ドライビングシューズの検討をしていたところ、ネグローニ・ブランドの中でイベントセール品を発見。縁あって、「CABRIO」 をネット購入するに至りました。
後編は、マイナートラブル発見後の解決経緯と実際の使用感について、備忘録として記します。
◎前編は こちら
→
「CABRIO」の購入(製造トラブルへの対応 編)。
■おさらい
ネグローニ(本家)のWEBサイトにて 「CABRIO」 を購入。商品到着後、細部確認のためインソールを外してみたところ、かかと部分にあるはずの 「ヒールストーム(クッション材)」 が片方に装填されていませんでした。そこで、メールにて問い合わせをした・・・というところまでが、前編 のあらすじです。
<当方からの問い合わせ内容(要旨、再掲)>
「靴の中身の構造」は、もともと左右で異なるもの(仕様)なのでしょうか?
あるいは製造上のイレギュラーなのか、教えていただけないでしょうか。
<↓(左):ヒールストームが左足には装填されていない (右)ハトメや金属具が部分露出している>
■ネグローニさんの対応の巻
当方の問い合わせに対し、ネグローニ担当者様の反応は迅速でした。以下、返信の要約です。
(※ネグローニさんのファクトリー : 東京都荒川区にあります。)
<ネグローニさんからの回答(要約)>
・不備により、片足だけヒールストームが装着されていない状態で出荷してしまいました。
・今後の対応として、次の2つを相談させてください。
(1)ファクトリーにて装着 → 着払いで返送し、装着後に当方宛てに再郵送する案。
(商品の行き来により、少々時間がかかってしまう)
(2)当方がDIYで装着 → ヒールストームは即日発送が可能であり、セルフで貼る案。
(ファクトリー返送よりも、早く使用することが可能)
・同様のミスを繰り返さないよう、出荷前の点検システムの見直しを徹底的に行っております。
私は上記内容に接し、真摯な対応だと感じました。特に安心したのが、一番最後の 「再発防止に向けて、点検システムの総見直しを実施中」 という部分です。
製造業では、顧客からのクレームに対し、往々にして一品対応(その場 限りの対応)される場合があるかと思うのですが、私からの指摘に対して 「出荷前の点検システム」 という規模まで広げて再発防止を図る・・・というのですから、企業として 検査品質の向上 を真剣に考えていただいていることになる、と思うのです。
そこで私は、「2.ヒールストーム(クッション材)をユーザー本人が装着する」 を希望すること、「発送方法はお任せする(定形郵便で構わない)こと」 を伝えるとともに、疑問に思っていた次の各項を追加で尋ねました。
<当方の追加コメント(要旨)>
・当方が貼り付けするに際し、念のため、以下の各項を教えてください。
(1)ヒールストームは左右で形状が異なるのか、あるいは左右共用品でしょうか。
(2)貼り付けの際に、プライマーなどの下地処理や、樹脂・ゴム用の専用接着剤
(例:2液混合タイプなど)を塗るなどの作業が必要になるでしょうか?
(3)あるいは、ヒールストームそのもの(の裏側)に粘着シートが付いて
いる? あるいは両面テープで貼るような装着イメージでしょうか。
・貼り付け作業に際して、念のため注意点がございましたらご教示お願いいたします。
(例:貼り付け後は加圧して圧着させる、とか、
逆に24時間は触らずに放置してください、など。)
上記問い合わせに際し、またも丁寧な回答をいただきました。「左右で共通」、「両面テープを使用するので注意すべき工程は特にない」 こと、「もしも貼り方で不明な点があれば、遠慮なく連絡してほしい」 こと、が記されていました。大変ありがたいことです。
■同封された品に驚く、の巻
数日後、クツのかかと部分に貼り付けする 「ヒールストーム」 なるクッション材が送られてきました。私は、(事前にお伝えしていたので)てっきり定形サイズの普通郵便で届くと思っていたのですが、実際には想像よりも大きなA4サイズの封筒(佐川急便)で届きました。
慎重に開封してみると、何と!
ヒールストームだけでなく、ノベルティ(お詫びの品として)が同封されていたのでした。
まったく予期しておらず、その対応に驚きました。
<↓(左):開封すると…何とノベルティが同封されていた! (右):これが今回の「ヒールストーム」>
「ヒールストーム」 と一緒に、カタログ(Vol.1&Vol.2)のほか 「カーボンエナメルファイル」、「ペンケース」 までもが同封されていたのです。
<↓こちらは製品ラインナップを示すカタログが2部>
私の実家は紙問屋だったので、(一般の方々よりも)紙の質の差異が分かるのですが、このカタログは紙質と印刷にコストがかかっている、というのが私の認識です。恐らくブランドイメージ維持のため、あえてコストをかけているのだと思います。
<↓こちらはペンケース。NEGRONI の型印もあり>
<↓そして最後に、NEGRONI のイニシャル刺繍入りカーボンエナメルA5ファイル>
私はすぐに 「封筒が届き、ヒールストームも無事に装着した」 こと、「思いがけずカタログやノベルティを同封いただき感謝している」 こと、そして今後、イベントがあれば 「他のラインナップも購入検討している」 ことをメールでお知らせしました。
不具合事象(今回は製造上のイレギュラー&出荷前検査の不備)に対し、ユーザー目線で誠実・確実に対応いただけたことに感謝しました。
■ヒールストーム装着の巻
さて、ここからはヒールストームの装着風景の紹介です。保護シートを外して、所定の位置からズレないように貼るだけです。
<↓ヒールストーム裏面には両面テープがあるので、保護シートを剥がして所定の位置に貼り付けする>
<↓右足をお手本として、セルフで左足にヒールストームを貼り終えた状態>
「ヒールストームを貼る」 という工程は、ファクトリー内での製造工程の中では、恐らく(ほぼ)最終工程に近い作業でしょう。私のような素人でも貼り付けできましたが、この 「CABRIO」 に限っては、少々大げさに言うと 「(生産工程上は)ネグローニ と 調布市のKAZ のコラボモデル(合作)」 だと言えるでしょう。・・・えぇ、広義では決してウソではありませんから。
■実際の使用感の巻
さて、その 「CABRIO」 について、私的な使用感を記します。その前に、ネグローニのWEBサイトに書かれていた製品コンセプトを箇条書きにします。製品コンセプトを逸脱したインプレッションにならないようにするためです。
<CABRIO の製品コンセプト、特徴(公式WEBサイトからの抜粋)>
・「イージー&ラグジュアリー・ドライブ」 をコンセプトとして開発された。
・インソール厚を2mm調整し、幅広いライフスタイルに対応できるよう改良。
・リラックスした装着感を想定。ショート・ツーリングを楽しむには最適。
・アップテンポに3ペダルを踏み別ける緻密な操作には適していない。
・しかし、カジュアルなドライブシーンでは充分なパフォーマンスを発揮。
上記のコンセプトを理解した上で、スバル・レガシィワゴンGT spec B(280psターボ、6速MT)およびエクシーガtS(225psターボ、5速AT)の運転に供したときの使用感は、次の通りです。ただし、評点の意味は次のようにしています。
<私的な採点基準>
評点1.0 : 極めて悪い。論外。
評点2.0 : 悪い。返品レベル。
評点2.5 : 不満。何らかの改良を要す。
評点3.0 : 可もなく不可もなし。
評点3.5 : 次第点。良し。
評点4.0 : 優れている。満足。
評点5.0 : 大変優れている。お手本。
<6速MT : レガシィでの使用感と評点>
右足と左足で評点が異なる。
・
右足(アクセル操作として) : 5段階評価で
4.0点
・
左足(クラッチ操作として) : 5段階評価で
2.75点(=2.5点と3.0点の間、我慢どころ)
<↓ネグローニ・CABRIO を履いて、BPレガシィ(6速MT)を運転する>
評点の理由については、以下の文章と画像で説明します。
右足では、アクセル操作の際にかかとを支点として(床に接した状態で)ペダルを踏み込んでいきますが、ソールの巻き上げ形状により、その操作がなめらかに行うことができる。見かけによらずシューズ側面に剛性感があるため、意図した動きと実際の操作に差異が少なく、足との一体感があります。
それに対して左足の評価は劣ります。クラッチ操作の終末工程で、かかとが浮いてしまうからです。クラッチの操作過程を考えると、まず操作の前半では足の裏全体を(クラッチペダルに対して)平行移動させる形で踏んでいきますが、操作の後半では、より 「つま先側に」 荷重がかかります。すると相対的に 「かかと側」 の荷重が減るのですが、そこで足と靴底との間にスキマが生じてしまう(離れてしまう)のです。
<↓右足(アクセル操作)ではフロアに接するかかとを支点としたペダル操作となり、一体感があります>
<↓左足(クラッチ操作)ではペダルを踏み込んでいくにつれて、かかとと靴底にスキマが生じてしまう>
これは開口部の大きな設計によるものであり、もともと CABRIO では意図したデザインであるため、「我慢どころ(評点2.75点)」 としています。シフトアップ/ダウン操作の多い市街地では気になるレベルですが、高速などツーリング用途ではシフト頻度が下がるので、運転手側で 「それを理解したペダル操作」 の配慮をすればOKでしょう。
次は5速ATのエクシーガでの評点です。
(※私は以前の職業柄、AT車では左足ブレーキ操作で運転します。)
<↓ネグローニ・CABRIO を履いて、YAエクシーガ(5速AT)を運転する>
<5速AT : エクシーガでの使用感と評点>
右足と左足で評点がやや異なる。
・
右足(アクセル操作として) : 5段階評価で
4.0点
・
左足(ブレーキ操作として) : 5段階評価で
3.25点(=3.0点と3.5点の間)
評点の理由は次の通りです。
右足は、前述のレガシィの場合と同様。
左足は(私の場合)ブレーキ操作を行うのですが、MTのクラッチ操作と較べると、圧倒的にブレーキの方がペダルストロークが小さいです。そのため、ブレーキペダルを踏み込んでいく過程で 「靴底とかかとの密着性が薄れて、靴底とかかとの間にスキマが生じてしまう」 前に、「ブレーキペダルのストロークが底付きする」 のです。
<↓(左):アクセル踏み込み前、(右):アクセル踏み込み後(WOT)。いずれもレガシィの場合と同様>
<↓ブレーキストロークが短く、ペダルを思いっきり踏み抜いても靴底とかかとのスキマは助長しない>
多くの方々は、AT車では右足でブレーキ操作を行い、左足はフットレストに置いてある(ペダル操作をしない)と思いますので、左足の評点はもう少し高くなると思います。
なお街中の歩行では 「足の甲の部分のフィッティングに優れて」 おり、脱着のしやすさ(履きやすさ・脱ぎやすさ)と相まって履き心地は良好です。ただし、雨で濡れた歩道では滑りやすく注意が必要です。
総じて言うと 「カジュアル・ドライビング」 をコンセプトとした 「CABRIO」 であっても、ドライビングシューズとしての最低限の機能は発揮されていると感じます。欲を言えば、MT車のクラッチ操作時のみ 「かかと部分のフィッティング性が要改善」 ですが、(ドライバーがそれを意識下に置くことで)実用上の問題までには至らないと思っています。これも、コンセプト通りなのでしょう。
<↓思い切って「カジュアル」に振った「CABRIO」。それでもドライビングシューズとして十分アリと思う>
以上、多分に私的な感想でしたが、長文にも関わらず最後までお読みいただいた方々には感謝いたします。ドライビングシューズを検討されている方々にとって、何らかの参考になりましたら幸いです。
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2017-12-02(Sat.) : 更新
[ネグローニ] ドライビングシューズ「FIORANO」の購入(ネグローニ第2弾) をアップロードしました。