新車時からワンオーナーで乗り続けている愛機、ホンダCBR250Four(1986年式、MC14型)のメンテナンス記録です。昨年実施した動力伝達系の総入れ替え(多板クラッチなどをMC31型ホーネット250用の新品に置換)に関する備忘録ブログの 最終話 です。
<クラッチ系のO/H関連ブログ>
◎その1 →
クランクケースカバーを開けて現品確認
◎その2 →
同系列エンジンを積む他機種の部番確認
◎その3 →
互換性があると推定した部品の検収確認
■クラッチが切れない!の巻
(※
その3 からの続き。)
MC14型CBR250Fourと互換性があると推定した、(同系列エンジンを積む後継機種の)MC31型ホーネット250のクラッチ系部品一式をホンダのパーツセンターから取り寄せしたあと、まず私自身が開梱して各部品の新品初期状態を画像に記録。その後、「2りんかん」さんに納品して交換作業を依頼しておりました。
数日後、その「2りんかん」のメカニックさんから、当方宛てに電話連絡が来ました。作業完了報告かと思っていたら、まったく違いました。曰く「部品をすべて組み上げたのですが、今度はクラッチが切れません。」
クラッチレバー根元の微調整範囲を超えており、多板クラッチが常に圧着された状態になっている…とのこと(トラブル速報)でした。
■パーツリストを再確認!の巻
メカニックさんからの現状報告(予期せぬトラブル報告)に対し、まずはお礼を申し上げるとともに、こちらでも原因を探るので少々お待ちいただくようお願いしました。
MC14型CBRに設定されている動力伝達系の部品はすべて、MC31型ホーネット250の部品番号に置き換えて発注しています(一部の部品は共通部番にもなっていましたが)。それにも関わらず、何かが不足しているとすると…。
こういうときの対処は「基本に立ち帰れ」です。CBRとホーネットのパーツリストを再度、付き合わせて確認していったところ、原因と思われることを発見! それは、「CBRには設定が無いけれど、ホーネットで設定されている部品があった」のです。
つまり「CBRの後継部品」だけでは足りず、「ホーネット(またはその前段機種のジェイド)で新設された部品」も同時に手配する必要があり、それを見落としていた。…ということになるのです。
<↓MC14型CBR250Four のパーツリストより>
<↓MC31型ホーネット250のパーツリストより>
CBRとホーネットで、同じ部品相当であってもパーツリストナンバー(番号の割り振り)が異なるものがありますが、上記のホーネットのパーツリストでNo.19とNo.20に相当する部品は、もともとCBRには存在していないことが分かりました。
<↓ホーネットには存在するがCBRには設定のない部品…がありました!>
恐らく、クラッチアウターCOMPなど一部の構成部品の「軸方向の厚み」がスリム化されており、その分だけワッシャで厚みの帳尻(軸方向のクラッチパックの全長)を合わせているのだと思われます。
ちなみに、メカニックさんによると「クラッチアウターCOMPは、手に持った感じだとCBR用の方がホーネット用よりもずっと重い(ホーネット用の方が軽量化されている)。」とのことでした。こうした証言も、部品の厚みのスリム化をワッシャで補填していることの補強材料になるかもしれません。
■ホーネット用の部品の追加発注
今回、動力伝達系のメンテ(オーバーホールとして部品を入れ替え)するターゲット機種はホーネットですので、新たに必要だと認識した上記部品も急ぎ追加発注いただき、当方で中身も確認しました。
<↓2種類のスラストワッシャに加え、再利用せずに使い切りとなるロックナットも合わせて発注>
ホーネットで設定されていたスラストワッシャ2種類に加え、一度締めたあとに緩めてしまうことになるロックナットも追加注文しましたが、こちらもCBR用(まだ在庫あり)ではなくホーネット用で注文しました。
<↓(9)スラストワッシャ20×31.5: 90443-430-000、MC31型ホーネット用>
(9)スラストワッシャ20×31.5 のパーツレビューは → こちら
<↓(10)スラストワッシャ22mm: 90451-KCR-000、MC31型ホーネット用>
(10)スラストワッシャ22mm のパーツレビューは → こちら
<↓(11)ロックナット20mm: 90241-KM9-000、MC31ホーネット用>
(11)ホーネット用ロックナット20mm のパーツレビューは → こちら
ロックナットについては、CBR用は4面に切り欠きのある特殊形状(専用工具が必要)でしたが、同じサイズのホーネット用は通常の六角タイプに変更されており、恐らく整備性の向上に配慮したと思われます。
■車両の完成と要注意点
上記の追加発注部品3点を「2りんかん」のメカニックさんに預け、作業を継続いただきました。結果、今度はクラッチが正常に切れるようになり、試運転も問題ないとの連絡をいただいたことから、車両を引き取りに向かいました。
<↓車両の引き取り日は あいにくの雨天でしたが、動力伝達系のO/Hが無事に完了した喜びの方が大きい>
<↓久しぶりに愛機とご対面>
ここで担当メカニックさんと会話させていただきました。CBRの多板クラッチパックを取り外してホーネットの多板クラッチパックを組み込んだのですが、次の点が苦労したこと(要注意点)だ…と伺うことができました。
・クランク軸に対するクラッチアウターCOMPや多板クラッチパック
のスプラインの角度が、CBRとホーネットで微妙にズレていたこと。
・そのため正しいクランクアングルを出す必要が生じ、結局は
カムカバーを外して#1気筒のカム角(上死点アングル)を
合わせながらチェーンを貼り直す作業を行っていただいたこと。
その場で再度、当方から丁寧なお礼の言葉を掛けさせていただいて車両を引き取り。始業前点検を行ってから帰路に就きました。残念ながらエンジン始動後の「軽微なカラカラ音」は解消されていませんでしたが、ホーネット250の動力伝達系(クラッチ系統)部品への総入れ替えは、結果として(目論見通り)無事に実現できたことになります。
<↓ホーネット250用のホンダ純正新品に入れ替え成功。雨天なのでレインコートを着て車両を引き取り>
■その後
翌日、「2りんかん」への入庫前に取り外しておいたカウル類を復元します(※カウルを付けたまま整備入庫すると脱着料金がかかるため、あらかじめ取り外しておいたのです)。
<↓現時点での工賃は不明ですが、当時はカウル1部品の脱着で2千円の工賃が必要、と伝えられました>
<↓世を忍ぶ仮の姿から、見事に復元した愛機・CBR250Fourスペシャルエディション>
その後、クラッチの「慣らし」をしました。あくまで感覚的なものですが、組み換え後、
・走行距離が累計で50~60kmくらいまでは、クラッチのつながりが
シビアな感じ(ストロークに対し、ある地点で急につながる感じ)。
・走行距離が100kmを超えたくらいから、クラッチのつながりに
なめらかさが出てきた(係合に唐突感がなくなった)感じとなる。
・同180~200kmを超えたあたりから、クラッチ操作で「スパーン!」
とクイックにつなげても、ギクシャク感がほとんど出なくなった。
…という感じで現在に至ります。主要部品をホンダ純正の新品に入れ替えできたことで、安心感があります。駆動伝達系は、これであと約30年は耐用することができるでしょう、きっと。
# と言いつつも、車両全体としては「バランス」が肝心なので
# 今度はどこか別の部品群が寿命が近く、「もぐら叩き」的に
# 交換メンテが必要になる可能性が高い…とも認識していますけどね。
※参考整備手帳:まとめ
「MC31型ホーネット250用クラッチ一式の移植…に必要な部品リスト」→ こちら
以上、CBRの「動力伝達系」をホーネットの新品に入れ替えした件の備忘録ブログの最終話でした。ごく少数の(コアな)方々に対しては何らかの参考に、また関係ない方々にとっても「読み物」としてとらえていただけましたら幸いです。
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【ホンダ・CBR250Four と四半世紀】 | クルマ
Posted at
2021/02/24 01:23:01