野口悠紀雄氏がこんなNOTEを書いていた。
自動車の自動運転で、地価は暴落する
野口悠紀雄
2019/07/19 11:30
自動車の自動運転がレベル5になれば、自動車の利用法は現在とは大きく変わる。
自動車を保有するのでなく、必要な時に無人のタクシーをスマートフォンで呼び、目的地に着いたら乗りしてる。帰りには、そこでまた無人のタクシーを呼ぶと言う使い方になるだろう。
こうなれば、さまざまな変化が起きる。まず、駐車場はほとんどいらなくなる。
現在、都市の面積のかなりの部分が駐車場によって占められている。これが不要になるわけだ。アメリカでは駐車場の海の中に建物があるようなところも多いので、大きな影響があるだろう。
日本でも、有料駐車場が占めている面積は無視できない。これが不要になれば、地価に対して大きな下落圧力が働くだろう。
また、都心部のビルなどでは、地下駐車場が大きな比率を占めている。これも、ほとんど不要になるだろう。ビルの建築形態が大きく変わるだろう。
もう一つの影響は、自動車生産そのものに対するものだ。現在、日本での自動車の稼働率は4.2%程度だと言われている。自動車の利用率が上記のようになれば、稼働率は100%近くにまで上昇するだろう。そうなれば、現在の4%の台数の自動車で済むことになる。つまり、自動車の生産台数は、現在の25分の1に減少することになる。
https://note.mu/yukionoguchi/n/n8c163acf231b
自動運転のレベル5とは、車に運転を任せ、どこでも制限なく走れる状態だ。
そもそもレベル5が実現可能かどうかにはやや懐疑的だが、もし実現すれば、指摘のように社会への影響は極めて大きいだろう。
指摘の通り、自動車稼働率が非常に高くなり、移動はタクシーなりカーシェアリングなりが主流になるため、個人の保有は極端に減るだろう。駐車場需要は大きく減ることだろう。
長く車はステイタスであったが、経済性だけを考えれば稼働時間が短い個人が保有するなどかなり馬鹿げている。特に日本のようにあらゆる部分に高い税金をかけられていては、保有する合理的理由を見いだしにくい。
自動運転を進めているのはIT系ベンチャーだ。大自動車メーカーが占有する市場に食い込むには新技術しかない。大自動車メーカーにとってはこれまでに築き上げた利益構造を破壊される危機にあると言える。
既に多くの日本人にとって、車は実用上のものに成り下がりつつある。収入減少でステイタスを誇れるほど高額なものを買うことは困難になりつつあるし、少子高齢化/人口減少/地方の衰退/人手不足などで移動手段として必須なものになりつつある。
自動車保有へのこだわりがなくなれば、カーシェアリングはますます進むだろう。既に単なる移動手段になった自転車で「自転車シェアリング」が進んできたように。
その延長上に自動運転があるだろう。自動運転する車を保有する人はおそらく少なくなる。その代わり、タクシーなりカーシェアリングで利用するばかりになるだろう。
人口減少を大きく超えて自動車の台数がかなり減り、大きく経済に影響することになるだろう。
実現するかどうかはわからないが、レベル5の世界は、今とは多少異なる経済構造の世界になる。
自動運転車にかけられる税金が極端に大きくなるだろうことも想像できる。結果として利用料金も安いものになるとは思わない。
極端に進む格差社会とどう関係するかを考えるのも意味があるかも知れない。
Posted at 2019/07/19 12:54:22 | |
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