2014年12月29日
[事故]弁護士が嫌がるわけだわ
弁護士に渡した立証資料や相手保険会社対応チームの反論資料への反論資料など、自分が作った数々の資料を見返してみて、我ながら驚いた。
さまざまな画像処理を行ってのタイヤ痕の検出は序の口だ。目の高さで撮られた写真を上空から見たものに変形し、そこから警察がつけたチョーク位置、タイヤ痕の位置等様々な詳細データを抽出している。もちろん一つだけによらず複数の資料、複数の方法で誤差を抑えてデータを取り出している。
そうしたデータを用い、極めて緻密に論理を練り上げて立証し、相手に一分の隙も与えないものになっている。自分のみではなく相手の供述とも矛盾のない極めて納得性の高い事故状況を再現している。
保険会社チームの矛盾だらけの反論、加害者供述とチームの論証の矛盾など、徹底的に突いている。と言うか、加害者本人の供述を無視して完全な空想で反論するって頭悪すぎだろう。
一方で物理シミュレーションを行っていて、数式やグラフを使った論証が多い。自分で見返していてもすぐ理解できないぐらい、式を示してはいくつものケースの計算結果を示している。小学生レベルの極めて単純な式も多く含まれているのだが、式がいくつも並んでいる。こんなものを一般の人が見たら拒否反応を示すだろう。
ただでさえ、司法の世界では心証がものを言い、いかに裁判官に印象づけるかの勝負であったりする。また、証拠としては警察の資料が極めて重要視される。工学的検証のようなものは如何に正しくても彼らの理解の外であれば証拠として重視されない。
弁護士は法廷でのやり取りや法律知識、司法判断に秀でているであって、数式など滅多に出会わない苦手なものでしかない。
そもそも司法試験は記憶力の勝負である。
そのため、調停に提出した資料もほとんどが私が用意した資料をそのまま使っていて、分かりやすいものが選ばれている。
相手からの反論に対する再反論も、こちらが用意したものから分かりやすいものを選び出して行われている。
相手の論証の弱い部分を指摘し、ここを突くべきだとかまでやっていたのだが、そういうことは彼らのプライドにも関わるので危険な領域でもある。
相手は何も物証を提出できず、全ての根拠が加害者の供述である。それにもかかわらず供述と全く違う状況を反論として提出してくる。突っ込み放題だ。
こちらの論証の重箱をつつくが簡単に再反論され、一方で自らは事故の全体状況を全く論証できず防戦一方なのだから、形勢は明らかだった。
しかし、こちらのボス弁はとても弱気で、警察資料がないので不利だと言うことばかり言っている。相手が何の物証もなく供述のみに頼っていることや調査会社がまとめた加害者供述と保険会社チームの反論の矛盾を突きどころだと認識していなかった(現場での加害者の主張を私がまとめたものだと思い込んでいて、私やイソ弁に指摘されて認識を改める始末)。
どうも、自分に理解できない数式をつかい、裁判で弁護をする自信が全くなかったらしい。
調停で有利な過失割合が示されると、これで終わらせるべきだと必死に説得してくる。依頼したときの「いかにも頼れそうな感じの演出」はどこへ行ったのかと思うほど。こちらがOKを出せばすぐ終わると言わんばかりで、ちょっと異様な感じすらした。
しかし案の定相手側が納得せず、調停が成立するまでにさらに3ヶ月も要した。
彼らも厄介な案件が手を離れてホッとしていることだろう。
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Posted at
2014/12/29 09:25:18
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