
発売されたばかりのインプレッサ STIに乗ってきました。
諸元を見ると、GHインプは、STIはGRBという型式のようだ。
Subaru Impreza WRX STI
型式:CBA-GRB
エンジン型式:EJ20
エンジン:2.0L DOHC 16V デュアルAVCS ツインスクロールターボ
圧縮比:8.0
最大出力:308[ps]/6400[rpm]
最大トルク:43.0[kg・m]/4400[rpm]
トランスミッション:6MT
車重:1480[kg]
新STI、一週間ほど前に届いたDMも、WEBサイトもイケてて、かな~り楽しみにしていた。
ディーラーにて、実車(ダーク・グレー・メタリック)を見て、
「おお、カッコイイではないか!」
かなり気分は高揚。
フロントグリルのSTIエンブレムも過去のものとは違う質感になっている(質感は悪くないが、個人的には樹脂ではなく七宝や金属がよかった)。
リアには、かなりデカい「STI」のエンブレムが強烈な自己主張。
熱抜きは今回からかなり対策されており、
先日ブログに書いたインタークーラのエアインテークポート改良のほか、フロントバンパーに吸気穴、フロントフェンダーのホイールハウス後方にエンジン熱の排気穴が追加されている。
また、インタークーラは横にかなり長い大型のものとなっている。
あと、エアインテークは一見塞がれているように見せかけて、塞いでるグリルには通気孔を設けてあったりして・・・・なかなか工夫されている。
ECUをイジり、ロギングをしていると本当によくわかるのだが、ターボエンジンのチューニングは常に「熱との闘いである」。
熱対策でないと、過激に触媒に負担がかかるため、燃調をオーバーリッチにし、燃料による冷却という非合理な手段を取るハメになる。
出力空燃比A/F値12.0以下のオーバーリッチは、燃費が悪い、トルク下降、フィーリングも悪い(締まりがなくなる)と良いことがない。
BL・BPレガシィはエンジンルームの熱抜きがよろしくないため、渋滞や夏場での吸気温度上昇で露骨にフィーリングが悪くなる。
そんなこんなで、新型インプSTIの熱対策はかなり羨ましい。
タイヤは245/40R18という幅広になっている。パッと見はわからないが、ステアを切った姿を外から見ると結構なインパクトである。
試乗待ちの間、カタログを熟読していたのだが、新機能として「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWD」というものが採用されている。
電子制御LSDを3モード(オーバーステア寄り、オンザレール、アンダーステア寄り)切り替えられるだけでなく、「MANUALモード」としてLSDの差動制限力をロックからフリーまで6段階で任意で設定できるモードが存在する。
これは羨ましい。
さて、試乗レポート。
まず座ってみて。
試乗車のシートはオプションのレカロではなく、純正バケット。
自然な感じで良いが、
GDインプレッサ G型 STI試乗時のシートの感触に感激したときのような感激はない。
内装のデザイン・質感などは、GDインプとは段違いで向上していて、なかなか良いが、
先日試乗したRX-8のスポーツカーとしての「コックピット感」と較べると、純粋なスポーツカーとしてのワクワク感は物足りない・・・・が、あのコックピット感はRX-8が特別なのであって、GRB STIの内装が悪いわけでは決してない。
走らせてみて・・・
基本フィーリングは、STIとは言え、基本的に
以前試乗したGHインプレッサ S-GTの延長戦上にあると思った。
しなやかな足、コクコクと気持ち良く入るシフト、スムースに吹け上がるエンジン、レガシィよりも乗り心地がよい(いや、BL・BP D、E型はこんなもんか?)。
もちょっとスパルタンな物になると思っていたが、肩透かしを喰らうぐらいにソフトな感じである。
ただ、それでも踏み込めばターボラグなしで一息でレブまで吹け上がる高レスポンス、エンジンのレスポンスに車速も軽やかについてくる。
インターフェースがレガシィと極めて近いからあたり前だけど、はじめて乗るクルマだけど、ヒール・アンド・トゥは当たり前のように決まりまくる。気持ちよい。
車重は1480[kg]とうちのB4よりもスペック上は少し重いが、動力系とのバランスが取れているのだろうか、軽やかに感じる。
コーナリング時などは、「ハッチバック化によりオーバーハングを切り詰め」という謳い文句に嘘はなく、レガシィでの重たいオーバーハングを振り回している感覚は皆無である(私は、そういう振り回し感はむしろ好きなのだが・・・)。
気持ちよく曲がる、回る。
ECUをイジってる私としては、エンジンフィールがとにかく気になるのだが、「ああ、うちのB4のECUはイイ感じで仕上がってきてるな」と思えるぐらい、現状のB4と近いフィーリングだった。
GDインプレッサ G型 STIほど硬質な感じではなく、低回転域・低負荷域から太めのトルク感があり、踏めばすぐに応える。
ただウチのB4は高回転域が現在カリカリしたフィーリングなので、まだ詰める余地はあると思う。
GDインプSTIのECUのマッピングはレガシィに較べてかなり過激なものなのだが、同じEJ20ながら、タービンが違うだけでなく、圧縮比が
インプレッサ:8.0
レガシィ:9.4
と、インプの方が圧縮比の面では低効率としながらもノッキングマージンを十分にとっているので、点火時期やブーストで無茶をしている。
そういう意味では、レガシィのECUをイジるのに、迂闊にインプをマネるとロクなことにはならないので、あくまで「カーブ(特性)」のみを参考にしながらセッティングすることになる。
今度のGRBインプレッサSTIは、ツインスクロールターボとなっているが、たぶんレガシィのものとはまた違うんじゃないかと思う。
そして、圧縮比は先代と変わらず8.0である。
どんなマジックで
最大出力:308[ps]/6400[rpm]
最大トルク:43.0[kg・m]/4400[rpm]
という数値を出しているのかわからないが、
GDインプレッサ G型 STIの以前の試乗記で書いたように、メーカ製のカリカリのチューンドカーっぽさ(つまり、ムリ・無茶している感じ)は新型には全くなく、かなりのゆとりを感じる。
以上のように、新型インプレッサSTI、先代のような過激さ、チューンド感とは無縁である。
ノーマル状態で「過激さ」「血沸き肉踊る感」を求めるユーザには「これは違う」という感想になる可能性が高い。
私は、最近ECUをイジっていて、常にノッキング、熱などに細心の注意を払いながらのチューニングをしているので、新型インプレッサSTIの「ゆとり感」はイイな、と思う。
ノーマルの時点でクルマに無駄に負担がかかっていないのは絶対に良いと思う。
過剰演出はないが十分に速い。そして、イジれば、確実にまだまだ速さ、過激さは得られると思う。
チューニングカーのベース車としてはとてもイケてると思う。
当然、WRCのベース車としても同じだと思えるので、スバルの反撃が楽しみである(ラリー・ジャパン、結果は残念だったけど、ステージベストを幾度もソルベルグが叩き出していたのはウレシイ)。
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