
発売前から期待していた3代目フィットのハイブリッド仕様。
発売後、ずっと「試乗行かねば」と思いながら随分経過してしまったが、夕方、ほんの短時間だが乗ってきた。
※新春セールか何かでスゴくたくさんのお客さんで賑わっていて、「シャトルがモデルチェンジするときに真面目に検討を考える・・・・」と伝えると、「なんだよ冷やかしかよ。さっさと帰れ」的な扱いだった。。。
私も自分のビジネスでは冷やかし客は大嫌いなので、気持ちは良くわかるのだが・・・
■Honda Fit Hybrid 1.5L i-VTEC+i-DCD (GP5)
●エクステリア
フィットは、過去にも何回か本ブログで書いてきたが、初代のデザインはコンパクトカーのひとつの完成形だと思う。
それゆえ、2代目は登場時、「イマイチ」だと思ったが、モデル末期になって目が慣れてきてカッコ良く見えるようになった。特に、マイチェン後の後期型のデザインが好き。
で、3代目。
発売前に写真や動画で見てたときは「なんかダサい」と思っていたのだが、実物を見て印象が好転し、見慣れてきたら、とても愛おしく思えてきた。
ホンダのチャチなSFテイストも、このクラスのクルマだとオモチャっぽくてアリだと思う。
顔は少し、スターウオーズのキャラデザのテイストが入っていると思う(※スターウオーズの乗り物系ではなく、ストームトルーパーとかグリーバス将軍とかそっち系)。
3代目フィットはオモチャ(チョロQとか)っぽいのがステキなところなので、
原色が似合うと思う。
特に黄色がステキだと思うが、青、赤もストリートで見かけると心惹かれる。
なので、試乗車のこのシルバー色はとても残念に思えた。
(シルバーのビートと307SWに乗ってる私に言う資格はないが・・・)
サイドビューとは決して美しいとは言えない。
シトロエンDS3あたりと較べると、なんかとても残念なデザインだと個人的には思うが・・・
なんか無理矢理アクセントを付けた感じのプレスラインだが、これがない姿を想像すると、ただのっぺりしたダサいクルマになるので、全体フォルムとしては最初から破綻しているのでは?・・・と個人的には思う。
あと、ホイールカバーという存在と、そのデザインがとてもダサいと思う。
クルマが割と未来的なデザインなので、ホイールカバーを外して鉄チンにして似合うかどうかは不明だが・・・。
リアビューが好き。
最近のボルボっぽくもあるが、昔から、ボルボのお尻の意匠はホンダをパクりがちだと思っていたので、もう何が何やら良くわからない。
いずれにしても、シルバーより原色と組み合わせたいデザイン。
●インテリア
写真で見ると、いつものホンダのコンパクトカーの「子ども向けな幼稚なSF感」なのだが・・・
現物を生で見ると、先代よりもかなり質感が向上していると思えた。
ピアノブラック仕上げのナビ・エアコンパネル回りも良い感じだし、助手席側のダッシュ部の質感なども安っぽくなかった。
あえて言うと、アクセントとしてのシルバーの樹脂パーツが全てを台無しにしているように思える。
・・・もっとも、私にとっては内装の仕上げなんてどうでも良いのだが・・・・。
写真ではわかりづらいのだが、インパネがカッコイイ+面白い。
センターのスピードメータが、実物を見ると、どこまでも奥行きがあるような演出で、「なんちゃって」なSF感じゃなく、「ちゃんと新しい」SF感だった。
スピードメータの右側にバッテリ残量が表現されているのだが、「ハイブリッドとは言え、やっぱりタコメータがないと寂しい」と呟いたところ、ステアリングについてるinfoボタンで、ステータス表示を切り換え可能だと教えてもらった。
↑がタコメータに切り換えたところ。
イマドキなインパネだなあ・・・。(個人的にはアリ)
シフトは、使い方を知らないと戸惑うが、知っていると使いやすいモノ。
シフトノブは少しダサいと思う。
シルバーの質感もダサいし、「ハイブリッドです」と一生懸命アピールしている感じの青い部分もダサいと思う。
ペダルは左足ブレーキ前提でレイアウトされているぐらい、左足ブレーキ向きで使いやすかった。
ちなみにシートポジションは、2代目フィットほど、高い感じがせず、好印象。
●パワートレイン+ドライブトレイン
とにかく楽しみにしていたのが、パワートレイン、ドライブトレイン。
インサイトや2代目フィット・ハイブリッドのIMAは、完全なパラレル・ハイブリッドだったため、常にエンジンとモータが一緒に回ってしまう仕組みだった。
そのため、減速時にはエンブレが効いてしまうため、回生効率が悪い・・・などの弱点があったのだが(※気筒休止などとの協調制御で弱点を必死でカバーしてたらしいが、そもそものメカ的な弱点を制御でカバーするのは限界がある)、新しい
i-DCDでは、エンジンとモータの間にクラッチが入っているため、「モータだけ」の状態を作ることができる・・・と事前情報を得ていたので。
エンジン諸元
エンジン型式: LEB
最高出力: 110[ps](81[kW])/6000[rpm]
最大トルク: 13.7[kg・m](134[N・m])/5000[rpm]
種類: 直4
総排気量: 1496cc
ボアXストローク: 73.0mm×89.4mm
圧縮比: 13.5
燃料供給: PFIの模様
過給機: なし
モータ諸元
モーター型式: H1
電動機種類: 交流同期電動機
定格電圧: 173[V](低い!!)
モーター最高出力: 29.5[ps](22[kW])@1313~2000[rpm]
モーター最大トルク: 16.3[kg・m](160[N・m])@0~1313[rpm]
15XやRSに積まれている、1.5L i-VTEC(エンジン型式L15B)は直噴と書いてあるが、ハイブリッド用のLEBはどうもPFIらしい。残念。
RSにも乗ってみたいなあ。
モータは諸元的に、完全に低速トルク専用。
定出力領域は1313~2000rpmとなっているが、2000rpm以上の扱いが気になる。
縁切りされてエンジンだけで走れれば良いが残念ながらそうではないみたい。(エンジンを縁切りしてモータだけで走ることはできる)
ホンダのサイトの「i-DCD」の解説でも、各ギア選択時や加減速時のパワー伝達の流れを解説されているが、エンジンでの駆動の際は、そのパワーをモータでの発電にも充ててしまっている。
もちろん、加速時は、モータが邪魔にならないよう、モータは無負荷(=発電しない)に制御しているんだと思うが、モータのロータ・イナーシャを加速させるのに「トルクが喰われてしまう」ワケで・・・・
・・・i-DCDにより、回生効率が上がったり、モータ単独駆動ができるようになったのはIMAからの大きな進歩だが、
IMAから継承しているネガもあるんだな。
(※見解が間違っていたら、有識者によってツッコミが欲しいところ)
モータの電圧173[V]がとても低い印象。
同じホンダでも
アコード・ハイブリッドは700[V]。
自動車のパワートレイン用モータの電圧って、コレぐらい高い電圧にして、動力線を細くするのが定石という印象があるので、
フィット・ハイブリッドの173[V]がなぜそんなに低電圧なのか、有識者にご教示頂きたい。
i-DCDのデュアルクラッチはドイツのLuk(シェフラーグループ)製。
VW・AudiのDSG、SトロニックなどもLuk製だ。
「何でも自社で作りたがる」「作ってしまう」ホンダが、自社開発してケーヒンあたりに製作させずに、Lukに頼ってしまったのは個人的にはなんだか残念。
だんだん、その傾向が強くなっていってる?
で、運転してみて・・・試乗時間が短すぎて、大したレビューはできないのだが・・・・
「突貫で開発・商品化した」にしては、
あまりに自然なフィーリングで驚いた。
ハイブリッドであることを全然感じさせない、自然なフィーリングだった。
ギアチェンジ時のシフトショックなどもなかった。
かと言って、
トルコンATのようなもっさり感もなく、ちゃんとクラッチを介してダイレクトに動力伝達されている気持ち良さはあった。
アコード・ハイブリッドのi-MMDとは異なり、「モータだけで運転してます」的な領域は極低速でも感じることができず、このあたりはIMAのとき以上にパラレルハイブリッド感が強い?
いずれにしても自然でリニアなフィーリングで良かった。
アクセルベタ踏みでの加速時は、それなりにエンジン音は大きいのだが、
アコード・ハイブリッドが高級車なのに掃除機のような残念なエンジン音なのに対し、
「安っぽい雑味」という印象はなく、個人的には「アリ」なエンジン音だった。
・・・が、このあたりはものスゴく主観なので・・・。
基本的にアクセル操作に対して、ラグなく車速が変化するのだが、アクセルベタ踏みしたときに、一般的なトルコンATのようなキックダウン的なラグ後の加速を行った。
割と高回転への移行時だったので、V-TECの可変とも解釈できなくもないが、たぶんi-DCDのTCUの制御で、トルコンATと同じように、アクセルベタ踏みで、1段か2段か下のギアにシフトチェンジしてるんじゃないかと思う。
速いパワートレインじゃないケド、フィーリングは結構良かったと思う。
もちろん最近のホンダ車全般と同一傾向で、決して高回転型ではないが、モッサリしてなくて良かった。
インサイト、CR-Z試乗時のエンジン・フィールがスゴく残念だったのが、このフィットでは残念感がなかったのは、自分が慣れたからなのか、エンジンも良くなったのか、i-DCDの好影響なのか?
ちなみに、この3代目フィット・ハイブリッド 1.5L i-VTEC+i-DCD (GP5)を所有している知人が、発進時のi-DCDの不自然さについて苦言されていたが、ディーラーからの発進時、赤信号からの発進時にそういったネガは感じなかった。
「初期ロットの不具合が改善されたのかな?」
と思ったのだが、ディーラーに戻って、
スロープをバックで上る際に、アクセル操作に対して、ちょっとタイムラグを経てから急に動力伝達される症状が確認された。
「ああ、コレか」
と。
Audi A1 Sportback 1.4 TFSI (8XCAX) の試乗でもSトロが似たような挙動を示したので、Lukの作るDCT特有の問題なんだろう。
Audiでの症状よりは、フィットの方がだいぶマイルドだった。
Audiではエンジンの動力をDCTで切断・接続しているが、フィット・ハイブリッドの場合、発進時は主にモータのハズで、0rpmからの制御も可能だし、電流でトルクコントロールもできるので、DCTの問題は露骨には出にくいハズ。
●足回りとかボディとかステアリングとか
良いバランスだと思った。
最近のクルマにありがちな、これ見よがしな剛性感の演出もなく、
タイトにキビキビ動く感じだが、だからといって軽薄な感じもなく。
「小気味良い」。
EPS(電動パワステ)であるにも関わらず、ここ数年間のコンパクトハッチで一番自然でタイトで気持ち良いステアリング・・・という印象。
ブレーキのタッチが良いのも印象的。
これもモッサリしておらず、タイトに、リニアに言うことを聞く。
回生ブレーキとメカブレーキの協調制御がなされているハズだが、全くそういうことは感じさせず、そこいらのコンパクトハッチよりもずっとリニアで気持ちのよいブレーキのフィーリング。
クルマ全体が「モッサリしない」「タイト」「リニア」という方向を向いている。
ブレていない印象。
エコタイヤ(ヨコハマ・ブルーアース)がどうだ・・・とか言えるほどの試乗ができていないのだが、基本的にステアリングの印象が良いので、RSはさぞかし楽しいんだろうなあ・・・と期待が膨らんだ。
●まとめ
試乗時間が短すぎたから、ダメな部分に気付かなかっただけかもしれないが、ヴィッツ、デミオ、キューブ、先代フィット・・・など各コンパクトカーの中で一番好みだった(※スイフトあたりは乗ってないのでわからない)。
またじっくり乗る機会が欲しいが、たぶん出張先のレンタカーなどで機会はあるだろう。
RSにも乗ってみたいなあ。
●ハイブリッド以外の写真
前述のように、3代目フィットのデザインはシルバーよりも原色が似合うと思うので、試乗車ではない赤、紺の在庫車両の写真を撮らせて頂いた。
ともにハイブリッドではないが、13G(GK3)、15X(GK5)のどちらかは不明。
RSじゃないことは確か。
カッケー。
カッケー。
カッケー。
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