人が嘘をつく理由は非常に多くある。
誰かの心の負担を軽くするためにつく良心からの嘘もあれば、自分の言動を責めらた時言いつくろう保身のための嘘もある。
嘘をついた本人は、時間が経ったとき、その嘘をどうとらえているのだろう。
後者について自分が経験したことを参照する限り、面白い傾向がある。
・保身のための嘘をつくと、やがて本人はその嘘を事実と置き換えて、事実の方を忘却する。
都合の悪いことは忘れてしまう方が精神的な負担にはならない。自分を正当化する内容は当然自分に都合が良く、これを事実だと思い込めば自分をむしろ「良い人間」に仕立て上げることすらできる。
自分の保身のための苦し紛れの誤魔化しから、他人のために行動した偉い自分像を創り上げてしまったりする。
つまり、自分のために嘘をつく人間は自分にすら嘘をつく。
以前
、『顔を読む 顔学への招待』(レズリー・A・ゼブロウィッツ著 大修館書店)を少し取り上げたが、顔の善し悪しが人々のその人への固定観念による評価と関係が深いことが上げられている。
要するに童顔なり整った顔の人は何もしなくても良い評価を得やすく、整っていない顔の人は悪い評価を得やすい。それ故に前者は『ずるい』行為をしても咎められなかった経験を持ちやすいし、後者は逆だ。それが行動傾向に影響を及ぼす可能性がある。
翻って自分の経験では、外見が可愛らしく大人や年上、異性に可愛がられてきた女性に、嘘を平気でついたり自分の嘘を事実と置き換えて記憶の改変を行う人が多いように感じる。自己中心的な行動が見られる。追及されれば苦し紛れに『他愛のない嘘(行動)だ』と罪を軽く言いつくろう。正直に嘘や罪を申告しようとはしない。
逆にそれほど整っていない傾向の人は、行動で認められようとしている。人に好かれようと良い行動をしたり、正直であろうとする。
それなりにたくさんの人と関わってきた個人的な経験を参照する限り、外見の印象がその人の行動傾向と負の相関が強く見られるように感じている。
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子供を正直で前向きな人間に育てたければ、全てを認めすぎないことだろう。
子供が過剰な自尊心をもつことで、社会的な協調性を獲得しにくくなると言う。
WSJの記事を引用しておく。
2013年 2月 28日 14:14 JST
子どもの褒めすぎに注意、社会的協調性の獲得抑えるリスク
By SUE SHELLENBARGER
最近の相次ぐ研究で子どもを過剰に褒めることのリスクが指摘されている。保護者は、褒めなさすぎと、褒めすぎの間で難しいかじ取りを迫られている。
1歳から8歳までの3人の子どもを持つカーラ・グリーンさんは、「あなたは素晴らしい人間で、何でもできると言われて育ってきた」若い大人に見られるような特権的感覚を子どもたちに植えつけるのを恐れている。だから意図的に子どもたちのエゴを高めるようなことには慎重だ。だが同時に、健全な自尊心は持ってもらいたいと願っている。
肯定的かつ現実的な自尊心を育てることが大事
「エゴを過剰に高めるようなやり方で子どもたちに取り入るようなことはしない。同時に目の前にある困難に立ち向かう自信を身につけてほしい」とニューヨーク市在住のグリーンさんは話す。
心理学者らは自尊心に関するより深く、ニュアンスの違ったとらえ方を確立しようとしている。これは保護者による線引きを容易にさせ得るものとなろう。結論の一部はこうだ。自尊心が低いほうが、少なくとも一時的には子どもたちにとって実際に良い影響がある。また、家の外の世界を軽視するような称賛は害になることがある、ということだ。自分が周囲からどう見られているかについて、思い上がらずに現実的な理解をしている子どもたちは打たれ強い傾向がある。
保護者や教育関係者の多くは従来、高い自尊心が幸福感や成功につながり、それは単にトロフィーを与えたり、褒めたりすることで子どもたちに植えつけられ得ると信じていた。しかしその後、研究者らは自尊心がそういった結果につながらないことを発見した。高い自尊心の一部は秀でた行いの結果から生まれるのであって、その原因からではないからだ。子どもたちの自尊心を過剰に高めることは逆効果になり得る。後に挫折を味わうと、そうでない人よりも落ち込むことになるからだ。
一時的には自分自身のことを悪く感じることも良い影響がある
デューク大学で心理学と神経科学を教えるマーク・リアリー教授とほかの複数の研究者によって行われた研究によると、自尊心は子どもたちが家族や友人、仲間からどう評価され、受け入れられているかを測る尺度、つまり内面の心理メーターのようなものとして機能するという。リアリー教授は、この他人の目に対する敏感さは 人間が社会に受け入れられる必要があったために進化したと指摘する。太古には、社会に受け入れられることが生存に必要不可欠なものであったろう。学術誌「チャイルド・デベロプメント」に掲載された研究によると、仲間に好かれているか、もしくは魅力的に思われているかという周囲からのフィードバックに対する反応として、早ければ8歳頃に子どもの自尊心は高くなったり低くなったりする傾向にあるという。
リアリー教授は「子どもたちは、自分には価値があり、周囲から受け入れられ、愛されていると感じる必要がある」と話す。しかし、一時的には自分自身のことを悪く感じることも良い影響があるという。自己中心的もしくはわがままな振る舞いや、相手を傷つけてしまうようなやり方が、関係を長続きさせる能力、あるいは将来、定職に就く能力を損ないかねないことを学ぶからだとリアリー教授は言う。最良の方法はこの中間だ。子どもたちが周囲の人々との関係のなかで、肯定的だが現実的な自己イメージを構築させる手助けをすることだ。
ジェイソンさんには息子が「人より上だという感覚を味わっていた」ことがわかったという
グリーンさんの夫のジェイソンさんは俳優で専業主夫だが、子どもたちには自分が祖母から教えられてきたことを教えるようにしている。それは「誰もあなたより優れていない。けれども、あなたも他の誰よりも優れているわけではない」ということだ。ジェイソンさんがコーチを務めるサッカーチームで、8歳の息子、ワイアット君が練習中に怠け始めた際、ジェイソンさんはワイアット君が「人より上だという感覚を味わっていた」ことがわかったという。ジェイソンさんはワイアット君をすぐにベンチに下げたという。
その後、ジェイソンさんはワイアット君にこう言って聞かせた。「常にルールに従い、列に並び、注意を払うのが大変なことはわかっている。だが、おまえはルールより優秀ではないし、チームの他の誰よりも重要だというわけでもない」と。息子はうなずき、親子は抱き合った。ワイアット君はそれから練習で悪い態度をとることはなくなったという。
Posted at 2013/03/07 08:45:24 | |
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