DIYプライベーターによるホンダCBR250Four(MC14型、昭和61年式、ワンオーナー、経年32年の現役バイク)のクーラント漏れ修理の備忘録・その7 です。
◎「その1」 は →
緊急点検の巻
◎「その2」 は →
漏れ起点の再確認の巻
◎「その3」 は →
部品取り用エンジンで確認の巻
◎「その4」 は →
原因究明の巻
◎「その5」 は →
シールテープで暫定処置の巻
◎「その6」 は →
純正O-リング入荷&マフラー防錆準備の巻
■暫定処置を恒久対策に
朽ち果てたオリジナルのO-リングの代わりに、部品取りエンジンから剥ぎ取ったO-リング(中古で硬化気味)にシールテープを巻くことで、暫定のクーラント漏れ処置としたこと。そしてその措置によって大きな改善効果が得られたものの、未だに微少なにじみが残るため 「恒久対策」 を打たなければならないこと。
そしてホンダ純正のO-リングは、当時とは部品番号が異なるものの、現在でも相応品がまだ入手可能であること。・・・という内容が、これまでの主なあらすじでした。ここから先の作業は、暫定処置を恒久対策に切り替える作業の紹介になります。
<↓整備作業性確保のため、例によってエンジンハンガープレートLHを取り外す>
<↓ここが問題の部位。よく観察すると、クーラントが垂れるまでには至らないが滲みがある状態>
<↓クーラントの受け皿を準備して、当該パイプから水ホースを抜き取ります>
ここまでの作業は何度か繰り返し行ってきたので(汗)、ものの数分間でできるようになっています。いよいよ水パイプの取り外しに移行します。
<↓水パイプを取り外したところ。やはりO-リングはシールテープとともにシリンダヘッド側に残る>
<↓想定していた通りの状況を経て、無事に取り出された水パイプ、O-リング、シールテープ残骸>
# ここまでの作業は順調です。
■純正の新品O-リングを装填する前に
水パイプのO-リング挿入口の真円度(と言うよりも、腐食による表面性状の凹凸化)が気になるところです。しかし、実はそれと同じくらい注意を払わなければならない部位があります。それは、O-リングが装填される際の相手部品。つまり、シリンダヘッドの水パイプ接続口の表面性状(内壁面の荒れ有無)です。
パイプ挿入口の内壁は、目視確認が直接できない位置にあります。そこで、手持ちの手鏡を活用することにしました。作業用のミラー(例:ロッドアンテナのように伸縮する棒の先端に、LEDライトが内蔵されているようなタイプ)があれば良いのですが、無くても何とかなります。具体的には、100円ショップで買った手持ちの手鏡を活用する方法です。
<↓手鏡を活用して、鏡像によりターゲット部位の状態を確認する手法の説明図>
<↓実際に得られた情報例。手鏡(ミラー)を介しても、ターゲット部位の状況把握は十分可能>
新品O-リングが接する相手部品の表面性状は、決して好ましい状態ではなかったことが確認されました。シール性を確保させるため、表面に堆積したスラッジを 可能な限り、取り除くことにします。
<↓手持ちの工具類を使ってスラッジ除去。どの状態で終わりにするのか?については自己判断>
このように、O-リングの挿入を急ぐ前に、関連部品の状態を事前確認しておくのが良いでしょうね。
■水パイプの防錆処置(耐熱塗装)
ここでいよいよホンダ純正の新品O-リングを取り出しします。が、せっかくO-リングを新品化しても、水パイプ本体にサビが生じたままの状態でエンジンに組み戻ししてしまうことは、リスクを抱えたままとなってしまいます。
そのため、水パイプにも防錆を兼ねた塗装を行うことにします。つい先日、マフラーの塗装目的で買った耐熱スプレーをそのまま使います。
<↓耐水ペーパー(画像は#1200)で水研ぎしながら、水パイプ表面のサビを丹念に落としていく>
<↓(左)細かな部分も念入りに (右)パイプ全体のサビが次第に落ちていく。あともう一息>
上記画像のように、水パイプの表面錆を少しずつだが確実に取り除いていき、いよいよとなった段階で脱脂します(パイプ内面の錆も、手の届く範囲で落とします。今回は時間の都合により、錆落とし溶液の中に一晩、浸漬させるなどの処理は行っていません)。
<↓O-リングを装填する部分(シール部位)にマスキングをして、他の部位を耐熱塗装します>
<↓水パイプの着座姿勢を変えながら、薄塗りのスプレー噴射を何度か繰り返しして重ね塗り>
<↓一応の仕上がり段階。実際にはエンジンをかけて入熱を加えて、定着率をより向上させる>
<↓同 上>
■水パイプの組み戻し(O-リングの装填)
水パイプの防錆処置(今回は耐熱スプレーによる ”ブラック半ツヤ” 塗装)が一通り終わったら、次はいよいよO-リングの出番です。
<↓新品O-リングと部品取りエンジンからの中古O-リングを、互いに並べて比較してみる、の図>
あれれ?
O-リングの厚みが違う??
部品取りエンジンから摘出した中古のO-リングは、実は(断面形状が円状ではなく、板に載ったかまぼこのような凸形状の)D-リングだったのか?
いやいや、いくらなんでも、このような汎用的な設計部位の軸シールにD-リングは使わんやろ? 単に半径(ラジアル)方向に圧縮の力が作用し、その潰れた状態(=換言すれば、シール機能が発揮された状態)が維持されたまま、”クセ付け” されてしまっただけでは? と考えます。
<↓耐熱スプレーで塗装したパイプ(シール部分は塗装無し)に、新品O-リングを装填します>
<↓O-リングの外周にクーラント液を塗布して(μを低下させて)から、慎重にパイプを差す>
<↓当該部分を 「引いて」 撮影した画像。やはり水パイプが黒い状態だと引き締まりますね>
ここまで来れば、作業はあと少しで終了です。
メンテナンス開始時に抜けた分と同等量のクーラントを補充します。
<↓例によってガソリンタンクをズラさないとラジキャップが現れない。その後、EG始動で漏れ無し>
クーラントを補充して、アイドリングで暖機しながら冷却水回路のエア抜きをします。その際、新品に交換したO-リングからのクーラント漏れや滲みは無いことを確認できました。ただし、それは無負荷のアイドリングでの話ですから、近所を実走して負荷を与えたとき(より高水温な状態)でも、滲(にじ)みが発生しないかどうか? までを確認することにしました。
具体的には、家の近所にあるGSまで実走し、ガソリンを満タン補給して無事に家まで戻って来られるか? というもの。結果は、「O-リングからの漏れは認められず」。
実は新品O-リングをアシストするため(水パイプ本体の浸食減肉&表面凹凸発生によるシールへの影響を低減させる目的で)、恒久対策として次の3水準のうちどれが良いか? を検討していました。
(1)今回は考えられ得るフルスペックの対策として、信越シリコン(シール剤)を使う。
(2)信越シリコンによる凹穴への補填はせずに、シールテープでのシール強化を図る。
(3)余計なものは手を加えずに、純粋に新品O-リングでの改善効果を期待する。
結局、今回は上記(3)の措置で賄(まかな)えたようです。
<↓まだまだ
DIYでメンテして乗り続けますよ! 貴重な4気筒16バルブ250ccのバイクですから>
念のため、この日からの数日間は、実走過程でクーラント滲みが発生しないかどうかを確認して 万全を期す ことにします。以下はその結果の箇条書きです。
・1日経過後 : 漏れは認められず。状態良好。→ OK。
・2日経過後 : O-リングからのクーラント滲みは発生していない。 →OK。
・3日経過後 : 漏れあり!床にクーラントが垂れた痕跡あり → NG。
うへ~、なんてこったい。
クーラント漏れについては、真の恒久対策に向けて、やらなければならない事柄がまだまだある・・・ということになりました。
# 念押しの効果確認期間を設けていて良かった。
「その8」 に続く。
(次回こそは、シリーズ最終話となるかな??)
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2018-08-12(Sun.) : 更新
[CBR250Four] その8(最終話)・故障解析FTA→意外な原因→修理完了!の巻 をアップロードしました。
Posted at 2018/08/10 04:02:35 | |
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