■Motor Fan illustrated vol.66~レーシング・エンジン2~
出版: 三栄書房(2012/3)
MFiは高価(1680円)なので、B4クラッシュ以降、ほとんど我慢してきたが、本号は流石に我慢できずに購入。
EJ20ヲタな皆様は必見。
忙しくて、まだ途中までしか読めていないが、途中まででも十分に内容が濃いので感想文を書く。
■博士のエンジン手帖 Mazda 13B-MSP ”RENESIS”
畑村氏のエンジン評は、MFiでは広島弁を強調し過ぎて、ちょっと寒い。
ダウンサイジング過給偏重過ぎるのも読者に偏見を植え付けそうで、どうもなあ・・・と思う。
でも、この人のエンジン解説は噛み砕き方が上手く、本当にわかりやすい。
今号はRX-8の最後のロータリー、RENESISの批評。
RE13Bの後継ロータリーエンジンとしてバックナンバーでは開発中のRE16Xが取り上げられていたが、スカイによって開発凍結されちゃったのかな?やっぱり・・・・。
この記事ではロータリー魂を評価しつつも、ロータリーエンジンについて徹底的にダメ出しをしている。
詳細はここでは書かないが、そのダメ出しも非常にわかりやすく、説得力があり、それだけにロータリーの将来が絶望的なことがシッカリと伝わってきて、とても残念な気持ちになった。
個人的にはロードスターに積んで欲しいのだが・・・・。
■2014年F1パワートレーン
1.6L V6ターボ+ERS(Energy Recovery System=ハイブリッド)のレギュレーションのわかりやすい詳細解説。
否定的なファンも多そうだケド、個人的には面白いレギュレーションだなあ・・・・と思って読むことができた。
ERSのあり方も、タービンにもMGU(モータ・ジェネレータ・ユニット)を配置し、排気エネルギーを回生させるルール。
市販車へのフィードバックが確実に生かせそうなレギュレーション変更で、「吸排気系以外のエンジン開発禁止」と言ってたここ数年よりもずっとポジティブだと思う。
ただ、エンジンメーカは本当に大変だと思う。
2014年が楽しみ。(ホンダ復活せーへんかな)
■エンジニアの道具箱
ルノー・スポールF1で2014年型のF1エンジンの構造解析を担当している日本人女性、永山枝里さんの紹介記事。
自称「ライトなF1ファン」の彼女は、F1を夢見るワケではなく、東大の航空宇宙工学科に入学。
そこで学生フォーミュラに参加し、チームとして好成績をあげる。これに対し、ルノーのリクルーターから声がかかる。
たまたま留学まで間の空いてた3ヶ月間にルノーで研修を受けてみて、ついふらふらと・・・
・・・というサクセスストーリー(?)
この記事を読んだときの私が軽くロー入ってたのか、スゴく考えさせられて、妙に凹んだ。
私は幸運にも第三期ホンダF1チームの一部のスタッフとお酒を飲む機会があったのだが、そのとき
「最近は、入社前からF1が好きで好きでたまらないヤツではなく、F1のことを何も知らず、情熱もスキルもない新人が会社から充てがわれたりする(=不満)」
という話を聞いたことを思い出した。
本記事の永山さんはそれに該当するワケではない。
学生フォーミュラをやっていたワケだし、ルノー入社以後はルノーF1チームへの移動の希望を出し続けていたので。
また、「ライトなF1ファン」と自称したり、ルノー入社への経緯も、物事を熱く大げさに語るのが嫌いだとか恥ずかしいとか、そういうのかもしれない。「日本人女性の奥ゆかしさ」と表現すべきだろうか?
あるいは、ライターによる文章表現も彼女に対する印象に影響を及ぼしているのかもしれない。
永山さんには何も問題がない。
そして能力がある人を採用するルノー・スポールF1にも何も問題がない。
何故、こんなに引っかかるのか、ローに陥るのか、結構考えこんでしまった。
(この記事を読んだのは、家族で焼き鳥屋に行き、順番待ちのときだったので、焼き鳥を食べている間じゅう、テンション低かったのでなんか家族に申し訳なかった)
私の高校は「進学校」とは全く呼べないほど、教育とか進学に対して学校側が全く手助けしない特殊な高校だったのだが、それでも学力は県下トップクラスだったので、永山さんと同じ東大に進学した友人も何人かいる。
「東大と京大の連中はやっぱり別格だったよなあ・・・」
と思ってから、実際、東大・京大に進学した友人たちの顔をひとりひとり思い出してみて、
「うーん、底知れない才能って感じのヤツもいるけど、いわゆるガリ勉タイプもいるよな」
「・・・っていうか、東大に進学した友人の大半は文系じゃねーか。単純比較できないよな。・・・・ああ、でも、文系でもこいつら皆、私より数学できたよな。やっぱ別格なのか?」
とか考えてみたり・・・・。
私は永山さんがうらやましいんだろうか?
特にルノー・スポールF1で働きたいワケでもないのだが・・・。
そもそも私はどうなりたかったんだっけ?
ピニンファリーナに入りたいと思ってた時期もあったし、フェラーリのエンジニアになりたいと思ってイタリア語を少し勉強した時期もあった。
ゲームのプログラマになりたいと思ってた時期もあったし(これは実現した)、音楽屋になりたいと思ってた時期もあったし(これも中途半端には仕事をした)、音響屋になりたいと思ってた時期もあったし(これは比較的長いこと従事した)・・・・
私の「なりたい」像は、ロングスパンではあるが、節操なく変化し続けており、一貫性がない。
で、引き出しの多さが武器にはなっているものの、何かを極めるということとはほど遠い人生を歩んできた。
果たして、私に一貫性があったら、どういう仕事をしていたのだろうか?
ピニンやフェラーリはともかくとして、高校時代に音楽に熱中しながらも、現実的な就職先として考えていたホンダには入社できていたのだろうか?
自動車メーカの中の人に「そんなにクルマが好きならなんで自動車メーカに就職しなかったの?」と訊かれたことがある。もっともなご質問だ。
新卒時期にはクルマより音響に興味があったのも大きな理由だが、そもそも卒業時の年齢が高すぎて全ての自動車メーカの新卒採用の年齢制限に引っかかっていたのでそもそも選択肢にできなかったのも事実だ。
今の仕事は自分の能力を最大限に活かせていると思うし、まあ充実している。
これは学生時代に思い描いていた未来とは全く異なるのだが、それは永山さんと同じではないか?
では、何がそんなに引っかかるんだろうか?うーん・・・・。
■STI EJ20(GT300仕様)
スーパーGTのGT300にBRZでの参戦用のEJ20についての詳しい紹介記事!
ポスターまで付いているのも本誌を買うのを我慢できなかった理由のひとつ。
このポスター、個人的には、タービンが強調され過ぎで、またプーリカバーなんかも付いてしまっているのが残念な感じ。「エンジン単体の見せ方」としてはイマイチ。
・・・っていうか、EJ20なんだ。
結局EJ20なのか。。。。。。
EJ20(=極端なオーバースクエア)の後継であるFB20(=ロングストローク)のフィーリングにとてもガッカリしていた私は、86、BRZにもFBが積まれると思っていたので、世間のお祭り騒ぎを白けた目で見ていた。
しかし、
86、BRZの水平対向がボア×ストローク=86.0×86.0のスクエアだと知ってからは、俄然興味をもっていた。
でも、やっぱりレース用はEJ20だと知って、元EJ20使いとして非常に嬉しく誇らしいとともに、なんだか86とBRZにとてもガッカリした気持ちになった。
EJ20ヲタにとってはステキな記事で、GT300仕様のEJ20のタービンや燃料供給系、ドライサンプ、WRCエンジンとの違い、バルブオーバーラップのセッティング・・・など随分多くの角度から紹介されている。
チューニングの参考にもなるし、写真を眺めているだけで楽しい気持ちになる。
EJ20乗りは立ち読みでも良いので読むと面白いと思う。
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