昭和61年(1986年)式の現役車・ホンダCBR250Four(4気筒16バルブDOHC・45PS)のリフレッシュ大作戦・・・今回のブログは、フロントブレーキのメンテに関する備忘録(と雑感)です。
※(ご参考)
マフラーのレストア(リフレッシュ)記 →
2018年11月11日付け ブログ
ホイールメンテ&ドレスアップ記 →
2018年11月26日付け ブログ
劣化した無塗装樹脂のつや出し →
2018年12月5日付け ブログ
■メーカー在庫無しの部品の入手
クルマもバイクも、古い車両を維持していくうえで深刻になることは、メーカーのパーツセンターにも在庫の無い部品が必要になったときです。
まず真っ先に欠品となるのは、ボディなど外板部品(バイクだとカウルやフェアリング類)。その車種の専用部品は、製造中止になる前に作りだめされたとしても、補填されることがなければ結局は補修品も在庫が尽きてしまいます。
互換性のある他車種向けのパーツを流用したり、ワンオフで製作することが可能な部品は、そういった知恵や力技で対処が可能なことでしょう。しかし、消耗品でありながらメーカー在庫が切れてしまった部品(流用やワンオフ制作が困難な部品)については、ヤフオクなどでデッドストック品や程度の良い中古品を入手することくらいしか、個人では手が打ちにくいです。
CBR250Four(MC14型)のフロントブレーキパーツについても、そのような入手困難品になっていますが、私の場合は幸いにしてブレーキパッドは新品のデッドストック品を、ブレーキディスクは中古品を落札できました。
<↓ブレーキパッド:互換性のある他機種(MC17型CBR250R)用を落札。これは未使用品>
◎ブレーキパッドの詳細は、こちら →
パーツレビュー
<↓ブレーキディスク:これは程度の良さそうな中古品(そこそこ いい値段がします)>
<↓偏摩耗やうねりが無さそうな、程度良好なものと判断(MC14型CBR250Four用)>
◎ブレーキディスクの詳細は、こちら →
パーツレビュー
■工具は適切なものを選ぶ必要あり
CBRのブレーキパッドは摩耗により使用限界を超えているため、早急に交換する必要がありました。パッドに合わせてブレーキディスクも同時交換します(落札により、パッドとディスクの両者がそろうタイミング以降で交換作業を行います)。
<↓NISSIN のブレーキキャリパでは、ピンプラグ(盲栓)を緩める作業が必要>
ネットでニッシンのキャリパを検索すると、このピンプラグを「なめて」しまい、緩まずにドツボにはまる事例が多数ヒットしました。私も気をつけなければ。・・・ということで、緩めトルクのかからないマイナスドライバーではなく、マイナスビットソケットを用意することにしました。
◎ピンプラグを緩めるためのマイナスビットソケットを購入 →
パーツレビュー
<↓ピンプラグの下にある、ハンガーピン(パッドピン)は六角ソケットで緩めます>
<↓ブレーキディスクのボルト頭は内六角。これも六角ソケットで緩めます>
■交換準備を進めたが・・・固着あり
順調に進んだかのように思えた分解作業ですが、ダブルディスクのもう一方の方のキャリパで手こずりました。何と、あのパッドピン(盲栓)がまったく緩まないのです。トルクをかけても、マイナスビットソケットの先端が歪んできます。これはもう、ショックドライバーくらいしか手がなさそうに思えます。
ここで再度、冷静になって考えてみます。
ショックドライバーについては、私は工具として持っています。
しかし、それを使った経験は1~2回しかありません。いま、バイク(CBR)の姿勢はサイドスタンドのみで駐車した状態。メンテナンススタンドに立てているワケではありません。ショックドライバーにインパクトを与えるには、若干不安定な車両状態かもしれません。
それに、よくよく考えてみると、フロントブレーキディスクの交換の際にはフロントホイールを(一時的にせよ)外すことになり、そのシーンでも車体の支えが必要になります(例:ホイストでトップブリッジを吊り上げるとか)。とすると、作業上でリスクが残っていることになります。
ここは失敗が許されない部分ですので、ピンプラグが固着していることが判明した以上、思い切ってプロに作業を依頼することにしました。
■作業を断られる
そこでまず、ナップスにお出かけしました。純正部品の持ち込みで作業依頼する場合の工賃を尋ねます。クルマの場合と違ってバイクの工賃は安いな~、などと思いながら店員さんと会話を進めていたのですが、
店員さん : 「持ち込みの交換部品は純正ですか?」
私 : 「はい、パッドもディスクもホンダ純正です。」
店員さん : 「分かりました。問題無さそうですね。新品ですか?」
私 : 「パッドは長期在庫の新品で、ディスクは中古品です。」
店員さん : 「あ~、中古品ですと、うちでは作業できないです。」
私 : 「理由はどうしてでしょうか?」
店員さん : 「中古品は履歴が分からないことと、新品でも長期在庫品は
劣化状態が不明なため保証できず、作業はお断りします。」
車検も扱う認証工場なので、中古品の持ち込みは、すべて交換作業を断っているとのこと。恐らく、他の認証工場に依頼しても同じ対応ですよ・・・と教えてくれた。思わぬ壁にぶち当たってしまった。
■2りんかんにて
いったん帰宅して、2りんかんに電話で問い合わせ。「持ち込み部品での交換作業工賃はいくらでしょうか?」 との問いには、「パッド交換で○○円」「ブレーキディスク交換で○○円」との丁寧な回答。会話の中では、新品か中古かは問われませんでした。
ただ、先方が気にしていたのは「CBR250Fourは古い車種なので、(持ち込み部品よりも)車両本体の程度を見て判断したい(車両の状態があまりにも悪い場合は、整備が標準手番で収まらず時間がかかるため)」 とのこと。そのため、交換部品を持参して、バイクを直接持っていくことにしました。
結論から書きますと、
・持ち込み部品はOK。
・車両の状態もOK。
・ただしブレーキディスク交換の際、ディスクボルトは新品にして下さい。
とのことでしたので、その指示に従ってディスクボルトを店内在庫のものに交換する意思のある旨を告げて、作業を依頼しました。しかしながら、CBR250Fourはフロントダブルディスクのため、ボルトは全部で12本が必要。純正の在庫が5本、互換性のある社外品(キタコのステンレス製)が5本。両者を全部購入しても、2本分が不足してしまいます。
<↓ホンダ純正&社外品(キタコ)の店内在庫を かき集めても、まだ新品2本が足りない状態>

そこで「車両から取り外した12本の中から、程度の良い2本を再利用」する案でお願いしたところ、こちらも了承していただき、ブレーキフルード交換も含めて、実作業に移行していただきました。
個人的には、「キャリパが2つあるのでフルード交換工賃は2倍になります」 と言われたことが少々納得いきませんでしたが(∵確かにフロントのキャリパはダブルディスクで2個あるけれど、ブレーキフルード回路としては1系統しかないため)、作業を受け付けてくれるだけでもありがたい、と思い直しました。
<↓作業していただけるだけでも、ありがたい!と感謝しなければ・・・>
お店側にとっては、旧車は作業中にどんなトラブルが付随して起きるか分からないですよね。ターゲット部品以外の周辺部品も劣化していますから。ある部品を分解する際に、手順として先に手前の周辺部品を分解する必要がある場合、その周辺部品が破損してしまう恐れはあるわけです。そういった意味でも、作業を受け付けていただいたことを感謝すべきですね(実際、ナップスでは断られていますし)。
■メカニックさんの気配り
スタッフさん : 「おおよそ3時間ほどかかります(PM5時受付→PM8時に終了の
見込み)、いったん帰宅されますか?店内で待たれますか?」
私 : 「店内で待ちます。作業が終わらず、
明日に持ち越しとなる場合もありますか?」
スタッフさん : 「いや、それはないです。閉店までには終わらせます。」
上記のような会話を経て、私はスタッフさんに
「急いでいませんので、多少の時間がかかっても構いません。」
と お願いしました。作業が完了すれば、店内放送で呼び出しされます。
しかし、閉店時間が過ぎても一向に呼び出される気配も無く。
そのうち店舗の入口シャッターが半分、閉ざされます。
それでもまだ、作業完了の店内アナウンスが流れません。
3時間半が経過したころ、ようやく店内アナウンスが流れました。
メカニックさんのいる作業場(店舗の裏)に直接、CBRを引き取りにいきます。
私 : 「すみません、古いバイクで手こずったでしょうか?」
メカニックさん: 「ブレーキピストンの動きが少し渋めでしたので、洗浄していました。」
私 : 「どうもありがとうございます。ところで年式の古いバイクが来たら、
余計なトラブルが発生しないか、気になったりしないでしょうか?」
メカニックさん: 「いえいえ、ふだんは目にすることのできない車体に触れることが
できるので、勉強になるのですよ!」
私のCBR250Fourを担当されたメカニックさんは、「古いバイクだから」 と敬遠するどころか、「古いバイクだからこそ(貴重で)勉強できる」・・・と言ってくれました。予定外のブレーキピストン洗浄まで実施いただいて・・・。だから整備に時間がかかっていたのですね。
<↓時間がかかった理由は、メカニックさんが親切にも予定外の清掃を実施していただいたため>
その後、店舗はすっかり閉まってしまいましたが、その親切なメカニックさんとしばしの間、歓談。今回の(お店側の)整備内容の相互確認や、(私がDIYで行った)リフレッシュ作業のこと、そして今後 気をつけて乗って欲しいことなどのアドバイスをいただきました。いや~、本当にありがたいものでした。
<↓「状態を確認するため、回収するので捨てないでください」とお願いしていた部品も引き取り>
正直に言うと、旧車のメンテは時間が掛かることを(私自身がDIYで)実感しているので、ショップや整備所に点検に出すことに気が引けていた部分がありました。しかし、「普段、見ることのないバイクに触れることができることが、勉強になる」 と言っていただけただけでも、私も何だか温かい気持ちになれました。
# DIYで自己判断や問題解決できる整備スキルのアップだけでなく、
# 人間能力(周囲の人々への気配り)のレベルアップも重要ですよね。
乗り手である私自身が、DIYで整備するスキルを身につける(レベルアップしていく)ことも重要ですが、たまにはプロに作業を委ねて、そのコメントをいただくことも重要だな、と実感した次第です。
<↓3点セット交換後は、カチっとしたブレーキフィールが復活。ブレーキングも気持ちよく快調!>
CBR250Four との付き合いは、すでに32年以上が経過。
これからもメンテを通じて私自身が鍛えられ、そしてまだまだ愛着をもって乗り続けていきますよ。
次の整備記録ブログは、時期を見て「メインスタンドスプリングの交換」をアップする予定。
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2018-12-25(Tue.) : 更新
[CBR250Four] サイドスタンドスプリングの交換(経年32年の劣化品→新品) をアップロードしました。
Posted at 2018/12/11 03:10:00 | |
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