長い期間、愛車・ホンダCBR250Four(MC14型、1986年式、経年34年目)のスピードメーターは不動のままでしたが、ようやく重い腰を上げてDIYメンテを行った・・・というお話の「その3」です。
◎「その1」 は →
こちら(メーターの構造把握 編)
◎「その2」 は →
こちら(ケーブル交換&細工 編)
■前回までのあらすじ
スピードメーターギヤケーブルを、(MC14型CBR250Fourと)互換性のある新品(NTB、部番:SHJ-06-165)に交換。試運転の際に、スピードメーターは一瞬だけピクリと反応を見せたあと、再び不動に転じてしまった。その後、メーター本体のケーブル差込口の経年摩耗を想定し、今度は先端を太らせる細工を加えた純正ケーブルに置換して試してみたが、やっぱり不動のまま。
・・・というのが、前回までのあらすじです。
原因を特定するため、故障箇所の切り分けをします。
まず、新品ケーブル(伝達系)を供試してダメだったことから、大まかに「スピードメーターギヤ(駆動側:出力系)か」「メーター本体(被駆動側:入力系)か」に分類します。
■前回細工の念押し確認
ケーブルを、スピードメーターギヤ側(前輪ホイール)に接続させたままメーター本体から切り離し、車体を前進させたときにケーブル自身(先端)もちゃんと回転しているか?を確認することにします。
<↓まずは先端を太らせていた純正ケーブルを、スピードメーター本体から切り離す>
<↓ホンダ純正ケーブル+先端を銀テープで覆って太らせた仕様。銀テープの脱落は無し>
もともとは「メーター差込口の経年摩耗によるケーブルの空回り」を想定してのお試し措置でしたが、巻き付けた銀テープは、剥がれたり差込口の内部で潰れてダンゴになったり・・・などの不具合も生じさせずに、ケーブルとともに無事に引き抜きできていることを念押し確認しました。
■故障箇所の切り分け
次なる措置に進みます。以下、画像をメインに説明します。
<↓ケーブルの引き回しを変えて、ケーブル先端の状態を目視確認できる位置に仮固定します>
<↓スピードメーターギヤケーブルの先端に、養生テープを巻き付けて ”旗” の代わりとします>
”旗(ハタ)” は、ケーブル先端が回転しているかどうかを一目瞭然とするための「回転判別フラッグ」です。
(※注:ギヤ比の関係で、バイクを走らせずに「手押し」するだけでも判別は可能。)
<↓アングルを変えて、ライダーの視点から ”回転判別フラッグ” を見たところ>
<↓いざ、バイクを手押しして前進させてみます。果たして ”旗” は回転するのか?>
<↓結果:スピードメーターギヤケーブルは、先端(メーター差込側)でもちゃんと回転する>
実際には私一人でバイクを押しながら、同時にデジカメで動画も撮影しています。バイクを前進させると、ケーブル先端は(ライダーから見て)時計回りに回転し、バイクを後退させると反時計回りに回転します。
このことから、結果として「(前輪の回転軸に装着されている)スピードメーターギヤは生きている」であろうことが分かりました。裏を返せば、メーター本体側に不調の主原因が潜んでいると考えられます。
■スピードメーターの取り出し
引き続き、メーターAssyを分解して「スピードメーター」のみを取り出します。すでに その1(メーターの構造把握 編) で作業経験済みですので、すぐに取り出しできました。
<↓経験済みの作業なので、車体外し込みで、おおよそ5分少々で ここまでの分解が可能(難易度:小)>
<↓あらかじめハーネスのギボシも外しておく>
※この時代のスピードメーターですので、速度警告灯用のハーネスがあります。
<↓裏側の固定ネジの取り外し>
<↓トリップメーターシャフトとメーターケースの干渉に気をつけながら、取り外します>
<↓無事にスピードメーター単体の取り外しが完了。ケース内部の照明球には、拡散シェードが内蔵>
・・・と、この瞬間に大粒の雨が降ってきました。
急いでメーターAssyを車体に取り付けします。
<↓雨に降られながら、車体へのメーターAssy装着完了。スピードメータ
レス仕様は何だか変な感じ>
■衝撃の事実
さて、雨が降ってきたので外での作業はこれまで。そろそろ日没でもあります。取り外したスピードメーターの観察をする前に、前回「ピクリ」と一瞬だけメーターが反応した際に供試していた新品ケーブル(互換品)を保管しておこう、と片付けを始めたときのこと。
信じがたい光景に出くわします。
<↓本来はVTR250用だがCBR250Fourとしても代用可能な、新品NTBケーブル>
ん? 何かが落ちてきた?
<↓「何だべな・・・?」>
もう一度、良く見てみよう。
<↓「こ、これは・・・。」>
ケーブルワイヤー、切れとるやんけ!
<↓破断部の拡大画像>
スピードメーターが一瞬だけピクリと反応したあと、不動に転じたのはケーブルの破断によるものだったのか(驚)!!
■メーターシャフトの固着
新品NTBケーブルは、新品だったのに一瞬で寿命を迎えたことになります。・・・しかしU字シャフト(前輪ギヤ)側が破断していても、スピードメーター差込側(断面形状が四角形)は治具として活用可能です。
早速、第二の人生(ケーブル生?)として役立ってもらいます。取り外し済みのスピードメーターに差し込んで、手回しでケーブルを回すことができるかどうかを確かめます。つまり、メーターが固着していないかどうかが分かります。
<↓生きている(破断していない)側のケーブルをメーターに差し込んだが、固くて手回しできない>
何度試してもケーブルは手回しできず、ケーブルをペンチの類でつまんでも回る気配すらありません。これでスピードメーター本体の回転シャフトの固着が確定です。
■メーターの清掃と給油
まずは内部の状態を観察がてら、清掃を進めます。取り急ぎ、手元にあったパーツクリーナーとCRC5-56を使います。
<↓まずは手元にあったパーツクリーナーで清掃開始します>
<↓内部の駆動ギヤ類を清掃する前に、ケーブル差込口から>
<↓改めて、そのパーツ構成を観察>
本来ならば慎重に構成パーツを分解し、部品単位で洗浄したいところなのですが、一つ問題があることが分かります。
<↓シャフトが固着しているため、分解すると回転子(B)がウォームギヤ(C)にブチ当たってしまう>
上図で、本来はケーブルホルダー&シャフトブラケット(A)を単体で取り外したい。(A)を取り外すためには、両側面のネジを緩めれば可能。ところが(A)と回転子(B)は固着により一体化しているため、(A)を手前に引いて取り外そうとすると固着により一体化している(B)まで付いてきてしまうため、(C)に干渉。そのままでは外せない・・・と考えました。
非分解で固着部分に給油してみることを検討します。
<↓水平なウォームギヤの奥にある垂直なギヤ(回転子のシャフト)に届くように給油したい>
<↓手持ちのCRC5-56では、スプレーノズル(赤色の中空の筒)が太すぎてシャフトに届きにくい>
そもそも「焼き付いて固着してしまった部位に、あとから潤滑剤を噴いても効果はあるのか?」という考えもあるかもしれません。しかも、樹脂製のスプレーノズルが太くて狙ったターゲット部位に噴射しにくい、という不利な状況も重なっています。
しかし、ここはCRC5-56の浸透力に期待して、一晩(24時間以上)放置してから固着が緩むかどうかの確認を取ることにしました。同時に、そのときのために あらかじめスピードメーター内の固定フレームと回転子との間に「合いマーク」を記しておきました。
勝負は翌日以降に持ち越しです。
<↓もしも固着が緩んだとした場合に、目視でも確認できるように「合いマーク」を付加しておく>
<この日に得られた結果>
(1)スピードメーターギヤ(前輪に装着される)は作動している。
(2)前輪に接続したケーブルは、後端のメーター側でも回転する。
(3)スピードメーター内部で回転すべきシャフトが固着していた。
(4)上記(1)~(3)により、新品NTBケーブルは過負荷で破断した。
「その4」 に続く。
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2020-04-22(Wed.) : 更新
[CBR250Four] 「スピードメーターが動かない」を解消する・その4 をアップロードしました。
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Posted at
2020/04/18 17:56:24