
ドナドナされて行ってしまった……といっても、車ではない。
真っ赤で、ちょっとおおきいけど、とっても働き者。汚れた洗濯物も文句一つ言わず綺麗にして、ふわふわに乾燥までしてくれる。
うちで長く活躍してきたサンヨーのトップオープンドラム式洗濯乾燥機なのである。
とっても気に入っていた子だけれど、お別れになってしまった。
どこも壊れていなかったのに……。
というのも、この製品、リコールがかかってしまったからなのだ。
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実はサンヨーは家庭用洗濯機の老舗。たらいと洗濯板の重労働から解放しようと日本初の噴流式洗濯機を発売している。安価でそれまでの丸形撹拌式と異なり生地を傷めにくく、角形で場所をとらない画期的な製品だったそうだ。以来「洗濯機のサンヨー」と呼ばれるようになる。
デザイン学/デザイン論 ーカ・カタ・カタチ・カチ
1953年8月28日 国産1号 噴流式洗濯機 三洋電機 SW-53
SANYO 洗濯機事業50年の歩み
サンヨーというとどちらかというと二流メーカーのイメージが強いが技術力は高い。OEMなど表に出ない製品でトップシェアも多く「縁の下のサンヨー」とも呼ばれるそうだ。
「洗濯機のサンヨー」がその意地をかけて開発したのが、トップオープンドラム式洗濯乾燥機だ。
ドラム式はかがんで横から出し入れをするので扱いにくいが、洗濯物が痛みにくく、乾燥機能も持たせやすい。
普通の洗濯機のように上から出し入れできれば使いやすいというアイディアで開発された、それまでにないタイプの洗濯機だった。

2002年の発売後瞬く間に人気商品となり、限定カラーバリエーションも発売されるなど、かなり異色な洗濯機となった。後継製品も2006年まで作られた。
東芝からも後追い製品が出た。
トップオープンであるために、蓋を開けて洗濯物を追加したくても、ドラムのオープン位置を上に向けるのに時間がかかり待たされるなど、イメージほど使い勝手がよかったとは言えない。
それでも、可愛らしく、入れればそのまま乾燥までしてくれる頼れる働き者で大のお気に入りだった。
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しかし、このシリーズは他にない構造故か発火事故が起こってしまい、点検・修理・部品交換を行う。しかし、修理の不良があったり、別な原因で発火事故が起こる。
結局3回のリコールとなり、最終的に初期製品については対策を行うと振動が大きくなるなどから製品交換となってしまった。その数は166,098台。これらリコールはサンヨーの経営に大きな重しになったようだ。
一昨年に交換がアナウンスされていたのだが、うちではなかなか在宅できず交換が延び延びになり結局今年の3月になってしまった(その間に交換機種は1世代変わってしまったらしい)。
気に入っていたもので、うちでは何のトラブルもなかった機械で、正直手放すのは悲しい。代わりの子は今どきの長身で斜めドラムの真っ白な子。トップオープンの子みたいな特別な子ではないのも悲しい。洗濯機の周辺は赤色に合わせてコーディネートしていたし。
でも、放置もできない。リコール交換だからメーカーは交換原則で、応じないわけにも行かない。それにすでに10年近くたっていていつ壊れるかも知れないし、壊れたら修理には応じず交換になるだろう。
今年初めに心を決めて連絡を取り、実際に交換になったのが先週のこと。
沢山写真を撮り、見送った。
ゴメンね。
そして、あたらしい白い斜めドラムの子、君にもサンヨー独自の機能が詰め込まれているよね。これからよろしく。
プレスリリース おしらせ
http://jp.sanyo.com/info/products_safety/090918-01.html
http://jp.sanyo.com/news/2009/09/18-3.html
※サンヨーは経営不振からパナソニックの子会社になっています。ブランド名も一部を除きやがて消えてしまうようです。お米からパンを作る、予約受付すらも一時停止するほどの空前のヒット商品「GOPAN」は消えゆくブランドの意地でしょうか。
地震と原発ばかりだったので、ちょっと目先を変えてみました。
Posted at 2011/03/26 12:05:29 | |
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