カストロールのエンジンオイル・モニター(エッジ、SN 5W-30)応募に当選しましたので、以下、当方の視点で素直な感想などを述べさせていただきます。
◎モニター製品 : カストロールエッジSN 5W-30
◎モニター車両 : スバル エクシーガtS (2Lターボ)
◎交換前のオイル : スバル純正油 SM 5W-30
(走行距離 約10000kmに達した時点で
今回のカストロールエッジに交換しました。)
■モニターに当選!の巻
いやぁ、応募してみるものですね。今回は無欲の当選でした。CarViewさんからの当選通知をいただいたとき、本当に自分かと驚きました。でも当選したからには、しっかりとレポートさせていただきたいものです。
当選通知から数日後、カストロールエッジ SN 5W-30 が 合計5L、届きました。エクシーガのエンジンオイル交換時の必要油量は、「オイルのみ交換:約4.0L」、「オイルとフィルター同時交換:約4.2L」 とサービスデータで規定されています。4L入りを一缶・・・ではなく、4L+1Lの合計5Lを送付いただいた点に、
カストロールさんの配慮 が伺えます。
<↓フィルター交換時のことも考慮されているのか、4L+1Lの合計5Lを送っていただいた点は好ましい>
パッケージを見ると、「液体チタン配合で改良新発売」「カストロール史上最強のオイル皮膜」 とあります。このへんが、どのように効いてくるのか。その他、「ILSAC GF-5」 の記載がありますので、個人的には 省燃費効果に期待したい ところです。
■事前準備:油温・油圧計の取り付けの巻
せっかくモニターに当選してレポートブログを上げる貴重な機会をいただけましたので、レポートは
私なりの視点 でまとめてみたい。そのためには、単なるフィーリングだけでなく、
定量的なデータ も取得してみよう。
・・・ということで、
オイル交換する前に、まずは手持ちのNS(日本精機) Defi C2メータ の
油温計、油圧計、ブースト計 を車両に取り付けることから始めました。オイル交換の前後で運転条件をそろえて油温・油圧を記録しておけば、交換後の変化をある程度、定量的に比較することができると考えたからです。
<↓一般的なオイルブロックを使用せず、オイルポンプの盲栓と油圧警告灯から分岐してDefiを設置>
<↓Defi C2メータ(ピンクモデル、油温・油圧・ブースト計)をエクシーガtSのインパネに設置した状態>
Defi 設置の作業風景については、ここでは割愛します(後日、別ブログで詳細をアップする予定です)。
なお我が家にはエクシーガと同様、EJ20型ターボエンジンを積む BPレガシィGT spec B (使用オイル:elf 10W-50)もあるのですが、今回、レガシィではなくあえてエクシーガをモニター車に選んでいます。理由は、モニターオイルの製品特徴を考慮すると、
「多人数が乗る」 「街中でのチョイ乗りが多い」 「GO-STOPの頻度が高い」 という使い方をする エクシーガtS の方が、カストロールエッジの効果を
中長期に渡って観察する上でより適しているだろう、と考えたためです。
■オイル交換前:純正劣化油の昇温特性の巻
油温・油圧計を設置したあとは、
オイル交換前の純正劣化油の昇温特性を把握 することにします。純正油での累積走行距離は約1万km。メーカ(富士重工業)推奨のオイル交換インターバルのタイミングに、ちょうど合致しています。
具体的に新旧オイルの定量比較のために計画したことは、次の通りです。
<前提条件>
・なるべく外気温度をそろえる
・エンジンが冷えた状態から始動させる
<計測項目>
・始動後、油温、油圧の値を一定時間ごとに記録する
(アイドリング放置で12分間ほど、定点観察する)
数値を把握して根拠をつかんでおけば、自分のフィーリングのバックデータとなります。・・・まぁ、そうは言っても、最後は人間の官能評価が優先される と思っていますが・・・。
<↓当方の環境下でのサーベイ:お試し計測。Defi C2シリーズの油温計は50℃未満は非表示でした>
本番前のお試しとして、エンジン冷態始動後の油温・油圧の昇温特性を1分間隔で計12分間ほど、記録した結果をグラフ化したものが上図です。ただし・・・よくよく考えると
Defi C2メータの油温計は50℃未満のスケールは非表示 でした・・・(早く気づけよ>オレ)。これでは定量把握できないため、急きょ、パラメータとしてエンジン水温も追加で記録することにしました(トラスト Greddy のインフォメータ・タッチを追加)。
エンジン水温の挙動からエンジン油温の傾向を推定 するのです。
<↓トラストのインフォメータ・タッチを追加。結局、水温・油温・油圧・回転速度・吸入管負圧を記録する>
こうして、冷態始動からのエンジン油温~油圧の関係を 改めてグラフ化したものが下図です。
<↓50℃以下の油温は水温からの推定。アイドリング12分間放置(スロットル操作無し)での昇温特性>
細かくデータを見ますと、油温の上昇が水温の上昇に追いついていない領域がありますが(通常、完全暖機後は 水温<油温 の傾向 です)、これは油温センサの設置部位がオイルポンプ盲栓部であることによる初期応答性が原因だと思っています。
ここで念のため・・・
特定の個人(=私)の限定的な計測条件下での絶対値を云々するのではなく、「同じ土俵で比較したときの変化度合いを定量化(=相対比較)する」 ことを主眼に置いていますので、あくまでもそういった目線での比較になります。
<↓最終的に得たかったデータ : 純正劣化油(SM 5W-30、@走行約1万km)の 「油温~油圧」 特性>
■地下ピットとワンタッチON-OFF切り替えドレンボルトの巻
純正劣化油の基礎データ(と言っても、
アイドル放置時の「油温~油圧」特性 ですが)を計測したあとは、いよいよカストロールエッジへのオイル交換作業です。エクシーガを
自宅前の地下ピット に入れます。
<↓地下ピット(掘り下げピット)に車両を入れ、作業エリアのグレーチングと分解式鉄骨を取り外します>
◎地下ピットの詳細は →
こちら。
<↓オイルのドレンは下抜き方式で。エクシーガを所定の位置に付け、ボンネットを開けて作業準備開始>
<↓左:今回のオイル交換で使用する道具類 右:エクシーガの下廻り。赤色の囲みがオイルパン>
<↓オイルパンのドレンプラグは、ワンタッチON-OFF切り替えバルブ付きのドレンプラグに交換済み>
オイルは下抜きで抜くのですが、私の場合、オイルパンのドレンボルトはスバル純正オプションに設定されている、「ワンタッチON-OFF切り替えバルブ付き ドレンボルト」 に交換済みとなっています。そのため、
オイル交換の際には工具が不要、ガスケットも不要、手も汚さずに作業可能、となるのです。詳細については、以下のページ(既報)をご覧ください。
◎ワンタッチON-OFF切り替えバルブ付き ドレンボルト →
こちら
■いざ、オイル交換の巻
いよいよ今回のモニターオイル:カストロールエッジ(SN 5W-30)に交換します。
<↓まずはオイルフィラーキャップとレベルゲージを緩め、オイルドレン時の抜けやすさに配慮する>
<↓廃油処理パックを置き、あらかじめ用意しておいた計量カップに純正劣化油を300ccほど採取する>
<↓劣化したスバル純正オイルSM 5W-30(走行距離:約1万km後、エクシーガtSにて)の様子>
スバル純正油を通常の使用範囲(シビアコンディションではない、の意)で約1万km、走行したあとの様子は上の画像の通りです。見かけ上はドス黒く変色しておりますが、まだ多少の粘度は保たれており(シャバシャバという状態ではない)、またガソリン臭はほとんどしないです。
次にカストロールエッジSN 5W-30(新油)を同様に計量カップに入れて、色味を比較してみます。
<↓新油で粘度低下がまったく無いためか、混入した気泡が「ダマ」になって混在するが色味はクリア>
それでは抜き取った新旧エンジンオイルを目視比較してみましょう。
・旧 : スバル純正SM 5W-30劣化油 (走行約1万km)
・新 : カストロールSN 5W-30新油(今回のモニター品)
<↓左:カストロールSN 5W-30新油(今回のモニター品)、右:スバル純正SM 5W-30劣化油 (走行約1万km>
このように直接的に視覚で比較してしまうと、いくら純正油に耐力がまだ残っていると仮定しても、新油に交換したくなってきますね。さて、色味などの視覚的な比較をしたあとは、オイルパン・ドレンボルトのON-OFFバルブをCLOSEに切り替えて、フィラーダクトから今回の新油を投入します。
<↓フィラーダクトの周辺に吸油ウェスの類を敷いておき、ジョイフル本田で購入したダクトを接続する>
<↓慎重にオイルを投入。その際、視覚的な比較用にサンプルしておいた約300ccも忘れずに入れる>
■オイル交換後:カストロールエッジの昇温特性の巻
純正劣化油で定量測定したときと同じ要領で、カストロールエッジ(SN 5W-30、新油)のアイドリング放置状態での昇温特性を計測します。
<↓Defi C2メータにはRECモードがあるが最大3分間までしか記憶できないため、手動でデータを記録>
<↓Defi C2メータの表示例(左:始動直後、右:8分経過後)、他にインフォメータ・タッチ、純正メータで直読>
このように、始動直後を含めて1分刻みで EG回転速度[rpm]、吸入管負圧[×100kPa]、EG水温[℃]、EG油温[℃]、EG油圧[×100kPa] を読みとって記録していったものを、グラフ化します。
<↓今回のモニター製品:カストロールエッジSN 5W-30での昇温特性。破線部はEG水温からの推定>
<↓最終的に得たかったデータ : カストロールエッジ(SN 5W-30、@新油)での 「油温~油圧」 特性>
前述の純正劣化油の 「油温~油圧」 特性と比較すると、カストロールエッジは(粘度低下の起きていない)新油でありながら、全体的に油圧がやや低めに出る傾向がある ことが分かります。
現代的なエンジンオイルは、燃費性能を稼ぐために低粘度化(※粘度グレードの中にあっては、規格を満たす範囲内での低粘度化を含む)される傾向があると思うのですが、相反するデメリットとして潤滑性能があります。恐らくカストロールエッジは、この 「実質的な低粘度化」 を実現させるための手段として、チタン配合による潤滑性能の低下を抑止している・・・。
いや、実際にはその逆で、オイルの油膜が薄膜状態となるシビア条件であっても、チタン配合という潤滑性を強化する機能を持たせることができたので、そのメリットを(粘度調整剤などの添加剤配合を見直すことで)低粘度化の実現に回すことができたのではないか? と想像しました。
■実際に走ってみてのインプレッションの巻
モニターオイルに交換したあと、
往復距離で約200kmのツーリング に出かけました。具体的なコースは、東京都と群馬県を関越自動車道を使って往復するルートで、市街地・郊外・渋滞・高速を含みます(登坂は無し)。
ところで私自身は、あらかじめ宣言させていただきますが、「オイル交換後、走り出した瞬間に違いが体感できる」 ほどの鋭い感覚を持ち合わせておりません。むしろ、アフターパーツの交換やオイル交換などで、その違いを なかなか
体感 できない(≒鈍感な)部類の者だと自覚しています。
(※だからこそ、数値による定量的な効果比較をトライしているわけですが。)
したがって、カストロールエッジにオイル交換して 「アレもコレも」 違いを体感できるほどの 「人間分解能」 を持ち合わせていないのですが、確実に気がついたことがあります。具体的な走行シーンで言いますと、「一定速度で走行中、アクセルを緩めたあとの走行抵抗が減る感覚」 が得られました。
「フリクションが低下している感じ」 というのが、一番近い表現 になります。
例えば、市街地で。
約40km/hの一定速度(ATギヤポジション:3速)で先頭を走っているとき、数百m先の信号が赤になったことを認知。ブレーキングの前にアクセルを抜いて慣性走行している際、速度が落ちずにそのまま走っていくような感じ。
例えば、高速道路で。
SA・PAに立ち寄るため、左車線を約80km/h(ATギヤポジション:5速)で走行中にアクセルを抜く。しかし車両は減速感なく(フリクションで速度低下する感じが希薄)そのまま走行を続けていくような感じ。
念のため・・・「減速感が希薄になった」 という感じは、純正劣化油に対してカストロールエッジ(新油)が そのように感じられたという感覚的なものです。決して、そのような走行フィーリングが良いとか悪いとかいうものではありません。ただ私自身は、「エンジン内部のフリクションが低下している感じ」 ととらえました。
■結論
カストロールエッジ(SN 5W-30)をスバル・エクシーガtS(2Lターボ)に投入し、得られた結果は次の通り。
<定量的な評価>
冷態始動後のアイドリング状態で油温・油圧を計測した結果、
(1)スバル純正油に対して、若干ではあるが全般的に油圧が低めに抑えられた傾向である
(2)暖機途上の昇温に優れる(例:EG水温50~60℃の範囲で、油圧は早めに低下方向へ)
<感覚的な評価>
市街地・高速を含む約200kmの距離を走行した際の感想は、
(3)エンジン内部のフリクションが減ったようなフィーリングあり
(一定速度からのアクセルOFF:コースティングで失速感が薄いことから)
<結論>
カストロールエッジ(SN 5W-30)は、省燃費効果が期待できるオイル だと考えます。粘度グレード5W-30を保ったまま エンジン油圧を低めに抑えることで、エンジンそのものの駆動フリクションを抑え、オイル側から車両の走行性能に寄与しようとするイメージ を感じました。
オイル本来の機能である油膜保持性については、チタン配合とのことで、油圧低減によりトレードオフする機能(相反するデメリット)を解消しているものと考えます(カストロールさんとしては、こちらの機能の方が ”売り” だとお考えかもしれませんが)。
そのへんについては、今回の走行では高速・高負荷運転の機会は少なかったため検証できていませんが、「多人数が乗る」「GO-STOPの頻度が高い」 というエクシーガならではの使い方を通じて、燃費や(初期フィーリングに対する)今後の印象の変化有無などについて、興味深く観察していきたいと思います。今後、何か気付いたことがありましたら、ブログで随時、報告する予定です。
以上、長文になってしまいましたが、最後までお読みいただいた方々には この場を借りてお礼申し上げます。また、貴重なオイルのユーザーモニターを企画・立案・実行いただきましたカストロール様、カービューの関係者の皆様方にも、お礼申し上げます。