
堤 剛(つつみ つよし)というチェロ奏者をご存じだろうか。多くのクラッシック音楽家を輩出してきた桐朋学園大学(音大)の学長にして日本を代表するチェロ奏者である。
その最新CDが今回のブログタイトルにもした
『オリオン』である。
タイトルとなっている『オリオン』は、今回のCDにシューマン、シューベルト等の曲と共に収録されている日本人作曲家 武満徹による作品で、1984年にオーストリア放送協会の委嘱で書かれた曲だそうだ。自分にとっての武満徹は、混声合唱で苦労した難しい曲のイメージが最初に来て、『ムムム』となってしまう作曲家であるが、オリオンの三つ星に題材を得て、幻想的な曲になっている。特に、曲中でピアノの弦を直接指でピッチカートするというところがいかにも現代曲らしい。以前
地元ホールで藤原真里のチェロ演奏で目の当たりにし、印象が強く残っている曲でもある(ピアノ管理者としては、弦を指で触られることにちょっと抵抗感も……)。
さて、その円熟した堤 剛の演奏のすばらしさはもちろんだが、今回わざわざこのCDを紹介しているのは、伴奏者に理由がある。
今回の伴奏者は、20代の若手ピアノ奏者である須関裕子である。堤 剛とは先日の東京文化会館小ホールでの「東京文化開館50周年記念フェスティバル プレミアムコンサート」で伴奏を務めて以来か共演が続き、今回のCDでも見事な伴奏を聞かせてくれている。
私のブログを以前から見られている方は、この須関裕子という名前に見覚えがあるだろう。地元ホールのコンサートでは以前若手のバイオリン奏者で現在留学中の黒川 侑の伴奏を務め、昨年はソロで
『須関裕子のピアノ物語』という解説と演奏のプログラムを弾いてくれた、関わりの深い演奏家である。
彼女は若いのに本当に丁寧でしっかりしている。今回もCDを出したという挨拶だけでなく、私にまでそのCDを届けてくれた。同じくCDを届けられた地元の方と一緒に驚き感心している。いつも手書きの手紙を書かれるところがまた心がこもっている。もちろんメールも使われるが、打ち合わせ等の連絡にしか使われない。
須関さんは伴奏が多いが、ソロではあの小さいからだからは信じられないぐらいダイナミックな演奏をされる。ステージ上では今どきの美人ではなく少し幼い平安朝的美人といった面持ちで、その面でも印象に残りやすいかも知れない。しかしオフではその顔とも少し違う現代的な若い女性らしさもちらとのぞかせる。人としての魅力のある女性だ。
堤 剛との共演でチャンスも広がり、その演奏をより多くの場で聴く機会が出来るであろう。
今後ますますの活躍を期待したい。
Posted at 2012/04/15 11:22:00 | |
トラックバック(0) |
クラッシック | 音楽/映画/テレビ