
ハイブリッド車がウジャウジャ走るようになって久しい。
クルマ好きにはHV/EVアンチが多いケド、mistbahnは割とハイブリッド車のテクノロジーが好き。
エコ・ハイブリッドにはあまり興味がないのだが、
F1のKERSだってハイブリッドだし、2012年のル・マンではAudi vs トヨタのハイブリッド車バトルだったし・・・
社用車のGS450hを運転する度にモータアシストによる爆発的な加速にはシビれるし・・・。
もっとも、
「ハイブリッド・スポーツ」のCR-Zは残念ながら私にはとても退屈なパワートレインに感じたが・・・・。
何をどうしたって、重量増になるので、自分のクルマ(特に趣味車の方)をハイブリッドにしようとは思わないが、テクノロジーとしては好きなのである。
●MGU
最近、Motor Fan illustratedや、モータースポーツ誌などを読んでいると、車載の電動機(インバータ、回生コンバータ、PCUも含む?)を「モータ」「電動機」と言わずに
「MGU(モータ・ジェネレータ・ユニット)」と表現されていることが多い。
力行(=駆動ネ)だけじゃなく、回生(=発電)も行うので適切な表現だと思うし、個人的には好きな呼び方なのだが、
「MGU」と呼称するモータと、
「MGU」とは呼ばないモータに線引はあるのだろうか?
また、
「MGU」は一般的な呼称として定着するのだろうか?
プリウスなんかのTHS (Toyota Hybrid System)では、「MGU」というキーワードは使われない。
普通に「モータ」と「ジェネレータ」と表現されている。
THSでは、1台の電動機で力行と回生を行なっているワケではなく、力行用のモータと、回生用のジェネレータが別々に存在するため、そもそも
「MGU」という言葉は不適切なのかもしれない。
ホンダもIMA(Integrated Motor Assist System)の説明では「モーター」としか表現していない。
IMAの電動機では、力行も回生も行なっているので、
「MGU」と呼んでも差し支えないハズだが、
「MGU」と表現しても伝わらないからだろうか?
海外ではどうか?・・・と「Honda IMA MGU」とかでググってもヒットしないので、ホンダは英語圏でも
「MGU」という表現は使っていない。
ちなみにホンダのIMAは、「
Hondaのハイブリッドはエンジンが主役」サイトで説明されているように、エンジンと常に一緒にモータが連れ回る「パラレル・ハイブリッド」。
このサイトでは
"構造がシンプルなため「パラレル方式」は、より軽量につくることができます。
軽量であることは、クルマの運動性能をよくする点でも、燃費をよくする点でも有利。
また、エンジンが主役でエンジンパワーとモーターパワーをロスすることなくダイレクトにタイヤへ伝えるので、スポーティな走りの楽しさを味わえます。"
と、良いことばっかり書かれているが、ホンダがIMAをパラレルとしたのは、ハイブリッドに関する多くの特許をトヨタが抑えてしまっているから、消去法的に仕方なく・・・というのが有名な話。
パラレルの場合、減速時にモータによる回生だけでなく、エンジンブレーキも一緒に作用してしまうので、回生効率が悪い・・・などのデメリットがある。
もっとも、ホンダのIMAのシンプルさは嫌いじゃないので、もうちょっと味付けをなんとかして頑張って欲しい。
ホンダらしいテイストに仕上げて欲しい。
日産もハイブリッド技術の紹介ページで「MGU」をいう呼称は使用せず、「モータ」と言ってる。
では何故、F1(KERS)、ル・マン(Audi、トヨタ)では
「MGU」というネーミングが使われるのか?
海外では一般的なのか???
例えば機械式の2ペダルMT(DSG、Sトロニック、SST、M-DCT、PDK etc...)の総称(一般名称)が
「AMT(デュアルクラッチの場合はDCT)」に収束した(※定着したかは不明。未だにDCTのことを車種問わずに「DSG」と呼ぶ人は結構多い)ように、
「MGU」に収束・定着する日も来るのだろうか?
●レンジエクステンダーEVとシリーズ・ハイブリッド
上記にもリンクを貼った、自動車メーカのハイブリッド解説でも、
「エンジンを発電のためだけに使用し、モータを車軸の駆動と回生に使う」
タイプのハイブリッドは(IMAのような「パラレル」に対して)
「シリーズ・ハイブリッド」と呼ばれている。
いつ頃からか、
「レンジエクステンダーEV」という言葉が使われ始めた。
最初は何のことかわからなかった。
自動車メーカの中の人と話をしていて、「
レンジエクステンダー用のエンジンが・・・」と言われて、
「最近良く聞く、
レンジエクステンダーって何?」
と尋ねたところ、「EVの発電専用のエンジン」って言われて、
「それって、
シリーズ・ハイブリッドのことなんじゃないの?」
と尋ねたら、「?」というリアクションをされたことがある。
また、なんかのWEBニュースで
「ガソリンの消費量を大きく低減したEVを開発!」
みたいな記事があって、そこに
「レンジエクステンダーEV」という表現も
「シリーズ・ハイブリッド」という表現も使われてなかったので、
「EVなのにガソリン食うの?それハイブリッドじゃないの??」
とマジツッコミしたこともある。
後から、
「レンジエクステンダーEV」を無知な記者が「EV」とだけ表現したんだろうな・・・と解釈した。
「レンジエクステンダーEV」は
「シリーズ・ハイブリッド」と全くのイコールだと思うんだが、なんか定義の違いってあるんだろうか?
有識者の方、ご教示ください。
レンジエクステンダーEVの電動機の場合、
「MGU」という表現は微妙だったりするのかな?
でも、モータでの回生も行なっているから、
「MGU」で問題ないのか。
レンジエクステンダー用のエンジンって、「発電専用」なワケだから、自動車メーカが開発する必要はなく、クボタ、ヤンマー、コマツ、MHI、富士ロビン、ホンダ汎用、KHI汎用・・・など、汎用エンジンメーカが作っていてもおかしくなさそうだが、あんましそういう噂も聞かないなあ・・・・。
なんでだろう??
●マイクロ・ハイブリッド
こないだ、「このCMはダメだろ!」とブログアップしたスズキのene-charge。
(※やっぱり、EVやHVなどに関与している人々は一様にあのCMはダメだと思っているということがわかってきた。)
スズキのene-chargeに限らず、既存のエンジンにポン付けのオルタネータ寄りの小さい電動機を用いての減速時の回生などで発電を行い、リチウムイオン電池に貯めておき、アイドリングストップ間はコレを電源として使用する・・・という簡易的な省エネ技法が最近のトレンド。
ダイハツの「新eco IDLE」とか、日産の「S-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)」とか。
ホンダも近々、軽自動車に投入するとニュースで読んだ。
これらを
「マイクロ・ハイブリッド」と総称しているソースを最近ちょくちょく目にするのだが、この
「マイクロ・ハイブリッド」という言葉も商標ではない一般名称として定着するのだろうか?
・・・これらのハイブリッド絡みの技術は日進月歩で、各メーカ、自分とこの商標を全面に押し出すからわかりにくいとは言え、初代プリウスの登場からは15年以上経つワケで・・・
「一般名称」が確立、定着するのって、だいたい何年ぐらいかかるものなんだろうか?
●自動車技術関連関連目次はこちら
Posted at 2013/01/30 00:14:24 | |
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