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調布市のKAZのブログ一覧

2006年04月20日 イイね!

[スローガン] スズキ(株)編

[スローガン] スズキ(株)編自動車メーカーが現場で掲げる [スローガン] の話・その2。
  ◎(その1)は こちら → トヨタ自動車(株)編

トヨタのコストダウン手法は、一時期 「乾いた雑巾(ぞうきん)を絞る」 とまで形容されるほど徹底したものであった。ところが 「製品を安く作り上げる」 という点では、そのトヨタも舌を巻くメーカーがある。スズキ(株)だ。

軽自動車は1台あたりの収益率が低く、いわゆる高級車のラインナップが多いトヨタと較べると、「薄利多売」 的な戦略を余儀なくされる傾向がある。

ところがスズキでは、社長自らが各生産工場の現場を訪れて 「ムダ」 を指摘する社風に代表されるように、経営のトップから一般の社員まで徹底したコスト意識を持っており、軽自動車メインのラインナップであっても会社としての収益は高いという。そんなスズキのスローガンは、次のようなものであった。

    <スズキのスローガンの一例>
    (1).小さく Smaller
    (2).少なく Fewer
    (3).軽く  Lighter
    (4).短く  Shorter
    (5).美しく Neater

    <スズキのスローガンの別例>
    真剣だと 知恵が出る
    中途半端だと 愚痴(ぐち)が出る
    いいかげんだと 言い訳ばかり

・・・う~ん。いかにもスズキ(株)らしい標語というか、スローガンだと思います。前半の例では、文章ではなくあえて単語で示している点で、スローガンそのものにもムダが感じられません。前日のブログで紹介した トヨタ自動車(株)のスローガン が経営的・マネージメント的な意味合いを多分に含んでいたのに対し、このスズキのスローガンは 「ものづくり」 の原点というか目標というか、技術者的な視点から述べられているように感じます。

個人的には、単なる 「小少軽短」 に留(とど)まらず、最後に 「美しく Neater」 というスローガンが加わっている点が すばらしいと思います。ここで言う 「美しく」 の意味は、これまた私見ですが、単に見かけのデザインやスタイルのことを言っているのではなく、「機能美に裏打ちされた資質を備えているか」 ということも意味しているように思います。そう、こうしたトータルでの 「美しさ」 がなければ、決してお客様はその製品に満足することはないでしょう。

後半のスローガン (真剣だと~ばかり) については、確かにその通りですよねぇ。これはラインでの生産業務だけでなく、学生や社会人など、ごく普通の人にも当てはまるような気がします。例えば、日々の業務での勤務態度 や 勉強への取り組み姿勢 などに関してです。あるいは逆に、もしもユーザーが愚痴をこぼしてばかりのクルマがあったなら、そのクルマは中途半端に作られたクルマ・・・ということになるのかもしれません。良い知恵やアイディアを具現化したクルマがあったなら、そのクルマは真剣に造り込まれたクルマなのかもしれません。

     +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +

以上、トヨタ、スズキと、2社連続で現場のスローガンを紹介してきました。それぞれに特徴が良く出ていたと思います。自動車業界を取り巻く環境の変化は年々激しくなっていますので、現在では、両社とも時代の変化に合わせて新たなスローガンが追加されているかもしれません。「人の振りみて・・・」 ではありませんが、こうしたスローガンから学べるものは学び取っておきたいと思っています。
2006年04月19日 イイね!

[スローガン] トヨタ自動車(株)編

[スローガン] トヨタ自動車(株)編自動車メーカーが現場で掲げる [スローガン] の話。

前日までのブログでは、自動車メーカーの [社歌] について、作詞者名・作曲者名が判明したものに限って紹介した。
 ◎社歌(その1)は こちら → 富士重工業(株)編
 ◎社歌(その2)は こちら → マツダ(株)編
 ◎社歌(その3)は こちら → 日産自動車(株)編

今回紹介するのは、自動車メーカーが生産現場で飽くなき 「カイゼン(改善)」 のために掲げているスローガンについてである。2006年4月18日付け 日経産業新聞の記事によると、トヨタ生産方式 (カンバン方式やカイゼン活動など) が世界的に広がった理由は、「そこで使われる言葉に高い普遍性がある」 からだという。以下、同記事から一部抜粋・要約のうえ、私なりの解釈も加えながら紹介してみます。

    <トヨタのスローガンの一例>
    (1).「なぜ」 を 5回繰り返せ
    (2).後工程はお客様
    (3).離れ小島をつくるな
    (4).「探す・選ぶ」 は仕事ではない
    (5).白紙でものを見て考える
    (6).仕事を頼むなら忙しい人

(1).「なぜ」 を 5回繰り返せ
もともとは、生産工場内で発生したトラブルの原因を突き止めるための標語だったが、単に現場(工場)だけでなく、オフィスにおいてもその考え方が応用できるという。例えば、「○○ができない」 とき、通常は 「なぜできないのか」 を考える。できない原因が 「△△だから」 となったとき、そこで追求を終わらせずに、今度は 「なぜ△△なのか?」 について考える。△△の原因が××だと分かったら、次に××を引き起こしている原因についてさらに考える。・・・このように、ある事態に対し、その成功を阻害している原因を追求する場合、最低 5回程度まで深く掘り下げて考えて、見かけではない真の原因をとらえよ、とするスローガンのようだ。

(2).後工程はお客様
これについては、技術系の会社に勤めているならば、誰でも一度くらいは耳にしたことがあるかもしれない。要するに、自分の仕事をするとき、その成果を回す次工程の人の身になってアウトプットを出そう、ということだ。設計部門ならば、次の実験部門の人がやりやすいような部品の設計をする。実験部門ならば、次の耐久性確認部門の人が確認しやすい実験結果を報告する。耐久性確認部門ならば、次の量産化部門の人が量産に移行させやすいような評価結果を残す。量産化部門の人ならば、その製品を購入するお客様のことを十分考慮して量産する。

つまり、自分より後工程はすべて 「お客様」 だという意識を持って仕事をせよ、という意味になる。これは技術系に限らず、事務系の場合であっても同様だ。例えば、「期限までに結果を出さないと、次の部署の人が困る」 ことになってしまうのは同様だからだ。市場の末端ユーザーだけが 「お客様」 ではない、ということになる。

(3).離れ小島をつくるな
会社では、様々な能力を持つ人が集まって仕事をしている。各人の知恵や経験を持ち寄って、全体の業務効率を上げていこう、という意味。毎日会社でパソコンにへばりついているだけでは、自分自身が 「離れ小島」 と化してしまいかねない。

(4).「探す・選ぶ」 は仕事ではない
整理整頓ができていないようでは、仕事の効率が下がってしまうということ。机の上に積み上げられた書類の中から資料を探している時間は、仕事をしている時間ではない。工具箱の中から必要とする工具をすぐに取り出せず、室内を探し回るようでは、工場のラインは成り立たない。価値を生み出さない 「探す・選ぶ」 の時間は、トヨタでは仕事と呼ばない そうだ。

(5).白紙でものを見て考える
従来のやり方にとらわれず、変化を恐れず先入観無しで物事を観察・考察していけば、良い結果も生まれてくるということ。

(6).仕事を頼むなら忙しい人
一見、矛盾しているように思えるが、忙しい人ほど仕事の 優先順位が明確 で時間の使い方がうまいものだ。そうでないと、単に 「段取りが悪くて忙しいふりをしている」 だけの人になりかねない。

     +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +

いかがでしたでしょうか。
言われてみれば、至極当然のことばかりかもしれません。もちろん、個々の会社やそこで働く各人の事情によっては、そのままでは当てはまりにくいスローガンもあるかもしれません。ただ、こうしたスローガンを通して 「カイゼン」 を積み重ねて言った結果が、今日のトヨタの成功を支えてきたのだと言えることでしょう。私自身も決して偉そうなことは言えないのですが、まずは自分にできそうな小さな第一歩から始めるのが良いかと思います。以上、ご参考まで。

次回のブログは、(その2) スズキ(株)のスローガン について紹介する予定です。
2006年04月18日 イイね!

[社歌] 日産自動車(株)編

[社歌] 日産自動車(株)編自動車メーカーの [社歌] の話(その3)。
今回は日産自動車(株)の社歌を紹介します。
 ◎(その1)は こちら → 富士重工業(株)編
 ◎(その2)は こちら → マツダ(株)編

前日のブログでは、富士重工業(株)の社歌とマツダ(株)の社歌について、意外な共通点があることを紹介しました。では次に、日産自動車の社歌を見ていきましょう。

もともと日産自動車には、戦前(!)に制定された古い社歌があったそうですが、今回紹介するのはその改訂版、つまりニューバージョンです。・・・と言っても、1953年に改められたものですから、すでに半世紀以上が経過しています。

  --- 日産自動車(株)社歌 ---
作詞:大木惇夫氏、作曲:飯田信夫氏

  朝雲しろき 不二を見て
  つどえるわれらに 望みあり,
  技術の粹の 寄るところ
  汗と油の 勤労を
  惜しみなくささげつくさん,
  人の世の幸いのため。
  ああ,日産のこの誇り
  国産の王者 日産。

当時の時代背景としては、労使の対立が激しかったようで、「従業員が会社に対して信頼できるような社歌」 「勤労に喜びを感じられるような社歌」 を目指して制定されたそうです。ただし、その歌詞は当初、社内公募により 77編の応募が寄せられたものの、適作が無かったためボツ に。そこで選者で詩人でもあった大木氏に改めて作詞を依頼し直し、現在の社歌ができあがった。・・・という経緯があるそうです。

それにしても、せっかく社内公募したのに、いきなり適作無しと判断されてしまったとは・・・_| ̄|○ ガックリ。
出だしから予想外の つまずきに見舞われてしまったのですねぇ。社歌も難産だったのですね。
(# これこれ、そこの人、「まるでその後の日産の業績が予見されるかのようだ」 などと言うでない。)

以下はまったくの私見。

ともあれ、何とか無事に社歌が制定されたワケですが、歌詞を見ると 「こだわり」 とともに、やはり 「時代の流れ」 というものを感じてしまいます。

まず 「こだわり」 の部分としては、「,」 や 「。」、つまり句読点が設けられている点です。芸能人の名前に例えると、まるで 「モーニング娘。」 の 「。」 にも通じるものがあるのかもしれません。(>ホンマか?) (その1)で紹介した 富士重工業(株)の社歌 や、(その2)で紹介した マツダ(株)の社歌 には句読点はまったく無かったですから、日産自動車の社歌の場合、唄うときにも 意気を”ため”たり 語気を強めたりなど、作曲者の意図に合わせた唱法が必要とされているのかもしれません。(>ホントか?)

次に 「時代の流れ」 を感じてしまう部分としては、技術の”粹” (=粋) という古い漢字が使われていることもありますが、やはり何といっても 「汗と油の 勤労を」 と 「国産の王者」 に集約されるかと思います。額に汗して勤労するスタイルは もちろん現代人にもありますが、油にまみれる労働環境は、(特種な条件を除けば) 現在ではあまりないと考えられます。当時の工作機器は自動化が進んでいなかったために出てきた表現なのでしょうか。

「”国産”の王者」 については、まさにその時代の目標を総括しているように思えます。政府の施策の元、輸入車をお手本に漸次部品の国産化を進めてきたであろう苦労が忍ばれます。国内では (今では消えてしまった) 中小自動車メーカーも乱立していたのでしょう。模倣に留(とど)まらないオリジナルの技術で日本一を目指す。かつての日産のキャッチコピー:「技術の日産」 の源流と言えるかもしれません。いや、きっとそうに違いない。
(# これこれ、そこの人、「トヨタに負けているうちは、国産の王者じゃないだろ」 などとツッコむでない。)

     +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +  +

以上、富士重工業(株)・マツダ(株)・日産自動車(株)と、3社に渡って社歌を紹介してきましたが、一見すると同じように見えながらも実はかなり異なっていて、それぞれに社風が反映されているかのように感じられます。社会人皆さん・・・皆さんの会社にも、社歌はありますでしょうか?もしもあったなら、一度じっくり歌詞を眺めると、社風が見えてくるかもしれません。

さて次回以降のブログは [社歌] から離れ、各社の生産現場での [スローガン] について触れてみます。
(その1) [スローガン] トヨタ自動車(株)編 を予定しています。
2006年04月17日 イイね!

[社歌] マツダ(株)編

[社歌] マツダ(株)編自動車メーカーの [社歌] の話(その2)。
今回はマツダ(株)の社歌を紹介します。
 ◎(その1)は こちら → 富士重工業(株)編

前日のブログで紹介した富士重工業(株)の社歌では、作曲者が 團伊玖磨 氏であること、そしてまた、ネットで氏の情報を検索すると、その筋ではかなり有名な作曲者であるらしいことをお知らせしました。

今回紹介するマツダ(株)の社歌ですが、実は何と作曲者は同じ 團伊玖磨 氏によるものでした。つまり、富士重工業(株) の社歌と マツダ(株) の社歌は、同じ人が作曲を手がけていた のです。両社は自動車業界にあっては互いにライバル関係にありますが、こと社歌に限っては、兄弟曲のような関係となっていると言っても良いかもしれません。ちょっとした驚きです。

  --- マツダ(株)社歌 ---
作詞:吉山幸夫氏、作曲:團伊玖磨氏

  若き力を 一つにあつめ
  きらめく瞳 マツダの瞳
  明日をみつめ 創意に燃えて
  咲かせよう 咲かせよう
  世界に香る 花の数数
  マツダ マツダ 永遠に栄よ われらのマツダ

この社歌は、マツダ(旧東洋工業)・・・が 1984年5月に社名変更するにあたり、全社的に歌詞を募集して決まったものだそうです。応募総数 79点の中から、新生マツダ(当時)のイメージにふさわしい、明るく若々しい歌詞(上記)が最終的に選ばれたそうです。

以下はまったくの私見。

語数 「7・7調」 の2回リピート がベースになっているようで、確かに分かりやすく明るい感じがします(曲調は不明ですけれども)。富士重工業の社歌もマツダの社歌も、ともに 「わかい/若き」 「世界」 「われらの」 といった言葉が並んでおり、未来に向かって羽ばたく感じを表現しようとすると、やはり同じような表現になってくるのでしょうか。それにしても、「瞳」 という言葉が出てくるのは少々意外でした (>ラブソングで多用される言葉ですね)。

東洋工業(株)(当時)は 1981年に輸出累計が 500万台を突破、翌1982年から販売チャンネル(オートラマ)を追加。マツダ(株)に社名変更した翌年には乗用車累計生産 1000万台を達成し、その翌年 1986年にはフェスティバを発売していますから、社歌が制定された当時は、(対米輸出規制もありましたが)順調に業績を拡大していったのでしょう。

そうした意味からは、社歌の通り、マツダはマツダという花を世界に香らせていったと言えそうです (その後にピンチが何度も訪れていますが、そのたびごとに業績を復活させています)。果たしてこの社歌は、現在でも入社式などで歌われているのでしょうか。一度聞いてみたい気もします。

さて・・・皆さんは、この社歌から何か感じ取れるものがありましたでしょうか?

次回の (社歌・その3) は、日産自動車(株) を予定しています。
2006年04月15日 イイね!

[吸音スポンジ] 低騒音タイヤの開発(住友ゴム文献)

[吸音スポンジ] 低騒音タイヤの開発(住友ゴム文献)タイヤの低騒音化技術に関する話。

前日までのブログでは、スバル・レガシィを例とした 「ボクサーサウンドの開発」 に関する文献を紹介した。今回のブログでは、住友ゴムの低騒音タイヤ (特に吸音スポンジ) に関する文献を紹介する。
 ※文献 ; 自動車技術 Vol.60、No.4、2006
 ※参考 ; スバル・ボクサーサウンドの開発
        ◎(その1) : [吸気系] は → こちら
        ◎(その2) : [排気系] は → こちら
        ◎(その3) : [車体系] は → こちら

前日のブログ (その3) の文末で、タイヤの低騒音化技術について言及されていないなぁ~と思っていたら、スバル純正タイヤではないが、同じ文献の別ページに 住友ゴムの 「吸音スポンジタイヤ の開発」 に関する技術資料が載っていた。ということで、これも読まないワケにはいかない。以下、同文献からの一部抜粋と要約である。

■タイヤノイズの伝わり方って?
路面からの入力 → タイヤの振動 → サスペンションを伝わる → 車体パネル →車内騒音

■タイヤのノイズの種類って?
(1) 「ゴー」 という低周波音 (100~200[Hz]) ・・・ タイヤの周方向の一次共振
(2) 空洞共鳴音 (250[Hz] 付近)        ・・・ タイヤ内部に空洞があるため
(3) 「ガー」 という中周波音 (250~315[Hz]) ・・・ タイヤ断面方向の二次共振

■ノイズ低減手法って?
(1) 「ゴー」 という低周波音(100~200[Hz])
  → タイヤのケースやビードを柔らかい構造にする。タイヤの周方向の一次共振を下げ、
    車体感度の高い領域での共振を避ける (要するにタイヤの縦方向の剛性を下げる)。

(2) 空洞共鳴音 (250[Hz] 付近)
  → 空洞共鳴音とは、タイヤ内部に空洞があるために発生する、タイヤ内部の空気の共鳴
    トレッドのゴムを柔らかくしたり、ゴムの厚みを厚くしたりして、路面からの入力を低減する。
    デメリットとしては、操縦安定性への影響が挙げられる。
  → そこで吸音スポンジの登場(後述)。

(3) 「ガー」 という中周波音 (250~315[Hz])
  → トレッド部分の剛性を上げることにより、車体感度の高い領域での共振を避ける。
    (タイヤ断面方向の二次共振周波数を上げて、車体の共振域からズラす。)

どうやら車体側には、タイヤノイズ (路面からの入力) に対して感度が高くなる領域 (100~200[Hz]、250~315[Hz]) があり、その共振領域と重ならないようにタイヤの剛性をコントロールする設計手法を採っているようだ。ただし、剛性を下げたり上げたりすると、それはすなわち車両の操縦安定性の変化に直結する。つまり、ゴムの材料や構造だけでは課題が多い (あるいは相反する性能が多い) と言えそうだ。

そこで住友ゴムが、上記(2)の課題を解決するために採った手法の一つが 「吸音スポンジ」 だそうだ。タイヤ(ゴム)の材料・構造によらない空洞共鳴音の低減技術で、これはすなわち操縦安定性を犠牲にしない、という開発方向を意図したものと言える。

■吸音スポンジって?
・タイヤのトレッド内側、内周に一周して貼り付けられている。
・タイヤ内部の空気の振動は、このスポンジにより吸収されるので、
 空洞共鳴音を低減させることができる。
・実車によるテスト結果は、図4の通り。空洞共鳴音のピークが消えている。

いや~、それにしても、タイヤ内部の空洞共鳴音が 意外なほどノイズとして現れているんですねぇ。クルマが高速走行した場合、タイヤには周方向に微少なスタンディングウェーブ現象が発生しているであろうことは認識していたが、内部に密閉されている空気自体が共振して、共鳴音を発生させている・・・という現象については、私はあまり深く認識していなかったです。

確かに空気の共振を抑えようとすると、タイヤの剛性をうんと高くしなければならないだろうけど、タイヤの剛性には手を付けられないとすれば、「タイヤの内部において、空気の動きそのものを打ち消してやる」 とする手法には、新規性があると感じる。どんな材質のどんな多孔質のスポンジが使われているのか、残念ながら書かれていなかったが、多分、適当な空孔を有し、非常に軽くて熱に強いスポンジが使われているのだろうな。

文献の図3を見ると、誇張のためなのか、あるいは本当にこれくらいの断面積を占めるほど大きくスポンジが張られているのか不明ではある。私見だが、そのうちいずれ、タイヤの性格に応じて この吸音スポンジが 2列の 並列構造で並べられたり、あるいは 断面高さの高いスポンジと低いスポンジの複数が組み合わされて張られたり するなど、その配置方法についてまだまだ検討できる余地(発展性)があるのでは?と感じる。

あるいは、スポンジの壁面(両サイド)のみを強化しておけば、たとえ空気圧が抜けてタイヤがぺちゃんこになったときでも、その強化されたスポンジの両サイドが内側からタイヤのトレッド面を支えるような、「簡易的ランフラットタイヤ」 に発展させることもできるかもしれない。吸音スポンジの、第二世代・第三世代の登場に期待したい。

このように、一つの技術からいろいろと自分なりのアイディアをふくらませ、発展させてみるのも面白い(素人考えだけれども)。・・・いやぁ、タイヤの開発って、まだまだ奥が深いんですね。

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「@調布市のKAZ 原因は、アップロード時の容量過多だったようです。画像と文章を4~5回に分けて、順次追記する形でアップしたら、うまくいきました。それにしても、画像も大した容量はないのですけどねぇ…。」
何シテル?   11/06 01:50
調布市のKAZ [読み:ちょうふし_の_かず] と申します。 スバル・レヴォーグ(VNHC型)、スバル・エクシーガ(YA5E型)、ホンダ・CBR250Four...

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