お盆休みにエクシーガ(7人フル乗車+犬2匹同乗+ルーフBOX積載)で、「東京~札幌」 間を往復した際、走行途中でエンジンルームから 「シュー」 という大きな異音が発生。
過給圧漏れの可能性を抽出し、奇しくもユーザー(私)によるDIY、ディーラーによる診断、の両者ともに石けん水を使った目視確認を行ったが、明らかな原因はつかめず。そんな中、インタークーラとエアバイパスバルブの流動音が確認されたが・・・。
◎「その1」 は こちら →
「トラブル速報&工具を使わないトラブルシューティングの実例」。
◎「その2」 は こちら →
「ディーラーによる診断結果の速報」。
■原因の切り分けの巻
ディーラーさんによる診断速報 ;
・異音は再現した。
・目視確認では、部品の組み付け異常やクランプの緩みは見あたらない。
・インタークーラ、エアバイパスバルブ 内部から空気の流動音が聞き取れた。
→ 後日同型品を用意し付替えにて点検させてください。
に沿った形で、手持ちのレガシィ用のエアバイパスバルブ(ABV)をエクシーガに移植して、果たして異音(過給時のシュー音)が解消するかどうかをDIYで確かめることにしました(前回までのあらすじ)。
・エクシーガにレガシィのABVを移植し、異音が解消するか? ← 今回はこの部分の検証
・レガシィにエクシーガのABV現品を移植し、異音が発生するか? ← 次回のブログ予定
(※これらの手法により、ABVに付いて回る固有現象か否かの判別が可能。)
ところでBPレガシィには、PROVAのハイプレッシャー・エアバイパスバルブ(旧品)を装着しているため、実はレガシィ純正ABVは部品庫の中に保管していました。無事に PROVA の製品箱を見つけ出し、梱包材の中から純正ABVを取り出します。
<↓実はBPレガシィにはPROVA製品を、そこそこ多く装着しています。HP・ABVもその一つ>
<↓PROVAの箱の中から、保管中の純正ABVを取り出します。こんな形で再利用するとは>
◎BP5D型レガシィ2.0ターボ・GT spec B(6速MT、280ps)用
純正ABVの部番 :
14471AA130(O-リング込みのAssy)
<↓純正ABVの裏側。中央の円形部分が、過給圧を吸気上流に環流させるためのバルブ>
<↓環流させるためのバルブはポペット弁。通常はスプリングで閉じるノーマルクローズ型>
バルブの傘裏を、スプリングに抗して素手で押してみた(開弁させた)のですが、人間の指先の力では案外キツかった(開弁力が大きめで、あまり開かない)ですね。時間と治具があれば、リフト量[mm] と開弁力[N] を調べることで、スプリングレート[N/mm] が分かる(→ エクシーガとレガシィで開弁特性を比較できる)のですが、今回はそこまでする必要性は低い(or 無い)ですね。
■「エクシーガエンジン+レガシィABV」 の巻
それでは早速、YA5EエクシーガのEJ20ターボエンジンにBP5DレガシィのABVを移植してみます。まずは今後のことを考え、エクシーガのABVに識別のためのペイント(「・」 印)をマーキングしておきます。何せ、ABVはエクシーガ純正とレガシィ純正で外観がほぼ同じですので。
<↓識別用にエクシーガ純正ABVにマーキングを打っておく(ピンク色のペイントマーカー)>
<↓(左):手に持っている方がBPレガシィ純正、 (右):取り外し前のYAエクシーガ純正>
移植作業自体は、取り外しに約30秒、装着に約1分、全体でも2分間と かからない内容です。
<↓両者を比較(上から筐体の全体像を見たところ)>
<↓両者を比較(フランジ内側から傘裏を見たところ)>
レガシィ用ABVとエクシーガ用ABV、外見はソックリですが、実は内部構造に違いがあること(→ 部品番号設定が異なる理由)が次の画像で分かります。
<↓エクシーガ用のABVは、過給圧を吸気上流に環流させるための通路に”絞り”がある>
まぁ、このようなことを確認しながら移植作業が完了。エンジンルーム内に工具の置き忘れなど無きことを確認すれば、あとは実走による検証作業へと進みます。
<↓「エクシーガエンジン+レガシィABV」 の組合せ。果たして「シュー音」は治まるのか?>
■検証結果の巻
「エクシーガエンジン+レガシィABV」 の組合せにて、実走を開始します。特に過激な走行をする必要はなく、停止から踏み込み発進、そして定常走行からアクセルを踏み増しすれば過給域に入るため、「シュー音」 の有無を確認できます。
<検証結果(エクシーガエンジン+レガシィABV)>
・「シュー音」 は解消されなかった。
・ただし、音の発生領域が やや正圧側にズレた。
結論から書きますと、「シュー音」 は聞こえます。ただ、エクシーガ純正ABVのときは吸入管圧力(インマニ圧)が負圧から正圧に転じた直後、つまり 0(×100kPa) を越えたあたりから聞こえ始めたのに対し、レガシィABVのときには、約+0.2~+0.3(×100kPa)の過給域に達した頃からシュー音が目立ち始めます。このあたりの差は、ABVの開弁圧と流量特性(通路内径の絞り)の差に起因するものかもしれません。
もしも異音が聞こえない場合は、「どの運転条件下においても本当に異音の発生が無いのか」 を念入りに確かめる必要があるのですが、今回の検証では 「異音が消えていない」 ことが分かった瞬間に 「ABVは異音の単独犯ではない(=ABVの単品交換だけでは、トラブルが解消しない)」 ことが言えるので、検証を長時間行う必要はありません。気付いた点を記憶して、家に引き返します。
■ディーラーさんとの情報共有の巻
DIYで得られた検証結果 ;
・ABVを新品に交換しても、シュー音が解消する可能性は ほぼ無い。
・よって修理方針が 「ABVの交換」 であるならば、方針の変更が必要。
を 「確認できた事実」 として伝えるため、再度ディーラーさんに向かいます。
そして、またまたサービスフロントへ。
<↓決してクレームではなく、「
確認できた事実を伝達し、共有する」 というスタンスで申告>
上記の検証結果(レガシィの純正ABVに交換しても、シュー音は解消されず)を伝える際に、次のような疑問についても尋ねてみました。
私 : 「実は、ユーザーの関与の仕方に躊躇があります。
果たして今回は ”ありがた迷惑” ではなかろうか、と。」
担当 : 「いえいえ、そんなことはありませんよ。」
私 : 「差し出がましいことをしている・・・のではないでしょうか?」
担当 : 「クルマのことがあまり分からないお客様の場合、我々メカニックに
対して、症状をうまく伝えていただくことが困難な場合がございます。
ですから逆に、このように(我々メカニックが実施しきれないことを)
お客様から情報提供いただけた方が、解決へのヒントとなります。」
要するに、お客様と担当メカニックの間で いろいろな会話ができた方が、情報のやりとりも多くできるので好ましい、というコメントをいただきました。ディーラーさんにとって私自身は、少なくとも 「うざい客」 とか 「めんどくさい客」 と思われていなかったようで、良かったです。
私 : 「エクシーガには今、レガシィのABVが付いています。
もしご迷惑でなければ、メカニックさんに そのままクルマに乗って
いただき、異音が解消していないことを現車確認いただだけます。」
担当 : 「分かりました。いま対応可否を確認してまいります。」
・・・ということで、(言葉だけでは異音再現状況が伝わりにくいと思ったので)現車確認が可能な状態であることを提案させていただいたところ、結果的にメカニックさんにも再度、この仕様でのシュー音を直接、確認いただける運びになりました。
その際、もしも助手席にユーザーである私が乗っていたら気を遣うことになると思い、「私は待機しますので、メカニックさんお一人で、自由に(異音を確認できるまで)乗って来ていただけますか?」 と伝えました。メカニックさんに現車確認していただく間、私はショールームで待つことにします。
■ショールームにて
メカニックさんが戻るまでの間、ショールームの雑誌コーナーで時間を潰すことにします。ふと見ると、何だか見たことがあるような表紙の雑誌が・・・。
<↓(左):充実した雑誌コーナー。自由に手にできる (右):何だか見覚えのある表紙>
<↓手にした自動車雑誌を開いてみる、の図(ここでまた、記事を拝見できるとは)>
<↓いずれもエクシーガ界では有名な方々でいらっしゃいます(いずれもクリックで拡大)>
これらの記事を読みながら、「検証作業として、まだ実施できること(念押し確認)は ”レガシィエンジン+エクシーガABV(現品)” の組み合わせで、異音がするかどうかだな・・・」 と、次なるDIYの動き方(→ 更なるディーラーさんとの情報共有内容)について、自分なりに考えていました。
「その4」 に続く。
(プローバのハイプレッシャーAVBをエクシーガに付けてみる、という追加検証もアリなのです。)
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2017-08-23(Wed.) : 更新
[エクシーガtS] DIYで念押し検証→現品&社外品(過給時にシュー音・その4) をアップロードしました。
Posted at 2017/08/22 01:51:07 | |
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