかも?最初からテコの腕の長さを3水準に振りたいと思っていたので、それは気がつきませんでした(汗)。
2015年5月25日 5:29
100イイね付けたい!w
メーカーの公称で強度3割増しとか、そういう謳い文句などは見ることはあっても一個人でこういう計算って初めて拝見しました。

これはもう恐らく、STI強化パーツとほぼ同じ効果なのではと。素晴らしい・・・。
コメントへの返答
2015年5月25日 19:02
こんばんは~。
たとえ「100円チューン(税込み108円)」であっても、適材適所なら意外にちゃんとした効果が得られそう、ということを何とか記事にできました。まぁこれが(車両のレベルで)誰にも体感できるのか?というと別問題ですが。

個人的には、作業そのものよりも、いろいろと考えながら実行できた点が(身につくので)良かったです。
2015年5月25日 23:54
怪しい伝説っぽくて良いですね。

次は加振試験からの固有振動数…
いや、測定出来る機材の想像が出来ない。(^_^;)
コメントへの返答
2015年5月26日 7:05
どーも。それは難しいですねぇ。

長さが互いに少しずつ異なる「すだれ状の細棒」を複数本、ピッチングストッパー本体から垂らし(ハープとかパイプオルガンの音叉部分のイメージ)、ハンマリングで本体を叩いたときに「どの長さのすだれ状の細棒」が共振するか・・・それが施工前後で長さの短い側(高周波数側)に移動するかどうか・・・を確かめる、って感じでしょうか。

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