プジョーのディーラーでのオイル交換・・・・・はあっという間(15分間ぐらい)に終わったのだが、その間にRCZの試乗をさせて頂いた。
(ありがとうございましたm(u_u)m)
■Peugeot RCZ (ABA-T7R5F02)
6速AT(アイシンAW)
車両重量: 1350[kg]
1.6L 直4ツインスクロールターボ
最高出力: 156[ps]@6000[rpm]
最大トルク: 240[Nm]@1400~3500[rpm]
ボア×ストローク: 77.0×85.8
コモンレール式直噴
圧縮比:10.5
タイヤ: 235/45 R18 コンチネンタル製ContiSportContact 3
●エクステリア
発売前のコンセプトモデルの頃は写真を見て、
「うわ、モロにTTクーペのパクリ?バッタもん?」
とかなり嫌悪感を頂いた。
また、
「Audiとプジョーはルマンでもデッドヒートを繰り広げているケド、市販スポーツカーでもガチンコかあ・・・」
・・・・とか思ったりしたもんだ。
ところが、市販されて、ディーラーの前に置いてあるRCZを生で見かけるようになって、
「おお、カッコイイではないか!」
「確かにTTとカブるケド、テイストは違うなあ・・・」
・・・と、ちょっと好意的になった(随分前の話だが)。
なんともグラマラスではないか。
バブル期にはクルマは「よりグラマラス」な方向を模索していた(特にマツダあたり?)が、最近は一部の超高級車を除いてそういう傾向がないので、RCZの表現は新鮮。
サイドビューもレーシーでカッコイイと思う。
フロントオーバーハングの処理が少し微妙だと思うが、FF車のメカニズムからするとかなり頑張っているのではないだろうか。
お尻と、ルーフの凹型もグラマラス!
ただし、テールのデザインはレクサスSC430に酷似している。

SC430の場合、そのテールのデザインが少しジャガーっぽい英国車を連想させるのだが・・・・。
SC430のテールのデザイン自体、なかなかカッコイイと思うのだが、SC430を見るたびに思うのがデザイン上、タイヤハウスの処理で大損している点。
タイヤ・ホイールを強調したデザインなのに、タイヤが思いっきり「ツラ内」で車高も高いので、なんとも不格好なのだ。
このあたり、RCZは「ツライチ」とは言えないが、ノーマル市販車としては合格ラインだと思う。
凹形のルーフは、見た目だけでなく、車室内の居住性に貢献しているとのこと(確かに車室はゆったりしていた)。
また、ピラーのシルバー部は、以前から「プジョーお得意の剥げてくるシルバー塗装では??」と疑っていたのだが、きちんとアルミのヘアラインだった。
ここは重要。
●インテリア
プジョーらしいシンプルでセンスの良いデザイン。
天井からドアからダッシュボードから、質感も文句無し。
しかし・・・・プジョーとアウディの内装デザインはどんどん酷似していってる。
カタログのジャケ写真のグレースケールな処理なんかも酷似。
個人的にはプジョーがアウディを追いかけている印象だが・・・・(反論歓迎)。
レザーのシートは良い感じ。
ヒーター内蔵みたいで、お尻が温かい。
たぶんシートは重いので、フルバケに換装したらかなりの軽量化が実現できそう。
左足ブレーキは違和感なく行えるペダルレイアウト。
●エンジン
有名な、BMWとPSA共同開発の1.6L直噴ターボ。いわゆる典型的な「ダウンサイジング過給」。
「共同開発」って言っても、かなりBMW寄りなんだろうか?
営業さんは「ツインスクロールターボにより1400rpmから最大トルクを発揮」とおっしゃっていて、これに間違いもないと思うのだが、低速トルクがシッカリあるのはターボの設定だけでなく、77.0×85.8というロングストロークもかなり貢献しているんだろう。
「低速から締りのあるトルク感」だが、ダウンサイジング過給エンジンて、個人的にはそれと引き換えに「芯はあるケド、カリカリ感、線の細さ」が付属してくる印象なのだが、このエンジンは、「カリカリ感」がなかった。
悪い意味ではなく、あまり「芯」を感じなかったので、「線」も感じず、結果として「細さ」を感じなかった。
かと言って、「芯」がないから締りのないボケた感じかというと、そういうワケでもない。
うーん・・・・
説明は難しいのだが、とにかくスムースにキレイに回っていた。
直列4気筒の雑味も皆無で(これはターボだから・・・というのもあるのだろう)、そのクオリティの高さには感心した。
うん、
Z4試乗で体験した直6直噴ツインターボのミニチュア版的なフィーリングかも。
さすがにトルクは全く比較にならないが。
アクセルをベタ踏みすると、加速するが、正直そんなに速いとは思わなかった。
「そこそこ」「必要十分」という感じ。
レッドゾーンまで回しても、VTECや、EJ20ターボなんかのカタルシスはない。
せっかくのターボだケド、空気をたくさん吸ってる感じはしない。
ものすごく良くできたエンジンだが、スポーツエンジンって感じはしないなあ。
小径タービンがどうの・・・というより、結局はロングストロークがダメなんだろう。
●ドライブトレイン
アイシンAW製の6速トルコンAT。
正直、「トルコンかぁ・・・・」とガッカリした。
イマドキの欧州のスポーツカーなので、MTじゃなくても、当然AMTだと思っていたので。
営業トークとしては
「アイシン製の6速ATだからかつてのプジョーのATとは違うんです!」
というアピールで、
「ええ、307SWのトルコンATはサイテーですよね」
と素直に答えてしまった(笑)。
営業さんのアピールするとおり、プジョーに搭載されているトルコンATとしてはそれはそれはクオリティアップしていた。
Dモードでもベタ踏みすればキッチリレッドゾーンまで引っ張る。(ここでキックダウンされて、ターボラグではなくキックダウン時のラグが生じるのがとても残念)
マニュアルモードで操作してみても、変速時に、307SWのように2テンポ遅れて激しいシフトショックが・・・なんてことはなく、レスポンスも良く、シフトショックも小さい。
営業さんは
「BMWやアイシンなど他社の技術の寄せ集め(・・・とちょっと恥ずかしそうに)ですが、そのぶん、信頼性はかなり向上しています」
と。
他社技術の寄せ集めはそんなに悪いことでも恥ずべきことでもないと思う。
トヨタみたいに、ほんの一部の車種以外は基本、他社に丸投げでバッジだけ付けてる会社だってあるワケだし。
ホンダみたいに社内開発比率がやたらと高い方がレアだと思う。
エンジン+ドライブトレイン合わせてのフィーリングとしては、初代TTの1.8Lターボと較べ、キレイに回って扱いやすいケド、特徴がなく、遅いし退屈だと思う。
昨夏に改めて乗った実家のTTクーペはローギヤードにより、街乗りでは本当に過激に速かった。
RCZはスポ根ではなく爽やか系なのだ。
●ボディ・足回り
非常にバランスが取れている印象。
剛性感はあるケド、「重たい」感じはなく、適度に軽快感がある。
フワフワせず、シッカリとした足だが、CRZのような「ドッシリ過ぎ感」もない。
シッカリした足だが、ハーシュネスはなく、かと言ってインフォメーションが希薄過ぎるワケでもない。
高度にバランスが取れていて、それゆえ「薄味」とも言えるが、本当にクオリティが高い。
ここでも
RCZはスポ根ではなく爽やか系なのだ。
さすがに試乗で、高速からのハードブレーキングとかは試せなかったのだが、強めのブレーキングでの前荷重移動は少しピッチングが大きすぎる気がした。
タイヤはコンチネンタル製ContiSportContact 3 。
235/45 R18。
詳しくないんだケド、S-Driveとかみたいな、スポーツとコンフォートの間ぐらいの設定なのかな?
ハイグリップラジアルのようなコンパウンドでのグリップ感はなかった。
非常にバランスが取れた足なので、タイヤをネオバとかに換えてしまうだけで、スプリングレートとかボディ剛性とか一気にバランスが崩れてしまいそうだ。
私はチューニングによってバランスが崩れてもそのプロセスによって学べることの多いとを重要視しているので、ノーマル厨が嫌いなのだが、このRCZのバランス感覚はノーマル厨の肩を持ちたくなる。
パワー的には18インチホイールを回しきれてない気もするが、このクルマのデザインの方向性からして、17インチへのインチダウンは全てが台無しになってしまうように思える。SC430のように。
●総評
全角度でクオリティ高かった。
全角度でバランスが取れていた。
全角度でスポ根ではなく爽やか系だった。(見た目は、「爽やか」というより、ちょっとクドくてエロいケド)
私はFFが苦手で、スポ根なクルマが好きなので、「1.6Lターボ~2.2L NA クーペ」というジャンルだったら、今まで乗った中ではS2000なんかの方に魅力を感じるが、
・メカヲタじゃない人
・スポ根じゃない人
・ファッションでクルマに乗りたいオシャレなオジサマ
・エロいデートカーが欲しい人
・600万円以上のクルマには抵抗のある人
・仕事のできる人風を演出したい人(ただしスーツ系のおしごと)
・TTクーペ2代目が街に溢れかえってるので見飽きてる人
・デブ禁止
・コンサル系イケメン(ヤな感じの人が多いが)
なんかには本当にオススメできるクルマだと思った。
・・・・なんかバカにしているように見える文章かもしれないケド、バカにしてないです。本当に良いクルマだと思うし、乗ってる人は本当にスマートでカッコイイと思う。
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