
以前E60、E61のBMW5を乗り継いでいらっしゃった会計士さんが、BMW3のハイブリッドに乗り換えられてた。
「クルマ、乗り換えられたんですか?」
と訊くと、笑顔で黙ってキーを渡された(ありがとうございます!)。
で、観察+試乗♪
■BMW ActiveHybrid 3 M Sport (DAA-3F30)
「3F30」と書いてるケド、
通称は「F30」だよね。
「E○○」が終わって「F○○」になったんだなあ・・・。
●エクステリア
歴代、BMW3は発売当初は「変なデザイン。なんでこんなんにしたんやろ?」と思ってきた。
だいたい、モデル末期か、フルモデルチェンジしてから、「ああ、あれやっぱりカッコ良かったんだな」・・・と。
E90(クリス・バングル×永島譲二)が一番、登場時は受け付けなかったが、一番早く見慣れて「やっぱコレ、カッコイイな」と思えたのもE90だった。
で、このF30。
やっぱり発売当初は変なデザインだと思っていたが、見慣れたからなのか、これがMスポーツだからか、この個体に関しては「変なデザイン」だとは思わなかった。
純正ホイールもカッコ良いと思う。
このクルマに限ったことじゃないケド、ダーク系の色のクルマのグリルからシルバーの冷却系が見えるのは個人的には好み。
高級車のオーナーさんがこういうメカ的な部分が表に出るのをどう思うかは不明だが。
E90と較べて伸びやかになったサイドビュー。
以前に福MXさんに教えて頂いたように、コレも中国試乗向けのロングホイールベース化なのだろうか?
美しいプロポーションだとも、間延びしたプロポーションだとも思うケド、E90の「アク」は無くなっちゃったな。
私はフロントオーバーハングが短い方が好きなので、歴代BMWと同様にこのF30も短くて好ましいのだが、オーバーハングの長さが同じでも、絞り込みとかで更に短く見せる工夫はできたと思う。
Mスポーツだと、ノーマルでもこんなに車高低いんだな・・・と感心。
ローダウンの必要なく、十分カッコイイと思う。
マニアではない私には、リアビューはパッと見、E90後期型と見分けがつかないが、それだけE90後期型が洗練されていたとも言えるのかな。
●インテリア
メルセデス、アウディ、レクサスあたりと較べると
極端に仕上げ品質が劣る、BMW伝統のインテリア。
もうそれでイイと思う。
BMWはメカニズムで買うクルマなのだ!
ステキなことに、
シートポジションをメチャメチャ下げることができる。
「えっ?まだ下がるの??」と驚くほど。
ステアリングホイールはグリップが太く、
握り心地が非常に良い。
また、ステアリングホイールの
テレスコ機能のストローク量が大きく、かなり手前までステアリングホイールをもってこれるので、「かなり低いシートポジション」と、自分的にかなり気に入った(後ろ寄りの)シートポジションにセッティングできた(※コレはとても珍しいこと。だいたいテレスコ機能使ってもハンドルが遠い)。
車速が窓に映る機能があるが、
私の低いシートポジションからだと全く見えなかった。。。
ブレーキペダルはやや右にオフセットしているが、左足ブレーキに支障があるほどではない。
ただし、
ペダルはとても安っぽい。
BMW 528i(FR30) も、
ホンダ・アコード・ハイブリッドEX (CR6) も、ペダルはインプレッサ寄りも安っぽかったので、
コレが流行の先端なのかもしれない。
●パワートレイン
【エンジン】
型式: N55B30A-M230
直列6気筒DOHCガソリン
排気量: 2979cc
圧縮比: 10.2
最高出力: 225ps(306kW)@5800rpm
最大トルク: 400N・m(40.8kgf・m)@1200~5000rpm
バルブトロニック、直噴、吸排気無段階可変バルブ・タイミング(ダブルVANOS)、DME/電子燃料噴射装置・・・
【電動機】
定格出力: 40kW(54ps)
定格トルク: 210N・m(21.4kgf・m)
電動機は、40kW、210Nmから逆算すると、210Nmを捻出できるのは1820rpm以下となるな。
モグリな私はBMWのハイブリッドの存在自体あんまし知らんかった。
最近のBMWのダウンサイジング志向と、ハイブリッドということで、てっきり2Lあたりの直4を積んでいるんだろうと思ったのだが、試乗後に調べてみたら直6だった。
トヨタとの技術提携の話がいろいろあったが、このActiveHybridはZF製らしい。
そういえば、ZFはいろんなエンジンと組み合わせて使用できる方向でハイブリッド機構をシリーズ化して開発していたなあ。
イマイチ詳しいことはわからない(←調べていない)のだが、ブロック図的にはFit3のi-DCDなんかと近い構成で、
エンジン → クラッチ → 電動機 → 電子油圧制御式8速AT(トルコンレス?)
という構成らしい。
「電子油圧制御式8速AT(トルコンレス?)」がイマイチ良くわからない。。。
●パワートレーンのフィーリング
試乗中はてっきり直4を積んでいるんだと思ってたので、
「直4なのにE90 320iのような
安っぽい雑味はナイなあ・・・」
「
結構コブシの効いたヤル気な音だな」
とか思っていたが、直6だった。
直6だけど、全然「シルキーシックス」って感じではない。
前述のように直4のような雑味はないが、無音でもなく、
「グオーン」的なヤル気な音がする。
エンジンそのもの・・・というより排気音の味付けなのかな?
ECO PROモード:
キックダウンのようなタイムラグがあってから急加速する。加速し始めたら鬼っ速。たぶん、常になるべく上のギアを使って燃費を稼いでいるんだろう。
SPORTモード:
常にラグなく鬼速い。下のギアを使っているのに加え、DBWの違いとかモータアシストもあるのかな?
とにかくレスポンスが良い。
吹け上がりも針落ちも。
クラッチ後に電動機があるが、加減速の際にモータの力行・回生がエンジンをアシストしているからレスポンスが良いのか?
あるいは、発進にはモータの低速トルクを使うから、イナーシャのデカいフライホイールが不要なため、クラッチを切断している状態でのエンジンのレスポンスが鬼なのか?
加速が鬼速なのは、試乗中はモータアシストの恩恵なのか?とも考えていたが、スペックを見ると
エンジンだけでトルクが400Nmもあるので、意外とモータアシストは関係ないのかもしれない。
ハイブリッド車のほとんどはタコメータがないケド、これはあるのがウレシイ。
・・・というか、タコメータの下に小さく、モータ・インバータの力行と回生のメータがあるが、あまりに存在感が希薄で、「ハイブリッドです」って事前情報なく運転したら、ハイブリッドだと気づかなそうだ。
メータの件を抜きにしても、
発進時、モータだけでスルスル走ることもなかったし、信号でアイドリングストップすることもなかった。(※それぞれ機能としてはもっているようだが、短い試乗の間ではそれらが動作することはなく、
常にエンジンで走っている感じだった)
オーナーさんが「燃費悪いハイブリッド」とおっしゃっていたが、
確かにいかにも燃費悪そうなフィーリング。
でもその分、
ドライビングプレジャー溢れるパワートレイン。
パドルシフトでのシフトチェンジ時のレスポンスも素晴らしく、
「トルコン臭さがないなあ」
「ドイツのティプトロは昔からフィーリング良かったがココまできたか!」
「いや、そもそもハイブリッドだしトルコンATですらないのか?○段変速だからTHSのようにCVT(※ベルトではなく)ってワケではなさそうだが・・・」
と思って乗っていたのだが、トルコンレスだった。。
●制動
↑青いキャリパーからオレンジのパッドがチラリと見えるのがカッコイイ。
ちょっと前にCIしたプロミスみたい↓。
ブレーキングは非常にタイトで自然。
流石に車体の重量は感じるが、不当に大きすぎるピッチングはなく、気持よく制動する。
回生ブレーキと、機械式ブレーキの協調制御にも一切の違和感はなく、「本当に回生してんのか?」と思えるほど。
本当に回生してんのか?(一応、タコメータ下のメータはチャージ表示となるが・・・)
↑フロントタイヤハウス内に、ブレーキ冷却用と思われるダクトがあるし。フロントのメカ・ブレーキには結構仕事させてそうだ。
●ボディとか足回りとか
ボディの高い剛性感はヒシヒシと伝わってくるが、E90のように、「剛性高いので、重いです」感はクルマからは伝わってこなかった。
(でも、車重は1740kgとシッカリ重い)
今までのBMWは高い剛性のボディを、硬めのスプリングでガシッと支えた「ドッシリ感」が強調されていたが、
今までよりも足はソフトな印象。
ボディと足回りが「一体のもの」というフィーリングではなくなり、「ボディはボディ」「足は足」と分離されたインフォメーション。
足は前述のようにこれまでのBMWよりソフト路線だが、「しなやか」と表現すべきなのか、ダルさはない。
ソフトだケド、V37スカイラインとか、レクサスLS(のノーマルモード)とかのように、ブレーキング時に不当にノーズダイブしたり、大きすぎるロールがあるというワケではなく、良いバランスなのではないかと思う。
(個人的には硬い足の方が好きなのだが、コレも時代の流れなんだろう)
おそらくバネレート(フロント硬め、リア柔らかめ?)とダンパーの減衰(フロント伸び側低め?)により、この
F30も、BMWの伝統的な 「FRです♪」 という味付けを施されており、加速時の後ろ足で蹴られている感じが強く伝わり、気持ち良い。
タイヤはBSのS001。
私の苦手なRE050の後継らしい。
フロント: 225/45R18
リヤ: 255/40R18
さすがにこの低偏平なので、加減速時にタテに潰れる感じも、コーナリング時に横にたわむ感じもなかった。
サイドウォールの剛性感もあるように感じた。
RE050は苦手だったが、この短い試乗ではS001は好印象。
あと、
パワステは電動なのだが、とても自然。
車速感応式だが、
低速も無駄に軽くないのがとても良い感じ。
Fit3のEPSも良かったし、ここ最近、EPSのフィーリングはグッと良くなっている印象。
ステアリングを切った状態での停車状態から「エイッ」とアクセルを踏むと、多少「キュッ」とリアから短いスキール音がするが、人様のクルマなのと、高級車なのであまり無茶はしなかった。
「Uターン」に近い
タイトなヘアピンでは、ステア操作に対しての動き、「回ろうとする挙動」のレスポンスは悪くないのだが、
さすがに重さ、横Gが目立った。
●総評
とても楽しいクルマだった。
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