<前回までのあらすじ>
BP5D型レガシィのチェックエンジンランプが点灯。原因は左前輪のABSセンサーハーネスの断線と推定。新品に交換して警告灯の点灯自体は解消した。
しかし真因は別にあると判断。それを究明するべく、圭オフィス車高調の構成部品に合いマークを付けて観察・・・というところまでが、これまでのお話。今回のブログは、その完結編です。
<過去ログ>
◎その1 →
ABS警告灯への対処・(1)原因調査
◎その2 →
ABS警告灯への対処・(2)センサー交換
■真因への手がかり
ABSセンサーハーネスは、リングブラケットに固定されている。そのリングブラケットは、圭オフィス車高調のダンパーストラットに抱きつく形で固定されている。そのリングブラケットが、なぜ外転してしまうのか?
車高調の各構成部品に合いマークを付けて様子見して 得られた結果 が、以下の画像です。
<↓しばらく様子見で試走したあとの左前輪サスペンション(全景)>
<↓ダンパー本体とリングブラケットが一体のまま、下方の外筒からズレている>
何と、リングブラケットはダンパーストラットと一体(相対ズレを生じていない)のまま、両者がその下方にある外筒(=ダンパーホルダー)に対して時計回りに 内転 しているではないか!
ABSセンサーハーネスの内部断線に初めて気がついたときの現象は、リングブラケットが車両の外側(タイヤ側)にズレる 外転 でした。ところが今回の現象は、リングブラケットが車両の内側(エンジンルーム側)に微少にズレる 内転 として発現しています。つまり、ズレの回転方向が逆 になっています。
<↓その状態で直巻スプリングの上方を確認すると、アッパーシートにズレはない>
以上の観察事実より、真因の仮説を思い描いたところで、この日は 日没 となって確認作業は終了。以降の作業は、また別の日に持ち越し です。
また同時に、この時点で「ABSセンサーハーネスをリングブラケットを介してダンパーストラットに固定する」方式に 見切りを付ける ことにしました。
■ホームセンターへ
リングブラケットの内転を確認したその日のうちに、今度はホームセンターに向かいます。ABSセンサーハーネスの固定点を、ダンパーストラット側から ボディ側へと移設 させるためです。
それを実現するためのステーの代わりとなる部材を、既製品(アングル材など)の中から探索します。すると、目検討ですがちょうど良さそうな部材を発見。早速、試しに購入してみます。
<↓ホームセンターで、ハーネスのボディマウントが実現できそうな部材を探索>
<↓頭の中でハーネス引き回しをシミュレートした結果、画像下部の部材を入手>
■一品対応
ABSセンサーハーネスの新・ボディマウント(←旧・ダンパーマウント)について、脳内シミュレーションによる想定を実機で検証してみます。もしも寸法がうまく合わなかった場合は、入手部材に加工を入れるか、あるいはまた別の部材を買いに行く必要があります。早速、部材を実機にあてがってみます。
<↓ハーネス固定点の移設イメージはこんな感じ。まさに思い描いていた構図に合致>
カンの良い人ならば、リングブラケットの代わりとして入手した部材をどのように配置するつもりであるのか、上記画像から察しが付くかと思います。「純正ステーが1点止め」であることを最大限に利用する手法です。
以下、その実現のための具体的な考察に移ります。
(1)追加ステーは、設置角度の調整が可能
(2)純正のステーも、ハーネスに合わせて揺動可能
<↓ハーネスをダンパーから遠ざける例。この場合はセンサー近傍の引き回しが苦しい>
<↓部材を鉛直方向に設置する例。この場合はハーネスの曲げが緩やかで負担が少ない>
<↓部材をダンパーに近づける例。センサー直上からの引き回しがスマートになります>
ここまでは、新たに購入した追加部材の設置角度についての考察です。
「1接点2関節モデル」ですので、さらに加えて、純正ステーも揺動可能です。
<↓グロメットから純正ステーまでの配線長は調整困難なため、揺動させてストレスフリー化>
■リスク低減
ABSセンサーハーネスは、なるべく可動部品から遠ざける方が無難です(ので、ダンパー側からボディ側に固定点を移すのですが)。そこでさらに、回転物であるタイヤ&ホイールからも遠ざけるべく、ハーネスを追加ステーの裏側に引き回すように検討します(考えられるリスク:タイヤからの石ハネによる破損防止など)。
<↓追加ステーの外側にハーネスを引き回す場合。回転するタイヤ&ホイールに近接してしまう>
<↓追加ステーの内側にハーネスを引き回す場合。回転物の陰に入るので、飛び石リスクを低減>
上記の考察を重ねながら、一品対応で新たに引き回し(固定点をボディ側に移設+配線変更)したABSセンサーハーネスの全体像は、次の画像の通り。
<↓「ハーネスをリングブラケットを介してダンパーに固定する方式」に見切りを付けた状態>
■いろいろな方向から再確認
固定点をボディ側に移設して引き回しを変更したABSセンサーハーネスですが、一方向からしか見ていないと、思わぬ見落としが生じる恐れもあります。そこで、いろいろな角度から改めて観察し、不都合がないことを念押し確認します。
<↓追加ステーの上部はゆるやかな引き回しとしている>
<↓追加ステーの下側は、トライブシャフト側に寄せている>
<↓この角度から見ると、ダンパーやドライブシャフトとのクリアランスも十分確保>
<↓追加ステーの拡大画像。1点止めのボルト(下側)にはスプリングワッシャで緩みも防止>
<↓さらに別のアングルから。この角度からのショットが、全体像をよく表しています>
■真因の謎解き
さて、前述のようにブログの途中で「ハーネスの固定点と引き回しの変更」に話題を変えていましたが、そもそもの「リングブラケットが回転してズレる」ことの真因については、「日没につき、以後の作業は後日」として触れることを後回しにしていました。
その後、若干の試走を加えてさらに状況確認した結果は、次の画像の通りでした。
<↓今度は外筒(部品C)に対し、ロアロックシート(部品B)が反時計回りにズレている>
そう、謎解きの結論は「実は(車高調の)ロアロックシートが緩んでいた」ことが主因だったのでした。ロックシートが緩んでいれば、走行時の荷重や振動あるいは転舵により、リングブラケットがダンパーごと(正・逆ともに)回転方向にズレることの説明がつきます。
このロックシートの緩みについては、車体が接地している(いわゆる1Gの)状態では分かりにくいものです。もちろん、車両をジャッキアップして、かつ車高調レンチを使って初めて「増し締め」することができます。
<↓車高を狙いの位置に調整の上で、ロックシートを増し締めした結果、ここまで締まった>

(※直巻スプリングのアッパー&ロアシートは、ともにズレ無し:ブログのトップ画像。)
今回、初歩的な「合いマーク」を付加することにより極めて有効的に「ロアロックシートの緩み」を(タイヤ&ホイールの脱着なしに)直接的に目視確認することができました。
真因が分かってみれば、このブログをお読みいただいている方々からは「何だ、単にKAZさんの点検不足じゃねーの?」というご指摘をいただくこともあるでしょう。まさにその通りです。その点については、反論はいたしません。そういったことも含めて、改造は自己責任です。「他者を巻き込むような事故に至らなかったことは幸いだった」と反省するべきだと思っています。
■再発防止に向けて
今回の一件を経て、「車高調の緩み有無を可視化する」ことによってトラブルを未然に防ぐため、トラブル履歴のある部位には新たに白ペイントで分かりやすい合いマークを付加しています。
<↓黒ペンだと分かりにくいため、夜間でも視認性(耐候性も)に優れる白ペンで合いマークを付加>
<↓当外部を少し引いたアングルで写した全体像>
<↓別アングルから。同様な見地に立ち、1点止めのボルトの頭にもペイントを付加しておくと無難>
<↓参考:今回使用した主な工具類(画像に写っていない他の工具は、トルクレンチなど)>
以上、終わってみれば反省だらけのことばかりでした。
ですが、そういったことを含めて「事実は事実」として公開しています(※当方のスタンスです)。このブログをお読みいただいた方々に対しては、トラブル認知から解決までの「考え方の筋道」や「対処手法」など、何らかの参考になれば幸いです。
上記措置を採ったあと、しばらく(エクシーガを使わず)レガシィの運用を続けて様子見していますが、まったく問題はありません。快調であることを付け加えます。
今回も長文になりましたが、最後までお読みいただいた方々にはお礼申し上げます。
Posted at 2019/10/23 23:08:53 | |
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