このブログでも以前何度かご紹介させて頂いているピアニスト、實川風さんのコンサートに行ってきた。厚かましくもアーティストご招待で地元の方計4人にて伺った。会場には實川さんのご両親と妹の飛鳥さんの姿も見えた。
3/5(土)、場所は銀座のシャネルにある
シャネルネクサスホール。高級店だけにちょっと緊張する。
今回のコンサートはシャネルが若手演奏家支援のために行っているコンサートシリーズである。
4階にある150人ほどの小ホールで、小ぶりなスタインウエイが置かれていた。正面は大きなガラス面となっていて、松屋銀座が見えるが、コンサート時にはガラス壁に組み込まれた暗幕でおおわれている。
普段新作コレクションの発表などを行うための空間であり、天井の照明機材もスタジオ風。小型のダウンライトが格子状に数多く埋め込まれ、お洒落な空間を演出している。一緒に行った照明機材会社の方によると、ここの照明デザインをした方は元音響設計の出身だという。そんなこともあるのだと驚いた。
そのホールの音響は電気音響を意識したもので、残響は少ないが、ガラス面の反射がきつい。ピアノ自身も音が堅かったのかも知れないが、ちょっと聴き疲れする。
實川風さんは、先日のショパンコンクールにも出場。惜しくも二次予選には進めなかったが、詳しい方によればFAZIOLIを選ばなかったのが敗因の一つという。彼は私の地元の幕張ベイタウン・コアでFAZIOLIを弾き、大変気に入っていた(輸入元ピアノフォルティの調律師で、ショパンコンクールに持ち込まれたFAZIOLIの調律を担当した越智晃氏ともピアノについて熱心に話していた)のだが、やはり本番では慣れたスタインウエイを選んでしまい、アピールできなかった様だ。
今回の演奏はというと、今回ドイツもの3曲。
<モーツァルト>
幻想曲ニ短調 KV385g(397) (未完、補筆完成:實川風)
<ベートーベン>
ピアノソナタ第13番「幻想曲風」 変ホ長調op27-1
<R.シューマン>
ピアノソナタ第1番 嬰へ短調Op.11 ※全楽章
未完の曲に書き足して演奏した、その補筆部分は大学でモーツァルトの演奏を学んだ際に進められて書いたものという。その解釈にはさまざまあるだろうが、實川さんのはがらりとかわって大胆な印象。全く新規なものではなく曲の部分を活かしたものと言うが、こういうものがあってもいいのだろう。
シューマンのピアノソナタは、解説が面白かった。反対されたクララとの結婚が裁判を通じて成就するまでが描かれた作品と言うが、「躁鬱」「発狂」という言葉を使うほど、ドラマチックな曲でありそれを表現した演奏であった。
帰りに我々4人で實川さんと少しお話しし、再度のコアでの演奏の話をさせて頂きながら、握手をさせて頂いた。柔らかい手であった。
Posted at 2011/03/06 06:26:55 | |
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