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ヤナセが国産の中古自動車も
販売するようになった、という話。

私がクルマに興味を持ち始めたのは、中学生の頃だ。まだ運転免許を持っていなかったので、クルマのカタログが欲しくなったときは、もっぱら自転車をこいで各ディーラーに訪れていた。中でもスバルディーラーは、自宅からは数十km離れていたが、片道1時間かけてよく通ったものである。

当時、そのスバルの営業所のとなりにはヤナセがあった。

スバルでは、展示車に自由に触ることができるのはもちろん、カタログも（中学生の私でも）自由に持ち帰ることができた。一方、ヤナセではクルマを見ようとすると、セールスマンが 「遠からず・近からず」 という感じで遠目に見張るような姿勢を取る。カタログも、こちらから言い出さない限りもらえなかった。

同じクルマのディーラーでありながら、ずいぶんと雰囲気や接客態度が違うものだな、と子供心に感じていた。ヤナセは当時、自動車ファンの少年には敷居が高かったような印象がある。大人になり運転免許を取得した私は、残念ながらその後はヤナセの扉をくぐる機会が無いままだ。

レクサスが登場した今、ヤナセの接客はどんな感じなのだろう。

さて、長い前置きはこれくらいにして、今回お伝えするニュースは 「ヤナセが国産中古車の販売を始めた」 というものである。以下、2006年2月17日付け 日経産業新聞の記事の要約である。

◎ヤナセは2月16日、日本メーカー製の高級中古車の販売を始めた
　 と発表した。対象は、新車価格が300万円以上の国産車となる。
　 （従来は、中古車販売は輸入車のみに限っていた。）
◎具体的には、大型中古車販売拠点の 「ヤナセ ブランド スクエア
　 神戸ポートアイランド」 を開設、その中に国産車コーナーを設けた。
◎立ち上がりの販売車種として トヨタの大型RV・ランドクルーザー、
　 高級セダンのセルシオ、富士重工業のレガシィなど10台を展示。

なななんと、同紙によると、ランクル・セルシオと並んでレガシィが 「国産高級中古車」 として販売されているという。レガシィはいつから高級車になったのだ？（＞失礼、関係者殿。） まぁ、グレードによってはレガシィも 300万円を超えるものもあるし、富士重工業ではレガシィをニッチな 「プレミアム・カー」 として販売したいようでもあるのだが。

従来、ヤナセでは、新車販売拠点にて 「下取り車」 として入ってきた国産車をそのまま自社ネットワークで中古販売することはなかった。他の中古事業者に卸売りしていたのだ。だが今回、下取り車として入ってきたクルマを自社で直接販売することにより、保険業務や修理・メンテナンスなど各種サービスの代価を得て収益を増やそうとしているのだという。

つまり、ヤナセが高級車として積極的に中古のレガシィを引っ張ってきたワケではなく、たまたまレガシィオーナーが他車に乗り換えた際に発生した下取り車が、タイミング良くヤナセの国産中古車販売ネットワークに乗った・・・というだけのことだろう。私見だが、中古のレガシィを 「高級車」 と呼ぶには、まだまだ成熟させるべき課題が残っているように感じる。

ところで記事を読んでいて、ふと疑問に思ったことがある。いくら 「下取り車を自社ルートで直販することにより、収益性のアップを狙う」 と言っても、その下取り車が軽自動車だとしたら・・・。ヤナセは軽自動車を 「高級中古車」 としては販売せず、やはり従来同様に他の中古事業者に卸売りすることだろう。

とすると、その線引きはどうなっているのか？ 「新車価格で300万円」 では実にあいまいだと思う。300万円に満たなくても高級なクルマはあるだろうし、逆に300万円を超えても普通なクルマもあるだろう。まぁいずれにせよ、ヤナセに入った下取り車は、ケースバイケースで（自社販売するか、他業者に卸すかの） 「ブランド力」 と問われることになるのだろうね。え？誰ですか？レガシィはレガシィでも、調布市のＫＡＺさんのＢＧレガシィは下取りしてくれないだろうね、なんて言っている人は！