東京モーターショーに行った際の雑感を記すシリーズの後編です。
子供を連れての見学でしたので、各ブースとも長居せずにチラ見が多いです。以下、目に付いたブース(立ち寄ったブース)についての備忘録になります。
◎前編は →
こちら
■スバルブースにて(その2)
S207の後部座席に乗り込み、質感が価格に見合っているかどうかを確認したあと、GT300参戦車両(BRZベース)を流し見します。
<↓まずはリヤセクションから。ブレーキロータのスリットがJフック状になっていることを確認する>
リヤディスクのブレーキパッド当たり面には、内周側と外周側の中央付近にグルーブらしき円周状のミゾ?が見えます。単に不均一な当たりをしたときに見受けられるレコード状のミゾとは違うように見えました。スリットも 「Jの字状」 になっている点が興味深いです。
<↓次にフロントセクションを確認。フロントブレーキロータのスリットは放射状で外周側に非貫通>
フロントロータのスリットは放射状で、回転したときにブレーキダストがディスク外周側へと吐き出される方向にミゾが切られています。・・・とすれば、車両右側のディスクは左側のディスクに対して対象形状(車両左側のディスクとは別部品)になっているハズですが、今回はそこまで確認できませんでした。なお細かく見ると、スリットの先端はディスク外周と貫通していません。
フロントは制動力重視、リヤは安定性重視なのでしょうか。
■タイヤメーカのブース
BSでは、有名人を招いたトークショーを展開。集客力はさすがです。ただ、トークショーに聴き入る人は多かったけれど、BSのタイヤ開発技術の展示を見る人は多かったかどうか。
<↓ブリジストンブースでは、マリオ・アンドレッティ氏と佐藤琢磨氏を招いてのトークショーを開催>
<↓ダンロップグッドイヤータイヤのブース。右の画像で、右から2番目のタイヤのミゾがエグい!>
ちなみに、住友ゴム工業は、2016年1月1日付けで連結子会社のダンロップグッドイヤータイヤ(DGT)を吸収合併すると発表しています(現DGTは、住友ゴムが75%、グッドイヤーウィングフットが25%出資しています)。生き残りをかけては、なかなか厳しい世界のようです。
■トヨタ紡織&豊田合成
次はトヨタ紡織のブースに立ち寄りました。記憶によると、富士重工業にも何か部品を納めていたはず。でもブースでは、シート関係の展示に注力しているように感じました。
<↓シャア専用オーリスなどの少量生産機種では、シートの開発コストは通常モデル以上にかかるはず>
<↓シャア専用オーリスII のフロントシートはトヨタ紡織製。個人的にはセンターの黄色いラインがGood>
<↓こちらは豊田合成。レクサスの車体をワイヤーフレームで表現し、採用部品を分かりやすく可視化>
■試供品にコストをかける
東京モーターショーでの企業の戦いは、自動車メーカや関連部品メーカだけで繰り広げられるとは限らないようです。今回、驚いたのは、アサヒビール(株)が試供品扱いで DRY ZERO(ノンアルコールビール)を無料配布していたことです。しかも、缶のラベルが東京モーターショー限定柄!
<↓ひとりに1本を配ったとしても数万本が必要。中には、2回3回と列に並んで受け取る人もいるのでは?>
いったいどれだけコストをかけているのでしょう。
製品の知名度向上とペイする、と見込んでの企業判断なのでしょう。
■ホンダブースにて(その2)
次は、先に訪れたホンダEV展示ブースではない方の、ホンダ4輪&2輪ブースです。ブースにたどり着いて真っ先に思うことは、ブースの面積が広いこと。「展示スペースの確保にお金かけてるな~!」 です。
<↓左を見ても正面を見ても右を見ても、ホンダブース。とにかく展示面積の確保にコストをかけたホンダ>
ところが、カタログ資料の配布には人を付けておらず、「ご自由にお持ちください」 となっていた。
<↓どうやら人件費はコストカットされた模様。まぁ私としては、この方が気軽にカタログを手に入れられる>
ここでGROM125を。
私はかつて、モンキーRを80ccにボアアップして乗っていました。
このGROMでは、小柄な車体に125ccクラスの余裕あるエンジン。楽しいですよね。
<↓リヤディスクはドリルドタイプ、マフラーはメガホンタイプにカーボン柄。コストが見える品質アップに直結>
PCX125は、大型二輪免許を保持している家族が欲しいと言っているスクーターです。
昔と違って、今はモリワキが純正オプション指定される時代なんですねぇ・・・。
<↓高速も走れる150ccクラスもラインナップされるPCX。任意保険的には、特約でイケる125ccクラスが魅力>
■その他の二輪&三輪
個人的には125ccクラスが面白いと思っているのですが、カワサキブースでも国内リリースして欲しいモデルが展示されていました。
<↓フレームやスイングアームはブラックアウト。前後ブレーキディスクの外形が花びら形状(not円周形)>
<↓ヤマハのR1、スズキのGSX-RR、そしてトライクと言うよりも3輪のクルマという感じのSPYDER>
■Sonic Design & NSK
独自のアプローチでファンを増やしつつあるソニックデザイン。モーターショーの出展料は高いはずなのに、スピーカーを多く展示していました。
<↓ケーブルはOFCか? ネットワークもそれなりのコストがかかっているように見えます(205系ベンツ用)>
<↓こちらはスバル車にも純正オプション設定されたタイプ。「鳴らし切るサイズ」+「エンクロージャ」が特徴>
<↓ベアリングメーカとして知られるNSK。今年はブース構成に力が入っていた。お姉さんもキレイですね>
<↓技術展示だけでなく、子供向けにベアリング組み立て体験コーナーを設けるなどの工夫もありました>
■独自のいすゞワールド
実は今回のモーターショーの穴場(意外な?見どころ)は、いすゞではないかと思いました。展示内容とブース構成について、いろいろと知恵を絞っているような印象を受けたからです(注:あくまで個人的な私見です)。以下、その特徴を挙げてみます。
<↓まずは道行く人々の足を止める役割も担ったトラック。鮮やかな青色と見事なレストア具合に目を引かれる>
<↓左:荷台下のフレームが木製であることが分かるショット 右:かつてのいすゞのエンブレムですね>
<↓パネルを見ると、社名をいすゞと名乗るより以前のモデルと分かる。当時の技術で5トン積みはすごい>
<↓子供向けに、タッチパネルに触れると「はたらくクルマ」のことを学ぶことができるコーナーもありました>
<↓画面で架空の「いすゞ建設」なる文字が出現。ここなら杭(くい)打ちのデータ改ざんはやらなさそう>
<↓実はいすゞオリジナルの、鉄拳さんの書き下ろしパラパラ漫画も見ることができる。お金かけています>
<↓実車の展示もちゃんとあります。こちらはAdBlue®(尿素水)搭載車。企業の環境対策もアピール>
<↓こちらはいすゞ・エルガ。展示車はバスボディなので、子供や家族連れでも自由に乗り降りできます>
<↓ふだんはなかなかお目にかかれない、いすゞD-MAXも展示するという力の入れ方が一貫しています>
どうでしょう?
他のカーメーカーと較べると、決して広いとは言えないブースに、来客を飽きさせない展示がちりばめられていると感じました。年配から子供まで、足を止めて楽しむことができるブース構成ではないかと思います。極短時間でしたが、私は「いすゞワールド」を堪能させていただきました。
■その他の展示例
UDでは、トラックのシャシの上をガラス張りにして歩けるようにして、来場者が自分の足元のメカをシースルーで見られるようにした展示車が置いてありました。これも、なかなか貴重な体験です。
<↓ふだんはなかなか近づくことすらできない大型車の、フレーム間に収まる装備を見ることができました>
最後に、YACHIYO 架装による軽自動車の救急車です。
<↓日本の救命現場では、小回りの利く軽自動車サイズの救急車も必要性が高いと思われます>
<↓その名もズバリ、「こまわり救急」とのこと。ただし、ある年齢以上の人は「こまわり君」を想像するかも>
(※「こまわり君」 をご存じない方々は、
「山上たつひこ」先生、「がきデカ」 などのキーワードでググって下さい。)
■余談
「東京モーターショー限定トミカ」 を購入するための順番待ちの列が、「3時間待ち」 とアナウンスされて購入を諦めた件については、
[雑感]・前編 にてお伝えした通りでした。
実はその後、子供がスタンプラリー(会場内を回ってスタンプをいくつか集めると、トミカが当たる抽選に参加することができる)にチャンレンジしました。正直言って、スタンプを集めた時点では、単に ”抽選” に参加できるのであって、ハズレを予想していました。が、いざ抽選してみると・・・。何と! スタンプラリー限定のトミカを引き当てることが出来たではありませんか!
<↓東京モーターショー2015開催記念の「No.0 スタンプラリー イベントカー」を入手することができました>
これは非売品で号車が 「No.0」 となっており、5000台限定とのこと。
(※詳細は公式ページにて。こちら →
http://www.tokyo-motorshow.com/event/collaboration.html )
購入を諦めた東京モーターショー限定トミカでしたが、さらに希少な 「No.0 トミカ」 を思わぬ形で手に入れる結果となり、子供も大喜び、その笑顔を見た親(私たち)も嬉しい気持ちになりました。
<↓左:会場で はためく参加各国のフラッグ 右:この日(10/31(土)のハイドラ・走行ログより)>
以上、「前編」「後編」 に渡っての長文でしたが、お読みいただいた方々、ありがとうございます。
これにて 2015年・東京モーターショーに関する私的な雑感(備忘録)を終わります。