fcl.さんの 「バイク用LEDヘッドライト(2019年モデル)」 に関するユーザーレポートブログの「その5(最終話)」です。
これまでパーツリスト(1件)、整備手帳(3件)、ブログについても4件をアップしてきましたが、今回のブログはそれらをまとめた「総括」という位置づけです。
◎前回ブログ(その4)は →
こちら(改善提案編)
■意外な伏兵
前回ブログにて、「H4バルブの車両側 固定ピンを寄せ組みする」ことで、「LED用のアダプターリングを装着できない」というプチトラブルを回避した件をお伝えしました。
その後は特に問題も発生せず、交換作業は終了。他車種用を流用したH4バルブ用の防水カバー(ゴムキャップ)も、LED筐体後端の吸気・掃気ファンの開口部を塞がないことを確認したため、結果として切り込みを追加することもありませんでした。
<↓CBR250Fourのライトユニット後方には十分なスペースあり(ただし押しにくい(※後述))>
<↓結果として他車種用の防水カバー流用で大成功。ハーネスは既存の車両金具で固定>
作業自体の難易度は低いのですが、意外に時間がかかった工程は、取り付け後のアダプターリングにLED本体を挿入する場面です。アダプターリングとLED本体の間には、緊迫力を持たせるためのO-リングが装填されているのですが(→ こちら )、その反力が意外に強く、LED本体をロックさせるまでには予想外に時間がかかってしまいました。
その要因として考えられることは、「LEDを軸方向に垂直に押す」ことができず、「LEDを側面で持ちながら横方向に押し入れる」という、作業姿勢上の制約によるものだと思っています。
クルマなどで「ライトユニットを丸ごと取り外してバルブを挿入する」ような場合は、手でバルブを押す方向が挿入方向と同軸であるため、効率良く押し切れます。
しかし今回のように、バイクがカウル付きモデル(ライトユニットを車両から取り外さない)の場合は、LED筐体を後端から同軸方向に押すことのできる(手の入る)スペースがあまりありません。そのため、LEDの後端自体は手でホールドできるものの、側面から保持した状態で「横方向にスライド挿入させるように」力を込める必要があるため、O-リングの緊迫力に打ち勝って挿入させるまでに時間を要してしまった・・・という次第です。
LEDユニットの装着後は各部の取り付け状態を再点検し、夜になって光軸のズレが無いことなどを確認します。問題無ければ、実用に供試します。
■照射特性の比較(LED vs ハロゲン)
ここから先は、すでに比較場所として選定した4つの路面(→ こちら )のそれぞれにおいて、LEDとハロゲンの Low/High の各状態を載せていきます。
・シーン1 : 両側が壁になっており、レンズカットの具合(拡散して漏れてしまう光束の有無)の確認
・シーン2 : 実際に走行している道路環境を模擬(路面の見やすさなどの比較)
・シーン3 : 奥行きのある直線路でLow/Highビームの配光差を可視化するための場所
・シーン4 : 道路ではない環境下での周囲の見え方を比較するための場面
以下、画像左側がfcl.さんの2019年モデルLED、画像右側が従来のハロゲン(H4バルブ、12V60/55W)です。カメラの機能上、ハロゲン撮影に特化するとLEDでは白飛びしてしまい、LEDに最適化するとハロゲン画像が実際の見た目よりも暗化してしまうため、ブログ・その1 で既報の条件に準拠して撮影しています。
<シーン1(Lowビーム) : 両側が壁の道路、レンズカット(or 漏れ光)を確認>
<シーン1(Highビーム) : 両側が壁の道路、レンズカット(or 漏れ光)を確認>
◎ワンポイント・インプレッション(1)
・LED化しても、純正のレンズカットが活かされている(漏れ光は気にならない)。
・明るさについては、特に左右方向での広がりを実感できる(実用的な機能向上)。
<↓シーン2(Lowビーム) : 実際に走行している道路環境を模擬(路面の見やすさなどの比較)>
<↓シーン2(Highビーム) : 実際に走行している道路環境を模擬(路面の見やすさなどの比較)>
◎ワンポイント・インプレッション(2)
・ただ単に明るくなるのではなく、その明るさが均質であることが特徴。
・そのため、路面の舗装状態(凹凸やうねりなど)も事前に認知しやすい。
<シーン3(Lowビーム) : 奥行きのある直線路でLow/Highビームの配光差を可視化するための場所>
<シーン3(Highビーム) : 奥行きのある直線路でLow/Highビームの配光差を可視化するための場所>
◎ワンポイント・インプレッション(3)
・Lowビームでは、明るさの広がりが確実に増している。実用上の左右照射角が向上。
・Highビームにおいても、光束が減衰しないで より遠方まで届いていくイメージ。
<シーン4(Lowビーム) : 道路ではない環境下での周囲の見え方を比較するための場面>
<シーン4(Highビーム) : 道路ではない環境下での周囲の見え方を比較するための場面>
◎ワンポイント・インプレッション(4)
・木と木の間の茂み(ブッシュ)も照らし出している。
・路肩の境界が分かりにくいオフロードでのナイトランでも、威力を発揮しそう。
■実際に走行してみて
次に、都内の道路を走行した際のインプレッションについても追記します。先日、国道20号線を新宿方面から八王子方面に、距離にして約20kmほどの夜間走行をしました。ツーリングではなくショートトリップという感じですが、新たな発見がありましたので、その感想を順序立てて説明します。
<些細なデメリット>
信号待ちの際、自車(CBR)が照らすヘッドライトの明るい光が、前車のリヤゲートやバンパーに反射して跳ね返るようになった。特にタクシーのめっきバンパーや、ダンプトラック(デコレーションVer.)のステンレスパネルの場合、自分が眩しく感じてしまう。
まぁ、これはLEDに限らず高光量ライト全般に言えることですね。信号待ちはごく短時間ですので、問題となるほどではないです。
<新たに気づいたメリット>
これまでの静的な照射特性比較にて、横方向に明るさが広がったこと、それが均一であること、より遠方まで光束が減衰しないで届くこと、を特徴として挙げました。
そして今回、実際にバイクを走らせてみて気がついたことは、「コーナリング中の視界が広がること」です。これは説明を加えないと理解しにくいことですので、以下、順番に概念図を載せます。
まずバイクの基本特性として、走行中は常に車体は上下左右に揺動します。特にクルマと大きく異なる挙動は、コーナリングで車体が大きく「傾く(≒倒れる)」ことです。クルマでもコーナーで車体は傾きますが、バイクの比ではありません。この特性を理解した上で、上記の「コーナリング中の視界が広がること」を説明します。
<↓バイクで走っていて、少し先に左コーナーが近づいてきた場合の例>
例示画像は明るいですが、夜間で周囲が暗いものとして捉えてください。少し先にコーナーが見えてきました。ライダーとしては、コーナーのRに合わせて車体を倒していきます(※必然的な動作です)。
<↓バイクでのコーナリングのイメージ。クルマと異なり、こんな感じです>
次に、従来のハロゲンライトでの路面照射範囲を図示します。コーナリング中でバイクの車体は傾いていますので、ライトで照らされる路面も同様に傾いて照らし出されます。
<↓バイクのコーナリング中でのハロゲンライトの照射イメージ>
この照射範囲がfcl.さんのLED装着によって、どのように変化するか?
・左右に明るさが広がる
・均等に明るい
・先まで明るい
この三大効果を、コーナリング中に当てはめてみたときのイメージ図が下記です。
<↓何と言っても、路肩の境界がクリアに分かるようになる!先も見える!>
バイクではコーナリング中は、車体が傾く。車体が傾くと、ヘッドライトで照らし出される領域も傾く。左右に照射範囲の広いLEDで車体が傾いても、路肩はもちろん、路肩から外側のエリアも照らし出される。コーナーの先も見えるので不安感もない。
以上のストーリーが、前述の「コーナリング中の視界が広がること」の意味です。バイク乗りにとっては、静的な特性はもとより、動的な実用性改善が大きなメリットになる と考えます。
■まとめ
fcl.さんのLEDヘッドライト2019年モデルを装着しての感想、検証結果、要改善点などをまとめると、次のようになります。
◎優れている点
・装着時
(1)筐体がコンパクト化されており、適用車種も多いと思われる。
(2)HIDに対して、装着時の取り扱いが容易(破損リスク小)である。
・Lowビーム時
(3)照射範囲が左右に広がっており、単純に明るいと実感できる。
(4)その明るさは広い範囲で均一であり、路面の状況を読み取りやすい。
・Highビーム時
(5)光束が、文字通り「光りの束」状態となって広く照らす。
(6)光束が、減衰しないでより遠くまで照らし出すイメージ。
・その他(動的評価)
(7)路面の照射範囲が広く、明るさも均一なため、車体が上下左右に
揺動するバイクにおいても、時々刻々と変化する路面状況を捉えやすい。
(8)特に、コーナリング中の路肩(路面の境界)も明るく照らすので、
視界確保により不安を感じなくなる。
(9)上記と同様の理由により、林道やオフロードでのナイトランでも心強い味方になる。
◎要改善点
(1)アダプターについて
車両のヘッドライトユニットに備え付けの「H4バルブ固定ピン」の下端(フランジ押さえ部)が、
LEDアダプターの土手と干渉してしまい、寄せ組みしないと装着できない状態であった。
→ 将来的には、アダプターの量産金型を改修して凹部エリアの拡大を提案します。
(2)O-リングについて
緊迫力が比較的大きく、車両にアダプタ-が装着された状態から
LED筐体を挿入する際に、適用車種によっては素手で力を軸方向
に押せずに挿入に苦戦する。
→ クリアランス見直しによる緊迫力(O-リング圧縮率)の見直し。
→ あるいは、ウェーブスプリングなど反力が小さく(=挿入作業性を改善)
かつ保持力が劣化しない(へたらない)部材への変更の検討。
◎その他
製品情報の展開について
この製品はクルマ用LEDのバイク版、とのことですが、バイク用として
(クルマ用とは)何がどのように異なるのか?の情報があると助かります。
・耐震性を強化しているのでしょうか。
・軽量化されているのでしょうか。
・あるいはクルマ用と同一なのでしょうか。
クルマ用とは違う「何か」があって、バイク用と謳っているのでは?
と思うユーザーが多いと思いますので、バイク用に最適化されているなら
その特徴を打って出すような情報展開(広告上での告知)があれば
より安心できると思います。
以上、ライダーにとって夜間の路面や前方の状況を認識するための視覚情報が増えることで、安全性の向上と疲労の低減が期待できる製品である と評価できます。細かな点(O-リング関係、型割り設計)の改善が進めば、より多くの方々にお勧めできる製品となることは間違いないでしょう。
■備考
最後に、fcl.さんのバイク用LEDヘッドライト(2019年モデル)の関するレポート記事の一覧を載せます。
<モニターレポート(パーツレビュー)>
◎パーツレビュー →
(株)WiNEEDS HOLDINGS バイク用・高光量LEDヘッドライト(2019年モデル、ファンタイプ、H4)
<モニターレポート(整備手帳)>
◎整備手帳・その1 →
fcl.さんのバイク用LEDヘッドライト・(1)製品紹介編
◎整備手帳・その2 →
fcl.さんのバイク用LEDヘッドライト・(2)取付作業編
◎整備手帳・その3 →
fcl.さんのバイク用LEDヘッドライト・(3)効果確認編
<モニターレポート(ブログ)>
◎ブログ・その1 →
撮影条件や設定、撮影場所の検討
◎ブログ・その2 →
LED化に向けた純正部品の事前手配
◎ブログ・その3 →
LED装着前に純正部品の流用可否検証
◎ブログ・その4 →
作業性の改善に向けた ご提案
◎ブログ・その5 → このブログになります。
<関連情報>
・ホンダCBR250Four(MC14型)のヘッドライト用の純正防水カバー
(ゴムキャップ、部番:33126-SA5-951)は廃盤である。メーカーの在庫無し。
・その代わりに、ホンダCB400スーパーボルドール(NC39型)の
純正防水カバー(部番:33126-SE3-003)の流用が可能である。
全項目のアップロード完了までには少々時間がかかってしまいましたが、一連のモニターレポートは上記の通りです。fcl.さんの製品購入を検討される方々の参考になれば幸いです。
このたびは、当方にモニターさせていただく機会を与えて下さったfcl.のナガシマ様を初めとするスタッフの方々や、関連するみんカラのタイアップ企画担当者様、その他多くの関係する方々に対し、この場を借りてお礼申し上げます。
また、毎回の長文にもかかわらず、最後までお読みになったりコメントを入れていただいたり、あるいは「イイね!」を付けていただいた読者の皆様にもお礼申し上げます。
どうもありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted at 2019/03/24 21:34:18 | |
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