アルミホイールに固着したガンコなブレーキダストを、トンボ鉛筆の「MONO砂消しゴム」を使って除去する作業風景を紹介しています。
今回のブログは、その「後編(効果確認/注意事項)」です。
文末に「MONO砂消しゴム」の代用品/補完品として「ぺんてるクリックイレーザー」も追加で紹介します。
◎「前編」は こちら
→
[トンボ鉛筆MONO砂消しゴム] 前編・ホイールに固着したブレーキダスト除去
◎ご参考:パーツレビュー
→
トンボ鉛筆 MONO砂消しゴム ES-512A (アルミホイールに固着したブレーキダスト除去用)
■その1:まずはお試し(事前トライ)
「砂消しゴムでブレーキダストの除去」を発案したものの、その効果(汚れ落ち効果)や跳ね返り(ホイール塗装面へのアタック)を明確に把握していないため、まずは「お試し」をすることで活用本番に備えます。
具体的には
・水洗せずに、ダスト本体を「砂消しゴム」で直接 擦(こす)ってみる。
・その際の力加減(印加荷重)を体感する。
・ホイールの塗装面を擦ってしまった場合にどうなるか?を粗確認。
<↓今回の試行のターゲット部位。ブレーキダストが積層して固着している状態です>
<↓”あえて”ダイレクトに砂消しゴムで擦ってみる>
この時点で、いろいろな情報が得られます。
・まず、わずかな力(入力荷重)でダストが削れること。
・ごく短時間で効率よくダストを除去できそうなこと。
・削ったダスト粉は、その場に停滞すること。
ここで、ホイール側(相手部品)だけではなく、砂消しゴム側(ツール自身)の表面性状も同時に観察してみます。
<↓砂消しゴムのエッジを立てて、先端で擦った時の表面性状。ダストを取り込んでいる>
水洗せずにダイレクトにブレーキダストを擦った際には、砂消しゴム自身がダスト粉を巻き込んで(取り込んで)いることが分かります。この状態で、あえて「さらに」擦り続けていくとどうなるか?を確認します。
<↓堆積したダスト粉と同じ量だけ、今までホイールに固着していたことになるが…>
ダストが「エリア(ある程度の面積を占める)」で固着している場合には実害ないのですが、「スポット(飛び飛びに点在)」となっている場合には、「ダスト~ダスト」間のホイール表面も擦ってしまうことになります。
ここでの試行は、それを確認することが目的です。
析出したダストを吹き払い、ホイールの表面を見てみます。
<↓ダストの「島」と「島」の間は、ホイールの表面が薄茶色(ダスト)で擦れかかっている>
このことから、
・析出したダストは、連続的に除去しなければ(砂消しゴム
に取り込まれるなどして)それ自身が新たな研磨剤として
ホイールを傷つけてしまう。
・ダストを排出する方法として、吸引/エアブロー/水洗などが
考えられるが、「水研ぎ(磨ぎ)」という言葉もあるように
水洗する方法が、DIYではお手軽かつ連続運用が可能である。
何事も、いきなり本番運用するのではなく、事前の試行運用が大切ですよね。いろいろな情報が得られますし、失敗を未然に防げます。
(シーズン初めにスタッドレスタイヤを履いた際にも、広くて安全な場所でフルブレーキングを試して「どれくらい滑るか」を事前確認しておくのと同様な考え方ですね。)
■その2:水滴付加でお試し(2ndトライ)
さて、ここまでの試行で「砂消しゴムは意外に(というよりも、予想通りに)固着したブレーキダストに効く」という感触が得られました。次は実際に、それを活用する際の「跳ね返り(デメリット回避/リスクの低減)」を考慮して、「水滴を付加した条件下」での効果を確認してみます。
<↓いきなり水洗するのではなく、まずは「水滴を垂らした状態」で排出ダストの挙動を確認します>
# 何事も「ステップ(段階)を刻んで」事実確認するのが吉。
<↓軽く撫(な)でた状態。ダストは拡散する。力を込める必要はなく、このまま水洗が効果的>
だんだんコツがつかめてきましたね。
これなら失敗することも無さそうです。
■その3:本番トライ(作業の習熟狙い)
コツをつかんだから…といっても、作業者は人間。慣れたころには失敗する(関西弁で言うところの”ヘタを打つ”)こともあるかもしれません。そのへんを念頭におきながら、水洗での積層ダスト除去にトライしていきます。
# まぁトライとは書いていますが、事実上は本番作業です。
# 「過ぎたるは及ばざるが如し」の自己注意喚起として。
<↓水洗での作業を開始!>
<↓砂消しゴムで軽く擦ってみた状態>
<↓作業をしながら「どこまでがダストで、どこからがホイール表面か」を常に確認します>
<↓ホイールの塗装面を直接的にキズつけてしまうこと無く、ごく短時間でここまで進捗可能>
いやー、とっても効率良いですね!
あれほど苦労(→ 「前編」ご参照 )したガンコなブレーキダストが、ちょっとした配慮の下で いとも簡単に除去することに成功した瞬間です。
<↓ナイロンブラシでは毛先が届きにくいコーナー(隅R部)も、砂消しゴムなら”狙って”作業が可能>
<↓「とりあえずの本番トライ」でしたが、極短時間でここまでの状態に到達できました>
■その4:作業範囲の拡大
積層ダストがホイールに固着している他の部位も、同様に作業を進めます。ただし慎重に、臨機応変に進めます(∵ダストの固着状況は、部位によって異なるため)。以下はその一例です。
<↓「STI」の浮き出し文字が入っている。パープルマジック+ナイロンブラシで落ちなかった部位>
<↓砂消しゴムならば、エッジを利用して局部的(ピンポイント)なダスト除去も可能>
使用部材は砂消し「ゴム」ですので、要すればカッターナイフで先端形状を整えてから、フレキシブルに使用することも可能です。
<↓水洗しながら「擦り過ぎに注意」さえすれば、ご覧の状態までは短時間で持って行けます>
<↓ホイール全体を「引いて(ロングで)」撮影したショット>
「還元剤+ナイロンブラシ」では、足かけ3週間以上に渡って悪戦苦闘した状況が、まるで悪夢だったかのように短時間で簡単に解決できました。
(※注:決してパープルマジックが効かないと言っているワケではありませんので、その点は誤解の無きようお願いします。)
こうして「砂消しゴムを転用する」という発案が、「水洗するなどの措置/固着ダストとホイール塗装面との境界を把握/擦りすぎないように注意」さえすれば、非常に有効であることが実証できたと思っています。
<↓参考:ホイール1本分(前輪、キャリパはブレンボ)のダスト除去後の、砂消しゴムの摩耗具合>
■その5:アフターケアの素案と追加情報
ホイールに固着したブレーキダストは、上記手法により効率よく除去できることが分かりましたが、このままでは、走行を繰り返した後に「再び固着」することが予想されます。
「こまめに洗う」ことも対応策ではあるのですが、必ずしもそれが実現可能な環境か?というと、難しい面もあります。とすると、思いつくのは「ホイールコーティング」。
ホイール用のコーティング剤は市販されていますし、その作業をプロに依頼することも可能です。ただ、個人的に興味があるのは(一部の みん友 さんたちの間で流行っている)シリコン剤の塗布…です。
従来は、未塗装の樹脂パーツ(例:SUVの黒色フェンダーアーチカバーの見栄え向上)やウェザーストリップ(例:経年車のウィンドウ開閉時に擦れ音を防止)に適用されていたものですが、近年は「洗車後のツヤ出し」用途で使う人々が増えているようです。
<↓近年は「洗車後のつや出し」用途で使う人々が増加しているようです>
「シリコンを塗布すると、かえってホコリ(ホイールの場合はブレーキダスト)が表面に吸着されないか?」「いやいや、結局その後に洗い流すのだから、簡単に流れ落ちるようになれば問題ないのでは?」…など、いろいろな考え方がありそうです。
疑問があれば「実際に試してみる」ことが、一番説得力があって納得できます。私自身は信越シリコン(KF-96-50CS)を入手した段階で、まだ実際には試していないのですが、まずはSDS(安全データシート)を精読してから、しかるべき時期を見計らって試してみたいと思っています。
次に、トンボ鉛筆の「MONO砂消しゴム(品番:ES-512A)」に代わる、あるいは併用できる転用ツールとしての文房具を追加紹介します。
<↓ぺんてる(株)のクリックイレーザーシリーズ。かなり以前から市場にリリースされている>
クリックイレーザーは、金属製のスリーブ(筐体)に柱状に成形された消しゴムが内蔵された製品で、シャープペンシルやカッターナイフのごとく、使う分量だけ先端から突出させて使う消しゴムです。
(筐体には「HYPERASER」の印字あり。HYPER(超越)とERASER(消しゴム)の合成語か?)
<↓クリックイレーザーシリーズには、通常用途のほかに油性ボールペン用のラインナップもある>
このクリックイレーザーの良いところは、金属スリーブに入っているため、薄型(細径)であるにも関わらずホールド時に剛性感が保てるところです。先端が細くなると倒れやすくなるのですが、そういった心配はありません。狙ったターゲットを踏み外すこともないでしょう。価格は標準仕様で税込み770円(補充用の替えゴムは同165円)です。
これは例え話になりますが、プロのデントリペア業者は様々なツールを持っていますが、DIYの場合も ある程度はツール…この場合は「MONO砂消しゴム」と「クリックイレーザー」の両方を備えておいても良いかもしれません(対象とするホイールの形状は、ユーザーによってディッシュタイプだったりスポークタイプだったり、深リムだったり様々ですよね)。
# どちらも本来は事務用品であり、
# 自動車向けメンテツールではないのですが、
# そこは
「転用アイディア」の醍醐味ということで。
以上、前編と今回の後編の2編に渡り「当方が実際に試したこと」、「それを実行に移すに当たって検討したこと」、「実行中に注意すべきこと」、「その後のケアについての素案」、そして「代替/または併用可能な転用ツール」を紹介させていただきました。
このブログをご覧になっていらっしゃる方々も、(上記を参考にすることはあっても縛られないように)自己工夫しながらDIYを楽しんでいただけたら…と思います。
長文でしたがご覧いただき、ありがとうございました。
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Posted at
2020/10/17 12:56:10