■Legacy Touring Wagon(BR9)
試乗してきた。
試乗車としては、
・ツーリングワゴン、2.5GT Lパッケージ、AT
・B4、2.5i Sパッケージ、CVT(リニアトロニック)
の2種類があり、かなり迷ったが、やっぱりターボモデルに・・・ということでツーリングワゴンの方に。
●エクステリア
発売前はかなり不評だったエクステリアだが、実物を見るとそんなに悪いもんでもない。
BP・BLをサイズアップし、北米市場向けにするとこんな感じなんだろうなあ・・・という印象。
・・・もっとも、国内で不評を買っているのは、サイズアップしたことと国内市場を重要視してないから、なのだが・・・。
私個人としては、BL5Aに乗り続けるつもりなので、北米市場だろうがなんだろうが、結果として新型レガシィがたくさん売れて、スバルが元気であってくれればそれで良い。
ワゴンの斜め後ろからのエクステリアはガッチリ感があって割と良いと思う。
走っている様は更に良い。
ただし、アコード、シトロエンC5、アテンザ、アウディA4など、同じクラスで魅力的なデザインのワゴンがたくさんある中で、BR9レガシィ・ツーリングワゴンのエクステリアに独自性・優位性は感じられない。
BM9 レガシィB4のリアビューも巧くまとまってはいるが、Cピラーの形状、テールランプの意匠など、BMWや日産車などとの区別がつきにくく、没個性的だ。
先代BL レガシィB4のリアビューは、アウディA4(B5)などに影響を受けた感はあるものの、かなり美しく、アイデンティティを確立できていたので、キープコンセプトとならなかったのは残念だ。
新型レガシィは、RX-8やアテンザのように、フェンダーにアーチ処理をすることで、ホイールハウスを強調するデザインとなっている。
ホイールハウス=タイヤを強調するデザインは近年のトレンドで、その方向性自体は私も好きなのだが、この手のデザインはかなり大径ホイールを履かせないと、タイヤが非常に小さく見えてしまい、アンバランスとなる。
「コンセプト・レガシィ」ではかなり大径ホイールを履かせていたので違和感がなかったが、市販モデルは・・・・。
18インチモデル(Sパッケージ)はそれなりに見えるが、レクサスGS450hなどのように19インチを履かせて、少しローダウンし、更にツライチ化した方が見た目のバランスは取れるように思う。
ツーリングワゴンの、リアバンパー一体成型のマフラーカッター。
丸いマフラーカッターの中をのぞくと、小径のマフラーがちょこんと入っているのが見える。
マークXやレクサスLSを参考にしているのだろうか?
意欲的なアプローチは好ましいが、間近でじっくり見ると少し間抜け。
サイドミラーの真四角っぷりはかなりカッコ悪い。
Dセグセダンの中でも群を抜いてダサいのではなかろうか?
●インテリア
私が試乗したLパッケージは、ウッドを使ったオジサマ臭い仕様。
高級セダンとして割り切れば、そつなく良くまとまっており、センターコンソールもヘアラインっぽい仕上げとなっており、そんなにツッコミどころは少ない。
が、BL・BPに至るまでのレガシィのスポーツセダン、スポーツワゴンとしてのインテリア・テイストは皆無となってしまった。
良くまとまっているが、エクステリア同様、没個性的なのが寂しいが、BL・BPレガシィのインテリアもシンプルさゆえにツッコまれにくいが没個性的なスポーツ系インテリアだと思う。
Sパッケージのインテリアはウッド部分がカーボン調となっており、パンチングレザーなんかも使われていて、なかなかカッコ良い。
●運転してみて
2.5Lのターボだが、S#モードでベタ踏みしてみても、暴力的な加速はせず、物足りなかった。
高級セダン寄りに味付けされているとのことだが、例えばGS450hなどはもの凄く静かだが、ベタ踏みするとハイブリッド用のインバータモータがKERSのような役割を果たし、怖いほど加速するので、新型レガシィ2.5GTのこのまったり感はなんか違うように思える。
EJ20から500[cc]増量したのは、ブーストの効かない領域でのトルクの確保のようで、低回転・低負荷域での線の太さはEJ20よりも評価できるのか。
エンジンは極めて静かで、回転依存の振動が出にくい水平対抗の面目躍如といったところか。
同じDセグメントの
CUアコードの2.5L 直4、BMW320iの直4なんかと較べると、同じ4気筒なら明らかにEJ25の方が静かでキレイに回っている。
もっとも、6気筒のクルマと比較するとまた事情は変わってくるが・・・。
残念だったのは足回り。
GHインプレッサS-GT、GRBインプレッサSTIなど「SIシャシー」を強くアピールしていたモデルが、ストロークは長いけど吸い付くようなしなやかな脚となっていたので、当然新型レガシィもその路線で来ると思っていたが、違った。
かと言って、BMW3などのように硬いけど突き上げは往なす脚ともちょっと違う。
クラウンのようにインフォメーションがなく大きくフワつく足というワケでもない。
・・・なんというか、とても中途半端な脚で、表現に困る。
十分にインフォメーションがあるワケでもないが、インフォメーション不足でもない。
ロールやピッチングが大きいわけではないが、小さいわけでもない。
段差の突き上げ時、ガツンとは響かないが、それなりに揺れる。
なんか、曖昧な方向性で、妥協点を探った結果・・・・という印象を受けた。
何故、GHインプレッサS-GTやGRBのようにできなかったんだろうか???
ちなみに、この2.5GT LパッケージはKYB製の脚で、Sパッケージはビルシュタイン。
Sパッケージのビル脚+18インチの方が、硬めのセッティングでバランスは良いとのこと。
ステアリングは、あまりクルマの大きさを強く感じず、悪くなかったと思うが、クイックなレーンチェンジをしてみると、ケツが遅れてついてきた。
●総評
スバル・ユーザとしては、
「私の好きな方向性ではないが、これはこれで素晴らしいクルマだ!」
「従来のレガシィとはベクトルが違うが、高級セダン・ワゴンとしてお薦め!」
とか書きたかったが、正直、残念な感想となってしまった。
EJ25のエンジンの静粛さを一番の価値としないのであれば、このクラスであれば
CU アコードの方が個人的にはずっと出来が良いと思えた(FFは苦手なんだけど)。
ターボでもNAでも良いので、またSパッケージの車両にも乗ってみたいところである(できればMTで)。
試乗の後、自分のB4(BL5A)を運転して、とても軽快だし(実際試乗車よりも150[kg]ぐらい軽い)、タイトな感じ(フルバケのおかげ?)だし、エンジンは爽快だし、改めて愛車のB4が自分好みになっていると再確認できた。
ダンパーはかなりヘタってきてるし、ボディもヤレてきた感があるが、それでも・・・。
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