AVCSにより、ハイブースト時の有効圧縮比を下げて体積効率を落とすことにより、ブーストアップを行う検証。
過去のブログエントリ「
【ECU】中回転域のブーストアップ 」にて、BL・BPレガシィがあまりブーストアップできない理由のひとつとして、圧縮比が高い(GDBインプレッサの圧縮比が8に対し、BL・BPは9.5と、ターボカーにしてはとても高い)ことを挙げた。
エンジン研究家の島筒先生に、いろいろ教えて頂いている中で、AVCSによる可変バルブタイミングで体積効率を上げるだけではなく、逆にハイブースト域では、有効圧縮比を下げる=体積効率を下げる=ノッキングマージンの確保=ブーストアップ可能に・・・という手法を教わった。
低吸気量時は、いわゆる圧縮比9.5により高効率とし、高吸気量時は、高過給により効率を高める・・・という思想だ。
とても興味深い。
(※可変バルタイについては、ブログエントリ:「
【ECU】AVCSバルブタイミング調整」にて島筒先生による解説を公開)
高過給により吸気温度が上昇すれば、同一のインタークーラでも熱交換量(インタークーラの放熱量)は大きくなることも御解説頂いた。
が、やはりハイブーストでの吸気温度上昇にはインタークーラの大容量化はひとつの重要な対応策だと思うので、やはりインタークーラは交換したいなあ。
で、自己責任にて、以下を検証中。
●Target Boost B
中~高スロットル開度域を、毎日、0.01[bar]ずつ上昇させ、ログ確認・・・を繰り返し中。
昨年は絶対圧にてノーマル+0.1[bar]の2.1[bar]程度としたが、現状はノーマル+0.16[bar]の2.165[bar]を上限としている。
トラブルはあったが(後述)、ノッキングもサージングも発生していない。
●Initial Wastegate Duty B
Wastegate DutyマップはBP5E型ATのROMと、BL5A~C MTで、まるで方向性が違うことにドン引きした。
Wastegate Dutyについては、BP5E ATとはタービンも違うし、デューティー・ソレノイドも2ポート→3ポートに変更しているし、ブーストセッティングの狙い・思想も全く違うので、BP5E のマップは少しも参考にしなかった(そもそも、私のマップはBL5A~C MTのノーマルのマップとも微塵にも似てないのだが)。
Wastegate Duty Cycleは、なるだけ変化が少なくなるように少しずつリセッティングしている。
50~53[%]ぐらいに揃えてやり、この結果として実走行(ギア4速)でロギングされるManifold Abosolute PressureにTarget Boost Bのマップを合わせこんでやることで、極力Turbo Dynamics補正を発生させないようにし、Turbo Dynamicsの弊害としてのオーバーシュートを抑制するのが狙い。
最近は気温10[℃]程度時に実走ログを採っているので、Wastegate Compensation (Coolant Temp)マップがどの程度信頼できるか・・・が気になるところ。
ちなみに、Wastegate Compensation (Coolant Temp)もA~C型 MTとE型 ATでは大きく異なるのだが、これはタービンの違いなのか煮詰めた結果なのかは不明。
ソレノイドをプロドライブの3ポートに交換している私の車両では、純正ソレノイドとWastegate Duty値変化に対する挙動が異なるので、本当はWastegate Compensation (Coolant Temp)マップも変更してやる必要がある。
基準となる20[℃]周辺で実走ログを採ることができたら、10[℃]以下の実走ログと見比べて補正しようと思う。
●TD Activation Thresholds (RPM)
少しスレッショルドを上げた。
低回転時にBoost Errorが大きいときに、+方向のTurbo Dynamics補正が働き、オーバーシュートに繋がるのを抑制する狙い。
様子を見て、更にスレッショルドを引き上げたい。
●TD Activation Thresholds (Turbo Dynamics)
TD Activation Thresholds (RPM)と同様の思想で、スレッショルドを引き上げた。
毎日順調にコツコツとブーストアップを続けてきたが、昨夜、4速フルスロットル時に、3600[rpm]あたりで一瞬、「ガクン」とリミッター処理のようなマズい挙動が・・・。
ゲ、これがひょっとしてサージングか!?
と脂汗。
再現性があるか、もう一度フラットアウトしてみたところ、やはり3600[rpm]付近で同様の症状が・・・・。
Engine Loadが7.89[g/rev]というとんでもない値を記録しており(Engine Loadは3[g/rev]程度でも大問題)、脂汗。
クルマを停めて、ログを見て、
「ああそうか、Boost Limitによる燃料カットが働いたのだな」
と理解した。
Engine Loadが過激な値を示したのは、フルブーストで吸気量が多いときに、燃料カットによって急に回転数が落ちたために、
Mass Air Flow ÷ Engine Speed
の算出値であるEngine Loadが異常な値を示したことを理解。
●Boost Limit (Fuel Cut)
で、燃料カットされるブースト値を引き上げた。
この、ハイブーストで燃料カットが行われるリミッターってどーなんだろ?
ハイブーストによりエンジンブローしないにしても、どう考えてもエンジンにはとっても悪そうな挙動だった。
リミッター値以上の実ブーストとなったときは、Wastegate Duty=0としたり、点火時期をとても遅らせるとか、もうちょっとマシな処理を行って欲しいもの >DENSO殿+富士重工業殿
Boost Limit (Fuel Cut)を引き上げたことにより、同じブーストマップで4速フルスロットルを繰り返してみたが、特に問題は生じなかった。
実走ログによる、ブースト圧と、Injector Duty Cycleのグラフ。
ブースト圧がギザギザなのは、拡大表示していることと、Turbo Dynamics補正の繰り返しに基づくハンチング。
まだまだ詰める余地はありそうだ。
●レガシィB4(BL5A)のECUチューン関連目次はこちら
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