愛車・ホンダCBR250Four(MC14型、1986年式、経年34年目)のスピードメーターは、焼き付き固着により10年間以上、不動であったが、メンテの甲斐あって見事に復活できた…という話の「その5(最終話)」です。
◎「その1」 は →
こちら(メーターの構造把握 編)
◎「その2」 は →
こちら(ケーブル交換&細工 編)
◎「その3」 は →
こちら(メーターの固着確認 編)
◎「その4」 は →
こちら(ヨーグルトメーターケース 編)
※2020-04-26 : 本文中に追記あり。
■スピードメーターケーブルの再入手
ヤフオクで再び、CBR250Four と互換性のある VTR250 用の新品スピードメーターケーブル(社外品、NTB品番:SHJ-06-165)を落札しようとしましたが、タイミング悪く、出品されていませんでした。そこで、前回落札したときの出品者に直接連絡を入れたところ、「在庫は無いが取り寄せは可能。準備ができたら再出品する。」旨の回答をいただきました。
待つこと約1週間。無事に落札できました。
同じ出品者から、同じ商品を、同じ発送方法で入手したのですが、なぜか送料が前回(ちょうど1ヶ月前)よりも10円値上がりしていました・・・が、気にしないようにします。
<流用メモ>
・名称: NTB スピードメーターケーブル
・適用: '98~'07 VTR250 (MC33)
・品番: SHJ-06-165
・価格: 税込み1840円+送料198円=合計2038円
■スピードメーターの再洗浄
新品ケーブルが届くまでの間、CBRのスピードメーターをできる限り洗浄しておくことにします。ただし非分解での洗浄となりますので、ケーブル治具を挿入して手回しでウォームギヤを駆動させることで、回転に伴って「焼き付き固着部位から排出される汚れ」をシコシコと拭き取っていく。という地道な作業の繰り返しになります。
<↓画像で表すと、洗浄はこのような手順になります>
<↓注油後に放置し、その後にウォームギヤを回すたびごとに汚れが排出され、それを何度も拭き取る>
ちなみに、差し込んだケーブルを約126回転、回すとトリップメーターの目盛りがちょうど約100m進みます。逆に言うと、メーター上でトリップ&オドメーターが1.0km進むためには、差し込んだケーブル治具を約1260回転分だけ手回しする必要があります。
<↓汚れが消えてキレイになるまで、2.5km分=3150回転もケーブルを手回しして拭き取ってやったぜぃ!>
■いよいよ新品ケーブルへの再交換
落札した新品ケーブルが無事に届き、交換作業の開始です。
<↓CBR250Four と互換性のある、VTR250 用の新品ケーブル。今回は、いわば背水の陣での交換作業>
<↓CBRの純正ケーブル(不調品)を取り外し、メーターギヤ周辺を洗浄。ギヤそのものに異常はなさそう>
<↓ケーブル先端の比較。純正品(不調)は、経年変化により先端がやや幅広に口開き気味か?>
<↓ケーブル先端(ドリブン)がスピードメーターギヤ側(ドライブ)と
確実にかみ合うことを確認>
新品のスピードメーターケーブルを、一気に車体側のメーターAssyには組み込まず、まずはスピードメーター単体で正常作動することを確認します。
<↓再び、作動確認用のワンオフ・ヨーグルトメーターケースに新品ケーブルを引き込んで準備完了>
■いざ、試運転
オシャレなワンオフメーターケース(>私見)を装着し、いざ、実走によるスピードメーターの作動検証です。
<↓安全な場所に車両を駐める(心情:スタートグリッドについた)>
<↓いざ、発進・加速!(心情:うぉぉぉ~!ついに動いたぜぃ!)>
タコメーターの指針と連動して、スピードメーターの指針もスムーズに動きます。予想通りの結果でしたが、ホッと一息つくことのできた瞬間です。自宅に引き返します。
<↓スピードメーターの作動(復活)に合わせて、トリップメーター&オドメーターの作動(復活)も確認>
■余談
これでスピードメーター本体を、暫定仕様のヨーグルトケースから純正のメーターケースに移植し直すことができるのですが、この作業と前後してメーター照明球をすべてLED化しています。このへんの作業風景についても、いずれ別枠でブログアップする予定です。
<↓今回の作業の機会に合わせて、すべてのメーター照明球(純正のフィラメント球)のLED化を敢行した>
■車体側の清掃
こうして、生まれ変わった純正のコンビネーションメーターAssyを車体に取り付け(復元)できる運びとなりました。が、車体側の取り付け部位の汚れがひどい。メーターAssyを取り付けてしまうと手の届かない場所になってしまうことから、可能な範囲で清掃することにします。
<↓メーターの奥、カウルの下、ヘッドライトケース周辺を、上からも下からも可能な限り清掃する>
<↓左:清掃前(経年で約34年分の汚れか?) 右:清掃後(これでしばらくは大丈夫だろう、きっと)>
<↓左:もちろんコネクター端子(接点)も清掃済み 右:ネジ類にもコパスリップを塗布して固着防止>
このようにして、コンビネーションメーターAssyの復元がてら、手の届く範囲で各部の清掃を行いました。清掃しておけば、外観の観察時に部品の不調(例:亀裂や油脂類の滲みなど)に気づけない状態を回避できる・・・という意図もあります。
■最終確認
焼き付き固着していたスピードメーター本体に、長期的な機能保持を狙った給油(部位ごとに種類を変えたグリース&ルブ)と清掃を行い、スピードメーターギヤケーブルを(互換性のある社外品ですが)新品に交換し、車体の要所も清掃、そしてコンビネーションメーターAssyを車体に取り付け。
最後に、再度実走して問題ないことの念押し確認を取ります。もしも「ヨーグルトケース内ではスピードメーターが動いていたのに、純正メーターケースに移植したら動かなくなった」・・・なんてことがあれば大変ですから。
<↓位置について、ヨーイ、スタート! LED灯火類を含め、すべてが正常作動して一安心!長いメンテの旅でした>
最後に、作動不調だったホンダ純正(=CBRラインオフ品)のスピードメーターギヤケーブルから、内蔵されているワイヤーケーブルを抜き取って外観チェックしてみました。
<↓ケーブルから内部のワイヤーを抜き取って外観観察。ワイヤー自体に破断やささくれなどは無かった>
<↓左:ワイヤーの先端(ギヤ側)に摩耗痕? 左:6巻きピッチごとに線間スキマあり?>
ワイヤー本体自体には、それ単独で致命的な損傷らしきものは見つけることができませんでした。スピードメーターの作動不良は、恐らく経年劣化部品同士の「組み合わせ」によるもの(例:公差外の摩耗量)が可能性として挙げられるかもしれません。
※2020-04-26 : ここから追記(↓)。
純正ケーブルの先端を再度、観察したところ 次の変化点を改めて確認しました。これまでに確認してきた事象(>既述)と紐付けすると、次のように推定すれば矛盾が生じない…と考えます。
・純正ワイヤーケーブルは軸方向に遊びがある
→ 固定部の樹脂割れにより同軸度にズレ(倒れ)が生じたため
・ケーブルの差し込み位置によって、回転したりしなかったりする
→ 先端の口開きにより、メーターギヤ側とのかみ合いクリアランスが変化するため
<↓不具合現品を観察した結果、上記のように紐付けして考えると、現象の合理的な説明ができそう>
※追記はここまで(↑)。
■まとめと私見
当方の愛機・ホンダCBR250Four のスピードメーターについて、事象まとめを記すと次の通り。
<時系列>
・2008年03月: メーター周りから異音発生
・2008年04月: 指針が振れたりゼロの位置まで戻らない症状が出現
・2008年~ : 修理に出すが直らずに戻される
・~2020年 : スピードメーター不動のまま10年以上が経過
・2020年03月: DIYによる修理に着手
・2020年04月: メーター固着解消、ケーブル交換などにより完全復活
<解決手段>
大まかに分類すると、「メーターの治療」と「ケーブルの交換」
・スピードメーター本体内部の固着シャフトにCRC5-56を塗布し放置
・浸透放置後、治具ケーブルを挿してペンチでトルク付加→若干動く
・さらにCRC5-56塗布し放置→トルク付加で徐々に指針が回るように
・スピードメーターの金属部にグリースメイト、
樹脂部にドライファストルブを噴霧して放置
・スピードーメーター内部の駆動系を清掃し再潤滑→動きがスムーズに
・メーターギヤケーブルを、互換性のあるNTB製のVTR250用に置換
<推定原因>
・初期の異音や指針の振れ、ゼロ点に戻らず・・・といった不調は、
恐らくメーター内部の回転シャフト部分の潤滑不良である。
・メーターが完全に動かなくなった理由は、焼き付き固着による。
・純正スピードメーターギヤケーブルをメーター側で切り離した際に、
ケーブルワイヤーが回転したりしなかったりした原因は、
「劣化ギヤ」+「劣化ケーブル」という ”経年品同士の組み合わせ”
によるものと考えられる(例:公差の逸脱など)。
・したがって、ケーブルを新品に交換することによって ”経年品の
組み合わせ” 影響を排除できたこともあり、作動の確実性が向上。
<今後(私見)>
・機械的なスピードメーター方式(=回転センサーによる電気入力式
のスピードメーター以外のモデル)では、異音や指針の
振れが生じた場合は、直ちに内部の駆動系に給油した方が良い。
・当方のCBRの場合、今後は予防措置として2~3年ごとの給油が無難。
・当方の事例から、スピードメーター本体が固着していても、
潤滑剤を浸透放置させることによって機能が生き返る場合がある。
・普段から、各部の状態を把握しておくことが重要。
普段の状態を知らなければ、異常が発生したときに気づけない。
・異常が生じた場合であっても、当該部品を根気よく観察すれば
(ショップが諦めた症状であっても)DIYで復旧できることもある。
・旧車は純正部品のメーカー在庫がないことが多いが、ヤフオクや
ネット巡回により純正中古品や他社製の新品互換情報が得られる。
・あきらめずに手間や愛情をかけた分だけ、復旧できたときの喜びは大きい。
今後も、MC14型CBR250Four を人生の相棒として、末永く付き合っていくつもりです。レガシィにも当てはまるのですが、CBRによっても、私の人生は確実に豊かなものになっていると実感しています。
<↓私の分身とも言える CBR250Four(MC14型、1986(昭和61)年式、経年34年目)。今後もよろしく!>
皆様におかれましても、「その1」~「その5」まで長きに渡って、今回の一連のブログをご覧いただきありがとうございました。
Posted at 2020/04/26 00:58:53 | |
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