ホンダCBR250Four(MC14型、1986年式)のメンテナンス記録(始動性改善シリーズの最終話)です。
今回は、もぐらたたき的に発生した故障への対応を経て、症状が完治するまでの話についてです。
◎(その1) → 内視鏡で燃焼室内を観察してみる、の巻
◎(その2) → 点火プラグの交換→思い込みは厳禁の巻
◎(その3) → 原因のつぶし込み・燃料コックが不通の巻
◎(その4) → 点火系の確認→キャブレターOH依頼の巻
◎(その5) → エアクリーナー&キャブレター燃調キット
◎(その6) → 失火対策→ウィンカーLED化→新たな失火
■これまでのあらすじ
ホンダCBR250Four(昭和61年=1986年式)の低温始動性を改善するべく、次の各項を実施。
<DIYにて>
・内視鏡にて燃焼室内を観察
・点火プラグの新品交換
・燃料フィルターの新品交換
・エアクリーナの新品交換
・バッテリーのFULL充電
・#1~#4各気筒の排気管表面温度の時間推移計測
<「2りんかん」 さんに作業依頼>
・キャブレターのオーバーホール
(#3失火の改善)
・#1~#4各気筒の燃焼バラツキの低減
(#3失火解消後の#2失火改善)
いったんはキャブレターのOH(と#3失火現象の解消:経年劣化で脱落していたインマニ負圧ホースの修復)作業を終えて車両を引き取ったものの、今度は#2気筒が失火するという症状が認められたため、再入庫を依頼した。
・・・という内容が、前回ブログまでのあらすじでした。
■再整備中のトラブル・その1
燃焼の気筒間バラツキ(始動直後は点火しているものの、その後に#2が失火する)を解消させるため、キャブセッティングを再依頼している最中に「2りんかん」さんから留守電が入っていました。以下はその要旨です。
◎2020年02月03日(月)
「昨日まで何ともなかったのに、今朝エンジンを掛けようとしたところ、スターターがまったく反応しなくなりました。」
「スターターモーターを車両から取り外して、電源を直結させてみたのですが回転しないため、故障と判断しました。」
「ホンダのパーツセンターに問い合わせしたところ、在庫が最後の4個だけ残っていました。いかがいたしましょうか?」
すぐに折り返しコールバックします。
「純正のスターターモーターを取り寄せしてください。この電話を以て、正式発注の依頼に代えさせていただきます。」
聞くと、価格は3万6千円強する・・・とのこと。ぎょえ~!さんまんえん以上?! でも、まぁ仕方ない。部品が残っていただけラッキー、と思わなければ。エンジンの始動ができないため、部品が入荷するまでの間、整備作業は中断を余儀なくされます。
<↓後日、引き取ったオリジナルのスターターモーター。箱の部番は今回入荷したモーターの部番>
<↓意外にもピニオンギヤの摩耗はほとんど認められませんでした。故障は筐体内部と思われます>
<名称:スターター・モーターCOMP>
・MC14型オリジナル部番 : 31210-KT7-013(ミツバ)
(平成元年=1989年当時の価格で18900円)
・今回手配いただいた部番 : 31210-KBH-900
(2020年02月現在、税込み36630円)
※部番が異なるのは、その後に統廃合されたためだと思われます。
<↓パーツリストより。MC14型、MC17型、MC19型で微妙に部番が異なります>
◎パーツレビューは こちら
→ ホンダ(純正) スターター・モーターCOMP(31210-KBH-900)
■再整備中のトラブル・その2
高価なホンダ純正のスターターモーターを手配いただき、無事に入荷したあとは、中断していたキャブセッティング作業を再開していただきました。が、再度のキャブセッティングの最中に、またまた「2りんかん」さんから留守電が入っていました。以下はその要旨です。
◎2020年02月10日(月)
「今度はスターターリレーの調子が悪いようです。」
「こちらはまだ部品の在庫があります。いかがされますか?」
聞くと、価格は5千円強する・・・とのこと。ぎょえ~!リレー一つでごせんえん以上?! でも、まぁ仕方ない。部品が残っていただけラッキー、と思わなければ。エンジンの始動が不安点なため、部品が入荷するまでの間、整備作業は再び中断を余儀なくされます。
<↓後日、引き取ったオリジナルのスターターリレー。部番は1989年当時も2020年現在も不変>
<↓通算で33年間強も持ちこたえたスターターリレー。外観からは、不調さ加減は見分けが付かない>
<名称:スターター・マグネチックスイッチAssy>
・MC14型オリジナル部番 : 35850-MK3-671
(平成元年=1989年当時の価格で3150円)
(2020年02月現在、税込み5610円)
※MC14型、MC17型、MC19型共用部品。
<↓パーツリストより。んん? よく見ると、構成一式のAssyではなくリレー本体のみ(COMP)でも注文可能>
注文いただいたあとのパーツラベルを見ると、リレー本体のほか、ヒューズやホルダーから成る構成部品一式の「Assy部番(35850-MK3-671)」で手配されていました。単にリレー本体だけの不調ならば、より安価な 35851-MF5-751 の「スターター・マグネチックスイッチCOMP部番」で足りるハズ。
「さては(単品注文による)分解・再組の手間を惜しんだのか?」・・・などと思うようなことはしないで、「(Assy部品の在庫があるうちに)現時点で考えられ得る新品化を施して、今後のトラブルに対する予防措置をしていただいた」・・・と前向きにとらえることにします。
◎パーツレビューは こちら
→ ホンダ(純正) スターター・マグネチックスイッチAssy(35850-MK3-671)
■修理完了のお知らせ
当方から、燃焼の気筒間バラツキが大きい(特に#2が着火後に失火する)ことを指摘して再入庫させていただいたのが、去る1月27日のこと。それからちょうど1ヶ月が経過した2月26日、整備が一応完了したとの留守番電話が入っていました。
「一応の」という意味は、
・できる限りの整備は実施いただいた。
・それでも、アイドル状態では燃焼温度に若干の気筒間バラツキが残る。
・そのバラツキは小さく、再セッティング前と較べると大きく改善した。
・アイドルではなくアクセルを吹かす(=走行する)とバラツキは解消。
とのことでした。
すぐに折り返しコールバックして、同日中に車両を引き取りに行きました。
<↓最初に車両を預けた日は1月7日。整備途中の他部品の故障修理により、それから1ヶ月半以上が経過>
<↓引き取ってすぐにエキパイ(の表面温度)を触診するとともに、灯火類の走行前点検を実施しました>
■引き取り部品の確認
修理を依頼する際には、「消耗品を含め、部品は廃棄しないですべて引き取りますので取り置き願います。」と伝達してありました。以下、持ち込み部品で使用されなかったもの(キャブレター燃調キット)を含め、確認していきます。
<↓キャブOH中に、予期せぬ故障の2連発となったスターターモーターとリレーも引き取りしました>
<↓交換されたスターターモーターと、そのロケーション(車両左側に位置しています)>
<↓交換されたスターターリレーと、そのロケーション(車両右側に位置しています)>

<↓#3インマニと燃料コックを結んでいた負圧ホース>
<↓持参したキャブレター燃調キット(ケース)と、キットの中から使用して交換した部品群(ジップロック)>
キャブの再セッティングの手法を尋ねると、ジェットの#番手を変えたりはせずに、「ひたすら同調を取ることの繰り返し」で「全体のバランス取りを続けた」とのことでした。
「プロだったら、それを最初からやってしかるべきでは?」・・・などと思うようなことはしないで、「各部が経年劣化した古い車種であるにも関わらず、現状に合わせて細かく再度の見直しをしていただいた」・・・と前向きにとらえることにします。
さて「2りんかん」さんに作業依頼した際には、自分でサイドカウルを取り外して、ほぼストリップにした状態で車体を預けていました(※そのまま預けると脱着工賃がかかるため)。そのため、戻ってきたあとは元通りにサイドカウルをセルフで再装着します。
<↓サイドカウルが無いと、みすぼらしい姿です・・・>
<↓これを装着。カウルの片側あたり「ボルト止め1箇所+はめ込み3箇所」で固定されます>
<↓これでようやく「らしい」姿に戻りました>
最後に、バッテリーを再度FULL充電しておくとともに、ワコーズのフューエルワンを適度の量だけ燃料タンク内に投入しておきました。今後は、たとえば数ヶ月おきに燃焼室内のカーボンの蓄積(あるいは洗浄)状態を、内視鏡で定期観察していこうと思います。
<↓全自動充電器で車載バッテリをFULL充電>
<↓ワコーズ・フューエルワンを投入。今後は燃焼室内を定期観察予定>
■備考
以下は自分用のメモ。
<時系列:「2りんかん」さんとの電話連絡履歴>
・2020年01月07日(火)着 工賃訂正連絡受け
・2020年01月18日(土)着発 負圧ホース連絡受け→燃料コックSPR引渡し
・2020年01月24日(金)着発 車両完成連絡あり→引取連絡する
・2020年01月25日(土)発 気筒間バラツキ有りを連絡する
・2020年01月27日(月)発 満タン後もバラツキ有りを連絡&車両再預け
・2020年02月03日(月)着発 スターター故障連絡受け→発注連絡する
・2020年02月10日(月)着発 リレー不調連絡→発注連絡する
・2020年02月26日(水)着発 車両完成連絡受け→引取連絡する
<部品代、工賃>
・キャブレターOH(持ち込み料金): 74800円(←18700円×4気筒)
・燃料タンク脱着工賃 : 1100円
・キジマ耐油2層管105-081内径4mm: 990円
・ホンダ純正スターターモーター : 36630円
・ホンダ純正スターターリレー : 5610円
・再OHとモーター&リレー交換工賃 : 2200円
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合計(部品代・工賃) : 121330円
<修理・整備に要した期間>
1回目: 2020年01月07日(火)~01月24日(金)← 18日間
2回目: 2020年01月27日(月)~02月26日(水)← 31日間
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延べ日数 : 49日間
修理&整備後は、スターターSWの押釦とともに完爆が来るほど軽やかに、エンジンが始動します。キャブのOHだけに留まらず、結果として故障しそうな(あるいは実際に故障した)部品も新品に交換することができたので、費用面では高額でしたが、それ以上に安心を手にいれることができました。
今後も末永く、MC14型CBR250Fourとともに人生を歩んでいこうと思います。