今夏、エクシーガの自走で帰省(東京→札幌)と道東観光したときの出来事を振り返るブログを、時系列に沿ってアップロードしている最中です。
そんな中、一つ前のブログ(その3・トラブル発生(帰省の途中でタイヤに異変))にて、「スペアタイヤにマックガードは取り付け不可でしょうか?」 というコメントをいただきました。この件について、新たに補足説明も兼ねて少々書いてみます。
<[2018夏休み] 東京→札幌 自走で帰省・・・関連ブログ>
◎「その1」 は →
「東京→青森→函館」まで/往路編(1)
◎「その2」 は →
函館観光(朝食バイキング→赤レンガ倉庫)/往路編(2)
◎「その3」 は →
トラブル発生(帰省の途中でタイヤに異変)/往路編(3)
※以下、ホイールナットの仕様には 「ねじピッチ(1.25mm/1.5mm)」 や 「使用する工具
のサイズ」 などのほか、「テーパー」 「球面」 「平面」 などといった違いがありますが、
ここでは触れません。あくまで仕様上の間違いが無いとした場合で話を進めます。
■マックガード使用不可、の車種がある
パンクしたときに使うスペアタイヤ(テンパータイヤ)のホイールは、通常はスチールホイール(鉄ホイール)ですよね。最近のクルマでは、スペアタイヤの使用頻度や車体の軽量化などに配慮して 「パンク修理キット」 のみを搭載し、スペアタイヤを標準装備としない場合も増えてきました。でもまだ多数のクルマで、スペアタイヤのホイールと言えば鉄ホイール(通称:テッチン)です。
その一方、自動車メーカーの純正オプションとして、盗難防止用のホイールロックナットが多くの車種で設定されるようになりました。マックガードもその一つです。
しかしながら、カタログ上で 「マックガードはスチールホイールへの使用不可」 を明確に謳っている例もあります。スズキのスイフトやソリオ、ホンダのフィットやNボックス、マツダのAZワゴンなどです。
<↓スズキの世界戦略車、スイフトでの例。スチールホイールにマックガードは使用不可、と明記>
※スイフトで適用外、の情報ソースは
こちら → http://www.suzuki-accessory.com/new_swift/HTML5/pc.html#/page/20
<↓同じくスズキのソリオでも、マックガードはスチールホイールへは使用できないと明記>
※ソリオで適用外、の情報ソースは
こちら → http://www.suzuki-accessory.com/solio/HTML5/pc.html#/page/16
次にホンダのオプションカタログではどのように扱われているのか、見てみましょう。
<↓ホンダの売れ筋・フィットでの例。スチールホイールへの適用は 「×」 の記載あり>
※フィットの情報ソース → https://www.honda.co.jp/ACCESS/fit/security_support/aluminumwheelnut_locknut/
<↓こちらは「Nボックス」。「スチールホイールには装着できません」 と明確に謳われています>
※Nボックスの情報ソース → https://www.honda.co.jp/ACCESS/nbox/security_support/aluminumwheelnut_locknut/
フィットやNボックスでも、「スチールホイールにマックガードは使用不可」 の記述がありました。意外に多いな、という感じです。そのほか、マツダのAZワゴン(OEMですが)も同様です。
<↓マツダのAZワゴンでの例。やはりスチールホイールへはマックガードは適用外としています>
※AZワゴンの情報ソース → http://www2.mazda.co.jp/accessories/info_lib/pdf/az-wagon_0904.pdf
■アフターパーツメーカーのスタンスの例
上記は、スズキやホンダ、マツダといった 「カーメーカーから見た場合の判断事例」 でした。それではアフターパーツメーカー、特にアルミホイールを取り扱っているメーカーは、どのような立場を取っているのでしょうか。例として、SSRの場合を挙げてみます。
<↓SSRブランドのホイールを紹介するページでの注意書き>
※SSRホイールの出典 → https://www.rd-tanabe.com/ssr/guide/caution.html
「アルミホイール装着の際には、常にスペアタイヤホイール取付け用ナット(ボルト)をスペアタイヤと一緒に保管してください。純正スペアタイヤホイールを使用の際には、純正ホイールナット(ボルト)をご使用ください」 とのこと。要するに 「純正スペアタイヤには、社外アルミホイール用のナットを使わないで」 と言っているようなものですね。
なお、アスターパーツメーカーではありませんが、タイヤ&ホイールの量販店でも同じようなスタンスを取っている例もあります。
※フジコーポレーション → https://www.rakuten.ne.jp/gold/fujico/caution/wheel_caution.htm
「アルミホイール使用の際は、常にスペアタイヤホイール取付け用ナット・ボルトをスペアタイヤホイールと一緒に保管してください。純正スペアタイヤホイールをご使用の際には、純正ホイール用ナット・ボルトをご使用ください。」
■マックガードの材質と表面処理
それでは、なぜマックガードは鉄ホイールへの適用が不可、とされているのでしょうか。その理由を考える前に、まずは素性の把握・・・そもそもの材質や表面処理がどうなっているか?・・・を確認してみます。
◎耐破壊性にすぐれる超硬質スチール材
マックガード製品に使われる鋼鉄は、アメリカ製の超硬質タイプ。厳重な品質管理のもとに焼き入れが施され、分子構造、密度が内部まで均一に保たれています。
→ https://www.afterparts.co.jp/mcgard/mcgard-locknut.html
◎Niめっき&Crめっき
主要なホイールロック製品に使用されているニッケル三層メッキおよびクロムメッキが、他社の一般的なナットやボルトに比べて圧倒的に錆に強い。
→ http://www.mcgard.jp/wheel.html
マックガードが鉄ホイールに負ける(例えば、締め付けすると表面が削れてしまう、などの強度上の弱点がある)ことは無さそうです。
■ねじの 「かみ合い長さ」 に要注意!
強度的な問題がないとすると、どうしてカーメーカーはマックガードの鉄ホイールへの適用を禁じているのでしょうか。そのヒントは、実はマックガードの公式WEBサイト内にありました。公式WEBサイトの中に、製品ラインナップを紹介している部分があります。以下はその抜粋です。
◎スタンダードロックナット(貫通タイプ)
ネジ部深さを気にかける必要がない ため、
スチールホイールにもご使用可能、ホイールロックの入門用としても最適です。
→ http://www.mcgard.jp/wheel.html
上の一文(↑)は、実に示唆的な内容が含まれています。
上記を私の言葉で言い換えすると、次のようになります。
「アルミホイールの場合は締め付け部分は厚みがあるのに対し、スチールホイールの場合は薄肉となるため、ホイールから飛び出るスタッドの出代が長くなります。すると(社外の盗難防止ロックナットの類が)貫通タイプではなく袋ナットの場合、ネジのかみ合い長さが足りずに底付きして締め上がらない恐れがあります。」
ここで再び、ブログの最初の方に戻り、スズキやホンダ、マツダの純正オプション設定のマックガードをご覧ください。どれも全長が短めのコンパクトサイズであることが分かります。
つまりカーメーカーは、スペアタイヤの鉄ホイールは薄肉なのでスタッドが(アルミホイールの場合よりも)飛び出てしまう。そのため袋ナットでは、ネジのかみ合い長さが不足して、スペアタイヤが走行中に緩んで外れてしまう危険性を回避させるため、使用不可設定にしていると考えられます。
■純正ナットの場合は?
自動車メーカーが純正採用しているホイールナットは、たとえ純正ホイールがアルミホイールであったとしても、スペアタイヤとのマッチング(締結試験)はクリアしているはずです。つまり、純正ナットは純正ホイールであってもスペアホイールであっても、どちらも組み合わせとして品質OK確認が取れているからこそ、市販していると考えられます。
(そうでなければ、スペアタイヤを採用している時点で、同時にスペアタイヤ用のナットも標準添付するハズです。)
■スバルの場合は、マックガード適用外とは書かれていない
私はロックナットは2種類を併用しており、一つはSTI の簡易版、もう一つはマックガードです。スバルのサイトやカタログをくまなく見ても、どこにも 「スチールホイールには適用不可」 とは書かれていません。
<↓当方が使っているロックナット(2種類を併用する主義)>
スバルが適用不可に設定していない理由としては、次のパターンが挙げられます。
(1)実はそこまで深く考えていなかった。
(2)ホイールが 「アルミ→スチール」 になって肉厚が薄くなり、そのぶんだけ
スタッドの出代が飛び出て 「ねじのかみ合い長さ」 が余分に必要になった
としても、そもそもナットが ショートタイプではなく、ねじのかみ合い長さも
不足しない のでOK確認済み。
後者だとすると、カタログや取説には謳っていないけれども、STI またはSUBARU純正指定のロックナットは鉄ホイールにもアルミホイールにも使えることになります。
<※2018-09-08:追記(↓)>
---------------------------------------------------------------------------------
下記 mogitei さんからのコメントによると、2014年頃からは、スバル純正扱いのマックガードの説明書にも 「スチールホイールには絶対に使用しないで下さい」 との注意書きがあるそうです。
---------------------------------------------------------------------------------
(追記ここまで↑)
そのような目で、改めてエクシーガのスペアタイヤ用の鉄ホイールを眺めてみると、次のことが分かります。これは意図した設計なのか、偶然の副産物なのか・・・?
<↓ホイールの取り付け面に対し、ナットが着座する部分の裾野が持ち上がっている>
「ナットが着座する部分の裾野が持ち上がって」 いると、たとえ素材自体が薄肉であってもスタッドが飛び出てしまうことを防ぐこととなり、したがってネジのかみ合い長さが不足する(緩んでホイールのハズレに至る)ことも起こりにくいでしょう。
■それではなぜ、私は純正ナットに変えたのか
前回のブログ(その3・トラブル発生(帰省の途中でタイヤに異変))では、私はスペアタイヤに交換する際に 「いったんはロックナットを使いかけたものの、すぐに気がついて、車両オリジナルの純正ホイールナットに再交換」 した、と書きました。その理由は、「その他の可能性も含め、なるべくリスクを回避するため」 でした。
他に どのようなリスクがあるか?については、例えば次の項目が挙げられます。
◎現場では、自前のDIY工具もトルクレンチもありません。
そのため、「ロックナットを使う際に、もしも強く締めすぎてしまったら」。
→ ナットが固着して取り外しできなくなるリスクあり。
→ スペアタイヤなのに取り外せなくなったら、さぁ大変。
また、リスクではありませんが、スペアタイヤ自体が 狙われやすいパーツではない ならば、そもそもロックナットを取り付けする 必然性も薄く なります。
■まとめ
上記の事実確認結果から、次のコトが言えるでしょう。
<「スペアタイヤ(鉄ホイール)」 と 「マックガード(ロックナット)」 の関係>
・自動車メーカーが、自ら「適用不可」 として設定している事例あり。
・アルミホイールに対して鉄ホイールは薄肉となるので、その分だけスタッドの出代
が増えてしまい、結果としてナットの 「めねじ長さ不足」 に陥る可能性がある。
・したがって、スペアタイヤを装着する際には,純正ナットとするのが好ましい。
(結果的には社外ロックナットでも不都合が生じない場合もあり得ます。)
・マックガードなどロックナットが 「貫通式」 であれば、基本的にはスタッドと ねじの
かみ合い長さの不足が発生することもなく、どちらのホイールにも適用可とできる。
以上、よろしくお願いいたします。
↓
↓
↓
2018-09-09(Sun.) : 更新
[2018夏休み] その4・「ニセコ→札幌に到着→小樽へ」/往路編(4) をアップロードしました。