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2005年08月30日 イイね!

逆転判決>CPCペイントシーラント「5年間新車の輝き」

逆転判決>CPCペイントシーラント「5年間新車の輝き」いわゆる「コーティング裁判」の話。

自動車用ワックスの製造販売メーカーとして知られるウィルソン(株)が、CPCペイントシーラントで知られる中央自動車工業(株)を「虚偽な表示」として訴えたのは、記憶に新しいところ。つまり「5年間新車の輝き」などとする宣伝文句は虚偽広告に相当し、不正競争防止法に違反するとして「(1)表示の禁止」・「(2)ワックス売上げ減少分の損害賠償(1億1000万円)」・・・をウィルソン(株)側が求めていたのが2002年7月。そしてその1審判決が下されたのが、昨年2004年9月のことだ。

訴えから判決まで2年以上を要しているが、この手の裁判としては早い方かもしれない(内容から即時性が求められる裁判なので)。まずは1審での判決結果をサッとおさらいすると、
   ◎「5年間新車の輝き」などとする宣伝文句は「品質・内容誤認のおそれのある表示」
   ◎中央自動車工業(株)は賠償金1000万円を支払え
   ◎中央自動車工業(株)は該当広告を差し止めろ
というものであった。

この時点ではウィルソン(株)側の主張の一部が認められたものであったが、何と 双方が 判決を不服として控訴していた。訴えられていた中央自動車工業(株)だけでなく、訴えたウィルソン(株)側 判決内容に不満があるとして控訴していたというから、素人の私としては「一体何がどこまで認められたら満足するんだ?」との念を払拭できないでいた。

いや、もっと疑問だったのは、それまでは「ペイントシーラント、マンセー(※)♪」とばかりに もてはやしていた一般ユーザーが、その1審判決結果を知るや否や、手のひらを返したように「ペイントシーラント、ちょっと待て!」といって施工を中止したり、にわかに批判的な態度を取っていたりすることだった。物事を判断する際、新たに入手した情報を加味することは当然のことであるが、「それ以前/それ以後」の態度を180°急変させるとは、(私には)報道に踊らされて滑稽な姿に見えてしまったのだ。
   (※)もともとは「万歳」、ここでは「最高!」といった用例。

それはさておき、控訴後の判決が降りたのがつい先日、2005年8月10日のことだ。知財高裁はこの日、逆転判決とも取れる内容を言い渡した。以下はその要約である。
   ◎5年後に90%以上の光沢を維持しているデータがあること、
     「新車の輝き」の持続は主観で幅があることなどから、
     「5年間新車の輝き」などとする宣伝文句は「虚偽表示とは言えない」
   ◎中央自動車工業(株)に1000万円の損害賠償を命じた一審判決を取り消す
   ◎中央自動車工業(株)に広告差し止めを命じた一審判決を取り消す

この判決については各メディアで報道されており、たとえば知財情報局に次のようなものがある → こちら
これだけでは詳しい判決内容が分からないので探してみたところ、「知的財産権 判決速報」 なるサイトをすぐに発見できた。このサイトでは、主文はもちろん、判決に至る検討内容についても克明に記録されている。個人的には、「5年後に90%以上の光沢を維持しているデータ」とはどんなものか?に興味があった。何しろ、1審判決を覆すほどの客観的なデータであるハズだからだ。こちら → H17. 8.10 知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争 民事訴訟事件

この控訴判決についてはブログ読者の方々それぞれに目を通していただくとして、実は私のBGレガシィでも、CPCペイントシーラントを施工している。今年で初年度登録から丸9年が経過したが、実際のユーザーである私から見ると、確かに経過年数の割には、現在でもボディの艶(つや)は確保されていると思う。が、とても「5年間新車の輝き」が持続したとは思えないのが正直なところだ。しかるに、裁判所(今回は知財高裁)は中央自動車工業(株)側が提示したデータが有効であると判断している。この差は一体何なのだろう?

これは単なる私見であるが、上記サイト(知的財産権 判決速報) 内に出てくる 「ASTM-G53試験(紫外線蛍光ランプ法)」 というのが曲者ではないか?この 「ASTM-G53試験(紫外線蛍光ランプ法)」 は、試料を相対比較するための試験法としては基準が明確で、判断方法も確立されたものなのだろう。が、実際の市場データと相関があってそれを明確に反映しているかどうかは不明なのではないだろうか。

私に言わせれば、「試験法や評価基準は明確だが、実際の市場と相関が取れていない評価試験法」 はいくらでもある のだ。これはあくまで私の想像であるが、紫外線蛍光ランプ法 も、そういった類のものではないだろうか。だからこそ、控訴判決文で 「新車の輝きが持続しているかどうかということ自体が、多分に見る者の 主観によるところが大きく、ある程度の幅を持つ ものである」 と補足しているのだと私には思える。さらに付け加えるなら、中央自動車工業(株)側の主張:「クレーム率が低いので、ほぼ100%のユーザーが被告商品の光沢維持効果に満足している」 にもツッコミどころがある。「クレーム率が低い=ほぼ100%のユーザーが満足」 では 決してない。「不満足だがクレームを付けないユーザー」 もゴマンといるハズだからだ。その点では、むしろウィルソン(株)側の主張:「ユーザーのクレームが少ないことは、被告商品の効能・効果を証明することにはならない」 の方が、ずっと納得できる。

この対立図式は、「メーカー側の立場からの見解(中央自動車工業(株)) vs ユーザー側の立場からの見解(ウィルソン(株))」 のように見える。製品の評価方法はどうあれ、その製品が市場に出た際には、単に表に出てくる(アクティブな)クレームだけに惑わされず、むしろ表に出てこない(潜在的な)クレームにも細心の注意を払うべきだ。その姿勢が無い限り、より市場にマッチした評価方法の改正や、より高次元の製品開発は望めないと思う。

さて、1審判決で「マンセー」から「ダセェー」に180°態度を急変させた(報道に踊らされた)一般ユーザーがいたことは、冒頭付近で述べた。そのユーザーは、果たして今回の逆転控訴判決を知って、また「マンセー」に戻るのか。個人的には、その動向にも興味を持っている。
Posted at 2005/09/01 06:38:48 | コメント(1) | トラックバック(0) | └ クルマ関係(法律) | クルマ

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